• 更新日 : 2021年7月9日

未収入金とは?売掛金・未収収益との違いに注意

売掛金・未収収益との

未収入金は、営業活動以外の取引による未回収の金額を計上するための勘定科目です。財務諸表では、貸借対照表の資産の部に表示されます。

未収入金は営業活動以外の取引による未回収の金額を計上

未収入金は、固定資産や有価証券の譲渡のほか、不動産の貸付など、営業活動以外の取引による未回収の金額を計上するための勘定科目です。

実務では、補助科目に取引先を記載し、取引先ごとに残高を管理することが一般的です。

未収入金勘定は「未収金」と表記されることもありますが、この記事では「未収入金」で統一します。

固定資産を譲渡した場合の仕訳例

営業取引以外の取引として固定資産を譲渡した場合の仕訳例をご紹介します。説明を簡単にするため、売却損益、期中の減価償却や消費税は考慮しません。

(仕訳例)
A社は機械装置(取得価額300、減価償却累計額200、残存簿価100)をB社に100で譲渡した。代金はまだ受け取っていない。

■直接法

借方
貸方
未収入金
100
機械装置
100

■間接法

借方
貸方
未収入金
100
機械装置
300
減価償却累計額
200

自社の敷地の一部を貸し付けている場合の仕訳例

自社の敷地など不動産を他者に貸し付ける場合があります。不動産の貸付が営業活動でなければ、未回収の金額は未収入金として計上します。

(仕訳例)
C社は自社の敷地の一部を駐車場としてD社に貸し付けている。毎月の賃料は20であるが、先月分の代金はまだ受け取っていない。

借方
貸方
未収入金
20
受取地代
20

このときの受取地代は、売上(営業収益)ではなく営業外収益であることに留意しなければなりません。

回収まで1年を超える場合は「長期未収入金」

回収までの期間が決算日の翌日から1年を超えることが見込まれる場合は「長期未収入金」勘定を使用します。未収入金は流動資産であるのに対して、長期未収入金は固定資産となります。

未収入金に限らず、決算から回収までの期間が1年を超えることが見込まれる場合は、固定資産として計上します。

これを実務では「1年基準」または「ワン・イヤー・ルール」と呼びます。ただし、棚卸資産については、長期の在庫であっても1年基準は適用しません。

売掛金・未収収益との違い

これから、未収入金と混同しやすい勘定科目である、売掛金未収収益との違いを考えます。いずれも貸借対照表の資産の部の勘定科目ですが、それぞれに違いがあり、混同は避けなければなりません。

売掛金との違い

未収入金と売掛金はともに金銭債権として計上される勘定科目ですが、営業活動による債権であるかどうかという点に違いがあります。

未収入金は資産の譲渡など営業活動以外の取引による債権を計上するための勘定科目です。一方、売掛金は営業活動による債権を計上する勘定科目です。

なお、一部の業種では「工事未収入金」や「営業未収入金」という勘定科目を使用することがあります。売掛とは表記されていないものの、営業活動による債権であれば、実質としては売掛金と同じ性質のものといってよいでしょう。

未収収益との違い

未収収益は、不動産の貸付による受取家賃や、金銭の貸付による受取利息など一定の契約に基づいて継続してサービスを提供する取引で使用する勘定科目です。すでにサービスを提供したことで発生した債権のうち、まだ支払期日が到来していないものを未収収益として計上します。

未収収益は、決算日において損益の見越し計上を行うための経過勘定の一つであり、金銭債権である未収入金とは性質が異なります。

期日が到来しておらず、収益を見越し計上する場合は「未収収益」勘定を使用し、期日が到来して、支払いを受けていない場合は「未収入金」勘定を使用することを、次の仕訳例で確認しましょう。

(仕訳例)
A社はB社に金銭を貸し付けている。毎年1回、過去1年分の利息40が、B社からA社に支払われる。前回の利息の支払日から決算日までの期間にあたる利息は30である。

この場合、A社での決算日と翌期の期首の会計処理は次のようになります。

■決算日

借方
貸方
未収収益
30
受取利息
30

■翌期首

借方
貸方
受取利息
30
未収収益
30

決算日に計上した未収収益は、翌期首で反対仕訳を行い振り戻します。

上記の取引で、支払期日に利息が支払われず、後日に現金で支払われた場合は、次のような会計処理を行います。

■支払期日の仕訳

借方
貸方
未収入金
40
受取利息
40

■受取日の仕訳

借方
貸方
現金
40
未収入金
40

まとめ

未収入金は、固定資産や有価証券の譲渡、不動産の貸付など営業活動以外の取引による未回収の金額を計上する勘定科目です。

未回収の金額を計上するという点では、売掛金と似ていますが、営業活動によるものかそうでないかという点に違いがあります。また、名称は未収収益と似ていますが、未収収益は決算日に損益の見越し計上を行う経過勘定であり、未収入金と性質が異なります。

これらの類似した勘定科目はそれぞれ異なる性質を持っているので、会計処理をする上では、混同することのないように注意しなければなりません。

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よくある質問

未収入金とは?

固定資産や有価証券の譲渡のほか、不動産の貸付など、営業活動以外の取引による未回収の金額を計上するための勘定科目です。詳しくはこちらをご覧ください。

回収まで1年を超える場合の勘定科目は?

「長期未収入金」勘定を使用します。詳しくはこちらをご覧ください。

未収入金と売掛金との違いは?

未収入金は資産の譲渡など営業活動以外の取引による債権を計上するための勘定科目の一方、売掛金は営業活動による債権を計上する勘定科目です。詳しくはこちらをご覧ください。


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