• 作成日 : 2022年9月16日

外壁塗装の仕訳に使える勘定科目と減価償却まとめ

外壁塗装の仕訳に使える勘定科目と減価償却まとめ

建物の外壁の劣化や建物の改装などで外壁塗装を施すこともあります。外壁塗装は必要経費として費用に計上できるのではと思われるかもしれませんが、資本的支出として資産計上や減価償却が必要になるケースもありますので注意が必要です。この記事では、外壁塗装で使用する勘定科目や関連する仕訳について解説していきます。

広告
広告

外壁塗装の仕訳に使える勘定科目

外装塗装は、必要経費(費用)か、資本的支出になるかで勘定科目が異なります。それぞれのケースについては具体例を用いながら後述しますが、必要経費になるのはひび割れや色落ちなどで劣化した外壁塗装の原状回復などを行う場合です。経費として扱う場合は、「修繕費」の勘定科目を用いて仕訳をします。

外壁塗装が資本的支出とみなされるのは、資産そのものの価値を高めた場合です。外壁塗装は建物の外壁に施すケースが一般的と思われますので、このケースでは「建物」の勘定科目を用いて仕訳をします。

広告

外壁塗装を修繕費で仕訳する

外壁塗装が費用(修繕費)になるのは、原状回復や維持・管理のために外壁塗装を行った場合で、かつ通常のメンテナンスの範囲と認められる場合です。具体的には、劣化した塗装面のひび割れや剥がれ、色落ちを回復するための外壁塗装などがこれにあたります。

全額を修繕費で会計処理する場合は、資産計上を行わないため、その後の減価償却の処理は必要ありません。次のように仕訳を行います。

(仕訳例)自社の事務所の外壁がひび割れや色落ちなどでひどく劣化してきたため、外壁塗装を施した。外壁塗装にかかった費用は50万円で小切手を振り出して支払った。なお、外壁塗装は原状回復を目的としたもので、通常要するメンテナンスの範囲内と認められる。

借方
貸方
修繕費500,000円当座預金500,000円

(適用欄記載例)ひび割れや色落ちを修繕する原状回復目的の外壁塗装

外壁塗装を建物(資本的支出)で仕訳する

外壁塗装を建物(資本的支出)で仕訳するのは、外壁塗装が建物自体の価値を高めたり、建物の耐久性を向上させたりしたような場合です。具体的には、耐久性の高い塗料を使って建物を補強したり、より良い塗料などを使用して建物の外観をより良いデザインに変更したりするようなケースが該当します。

最終的な判断は建物に新たな価値を加えたかどうかで判断するのがポイントです。このケースでいうと、中古の建物を取得して、外壁をきれいに塗装してデザインを一新するようなケースも該当するものと考えられます。

ただし、資本的支出に該当するような内容であっても、ひとつの修理や改良の額が20万円未満である場合、あるいはおおむね3年以内の周期で行われる修理や改良の場合は、全額を修繕費にすることが可能です。少額の外壁塗装や頻繁に修理や改良が必要な場合は、資産に計上しなくても済みます。

また、修繕費と資本的支出が明確に区分できないときは、次の基準で区分することとなっています。

1)支出額が60万円未満、または支出額が前年度終了時におけるその固定資産の取得価格のおおむね10%以下であるとき
→全額を修繕費にできる

2)継続して支出額の30%相当または前年度終了時におけるその固定資産の取得価格の10%相当のいずれか少ない額を修繕費とするとき
→残額を資本的支出とする

具体例を用いて資本的支出の仕訳例を見ていきましょう。

(仕訳例)自社ビルのデザインを一新するために外壁塗装を行った。外壁塗装にかかった費用は150万円で小切手を振り出して支払った。全額が資本的支出に該当する外壁塗装である。

借方
貸方
建物1,500,000円当座預金1,500,000円

(適用欄記載例)自社ビルデザイン一新のための外壁塗装

外壁塗装の減価償却

外壁塗装が資本的支出に該当するときは、外壁塗装のために支出した額を資産計上することになりますので、外壁塗装を行った事業年度以降、減価償却が必要です。ここでは、外壁塗装の減価償却について解説していきます。

減価償却とは

固定資産のうち、時の経過とともに価値が減少していく資産を減価償却資産といいます。このような減価償却資産は、帳簿上にも資産価値を適切に反映させる必要がありますので、時の経過とともに資産価値を減少させる処理を行わなくてはなりません。資産価値を減少させると同時に、減少分を費用に計上する会計処理を減価償却といいます。

所有している資産の減価償却は毎期末に行うのが原則で、「減価償却費(費用の科目)」の勘定科目を用いて会計処理を行います。減価償却の方法には2通りあり、固定資産の価値を直接減額する方法(直接法)と、減価償却累計額に計上して間接的に減額する方法(間接法)があります。

減価償却について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

外壁塗装の減価償却の耐用年数

外壁塗装が資本的支出に該当する場合、減価償却に必要な耐用年数は、物件本体の種類と耐用年数を同じくする固定資産を新たに取得したものとして考え適用します。そのため、物件本体と同じ耐用年数を適用することになります。

物件本体の耐用年数とは、法定耐用年数、中古物件の場合はその物件の使用可能期間として見積もった年数のことです。ただし、中古物件を購入した場合であっても、中古物件の取得後にその物件の再取得価額(同等の資産を新品で取得した場合の価額)の50%相当額を超える資本的支出を行った場合には、税法上は新品の資産を取得したものとして扱うことになります。このケースでは、中古物件の耐用年数が法定耐用年数となるため、資本的支出についても法定耐用年数を適用することになります。償却方法は、物件本体の償却方法と同様です。

以下の表は建物の法定耐用年数を一部抜粋したものになります。

【建物の法定耐用年数(一部抜粋)】

構造・用途細目耐用年数
木造・合成樹脂造事務所用24年
店舗用・住宅用22年
飲食店用20年
鉄骨鉄筋コンクリート造・事務所用50年
鉄筋コンクリート造住宅用47年
店舗用・病院用39年
金属造事務所用(骨格材の肉厚が4mm超)38年
事務所用(骨格材の肉厚が3mm超4mm以下)30年
事務所用(骨格材の肉厚が3mm以下)22年

参考:「耐用年数(建物/建物附属設備)|国税庁」をもとに作成

外壁塗装の減価償却計算

建物の外壁塗装を行う場合、2007年4月1日以後取得の建物の減価償却方法は定額法となるため、定額法償却率を用いて減価償却の計算を行います。

(例)当期8月1日に100万円をかけて木造事務所の外壁塗装を行った。デザインを一新するために行った塗装で、全額が資本的支出に該当するものとする。
(※事業年度は4月1日から翌年3月31日の1年)

1)外壁塗装を行った事業年度の減価償却費の計算
1,000,000×0.042×8/12=28,000円

借方
貸方
減価償却費28,000円減価償却累計額28,000円

※減価償却は間接法で仕訳しています。

2)翌年以降の減価償却費の計算
1,000,000×0.042=42,000円

借方
貸方
減価償却費42,000円減価償却費42,000円

※減価償却は間接法で仕訳しています。

※減価償却の定額法は、毎年一定の額を減価償却する方法のこと。減価償却の間接法は、建物などの資産科目から直接的に減価償却費を控除するのではなく、減価償却累計額という科目に減価償却費を累積させて、間接的に資産から減価償却費の累計額を控除する方法のことをいいます。

【2007年4月1日以後取得の資産の定額法償却率(一部抜粋)】

耐用年数
定額法償却率
20年0.05
22年0.046
24年0.042
30年0.034
38年0.027
39年0.026
47年0.022
50年0.02

参考:「減価償却資産の償却率等表|国税庁」をもとに作成

どのような外壁塗装をするかで費用か資産か処理が分かれる

外壁塗装は、原状回復のための通常必要なものか、資産価値や耐久を高めるためのものか、どのような塗装を施すかで、費用と資産に会計処理が分かれます。資本的支出(資産計上)に分類される場合は、毎期末に減価償却が必要です。資本的支出の場合、原則的には、外壁塗装を施す資産の残存耐用年数ではなく、新たに取得したものとして耐用年数が適用されますので注意しましょう。

広告

バックオフィス効率化で経理業務をラクにするなら

広告
株式会社久松農園 久松 達央 様

マネーフォワード クラウド会計の導入事例

金融口座の取引明細データが自動で取り込まれ、各取引の勘定科目も自動で仕訳される。以前はインストール型ソフトを利用していたので、それがクラウドに変わるとこれほど自動化されるものなのかと本当に驚きました。

株式会社久松農園 久松 達央 様

右矢印アイコン もっと読む

よくある質問

外壁塗装は経費にできる?

外壁塗装が原状回復などのために行われる通常必要なものである場合には、必要経費として認められ「修繕費」に計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。

外壁塗装の減価償却のポイントは?

資本的支出に区分される外壁塗装は、もとの資産(建物)の耐用年数に従って減価償却を行います。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:萱谷 有香(叶税理士法人 東京事務所代表)

叶税理士法人 東京事務所代表
不動産専門の税理士。

不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら収益物件について税務と投資面で多くの知識を得られたことを活かし
自らも不動産投資を手掛ける。
大手管理会社、ハウスメーカーや賃貸フェアなどで講演実績があり、記事執筆も行う。
不動産投資の規模を拡大していくために、なくてはならない金融機関からの融資についても積極的に紹介やアドバイスを行う。
金融機関から融資を引きやすい、または金利交渉しやすい決算書の作成を得意とする。
物件購入前、物件保有中、物件売却時、相続時、どの時点で相談を受けても必ず投資家にプラスになるアドバイスを心掛けている。
著書に『減価償却節税バイブル』( 技術評論社)がある。

関連記事