- 更新日 : 2024年9月19日
製造業でよく使われる帳票は?種類やテンプレート、電子化のメリットを解説
帳票(帳票類)とは、お金の流れを記録する帳簿や伝票の総称です。一般的には見積書・納品書・請求書といった種類の帳票が使われていますが、業界別に特有の帳票も存在します。本記事では、製造業でよく使われる帳票を紹介します。起票する際に役立つ無料テンプレートや、電子帳票システムを導入するメリットも解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
帳票とは?
一般的に帳票とは、企業が事業を行っていく中で作成された「帳簿」や「伝票」の総称のことです。帳簿では事業取引や会社のお金の流れを記録し、伝票では企業間の取引やそれにともなうお金の動きを詳細に記録します。
帳票の役割は、会社が行う取引内容やお金の流れをチェックすることで、経営状況を把握するところにあります。公的にも効力を持つ重要な書類になるため、誤入力や正確性・整合性に気をつけて作成しなければなりません。
また、業界別で帳票は異なり、製造業の場合は製造のプロセスや生産数・不良数・設備の定期点検チェックシートといった書類も、帳票とされています。
一般的な帳票の種類
一般的に使われる帳票をピックアップし、6種類の帳票を紹介します。
見積書
見積書とは、商品・サービスの購入価格やその内訳が記載された伝票です。ものによっては送料や手数料、金額や納品日なども記載されます。
また、見積書は記載するべき内容が決まっていません。一例として、以下の項目を参考にして作成するといいでしょう。
- タイトル
- 宛先と通し番号
- 発行者の情報・社印
- 発行日と有効期限
- 納期までの平均日数
- 見積金額
- 商品の情報
- 備考欄
備考欄には、見積書に関する補足や連絡事項などを記載するといいでしょう。
注文請書
注文請書とは、注文を受注した側の企業が、発注した側の企業へ「注文を承諾したこと」を示すための書類です。取引の内容・数量・金額・納期・代金の支払い先などを記載します。
法的に作成する義務はないものの、発注した企業が内容を確認できるように発行するケースが一般的です。双方の意思確認ができるため「指定した期日までに商品が届かない」といったトラブルを回避しやすくなります。
似たような書類に「注文書」がありますが、注文書は発注した側が作成する書類です。手書きの注文書であれば、注文書と注文請書が複写になっていることもあります。
納品書・納品書控
納品書とは、商品・サービスを納品したことを証明する書類です。発行の義務はありませんが、きちんと注文通りに納品が行われたことを取引先の担当者が確認するうえで、あると便利な書類となるでしょう。
一方、納品書控とは、納品書を発行したことを証明する書類です。納品書の原本は取引先に渡すため、商品を納品した側の企業は納品書控があることで、納品内容を管理できるようになります。また、納品書に数字のミスがあった際や、取引先が納品書を紛失した際にも、納品書控があるとスムーズな対応ができるでしょう。
受領書
受領書とは、商品・サービスを受け取った側の企業が、受領したことを取引先に証明するための書類です。企業間のビジネスでは、さまざまな商品が多くの段階を経て行われるため、「この取引はどの段階まで進捗しているのか」を見える化するうえでも役立ちます。
受領書には、主に以下の項目を記載します。
- 受領日
- 発行日
- 取引先名
- 発行元の名称と住所
- 担当者印
- 受領した商品の名称・単価・数量・合計金額
受領書を発行する際は、商品を受け取ったらできるだけ早く作成して、取引先を安心させてあげるといいでしょう。
検収書
検収書とは、商品・サービスを発注した側の企業が作成する書類であり、受け取った商品の内容に不備がないかを証明するために用いられる書類です。検収書では、納品された商品に汚れや傷がないか、契約通りで問題がないかなどを確認したうえで発行します。
検収を基準に売上計上している企業の場合は、検収書は重要な書類となります。また、発注者が納品したものを検品したことを証明する書類でもあるため、トラブルやクレームを回避するうえでも作成しておくと便利でしょう。
請求書
請求書とは、商品・サービスを納品した側の企業が、その対価となる支払いを請求する際に必要な書類です。記載方法に明確な決まりはありませんが、請求内容を正しく伝えるために以下の項目を設けるといいでしょう。
- 請求書の題目
- 宛名
- 発行年月日
- 発行者の氏名または名称
- 請求金額
- 振込先
- 支払い期日
- 取引年月日
- 取引内容
取引内容では、品名・単価・数量・金額に分けて記載します。また、消費税の適格請求書として交付する場合には、その記載ルールにも注意して提出するようにしましょう。
製造業で使用される帳票の種類
業界別に帳票は異なっており、製造業にも特有の帳票があります。ここでは、8種類の帳票について詳しく解説します。
作業指示書
作業指示書とは、製造業務において、作業手順や安全事項などを現場の作業員に説明するための書類です。業界によって言い回しが異なる場合があり、製造業の場合は「製造指示書」と呼ばれることもあります。作業をするうえで必要な情報がきちんと記載されていれば、新しく入った作業員でも対応しやすく、安全で効率的な業務につなげられるでしょう。
作業指示書では、何を・いくつ・いつまでに・どこで生産するかが具体的にわかるように記載するのがポイントです。1〜2枚の文書にまとめて、誰が見ても作業できるような内容にしましょう。
作業日報
作業日報とは、作業したその日に行った作業内容を報告するための書類です。作成する作業員には、進行状況を振り返るメリットがあり、受け取る上長には現場の状況を把握できます。
また、現場に足を運べない上長にとっては、作業員とのコミュニケーションツールの役割も果たします。遅延していれば作業員の配置を変更するなど、作業上の改善ができるだけでなく、記載項目によっては、作業員の体調やメンタルをチェックすることも可能です。
出荷指示書
出荷指示書とは、受注内容を元に製品の品目・型番・単価・数量などを記載する書類です。ECサイトや電話などで受注した製品において、出荷業務を現場の倉庫等へ指示するために用いられます。出荷指示書を確認した現場は、倉庫内で製品をピッキングし、梱包と検品を行って納品までの作業を進めます。
大量の製品を扱う場合は、人為的ミスが発生するリスクもあるでしょう。製品別・納期別・顧客別などの項目ごとに分類したり、余裕を持ったスケジュール管理をしたりなど、工夫をすることも重要です。
現品票
現品票とは、納品する製品に貼り付ける伝票のことで、製品名や品番コードなどの情報を記載します。納品した側、受け取った側の双方が、正確なやり取りができているかの確認ができるのが特徴です。
現品票を用いることで、正確な個数を把握しやすくし、入出庫をスムーズにする役割があります。出荷指示書と照らし合わせれば、出荷前に品目や数量を確認できるのもメリットです。情報にアクセスしやすくするため、近年ではQRコードやバーコードを導入してペーパーレス化している企業も多いでしょう。
設備点検表
設備点検とは、作業で扱う生産設備に不良・不備がないか、正常に作動しているかを確認する業務のことです。設備点検を行った際に、検査内容を記録するための書類が設備点検表です。安全な作業をするために重要な工程であり、設備点検をして記録していくことで、故障や事故を未然に防ぐことにつながります。
設備点検表にもテンプレートはありますが、作業によって点検するべき項目が異なるため、各社で書式を作成しているケースが多いでしょう。現場では印刷された設備点検表に記載し、その後パソコンに入力して集計や分析を行います。
作業伝票
作業伝票とは、製造業において、前工程の情報を記載して次の工程の指示を出す場合に作成する書類です。作業に対してどの部品を使ったのか、作業にどれくらい時間がかかったのかなどを記録し、作業日報として扱う場合もあります。
とくに作業時間については、管理会計や労務管理に活用できるため、作成しておくと便利でしょう。
出来高報告書
出来高報告書とは、製造した製品の数量を報告し、出来高に応じた納品をするための書類です。同じ量の原材料で同じ数量の製品を作れるとは限らず、発注数と製造数でずれが生じる場合があります。
製造数が発注数より少なければ返金対応をし、逆に発注数より製造数が超過した場合は追加請求するのです。この場合に出来高報告書が必要となり、製造管理するうえで重要な役割を果たします。
製品入庫伝票
製品業における入庫とは、「在庫・資産を持つこと」を指します。入庫の中でも、工場で加工や組立といった工程を経て完成した製品に対して発行されるのが製品入庫伝票です。一度出荷し、返品されたものも入庫として処理をします。
製品入庫伝票は現場の作業員だけでなく、在庫管理担当者や出荷業務を行うドライバーなどにも共有される書類です。製造から出荷までの管理をするうえで、さまざまな部門の担当者が扱う情報となるため、正確な記入が求められます。
製造業で使用される帳票テンプレート-無料ダウンロード
マネーフォワードクラウド請求書では、税理士が監修した100種類の帳票テンプレートをご用意しています。インボイス制度対応・免税事業者向け・シンプルなどのカテゴリーから選べます。どのテンプレートも無料でダウンロードできるため、ぜひご活用ください。
また、製造業には特有の帳票がありますが、マネーフォワードクラウド請求書では「作業指示書」と「作業日報」のテンレートもご用意しています。企業や事業に合わせてフォーマットを作成する場合でも、ベースのフォーマットとして参考にしてみてください。
製造業における帳票の保存期間と管理方法
帳票には保存しておくべき期間があり、紙かデータかによって管理方法が異なります。ここでは、帳票の保存期間と管理方法について解説します。
帳票の保存期間
法人は、帳簿書類をその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から、7年間保存する必要があります。書類が電子データである場合も、同じく原則は7年間です。もし、「欠損金額が生じている」または、「青色申告書を提出しなかった事業年度で、かつ災害損失金額が生じた場合」の保存期間は10年間です。
また、紙の書類をスキャンして電子データ化した場合、元データである紙の書類も安易に破棄してはいけません。ただし、令和4年1月1日以降に行ったスキャナ保存については、定期的な検査が不要になりました。スキャナで読み取った後、折れ曲がっていないかといった同等確認を行った後であれば、元の紙の書類は即時廃棄しても問題ありません。
帳票の管理方法
帳票の管理は、紙で保存するか、電子データ化して保存するかの2通りの方法があります。デジタル化が進む中ではあるものの、帳票の原則の保存媒体は紙です。パソコンで作成した書類であっても、印刷して紙としてファイリングする必要があります。ただし、パソコンで作成して相手にデータで送った書類は、電子データのまま保存をしてください。
一方、電子帳簿保存法により、国税関係帳簿書類を電子データとして保存することが認められています。ただし、一部手書きの記録があるケースでは、電子保存が認められません。また、電子帳簿保存には以下のような保存要件を満たしている必要もあります。
- 見読可能措置の備付け
- システムの操作説明書や手順書の用意
- 税務職員の求めに応じて、保存データをダウンロードできる
製造業で帳票を電子化するメリット
これまで帳票は紙が主流でしたが、さまざまな分野で電子化が進む中で、帳票もデータで扱われるケースが増えてきました。ここでは、帳票を電子化する6つのメリットを紹介します。
ペーパーレス化による紙資源の節約
帳票を電子化することで、コピー用紙のような紙資源を使う機会が減ります。紙を入手するにはもちろんコストがかかるため、ペーパーレス化すれば、その分コストカットできるのです。
また、書類が多すぎると貸倉庫やコンテナ、書類保管サービスといった利用料を負担しないといけない場合や、限られた会社のスペースを圧迫することになります。ペーパーレス化をすると、無駄な利用料のコストカットやスペースの確保もできるようになるでしょう。
データの一元管理・有効活用が可能
電子データはシステム上で管理するため、一元管理が可能です。紙の書類のように保存場所まで足を運ぶ必要がなく、部署間や支店間のデータのやり取りもスムーズになるでしょう。
また、電子データは検索性も高いです。紙の書類は量が増えるほどファイリングに工夫が必要となり、古い帳票を探し出すには時間がかかることもあります。その点、電子データはキーワードやジャンルなどの条件によって検索することもでき、必要な情報を効率よく見つけられます。
情報共有が迅速化
紙の書類は原則一つしかないため、情報共有するには現物を順番に回すしかありません。取引先に情報共有する場合では、郵送の手続きによって手間と時間もかかってしまいます。
一方、電子データは複数人が同時に同じ書類を閲覧できるため、情報共有が迅速化できます。ネット環境さえ整っていれば、いつどこにいても複数の関係者へ共有することが可能です。ただし、サーバーに障害が発生してデータにアクセスできないリスクもあります。重要な書類は、紙の書類でも情報共有できる体制を整えておくなど、慎重に取り扱うといいでしょう。
手作業によるミスの削減
帳票を電子化すると手作業が減るため、ヒューマンエラーの削減につながります。とくに経理業務におけるミスは大きなトラブルにつながりやすいため、手作業が減ることで経理担当者の精神的負担も軽減できるでしょう。
経費精算システムを導入する必要もあり、一時的には手間がかかりますが、システムと電子データを掛け合わせることで効率的な作業も可能にします。長い目で見たときには、紙の書類で手作業が多い状態よりもミスを削減しやすいでしょう。
業務スピードの向上
紙で書類を保存する場合、書類をファイリングしたり、手作業で項目ごとにタグ付けしたりなどの手間がかかります。電子化することでこれらの作業が不要になり、業務効率は向上するでしょう。
電子データの保存システムと、経費精算システムを連携できるようにすれば、リモートで書類の作成をすることも可能です。リモートワークに対応できることで、経理業務も大きく効率化できるでしょう。
セキュリティの強化
電子化によって、セキュリティ体制も強化されます。紙の書類は人の目に触れやすく、重要な書類で閲覧を制限する場合は、キャビネットに鍵をかけるといった手間がかかってしまいます。電子データをクラウド上で保存すれば、閲覧制限を設けるだけで閲覧者を限定でき、物理的な手間もかかりません。
また、紙の書類だと盗難や紛失、災害等による滅失といったリスクもあります。電子データはバックアップをとっておけば、万が一削除などしてしまった際でも、情報を守れるでしょう。
製造業向け電子帳票システム導入のチェックポイント
電子帳票システムとは、帳票を電子化して一元管理するためのシステムです。以下では、電子帳票システムを導入する際にチェックするべき3つのポイントを解説します。
電子帳簿保存法に対応しているか?
電子帳簿保存法とは、一定の要件を満たしたうえで、帳簿書類を電子データとして保存することを認める法律です。令和3年度税制改正により2022年1月1日から施行され、2年間の宥恕期間を経て2024年1月1日以降は、すべての企業と個人事業主において、電子データで作成または受領した帳簿が、電子データとしての保存が必要になりました。
電子帳簿保存法に対応したシステムを導入しない場合は、以下の罰則を受ける可能性があるため注意しましょう。
- 青色申告の取り消し
- 100万円以下の罰金
既存システムと連携可能か?
既存システムと連携ができるかどうかも、重要なチェックポイントです。連携できない場合は、それぞれのシステムやソフトに対して、個別にデータを入力する手間がかかります。「API連携機能」が備わった電子帳票システムであれば、すでに使っている別のシステムとの連携が可能です。
連携できる場合、一度入力すれば自動でデータを取得できたり、帳票作成の際には必要なワークフローや請求書と紐付けたりすることも可能です。別システムを起動してそれぞれ対応するよりも、効率的な作業が行えるようになるでしょう。
帳票のカスタマイズが可能か?
帳票は、企業の成長や規模に合わせて扱うデータが変化していきます。電子帳票システムも企業の変化に合わせてカスタマイズできないと、帳票処理がスムーズに進まなくなってしまいます。とくにこれから事業成長を見込んでいる企業や、スタートアップ企業であれば、規模拡大に対応できるようなカスタマイズ性の高い電子帳票システムが必要です。
また、海外製のシステムの場合は海外仕様になっていることもあります。日本語に対応できるか、日本の法律に適応できるかといったカスタマイズ性にも注目して選びましょう。
製造業では作業指示書などの帳票も活用してみよう
製造業では、以下の帳票がよく使われます。
- 作業指示書
- 作業日報
- 出荷指示書
- 現品票
- 設備点検表
- 作業伝票
- 出来高報告書
- 製品入庫伝票
一般的な事務作業で用いられる見積書や請求書に加えて、上記8種類の帳票も活用すると、経理業務をスムーズに行えるようになるでしょう。
また、帳票は電子化することで、紙資源の節約やデータの一元管理ができるようになるといったメリットがあります。電子帳票システムを導入し、経理業務もコスト削減や業務効率化を進めることを検討してみましょう。
マネーフォワードクラウド請求書では、無料の帳票テンプレートをご用意しています。ぜひ以下からダウンロードして、業務にお役立てください。
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