• 作成日 : 2016年11月18日
  • 更新日 : 2020年9月17日

中小企業の税制上の優遇措置

中小企業は法人税の税率が軽減されていることは、すでにご存じのことでしょう。これ以外にも、中小企業に対するさまざまな税制上の優遇措置があります。

この記事では、中小企業の税制上の優遇措置をご紹介します。

詳しい内容や手続きについては、中小企業庁のホームページで調べるか、関係機関や専門家に相談するなどして確認することをおすすめします。

中小企業が受けられる税制上の優遇措置

中小企業に対する税制上の優遇措置は設備投資に対するものが多く、これらの優遇措置は設備投資をしない中小企業ではあまりメリットは受けられません。

一方、法人税率の軽減や欠損金の繰越・繰戻などは、あらゆる中小企業が受けられるメリットです。

この章でご紹介する「法人税率の軽減」、「欠損金の繰越・繰戻」、「交際費の損金算入の特例」が適用できる法人は、資本金(出資金)が1億円以下の中小法人です。

ただし、資本金が5億円以上の大法人に直接、間接を問わず100%支配されている子会社などは除きます。

法人税率の軽減

法人税の税率は23.2%ですが、中小法人では所得のうち年800万円以下の部分については税率が15%(平成31年3月31日までの間に開始する事業年度まで)と軽減されています。800万円を超える部分の税率は、原則どおり23.2%です。

法人税の税率表

区分所得税率
中小法人年 800 万円以下の部分15%
年 800 万円超の部分23.2%
大法人(中小法人以外)全額23.2%

(出典:中小企業税制|中小企業庁

欠損金の繰越・繰戻

青色申告書を提出する法人は、税務上の赤字(欠損金)を翌年度から10年間繰り越すことができます。繰り越した欠損金は将来の課税所得と相殺でき、税負担を軽減することができます。この相殺できる金額は課税所得の50%相当額が限度とされていますが、中小企業の場合には、課税所得の全額を相殺できることとされており優遇されています。

また、中小企業において、前年度に法人税を支払っている場合には、欠損金を翌年度に繰り越すのではなく、前年度分の法人税から欠損金の分だけ払い戻してもらうこともできます。

交際費等の損金算入の特例

法人が支出した交際費等のうち、接待飲食費の50%(限度額)を超える金額は税務上の経費(損金)に算入することができません。ただし、中小企業の場合は、「800万円までの交際費等」または「接待飲食費の50%」のどちらか有利な方を限度額として選択することができます。

中小企業の設備投資に対する税制上の優遇措置

この章では、中小企業の設備投資に対する優遇税制についてお伝えします。設備投資を行う中小企業はこれらの税制のメリットを受けることができます。

この章でご紹介する優遇税制を適用できる事業者は、青色申告をしている中小企業者です。

中小企業者とは、資本金(出資金)1億円以下の法人または資本金(出資金)を有しない法人のうち従業員数1,000人以下の法人で、大規模法人に経営を支配されていない法人です。
大規模法人とは、資本金(出資金)1億円超または資本金(出資金)を有しない法人のうち従業員数1,000人超の法人です。

中小企業投資促進税制

中小企業が機械装置等に設備投資したときに、「取得価額の30%の特別償却」ができます。

また、資本金3,000万円以下の法人は「取得価額の7%の税額控除」を選択することもできます。

対象となる設備や事業は細かく定められているので、適用を受けたい場合は確認が必要です。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制

商業・サービス業・農林水産業など指定された事業を行う中小企業が、経営改善のために器具備品、建物附属設備に設備投資した場合に、「取得価額の30%の特別償却」ができます。

また、資本金3,000万円以下の法人は「取得価額の7%の税額控除」を選択することもできます。

この税制の適用を受けるには、所定のアドバイス機関から経営改善に関する指導や助言を受ける必要があります。

中小企業経営強化税制

上記の中小企業投資促進税制と商業・サービス業・農林水産業の対象となる事業を行う中小企業が、経営力向上計画に基づいて、機械装置等に設備投資した場合に「取得価額の100%の特別償却」または「取得価額の7%の税額控除」ができます。
また、資本金3,000万円以下の法人は「取得価額の10%の税額控除」を選択することもできます。

少額減価償却資産の特例

中小企業は、取得価額が30万円未満の固定資産について、その全額を即時に経費(損金)に算入できます。ただし、経費(損金)に算入できる限度額は年間300万円です。

少額の減価償却資産の税制上の取り扱い

取得価額10 万円未満20 万円未満30 万円未満(中小企業のみ)
経費(損金)への算入全額損金算入3年間均等償却全額経費(損金)算入
限度額合計 300 万円以下

(出典:中小企業税制|中小企業庁

平成28年度税制改正により、従業員数が1,000人を超える法人については30万円未満の少額減価償却資産の特例を適用できなくなりました。

固定資産税の特例措置

中小企業が一定の要件を満たす機械装置等を新たに導入した場合は、固定資産税が3年間にわたって半額になります。なお、平成30年度税制改正において、「生産性向上の実現のための臨時措置法」の施行日から平成33年3月31日までに市町村の導入促進基本計画に基づいて一定の要件を満たす機械装置等を新たに導入した場合には、固定資産税が3年間にわたってゼロ~半額(市町村の条例によって異なります)になることが定められました。

そのほかの税制上の優遇措置

最後に、研究開発税制と消費税の特例をご紹介します。

研究開発税制

青色申告書を提出する法人の試験研究費の一定割合を税額控除できる制度です。

この制度には、試験研究費の一定割合を税額控除できる「総額型」に加えて、所定の特別試験研究費について20%または30%を税額控除できる「オープンイノベーション型」があり、さらに、一定の要件を満たせば「高水準型」として一定額を税額控除に上乗せすることができます。
「総額型」において、上述の中小企業者の場合には、通常、試験研究費の6~14%の税額控除となるところを試験研究費の12~17%として計算することができます。

消費税の特例

消費税では、売上の少ない事業者を対象にした次のような制度があります。中小企業の事務負担が軽減されるメリットがあります。

■事業者免税点制度

前々年度の課税売上が1,000万円以下であれば、消費税を納める義務が免除されます。

ただし、前々年度の課税売上が1,000万円以下であっても、前年度の前半の半年間の課税売上が1,000万円を超えたのであれば、消費税を納める義務が発生します。

簡易課税制度

前々年度の課税売上が5,000万円以下の場合は、一定の要件のもとで簡易課税制度を選択することができます。簡易課税制度とは、課税売上高をもとに消費税の納付額を簡便な方法で計算することを認める制度です。

まとめ

以上、中小企業が受けられる税制上の優遇措置をご紹介しました。中小企業に向けた優遇税制を有効に活用することで節税ができ、手元に資金が残り、ひいては経営の安定につながります。

それぞれの税制の詳しい内容は、中小企業庁のホームページで調べるか、関係機関や専門家に相談するなどして確認しましょう。確認が不十分だと、せっかくの税制上のメリットを受けられないこともあります。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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