- 更新日 : 2026年7月24日
外壁塗装の勘定科目は?修繕費と資本的支出の判定と仕訳例
原状回復目的なら修繕費、価値向上目的なら建物(資本的支出)で仕訳します。
- 原状回復のひび割れ補修は修繕費に計上する
- デザイン変更や耐久性向上は建物に資産計上する
- 資本的支出は耐用年数に応じて減価償却する
判断が分かれる支出は20万円・60万円などの金額基準で振り分けます。
建物の外壁塗装は、目的によって費用処理になるか資産計上になるかが分かれます。劣化の補修なら「修繕費」、資産価値を高める工事なら「建物」として資本的支出に該当し、減価償却が必要です。本記事では、外壁塗装で使う勘定科目と仕訳例、判定基準、減価償却の計算方法までまとめて解説します。
目次
外壁塗装で使う勘定科目は何か
外壁塗装に使われる勘定科目は、収益的支出か資本的支出かによって異なります。原状回復であれば「修繕費」、資産価値を高めるなら「建物」または「建物附属設備」、そして資本的支出に該当した場合の減価償却処理には「減価償却費」を使います。
それぞれの勘定科目の意味は次のとおりです。
| 勘定科目 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| 修繕費 | 建物の維持管理や、購入時の状態に戻すための原状回復にかかった費用(収益的支出) | ひび割れ(クラック)の補修、雨漏りの修繕、剥がれ落ちた部分の補修、従来と同じグレードの塗料での塗り替えなど |
| 建物 | 建物の資産価値を高めたり、耐久性を向上(耐用年数を延長)させたりした費用(資本的支出) | 従来より高耐久な塗料(フッ素・無機塗料など)への塗り替え、新たな防水・遮熱・断熱機能の追加工事、外壁材のグレードアップなど |
| 減価償却費 | 資本的支出として「資産」に計上した金額を、耐用年数に応じて毎年の費用として配分・計上する際の科目 | 資産計上した外壁塗装費用(例:200万円)を、建物の法定耐用年数に分けて、毎年決まった額を費用として処理すること |
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外壁塗装が修繕費になるケースと仕訳例
外壁塗装が修繕費になるのは、原状回復や維持・管理のために行い、通常のメンテナンスの範囲と認められる場合です。修繕費として処理する場合は資産計上を行わないため、減価償却の手続きも不要です。
修繕費として認められる例には次のようなものがあります。
- ひび割れや剥がれ、色落ちといった経年劣化を補修するための塗装
- 雨水の侵入を防ぐ目的で行う塗装
- 災害によって破損した部位の原状回復
【仕訳例】自社の事務所の外壁がひび割れや色落ちで劣化したため、外壁塗装を施した。費用は50万円で小切手を振り出して支払った。原状回復目的のメンテナンスの範囲内である。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 修繕費 | 500,000円 | 当座預金 | 500,000円 |
(適用欄の記載例)ひび割れや色落ちを修繕する原状回復目的の外壁塗装
外壁塗装が建物(資本的支出)になるケースと仕訳例
外壁塗装が資本的支出に該当するのは、建物の価値を高めたり、耐久性を向上させたりするような場合です。建物に新たな価値を加えたかどうかで判断するのが基本となります。
資本的支出に該当する例には次のようなケースがあります。
- 耐久性の高い塗料を使って建物を補強する塗装
- デザインを一新する目的で行う全面塗装
- 遮熱塗料・断熱塗料・光触媒塗料など、機能性の高い塗料への変更
【仕訳例①】自社ビルのデザインを一新するために外壁塗装を行った。費用は150万円で小切手を振り出して支払った。全額が資本的支出に該当する。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 建物 | 1,500,000円 | 当座預金 | 1,500,000円 |
(適用欄記載例)自社ビルデザイン一新のための外壁塗装
【仕訳例②】資本的支出に該当する内容でも、ひとつの修理や改良の額が20万円未満であれば修繕費として処理できます。自社ビルの一部について、耐久性の高い塗料で外壁塗装を行い、費用15万円を当座預金から支払った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 修繕費 | 150,000円 | 当座預金 | 150,000円 |
修繕費と資本的支出の判定基準
外壁塗装が修繕費か資本的支出かは、金額や周期、性質に応じた基準で判定します。資本的支出に該当する内容でも、一定の条件を満たせば修繕費として計上することが認められています。
20万円未満または3年周期の修理は修繕費にできる
資本的支出に該当する内容でも、一回の修理・改良の額が20万円未満、またはおおむね3年以内の周期で行われる修理であれば、全額を修繕費として計上できます。
少額の外壁塗装や、定期的に繰り返される塗装メンテナンスについては、資産に計上せず費用として処理できる扱いとなっています。塗料の塗り直しのように比較的頻繁に行う支出は、この基準で判断する場面が多くなります。
区分が明確でない場合は60万円・10%基準で判断する
修繕費と資本的支出の区分が明らかでない場合は、金額基準で修繕費として扱えるケースがあります。
判定が分かれる支出を整理するためのルールとして、次のような基準が設けられています。
| 適用対象 | 修繕費にできる条件 |
|---|---|
| 個人事業主・法人 | 支出額が60万円未満である場合 |
| 個人事業主・法人 | 支出額が、前年度終了時におけるその固定資産の取得価額のおおむね10%相当額以下である場合 |
| 法人のみ | 継続適用を条件に、支出額の30%相当額と固定資産の前期末取得価額の10%相当額のいずれか少ない額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理を行っている場合 |
3つ目の基準は法人税基本通達7-8-5で定められており、法人が継続適用を前提とする場合にのみ認められる扱いです。
外壁塗装が資本的支出になった場合の減価償却
資本的支出に該当した場合は、外壁塗装の費用をいったん資産に計上し、原則として工事が完了し、事業の用に供した事業年度から減価償却を行います。耐用年数や計算方法は、対象となる建物の区分や取得時期によって決まります。
参照:No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)|国税庁
減価償却とは
固定資産のうち、時の経過とともに価値が減少していく資産を減価償却資産といいます。
減価償却資産は、帳簿上でも資産価値を適切に反映させる必要があるため、時間の経過に応じて資産価値を減らす処理を行います。この処理を減価償却と呼び、毎期末に「減価償却費」の勘定科目で会計処理を行うのが原則です。
減価償却の方法には次の2通りがあります。
- 直接法:固定資産の価値を帳簿から直接減額する方法
- 間接法:減価償却累計額に計上し、間接的に減額する方法
建物の耐用年数(一部抜粋)
外壁塗装が資本的支出に該当する場合、対象の建物本体と同じ耐用年数を適用します。
建物本体の耐用年数とは、税法で定められた法定耐用年数のことです。中古物件の場合は、その物件の使用可能期間として見積もった年数を使うのが原則です。建物の主な耐用年数は次のとおりです。
| 構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 事務所用 | 24年 |
| 店舗用・住宅用 | 22年 | |
| 飲食店用 | 20年 | |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 事務所用 | 50年 |
| 住宅用 | 47年 | |
| 店舗用・病院用 | 39年 | |
| 金属造 | 事務所用(骨格材の肉厚4mm超) | 38年 |
| 事務所用(骨格材の肉厚3mm超4mm以下) | 30年 | |
| 事務所用(骨格材の肉厚3mm以下) | 22年 |
中古物件の取得後に行う資本的支出の特例
中古物件を取得した直後に、再取得価額の50%を超える資本的支出を行った場合は、新品扱いとなり法定耐用年数で減価償却します。
中古物件を取得した場合、通常は使用可能期間を見積もって耐用年数とし、簡便法で短縮計算する方法も認められています。ただし、取得直後に行う資本的支出が、その物件と同じ新品を取得した場合の価額(再取得価額)の50%を超えるときは、簡便法による短縮は使えません。法定耐用年数を適用して減価償却することになり、外壁塗装による資本的支出も同じ耐用年数で扱います。償却方法は、物件本体と同じ方法を用います。
年の途中で取得した場合は月割で計算する
2007年4月1日以後に取得した建物は定額法で減価償却し、年の途中で取得した場合は使用月数で月割計算します。
実際の計算例で流れを確認します。
(例)当期8月1日に100万円をかけて木造事務所の外壁塗装を行った。デザイン一新のための塗装で、全額が資本的支出に該当する。事業年度は4月1日から翌年3月31日までの1年間。
■ 外壁塗装を行った事業年度の減価償却費
1,000,000円 × 0.042 × 8/12 = 28,000円
■ 翌年以降の減価償却費
1,000,000円 × 0.042 = 42,000円
仕訳は次のとおりです(間接法)。
【外壁塗装を行った事業年度】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 28,000円 | 減価償却累計額 | 28,000円 |
【翌事業年度以降】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 42,000円 | 減価償却累計額 | 42,000円 |
外壁塗装の仕訳・勘定科目で迷ったときは
外壁塗装の勘定科目を判定する場面では、原状回復か価値向上かの線引きが経理担当者にとって悩ましいポイントになります。判断を誤ると、後の税務調査で否認されるおそれもあるため、慎重な検討が求められます。
勘定科目の判定は仕訳作業のボトルネック
株式会社マネーフォワードでは、仕訳業務の実態について独自の調査を実施しました。仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業を尋ねたところ、最も工数がかかっているのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。外壁塗装のように判断が複雑になり得るケースは、日々の仕訳業務の負担を増大させる要因の一つであることがわかります。
外壁塗装の仕訳において修繕費と資本的支出の区分が明確でない場合は、支出額の基準などを用いて慎重に判断する必要があります。自己判断が難しい場合は、税理士等の専門家に相談したり、過去のデータから勘定科目を自動推測する会計システムを活用したりすることで、判定にかかる業務負担を軽減できます。
出典:マネーフォワードクラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者707名、集計期間:2026年3月実施)
外壁塗装の勘定科目は工事の目的で決まる
外壁塗装の勘定科目は、原状回復のためか、資産価値や耐久性を高めるためかという工事目的で判断します。原状回復目的なら修繕費として全額を一括で経費にでき、価値向上目的なら建物に資産計上のうえ減価償却を行います。
判断に迷う場面でも、20万円未満や60万円未満、取得価額の10%以下といった国税庁の基準を活用すれば、修繕費として処理できる余地があります。日々の仕訳業務では、外壁塗装のように判定が複雑になりやすい支出を整理しやすくする仕組み作りも有効です。
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外壁塗装は経費にできる?
外壁塗装が原状回復などのために行われる通常必要なものである場合には、必要経費として認められ「修繕費」に計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。
外壁塗装の減価償却のポイントは?
資本的支出に区分される外壁塗装は、もとの資産(建物)の耐用年数に従って減価償却を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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