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  • 更新日 : 2021年6月3日

生産高比例法による減価償却とは?対象や計算方法、メリットまで解説

土地を除く固定資産は、時間の経過とともに徐々に劣化し価値が減少していくものです。そこで資産価値の減少に応じて取得費用を費用化していく必要があります。

これを「減価償却」と呼びます。

「減価償却」の計算方法は複数存在しており、資産の種類、あるいは資産の使用状況に応じて計算方法を選択することになります。

今回はその計算方法の1つである「生産高比例法」について、考え方や計算方法、採用した際のメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。

生産高比例法とは?

生産高比例法とは、減価償却方法の一つであり、当該資産の使用度合に応じて減価償却費を計上するという観点から、按分基準に「生産高」を用いる償却方法です。

【生産高比例法の償却イメージ】
生産高比例法の償却イメージ

固定資産の取得価額を、当該事業年度で使用した割合に応じて、減価償却費という形で費用化していくイメージです。
生産高比例法を用いるメリットとしては、当該資産を使用することにより計上される収益と減価償却費が対応することが挙げられます。「費用収益対応の原則」の観点からきわめて合理的な計算方法だといえます。

しかし、適用することができる資産は航空機や自動車・鉱業用設備など、総生産高を正確に予想することができる資産に限定されるというデメリットがあります。

その他の減価償却方法と生産高比例法との違い

生産高比例法以外にも「定額法」「定率法」「級数法」などの償却方法がありますが、いずれも「一定の計算式によって減価償却費が求められる」という特徴があります。

年次ごとの費用配分をグラフにしてみると、それぞれ形は違うもののきれいな直線または曲線が描かれるのがわかります。
年次の経過に伴う償却額の費用分配

しかし、上記3種類の計算式は収益に対応しているわけではありません。固定資産の劣化を「時間の経過」を基準に見ているだけであって、収益と対応させることを目的としてはいないのです。

それに対し、生産高比例法では「生産高(活動量)」を減価償却の基準としています。
生産高(活動量)に伴う償却額の費用分配

結果として生産高比例法の費用配分のグラフは他の3つと比べて歪な形となりますが、他の償却方法と比較して収益に最も対応した償却方法であるといえます。

生産高比例法による減価償却費の計算方法

実際の計算手順としては、当該資産の総生産高を予想した上で当期の生産高が総生産高に占める割合を出し、固定資産の取得価額(要償却額)に乗じることによって減価償却費が算出されます。

平成19年の税制改正により、平成19年4月1日以降に取得した資産に適用される「生産高比例法」と平成19年3月31日以前に取得した資産に適用される「旧生産高比例法」がありますので注意が必要です。

1.平成19年4月1日以降に取得した資産

生産高比例法の償却限度額
=(鉱業用減価償却資産の取得価額/その資産の耐用年数(注)の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量) × その事業年度におけるその鉱区の採掘数量

 
(注)その資産の属する鉱区の採掘予定年数がその資産の耐用年数より短い場合には、その採掘予定年数になります。

2.平成19年3月31日以前に取得した資産

旧生産高比例法の償却限度額
={(鉱業用減価償却資産の取得価額 - 残存価額(注1))/ その資産の耐用年数(注2)の期間内におけるその資産の属する鉱区の採掘予定数量}× その事業年度におけるその鉱区の採掘数量

 
(注1)「残存価額」は、取得価額に耐用年数省令別表第十一に規定されている残存割合を乗じた金額です。
(注2)その資産の属する鉱区の採掘予定年数がその資産の耐用年数より短い場合には、その採掘予定年数になります。
 

【具体的な計算例】
取得価額500万円(見積総走行距離20万㎞)の車両を「生産高比例法」で減価償却
した場合

  • 1年目(年間走行距離5万㎞)
    500万円 × ( 5万㎞ / 20万㎞ )= 125万円
  • 2年目(年間走行距離8万㎞)
    500万円 × ( 8万㎞ / 20万㎞ )= 200万円
  • 3年目(年間走行距離4万㎞)
    500万円 × ( 4万㎞ / 20万㎞ )= 100万円
  • 4年目(年間走行距離5万㎞)
    500万円 × ( 3万㎞ / 20万㎞ )= 75万円 ※

 
         減価償却費合計  500万円

※実際には4年目に「残存価額1円」を残した差額を減価償却することになります。

生産高比例法の適用対象

先に述べた通り「生産高比例法」を適用することができる資産は、「鉱業権」のように総生産量を正確に予想することができる資産に限定されています。

適用可能な資産の具体的な要件は次の通りです。

  1. 総生産高(総活動量)を物理的に見積もることができること
  2. 資産の減価が生産高に比例して発生すること

「鉱業用減価償却資産」である「掘削設備(耐用年数6年)」を例に考えてみましょう。

  1. 掘削設備の耐用年数内(6年)で採掘できる総採掘量を見積もることができること
  2. 掘削設備を使って採掘できる年間採掘量を把握でき、なおかつ採掘の度合に応じて掘削設備が消耗し減価していくこと

1.2.の要件を全て満たさなければならないことから、「生産高比例法」を適用するためのハードルがいかに高いかがわかります。

生産高比例法のメリット・デメリット

「生産高比例法」を適用する最大のメリットは「費用と収益が対応する」という点です。

例えば「定額法」は減価償却費を毎期定額で計上していきますし、「定率法」は時間の経過とともに増加する資産の維持修繕費を見越し、資産の取得直後に最も減価償却費が計上されるように計算されます。

つまり、資産を使用することにより発生する収益との対応関係については全く考慮されていないわけです。

売上高と減価償却費が対応していない

その点「生産高比例法」は、その名の通り生産高に比例して減価償却費を計上していきます。

企業会計が求める「費用と収益は同一事業年度に対応させて計上する」という原則に最も合致した償却方法であるといえます。
売上高と減価償却費が対応している

デメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  1. 適用可能な資産が限定されること
  2. 総生産高を正確に積算しなければならないこと
  3. 当該資産を使用したことで発生した生産高を毎期正確に集計しなければならないこと

収益との対応が正確である反面、管理していくのが難しい償却方法であるといえます。

生産高比例法を理解して減価償却費を正しく計上しよう

飛行機・トラックなどの運送業や鉱業においては設備投資が多額になる傾向にあります。
それだけに償却方法を一歩間違えてしまえば、実態からかけ離れたおかしな損益計算になってしまう可能性が高くなります。生産高比例法のしくみを正しく理解し、償却方法を選定する際には充分注意しましょう。

よくある質問

生産高比例法とは?

当該資産の使用度合に応じて減価償却費を計上するという観点から、按分基準に「生産高」を用いる償却方法です。

生産高比例法を用いるメリットは?

当該資産を使用することにより計上される収益と減価償却費が対応すること。

生産高比例法のデメリットは?

収益との対応が正確である反面、管理していくのが難しい償却方法であること。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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