• 更新日 : 2024年5月23日

伝票とは?種類を徹底解説 請求書との違いや項目もわかりやすく解説

伝票とは?種類を徹底解説 請求書との違いや項目もわかりやすく解説

「伝票(でんぴょう)」をうまく活用することで、経理業務の効率化や正確な記帳実施につながります。しかし、ひと口に伝票と言っても多種多様な書式が存在しており、記載内容や使用状況がそれぞれ異なります。自社事業に合うタイプを利用するのがコツです。

当記事では「伝票とは?」という基本的な概要から伝票と請求書との違い、会計式伝票で用いる伝票の種類、そのほか経理作業で役に立つ伝票の種類を紹介します。

そもそも伝票とは?

伝票とは取引の事実を記載したもので、入金伝票、出金伝票、振替伝票などの種類があります。
これらの伝票をとりまとめることによって、仕訳帳総勘定元帳などの会計帳簿が作成されます。

最近は、中小企業だけでなく個人事業主においても、会計帳簿を付けるにあたって会計ソフトなどのシステムを利用することが主流になってきました。

したがって、会計ソフトを利用した場合などには証憑書類があれば、入力した内容が仕訳帳にまとめられますので基本的には伝票はなくても問題はありません。
他方、現金を多く扱う飲食店などで「お会計伝票」を使用している場合には、売上高の証憑書類となりますので大切な役割を果たします。

法人税法においても、所得税法においても会計帳簿や証憑書類の保存は求められますが、これらの中には「伝票」は特に含まれておらず、仕訳帳にて代用することは可能です。

参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間(法人税法)|国税庁、記帳や帳簿等保存・青色申告(所得税法)|国税庁

しかしながら、会計ソフトなどを利用している場合でも伝票が役に立つケースは多々あります。
例えば、出金伝票は出金の証憑(根拠書類)が入手できない場合などに取引の事実を記載するのに便利です。また、根拠となる書類が複数あったり、複雑な場合にまとめて精算したりするときなどに、日付ごと、取引先ごとに整理して出金伝票を作成しておくとわかりやすいと言えます。

また、伝票の動きを理解することで簿記のしくみがよくわかるというメリットがあります。
伝票に記載する内容は取引の基本的なことなので、簿記初心者は以下の内容に目を通しておくとよいでしょう。

伝票の共通項目

伝票の作成方法はわかりやすいので、会計担当者は内容を把握しておきましょう。
伝票は、Excelなどで作成してもよいですし、文房具店で購入できます。どの伝票であっても「記載すべき共通項目」が存在します。具体的には次の5つです。

伝票の共通項目

  • 日付
  • 勘定科目
  • 摘要(取引内容)
  • 金額
  • 起票者(伝票に記入した人)の押印やサイン

上記のように「いつ取引したのか」「どのような取引を行ったのか」「金額はどのくらい動いたのか」「誰が取引を記録したのか」を起票します。仕訳帳や総勘定元帳に転記する際に、必要な情報をまとめるイメージです。

また、インボイス制度において、支払った取引について出金伝票をインボイスとして利用することは基本的にはありません。しかし、受領した請求書などがインボイス(適格請求書)であるかどうかについて、出金伝票に記載するなどの利用方法はあり得ますので、社内ルールを設けておきましょう。

請求書との違い

出金伝票と得意先から受領した請求書はどちらも取引内容や金額などを記録するものです。また、入金伝票と仕入先に請求した自社発行の請求書控えも同様のことが言えます。伝票は「入出金等の発生時点で発行するもの」で、請求書は「経済的事象の発生確定時点で発行するもの」という違いがあります。

自社発行の請求書とは商品やサービスの提供が発生終了した後、料金・代金を相手へ請求するときに発行する書類です。発行時点で金銭のやり取りは、必ずしも発生していません。記載内容は振り込み期限や請求予定の金額になります。

一方、伝票は取引先からの入金や口座からの出金などが実行され、実際に資産の増減が発生した時点で起票します。

伝票式会計と種類

仕訳帳の代わりとする伝票式会計で使用する伝票は、主に以下の5種類です。

  • 振替伝票
  • 入金伝票
  • 出金伝票
  • 仕入伝票
  • 売上伝票

どの伝票を何枚使用するかは、業種や事業内容で変わります。詳細をみていきましょう。

1伝票制・3伝票制・5伝票制とは?

伝票式会計は「何種類の伝票を使用するのか」によって、1伝票制・3伝票制・5伝票制に分かれます。伝票の種類や向いている事業は次のとおりです。

種類使用する伝票
1伝票制仕訳伝票(振替伝票)のみ
3伝票制・振替伝票、入金伝票、出金伝票
・現金取引が多い事業で用いられる
5伝票制・振替伝票、入金伝票、出金伝票、仕入伝票、売上伝票
・掛取引が多い事業で用いられる

振替伝票

振替伝票

振替伝票(ふりかえでんぴょう)とは、現金の入出金、仕入、売上以外の取引内容を記録するための伝票です。具体的な取引は、以下のようなものが挙げられます。

  • 備品を後払いで購入したとき
  • 売掛代金が普通預金口座へ振り込まれたとき
  • 約束手形を受け取ったり発行したりしたとき
  • など

貸方と借方の勘定科目が見やすい書式にしておきましょう。なお、1伝票制では「仕訳伝票」と表現するケースもあります。

入金伝票

入金伝票

入金伝票とは、実際に会社に現金が入ってくる取引を記録するための伝票です。例えば、次のケースで使用されます。

  • 商品を販売して現金を受け取ったとき
  • サービスを提供して現金を受け取ったとき
  • 現金で売掛金の回収を行ったとき
  • など

振替伝票との使い分けがややこしくなる場合は、入金状況によって起票する伝票を指定しましょう。銀行口座へ入金があった場合は振替伝票を、紙幣が会社へ直接入る(消費者から代金を受け取る等)は入金伝票を使うといったルールです。

「現金の直接的なやり取り」に関しては、入金伝票と決めておくことで混乱を避けやすいでしょう。

出金伝票

出金伝票

出金伝票とは、会社が持つ現金が出ていく取引を記録するための伝票です。例えば、次のケースで使用されます。

  • 交通費や接待交際費を現金で支払ったとき
  • 会社の備品を現金で購入したとき
  • 買掛金を現金で支払ったとき

など

入金伝票と同じく振替伝票と使い分けたい場合は「銀行口座からの引き落としやクレジットカード決済の場合は振替伝票」として「取引先や消費者へ直接紙幣を渡す場合は出金伝票」といった使い分けがおすすめです。直接的に現金のやり取りがあるかどうかで決めるとよいでしょう。

仕入伝票

仕入伝票

仕入伝票は、仕入取引を記録するための伝票です。5伝票制でのみ使用します。上記の例に勘定科目の記入欄がないのは「仕入は掛けで取引をする」という会社のルールによるものです。よって、原則として仕訳は借方仕入、貸方買掛金と決まっています。

売上伝票

売上伝票
売上伝票は、事業売上が発生した取引を記録する伝票です。5伝票制のみで使用します。こちらも仕入伝票と同様に会社のルールにより「売上は掛けで取引する」と想定しているため、仕訳は借方に売掛金、貸方に売上(売上高)と決まっています。

各種伝票を用いた詳細な仕訳方法については、以下の記事を参照にしてください。

その他の伝票

伝票式会計で使用する伝票のほかにも、企業の経理作業の効率化や取引の明確化を目的とした伝票が存在します。会計作業の補助として役に立つでしょう。

お会計伝票

お会計伝票とは、顧客が注文した品物や金額を記載する伝票です。例えば、飲食店の場合は、注文された料理・飲み物の品目や金額を記載して顧客に渡し、顧客はその伝票を見て自分たちが支払う金額を確認します。

その後、レジスターでお会計伝票の内容を打ち込み、現金のやり取りを行います。

お会計伝票のひな形、テンプレート

お会計伝票の作成に便利なテンプレートを以下より無料でダウンロードいただけま

作業伝票

もともと「伝票」とは、企業などにおいて発生する現金や物品の取引の事実を、一定の様式で記載して保存し、これを関係者に伝達するための紙片のことを言います。

作業伝票は、現金ではなくモノや情報のやり取りにフォーカスして使用される例と言えます。

製造業や建築業などでは、次の工程に指示を出す場合に前過程における状況や所見などの情報を記載し、これを作業伝票と呼ぶことがあります。
記載された作業時間などは労務管理や管理会計などに利用することができ、成果物の管理のために利用されます。

受発注伝票

受発注伝票とは顧客からの注文を受けたり、逆に顧客へ注文したりする際、受発注に関する取引を記載する伝票です。受注伝票であれば、受注した日付や納品予定日、取引内容、受注金額などを記載します。主に取引実態の把握や、未決済の取引の整理などに利用されることが一般的です。

契約伝票

契約伝票とは、契約書をもとに受注や売上を計上する際の元となる書類のことです。
継続的な発注の依頼ではなく、まとめて契約書によって取引をする場合などには、担当者が売上のトリガーとなる契約伝票を起票します。

受発注システムなどを利用している場合には、契約書に記載された情報を入力すると受注や売上が指定された時期に作成されるように、手動の場合には契約伝票により受注、売上情報に連携します。

入出庫伝票

入出庫伝票とは、商品などの搬入・搬出の移動を管理するための書類で、ある時点での入出庫伝票をまとめることにより、在庫状況が把握できます。

自社の倉庫に搬入された商品や搬出した商品についての情報を入出庫伝票によって連絡することによって、どこの倉庫にどれだけの在庫があるかどうかを把握できます。
搬入の場合には入庫伝票が仕入伝票のトリガーとなったり、また、搬出の場合には出庫伝票の情報が得意先への納品書の情報に連携されたりします。

訂正返品伝票

訂正返品伝票とは、一旦売上や仕入などの処理が終わった伝票を取り消すために発行する伝票です。取消し伝票やキャンセル伝票、赤伝票とも呼ばれます。

取引内容の訂正や、商品の返品が発生したときに使用します。「この取引はキャンセルされたもの」とひと目でわかるように、赤色で作成されることが多いです。

チェーンストア統一伝票

チェーンストア統一伝票とは、企業や業種ごとに伝票のサイズや書式を統一したものです。実質的には仕入伝票や売上伝票などです。誰と取引をしたのか」がひと目でわかりやすくなるため、経理・事務処理の効率化やコストダウンが狙えます。

例えば、スーパーやドラッグストアなどの小売業や流通業で用いられるのが一般的です。どのような書式を使うかは、商流により決定されます。チェーン内において商品の取引をするときは、指定の書式に従いましょう。

自分に合った伝票で経理業務をスムーズに

伝票は発生した現金取引や掛取引の内容を記録しておく書類です。現金を扱う業種においては、お会計伝票など手書きの伝票を利用しているところも多く見受けられるため、そのような場合には伝票は証憑書類として大切な役目を果たします。

会計伝票には振替伝票や入金伝票、出金伝票、仕入伝票、売上伝票といった会計式伝票で使うものを中心に業種や業務内容ごとで使い分けられるタイプが存在し、作業伝票などは、直接会計には計上されない情報を記した「伝票」です。

よくある質問

そもそも伝票とはどんなもの?

伝票とは会計上の取引について「いつ、どのような取引が行われたのか」を第三者でもわかる状態にまとめた書類のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

伝票と請求書の違いとは?

伝票は「入出金等の発生時点で発行するもの」で、請求書は「経済的事象の発生時点で発行するもの」という違いがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

伝票式会計で使用する伝票はどれ?

仕訳帳の代わりとする伝票式会計で使用する伝票は、振替伝票・入金伝票・出金伝票・仕入伝票・売上伝票の5つです。詳しくはこちらをご覧ください。


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