- 更新日 : 2026年7月23日
納税証明書の勘定科目は?仕訳例や発行手数料も解説!
納税証明書の発行手数料は「租税公課」で経費に計上でき、消費税は非課税仕入として扱います。融資申込みや入札参加で提出を求められる書類ですが、経理処理上は行政手数料としての特有の取り扱いがあります。本記事では勘定科目の選び方、支払方法別の仕訳例、消費税の扱いまで、経理担当者がつまずきやすいポイントをわかりやすく解説します。
目次
納税証明書の勘定科目は?
納税証明書の発行手数料は、一般的に「租税公課」で経費計上します。手数料全般に使う「支払手数料」で処理することも可能ですが、消費税区分の設定に留意が必要です。
「租税公課」で処理するのが一般的
納税証明書の発行手数料は、勘定科目「租税公課」で経費に計上します。「租税公課」は、国や地方公共団体に納める「租税」と、公共機関に支払う手数料・会費などの「公課」をまとめて処理する勘定科目です。納税証明書の発行手数料は国や地方公共団体に支払う行政手数料にあたるため、租税公課で処理するのが一般的とされています。
「支払手数料」を使う場合の注意点
「支払手数料」で処理する場合は、消費税区分を「非課税仕入」に設定する必要があります。「支払手数料」は商品・サービスに付随する手数料や、税理士・司法書士など専門家への報酬に用いる勘定科目です。会計ソフトでは支払手数料の標準設定が「課税仕入」になっていることが多く、納税証明書の発行手数料を処理する際に税区分を変更し忘れると、消費税の計算に誤差が生じます。
勘定科目に法的なルールはなく、租税公課・支払手数料のどちらでも問題はありません。ただし会計ソフトの自動仕訳設定や継続性の観点から、租税公課で統一しておくとミスを抑えやすくなります。
消費税は「非課税仕入」で登録する
納税証明書の発行手数料は、消費税法上の非課税取引にあたります。国や地方公共団体が法令に基づいて徴収する行政手数料は、消費税法上、非課税取引に指定されています。 会計ソフトに入力する際は、消費税区分を「非課税仕入」で登録しましょう。「不課税」や「対象外」で登録しても税務申告上の致命的な誤りにはなりにくいですが、処理の正確性の観点から「非課税仕入」が適切です。
参照:第5節 国等の手数料、国際郵便為替及び外国為替業務等関係|国税庁
一度決めた勘定科目は継続して使用する
選んだ勘定科目は、毎期継続して使うのが原則です。企業会計には「継続性の原則」があり、いったん採用した処理方法は正当な理由なく変更しないことが求められます。納税証明書の発行手数料を「租税公課」で処理すると決めたら、翌期以降も同じ勘定科目で記録しましょう。期によって科目を変えると、費用の比較や経営判断がしにくくなる傾向があります。
印鑑証明書や住民票なども同じ勘定科目で処理できる
登記事項証明書・印鑑証明書・住民票なども、納税証明書と同じ「租税公課」で仕訳できます。これらはいずれも国や地方公共団体に支払う行政手数料であり、消費税の扱いも同様に非課税です。経理処理上、まとめて「公的書類の発行手数料は租税公課・非課税仕入」と覚えておくと判断に迷いにくくなります。
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納税証明書の発行手数料の仕訳例は?
支払方法によって貸方の勘定科目が変わります。窓口での現金払い、e-Taxでのオンライン決済、郵送申請時の収入印紙、個人事業主の個人資金からの立替えの4パターンを紹介します。
税務署の窓口で現金支払いした場合
窓口で書面の納税証明書を1枚400円で取得し、現金で支払った場合は、借方に「租税公課」、貸方に「現金」を計上します。書面で請求する場合の手数料は1枚あたり400円です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 400円 | 現金 | 400円 |
e-Taxで申請しオンライン決済した場合
e-Taxでオンライン申請し、インターネットバンキング等で決済した場合は、貸方を「普通預金」とします。電子納税証明書の交付手数料は、種類によって計算式が異なります。基本単価は370円で、たとえば「未納の税額がないことの証明(その3)」は370円、「税額の証明(その1)」は税目数×年度数×370円となります。書面より単価が低く設定されているのが特徴です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 370円 | 普通預金 | 370円 |
参照:電子納税証明書の交付手数料はいくらでしょうか。|e-Tax
郵送で申請し収入印紙で支払った場合
郵送で交付請求し、手数料を収入印紙で納めた場合は、収入印紙代を「租税公課」、切手代を「通信費」で分けて計上します。郵送申請では、書面1枚あたり400円の収入印紙に加え、送料と返信用封筒の切手代が必要です。送料・返信用切手は事業の郵送費用にあたるため、通信費で処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 400円 | 現金 | 600円 |
| 通信費 | 200円 |
※ 金額は一例です。送料・切手代は実額に置き換えてください。
個人事業主が個人資金から支払った場合
個人事業主が事業用の納税証明書を個人資金で取得した場合は、貸方を「事業主借」で処理します。事業主借は、事業主が個人の資金で事業の支出を立て替えた際に使う勘定科目です。後日精算した場合の取り扱いも同様で、現金や預金を貸方に置き換えるだけで対応できます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 400円 | 事業主借 | 400円 |
納税証明書にはどんな種類がある?
納税証明書は、国税のものと地方税のものに大別されます。提出先によって必要な種類が異なるため、申請前に確認しておくと取り直しの手間を防ぎやすくなります。
国税の納税証明書は6種類
税務署が発行する国税の納税証明書には、6つの種類があります。金融機関や官公庁から提出を求められた際は、どの種類が必要かをあらかじめ確認しましょう。
| 種類 | 証明内容 |
|---|---|
| その1 | 納付すべき税額・納付した税額・未納税額の証明 |
| その2 | 申告所得税及復興特別所得税、または法人税の所得金額の証明 |
| その3 | 未納の税額がないことの証明 |
| その3の2 | 申告所得税及復興特別所得税と消費税及地方消費税に未納の税額がないことの証明(個人用) |
| その3の3 | 法人税と消費税及地方消費税に未納の税額がないことの証明(法人用) |
| その4 | 証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないことの証明 |
地方税の納税証明書
地方税の納税証明書は、税目によって発行機関が異なります。事業税は都道府県、固定資産税や軽自動車税は市区町村が発行元となります。証明できる内容や手数料は自治体ごとに違いがあるため、管轄の窓口で事前に確認するのが確実です。
納税証明書はどこで取得する?
国税は所轄の税務署、地方税は都道府県税事務所や市区町村役場で取得します。税目を取り違えると窓口に出向き直すことになるため、必要な税目を確認してから動きましょう。
国税は所轄の税務署で取得する
法人税・申告所得税・消費税などの国税の納税証明書は、納税地を所轄する税務署で取得できます。法人の場合は本店所在地、個人の場合は住所地を管轄する税務署が窓口です。所轄税務署は国税庁のWebサイトで確認できます。
地方税は都道府県税事務所・市区町村役場で取得する
事業税は都道府県税事務所、固定資産税や軽自動車税は市区町村役場で取得します。税目別の取得先を表にまとめると、次のとおりです。
| 税目 | 区分 | 取得先 |
|---|---|---|
| 法人税・所得税・消費税 | 国税 | 所轄税務署 |
| 事業税 | 都道府県税 | 都道府県税事務所 |
| 固定資産税・軽自動車税 | 市区町村税 | 市区町村役場 |
| 住民税 | 市区町村税 | 市区町村役場 |
納税証明書の取得方法は?
国税の納税証明書は、オンライン・窓口・郵送の3つの方法で請求できます。状況に応じて使い分けると、待ち時間や手間を抑えやすくなります。
オンラインで申請する(e-Tax)
e-Taxを利用すると、自宅やオフィスから24時間いつでも納税証明書を請求できます。オンライン申請には電子証明書(マイナンバーカードなど)の事前準備が必要です。電子納税証明書として受け取れば外出せずに完結し、書面より単価も低く設定されています。窓口で受け取る場合は申請のみオンラインで済ませる方法もあり、待ち時間を短縮できます。
税務署の窓口で申請する
電子証明書がなく、即日受け取りたい場合は税務署の窓口での申請が便利です。本人確認書類と印鑑を持参すれば、その場で書面の納税証明書を発行してもらえます。混雑時は待ち時間が長くなる傾向があるため、税務署の開庁時間(平日8時30分〜17時)の早い時間帯に出向くと安心です。
郵送で申請する
税務署に出向くのが難しい場合は、郵送で申請できます。郵送申請の際は、交付請求書・本人確認書類のコピー・手数料相当の収入印紙・返信用封筒(切手貼付済み)を同封して、納税地を所轄する税務署へ送ります。手元に届くまで日数を要するため、提出期限に余裕をもって申し込みましょう。
納税証明書を経費にする際の注意点は?
事業に関連する取得であれば経費に算入できますが、目的によっては経費計上が認められないケースもあります。仕訳の際は、後から見返したときに用途がわかるよう摘要欄を活用しておくのも有効です。
私的に取得した場合は経費にできない
個人的な手続きで取得した納税証明書は、経費に計上できません。経費計上が認められるのは、融資申込み・入札参加・許認可申請など、事業に関係する目的で取得した場合に限られます。個人事業主が個人的な用途のために発行手数料を事業用口座から支払ったときは、「事業主貸」で処理しましょう。
摘要欄に取引内容を残す
租税公課は印紙税・固定資産税・自動車税など幅広い費用で使用するため、摘要欄に内容を残しておくと後から把握しやすくなります。「○月○日 法人税納税証明書(その3)取得 ○○銀行融資申込用」のように、日付・書類名・取得目的を簡潔に記録しておくとよいでしょう。会計ソフトによっては摘要欄での検索や絞り込みもできるため、決算時の確認作業の負担を軽減できます。
日々の経理業務を悩ませる勘定科目の判定
納税証明書の発行手数料は「租税公課」として処理しますが、日々の経理業務において、どの勘定科目を使うべきか迷う場面は少なくありません。
マネーフォワードが実施した調査で、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業を尋ねたところ、最も工数がかかっているのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」が34.5%となっており、仕訳時の人的な判断や目視での確認作業が、経理担当者の大きな負担になっていることがわかります。
勘定科目の判定を効率化するには
仕訳作業における判断の迷いや手作業を減らすためには、会計ソフトの自動連携機能などを活用することが有効です。システムが過去のデータから勘定科目を自動で推測する仕組みを取り入れることで、毎回どの科目に分類するか悩む時間を削減できます。日々の仕訳業務の負担を軽減し、よりスムーズな経理業務を実現しましょう。
出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:707名、集計期間:2026年3月実施)
納税証明書の勘定科目について理解できましたか?
納税証明書の勘定科目は租税公課です。借方科目に租税公課、現金で支払った場合は、貸方科目に現金と記入します。ネットバンキング経由のオンライン決済で支払った場合には、貸方科目に預金と記入しましょう。
また、納税証明書には種類が6つあるため、どの種類が必要か確認して正しい書類を発行しましょう。国税か都道府県税、市区町村税なのかによって発行する場所が異なるため、事前に確認してください。
【参考】国税電子申告・納税システムe-tax|納税証明書についてよくある質問、国税庁|[手続名]納税証明書の交付請求手続
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よくある質問
納税証明書の発行手数料の勘定科目は?
勘定科目は租税公課となり、借方科目に租税公課、現金で支払った場合は貸方科目が現金、ネットバンキング経由のオンライン決済で支払った場合は預金で仕訳をする。詳しくはこちらをご覧ください。
納税証明書はどこで取得できる?
税金の種類によって異なり、国税の場合は管轄の税務署、地方税の場合は地方税事務所や管轄の役場で取得できる。詳しくはこちらをご覧ください。
納税証明書の取得方法は?
オンラインと窓口、郵送の3つの方法で申し込むことができ、いずれも紙面で受け取れるが、オンラインに限っては電子ファイルで受け取ることも可能。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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