• 作成日 : 2024年10月4日

NPO法人会計基準とは?基本の考え方や構成の解説

NPO法人会計基準とは、非営利法人である「NPO」の会計基準のことです。NPO法人会計基準には、一般の会社の会計とは考え方や処理の仕方が異なる部分が多く、きちんと理解することが大切です。

この記事では、NPO法人会計基準について詳しく解説します。基本的な考え方や構成、必要性を確認しておきましょう。

NPO法人会計基準とは

NPO法人会計基準とは、非営利法人であるNPO法人に関わる会計基準のことです。NPO法人が目的達成のためにどのような活動を行い、それぞれの活動にどのくらいの資金を使ったかを明らかにするものです。

NPO法人が資金をどのように調達し、それをどのような目的で何に使っているかを世間に理解してもらうためには、積極的に情報を開示する必要があります。きちんと会計処理を行い、その結果を公開するのは情報開示の一環というわけです。

NPO法人にとっての会計の重要性

NPO法人は一般の会社とは異なるため、「会計はそこまで重要とは思えない」という方もいるかもしれません。では、なぜNPO法人の会計が重要なのか、詳しく見ていきましょう。

資金源を明らかにするため

NPO法人の資金源には、以下のようなものがあります。

  • 支援者からの寄付金
  • 国や地方公共団体からの助成金や補助金
  • NPO法人会員からの会費
  • 事業収入
  • 融資

NPO法人が自主性や安定性を持続するためには、資金源が偏っていないことが重要です。これは、取引先や国・地方自治体、融資を行う金融機関にNPO法人の健全性を確認してもらうためにも必要です。

NPO法人内部の人への説明

NPO法人の資金源の一つに、会員からの会費や支援者からの寄付があります。会費や寄付金がどのような活動に使われているか、また適切に使われているかを知ることは会員・寄付者の権利です。

外部の人に活動実態を理解してもらうため

NPO法人の活動や経済状況を外部に知ってもらうことで、新たな支援者の獲得にもつながります。透明性の高い組織であることを理解してもらうためにも、活動内容だけでなく会計についても公開したほうがよいでしょう。

NPO法人会計基準の構成

NPO法人の会計基準は、収入規模500万円以下のNPO法人でも適切な会計ができるよう策定されたものです。2009年3月に策定作業が開始され、2010年7月に最終的な会計基準が発表されています。全体の構成は以下の通りです。

  1. NPO法人会計基準の性格と基本的考え方
  2. NPO法人会計基準
  3. 議論の経緯と結論の背景
  4. 実務担当者のためのガイドライン

この中から、「1. NPO法人会計基準の性格と基本的考え方」と「2.NPO法人会計基準」について詳しく解説します。

1.NPO法人会計基準の性格と基本的考え方

NPO法人会計基準策定の出発点は、「市民の期待とそれにこたえるべきNPO法人の責任の双方にふさわしい会計基準とはいかなるものであるか」です。基本的な考え方では、以下の点を重視しています。

  • 市民にとってわかりやすいか
  • NPO法人の信頼性の向上につながるか

なお、NPO法人会計基準の採用は強制ではなく任意です。採用時期も特に定められていないため、無理なく導入できます。

2.NPO法人会計基準

NPO法人会計基準では正確性を担保するため、複式簿記発生主義を原則とし「貸借対照表」と企業会計損益計算書にあたる「活動計算書」の作成を中心としています。また、収支計算書・活動計算書と貸借対照表がつながっていることが原則です。

利益の追求が目的ではないNPO法人でも、どの程度のコストがかかったか、事業継続は可能なのかを知るために、会計報告を行うことは重要だとされています。

NPO法人を運営するのであれば、NPO法人会計基準を理解しておこう

一般の会社経営ではないため、収益が上がることをそれほど重視していないというNPO法人もあるでしょう。そのため、「会計には特に力を入れなくてもよいのでは?」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、NPO法人の資金源は多岐にわたるケースが少なくありません。さらに、会員からの会費や寄付金という収入もあります。そのため、透明性を保つためにも、しっかりと会計を行い、どの活動にどのくらいの資金を使っているかを明確にしておくことは非常に重要です。

NPO法人会計基準の導入は義務ではありませんが、NPO法人の活動を理解してもらいたい場合は導入することをおすすめします。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事

会計の注目テーマ