• 更新日 : 2023年8月10日

中小企業の税制上の優遇措置

中小企業の税制上の優遇措置

中小企業は法人税の税率が大法人に比べて軽減されていることは、すでにご存じのことでしょう。これ以外にも、中小企業に対するさまざまな税制上の優遇措置があります。

この記事では、中小企業の税制上の優遇措置をご紹介します。

詳しい内容や手続きについては、中小企業庁のホームページで調べるか、関係機関や専門家に相談するなどして確認することをおすすめします。

中小企業が受けられる税制上の優遇措置

この章でご紹介する中小企業への優遇措置に該当するのは、「租税特別措置法」などにおける中小法人または中小企業者です。それぞれの特例においては対象となる法人に該当するかどうかは国税庁サイトなどでご確認ください。

法人税率の軽減

【対象となる中小企業者等】

普通法人で、かつ、期末資本金が1億円以下で次のものを除く

  • 相互会社、大法人及び大法人と支配関係にあるもの、投資法人、特定目的会社、受託法人等

参考:No.5432 措置法上の中小法人及び中小企業者|国税庁

普通法人の法人税の税率は23.2%ですが、中小法人では所得のうち年800万円以下の部分については税率が15%と軽減されています。800万円を超える部分の税率は、原則どおり23.2%です。

法人税の税率表

区分所得税率
中小法人年 800 万円以下の部分15%
年 800 万円超の部分23.2%
大法人(中小法人以外)全額23.2%

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

欠損金の繰越・繰戻

【対象となる中小法人】

欠損が生じた年度において青色申告をし、その後の各年度において連続して確定申告書を提出する中小法人

参考:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁

青色申告書を提出する法人は、原則として税務上の赤字(欠損金)を翌年度から10年間繰り越すことができます。繰り越した欠損金は将来の課税所得と相殺でき、税負担を軽減することができます。この相殺できる金額は中小法人以外においては、100分の50となっていますが、中小法人においては欠損金のすべてについて繰越控除できます。

また、前年度に法人税を支払っている場合には、欠損金を翌年度に繰り越すのではなく、前年度分の法人税から欠損金の分だけ払い戻してもらう「繰戻還付」という制度もあります。青色申告書を提出する中小法人においては繰戻還付制度が適用できますが、中小法人以外においては令和6年3月31日までは適用しないことになっています。

参考:No.5763 欠損金の繰戻しによる還付|国税庁

交際費等の損金算入の特例

【対象となる中小法人】

期末の資本金が1億円以下である等の法人

参考:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

交際費としての過剰な支出を抑えるための税制として、交際費の損金不算入制度があります。得意先などとの関係維持のための交際費のうち、法人税上、一定の割合を損金として認めないという制度です。

該当する中小法人においては、次の①と②のいずれかの金額が損金不算入となります。

  1. 交際費等のうち、飲食など要する費用の50%を超える金額
  2. 1年度あたり800万円を超える金額

中小法人以外の大法人のうち、資本金が100億円を超える法人などにおいては、交際費のすべてが損金不算入となります。

中小企業の設備投資に対する税制上の優遇措置

この章では、中小企業の設備投資に対する優遇税制についてお伝えします。設備投資を行う中小企業はこれらの税制のメリットを受けることができます。

この章でご紹介する優遇税制を適用できる事業者は、青色申告をしている中小企業者であり、他の要件があるときにはそれぞれに記載しています。

中小企業者とは、資本金(出資金)1億円以下の法人または資本金(出資金)を有しない法人のうち従業員数1,000人以下の法人で、大規模法人に経営を支配されていない法人です。
大規模法人とは、資本金(出資金)1億円超または資本金(出資金)を有しない法人のうち従業員数1,000人超の法人などです。

中小企業投資促進税制

中小企業が機械装置等に設備投資したときに、「取得価額の30%の特別償却」ができます。

また、資本金3,000万円以下の法人は「取得価額の7%の税額控除」を選択することもできます。適用のためには、令和77年3月31日までに対象となる設備を取得し、事業の用に供することです。詳細は下記を参考にしてください。

参考:財務サポート「税制」|中小企業庁中小企業税制 令和5年度版(p21参考)

中小企業経営強化税制

この税制の適用を受けるのは中小法人等で、経営向上に向けての取組である「経営力向上計画」を申請し、認定を得た者(「特定事業者等」と言います)が対象となります。

中小企業が、経営力向上計画に基づいて、機械装置等に設備投資した場合に「取得価額の100%の特別償却」ができます。

また、資本金3,000万円以下の法人は「取得価額の10%の税額控除」、資本金3,000万円超1億円以下の法人は「取得価額の7%の税額控除」を選択することもできます。適用のためには、令和7年3月31日までに対象となる設備を取得し、指定事業の用に供することです。詳細は下記を参考にしてください。

参考:経営サポート「経営強化法による支援」|中小企業庁中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き

少額減価償却資産の特例

中小企業は、取得価額が30万円未満の固定資産について、その全額を即時に経費(損金)に算入できます。ただし、経費(損金)に算入できる限度額は年間300万円です。

少額の減価償却資産の税制上の取り扱い

取得価額10万円未満20万円未満30万円未満(中小企業のみ)
経費(損金)への算入全額損金算入3年間均等償却全額経費(損金)算入
限度額合計300万円以下

参照:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

固定資産税の特例措置

中小企業が一定の要件を満たす機械装置等を新たに導入した場合は、固定資産税が3年間にわたって半額になります。対象となるのは、中小企業で先端設備等導入計画の認定を受けた者となります。適用のためには、認定経営革新等支援機関の認定を受けた一定の計画に記載された設備の取得が必要です。詳細は下記を参考にしてください。

参考:経営サポート「先端設備等導入制度による支援」|中小企業庁【中小企業等経営強化法】 先端設備等導入計画について

そのほかの税制上の優遇措置

最後に、研究開発税制と消費税の特例をご紹介します。

研究開発税制(中小企業技術基盤強化税制)

青色申告書を提出する中小法人に試験研究費がある場合、その試験研究費の額の一定割合を税額控除できる制度です。

試験研究費の平均売上高に対する割合を試験研究費割合と言い、この割合によって控除率が変わります。

この税制には適用期限の定めはありませんが、適用のためには試験研究を実施することが必要です。詳細は下記を参考にしてください。

参考:財務サポート制「税」|中小企業庁中小企業税制 令和5年度版(p33参考)

消費税の特例

消費税では、売上の少ない事業者を対象にした次のような制度があります。中小企業の事務負担が軽減されるメリットがあります。なお、ここではインボイス制度については触れていません。

■事業者免税点制度

法人の場合、前々年度における課税売上高が1,000万円以下であれば、その課税期間において行った資産の譲渡等については消費税の納税義務は免除されます。
この前々年度を基準期間と言いますが、この基準期間については次に説明する簡易課税制度の判断にも使用します。

なお、基準期間ではなく、前事業年度開始の日から6カ月を特定期間と言いますが、この特定期間の売上高が1,000万円を超えた場合には課税事業者になります。

参考:No.6501 納税義務の免除|国税庁

■簡易課税制度

基準期間(法人であれば前々年度)の課税売上が5,000万円以下の場合は、一定の要件のもとで簡易課税制度を選択することができます。簡易課税制度とは、課税売上高をもとに消費税の納付額を簡便な方法で計算することを認める制度です。

参考:No.6505 簡易課税制度|国税庁

中小企業ならではの優遇税制を利用しよう

以上、中小企業が受けられる税制上の優遇措置をご紹介しました。中小企業に向けた優遇税制を有効に活用することで節税ができ、手元に資金が残り、ひいては経営の安定につながります。

中小企業の税制は多岐にわたりますが、年度によって取り扱いも変わってきます。それぞれの税制の詳しい内容は、中小企業庁のホームページで調べるか、関係機関や専門家に相談するなどしてよく確認しましょう。確認が不十分だと、せっかくの税制上のメリットを受けられないこともあります。

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