• 更新日 : 2024年8月8日

税理士資格はどう役に立つ?試験の概要と仕事内容

会社員として働いていても税理士資格の取得は大幅なスキルアップにつながり、独立することも可能です。ここではこの税理士資格を取得するための試験の概要と、試験を受けるために必要な資格、そして税理士だけができる仕事について解説します。
※本記事の内容は国税庁ホームページの税理士試験情報を出典元としています。試験日程・内容等は年度によって変更がある可能性があります。

税理士試験の概要

税理士試験の日程・必要書類・受験地

税理士試験は年によって細かな違いはあるものの、毎年4月第2週頃から5月第3週頃までの間に申し込み用紙が交付され、5月第2週頃から第3週頃までの間に申し込みが受け付けられています。申し込みに必要な書類は次の3つです。
1.税理士試験受験願書・税理士試験受験申込書
2.受験票及び写真票
3.受験資格を有することを証する書面
試験本番は8月中の平日3日間を使って毎日午前9時から午後5時までの間に実施されます。受験手数料は受験申込科目数で変動し、1科目は3,500円、それ以降は1科目ごとに1,000円ずつ必要です。全国どこでも受験可能というわけではなく、受験地は北海道・宮城県・埼玉県・東京都・石川県・愛知県・大阪府・京都府・広島県・香川県・福岡県・熊本県・沖縄県に限られます。

税理士試験の内容と合格基準

税理士試験は大きく「会計学」と「税法」に属する科目から構成されています。会計学に属する科目とは簿記論と財務諸表論の2科目です。この2科目はどちらも受験しなくてはなりません。一方で税法に属する科目は所得税法法人税法相続税法消費税法または酒税法・国税徴収法・住民税または事業税・固定資産税の7科目から、受験者が3科目選択することができます(所得税法か法人税法のいずれかは必修)。
合格基準はどの科目でも満点の60%で、合計科目数が会計学に属する科目2科目と税法に属する科目3科目の合計5科目になってはじめて「合格」となります。ただし税理士試験は一度の試験で5科目すべての合格基準を超える必要はありません。そのため、1科目ずつ受験して合格を目指すことも可能です。

勉強は計画的に

税理士試験は例年合格率15%前後と、一般的に難易度の高い試験です。そのため税理士資格を取得するまでに試験を5回や10回受けたという人も少なくありません。そのため勉強を始めるときは1回目での合格を目指すよりも、長期的な視点で計画を立て、じっくり腰を据えて取り組む必要があります。

税理士試験の受験資格

税理士試験の受験資格は大きく「資格」「学識」「職歴」に分かれており、以下のうちどれか1つでも満たしていれば受験資格が与えられます。なお以下の各項目は国税庁の「税理士試験に関するQ&A」から引用しています。

受験資格が与えられる「資格」

・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者
・会計士補
・会計士補となる資格を有する者
申込書類としてこれらの資格を証明するための合格証明書や登録証明書が必要となります。

受験資格が与えられる「学識」

・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
・大学3年次以上の学生で法律学又は経済学に属する科目を含め62単位以上を取得した者
・専修学校の専門課程(1修業年限が2年以上かつ2課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、これらの専修学校等において法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
・司法試験に合格した者
・旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者
・公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る。)
・公認会計士試験短答式試験全科目免除者

資格証明のためには大学などの履修科目や単位数により受験する場合は成績証明書や課程証明書、その他は合格証明書などが必要になります。

受験資格が与えられる「職歴」

以下の事務または業務に2年以上従事した者

・弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士等の業務
・法人又は事業を営む個人の会計に関する事務
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務
・税務官公署における事務又はその他の官公署における国税若しくは地方税に関する事務
・行政機関における会計検査等に関する事務
・銀行等における貸付け等に関する事務

弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士等の経験により受験する場合は登録証明書だけでなく、同業者2人以上にその業務に従事したことを証明してもらう書面が必要となります。その他の場合は職歴証明書の提出が必要です。

税理士だからできる仕事とは?

税理士法に定められた3つの業務

税理士には法律で定められた、税理士にしか許されていない業務が3つあります。それは「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」です。
「税務代理」とは法人や個人などの納税者の代理として、青色申告の承認申請や税務調査の立会などを行う仕事です。「税務書類の作成」とは確定申告書・相続税申告書などの税務書類を、納税者の代理として作成する仕事です。税務相談は納税者からの税についての相談に応じる仕事となります。「税務相談」は、主に事業主の税務に関するサポートを行うことを指します。
これらの業務は「無償独占業務」と呼び、たとえ無償でも税理士の資格がない者は行ってはいけないことになっています。

もっと広がる可能性

税理士の資格はこの3つの業務以外にも、様々な仕事につながる可能性を持っています。例えば税務だけでなく会計・財務・経営管理のプロフェッショナルとして、経営戦略などの立案にアドバイスを行う「経営コンサルタント」もそのうちのひとつです。税務はどんなビジネスをするうえでも、決して切り離せません。したがって税理士資格は働き方や働く場所を本人次第で選ぶことができるのです。

まとめ

税理士資格は何年もかけて取得する人も多い難関資格です。しかし取得した先には無償独占業務を始めとする様々な活躍の舞台が待っています。合格までの計画を長期的な視点から立て、独学で勉強するか通信教育や資格学校を利用するかなど自分に合った学習スタイルを検討・実行すれば、取得できるはずです。興味がある人は是非一度挑戦してみましょう。

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