• 更新日 : 2024年7月23日

法人税申告書の別表14とは?見方や書き方、注意点まで解説

法人税申告書の別表14は、寄附金や株式などに関連した明細書で構成されています。この記事では、別表14の種類、社内で申告書を作成する会社向けに代表的な明細書の書き方、作成時の注意点を解説していきます。

法人税申告書の別表14とは

別表14は、資産の評価や寄附金、株式などに関連した明細書で構成されます。種類は以下のとおりです。

■14(1)「民事再生等評価換えによる資産の評価損益に関する明細書」

以下のいずれかの適用を受ける場合に作成します。

  • 法人税法25条(更生計画認可や再生計画認可の決定があったことなどによる資産の評価益)
  • 法人税法33条(災害や更生計画認可の決定などによる資産の評価損)
  • 震災特例法第17条第1項

■14(2)「寄附金の損金算入に関する明細書」

法人が税法上の寄附金を支出している場合などに作成します。

■14(2)付表「公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の公益法人特別限度額の計算に関する明細書」

公益社団法人などが寄附金の損金算入限度額の特例を受ける場合に作成します。

■14(3)「譲渡制限付株式に関する明細書」

個人に対して、特定譲渡制限付株式や承継譲渡制限付株式を交付している場合に作成します。

■14(4)「新株予約権に関する明細書」

個人に対して、特定新株予約権や承継新株予約権を交付している場合に作成します。

■14(5)「通算終了事由が生じた他の通算法人の株式につき資産調整勘定対応金額等がある場合の簿価純資産価額とする金額の計算に関する明細書」

通算法人にかかわる明細書です。特定のケースで、他の通算法人の株式の1単位あたりの帳簿価格を計算するときに作成します。

■14(6)「完全支配関係がある法人の間の取引の損益の調整に関する明細書」

完全支配関係がある法人に対して、法人税法61条の11に定める譲渡損益調整資産(政令で定めるもの以外の土地や有価証券など)を譲渡した場合に作成します。

■14(7)「特定資産譲渡等損失額の損金不算入に関する明細書」

特定適格組織再編などにより引き継いだ特定資産の譲渡損失にかかわる明細書です。該当する場合に作成します。

■14(7)付表一~付表三

14(7)に関連して該当する場合に作成します。

■14(8)「リース譲渡に係る収益及び費用の益金及び損金算入に関する明細書」

リース資産の引き渡しに関連する明細書です。

■14(9)「公益法人等が普通法人等に移行する場合等の累積所得金額又は累積欠損金額の益金又は損金算入等に関する明細書」

公共法人や公益法人等であった内国法人が、普通法人や協同組合などに該当することになった場合に作成する書類です。

■14(10)「特定資産譲渡等損失額の損金不算入に関する明細書」

通算法人の特定資産の譲渡損失にかかわる明細書です。

■14(10)付表一:付表二

通算法人の特定資産の譲渡損失に関連して、該当する場合に作成する明細書です。

別表14の明細書は「国税庁のサイト」からダウンロードできるほか、e-Taxソフトなどから入手できます。

法人税申告書の全体的な作成方法は、以下の記事でご確認ください。

法人税申告書の別表14に記載する主な項目と書き方

法人税申告書の別表14の中でも代表的な書類として、14(2)「寄附金の損金算入に関する明細書」の書き方を取り上げます。

寄附金の損金算入に関する明細書

寄附金の損金算入に関する明細書

出典:寄附金の損金算入に関する明細書|国税庁

別表14(2)の明細書は、税法上の寄附金の額があるときに作成する明細書です。下部の寄附金の明細を記載する項目と、寄附金の損金算入限度額や損金不算入額を計算する項目があります。

H4.明細の作成(下部)

明細の作成(下部)

出典:寄附金の損金算入に関する明細書|国税庁

寄附金の損金算入額は、指定寄附金等、特定公益法人等、その他に区分して計算します。明細書の下部には、それぞれの区分のうち該当する寄附金の詳細を記載します。

■「指定寄附金等に関する明細」

指定寄附金等に記載するのは、全額が損金算入の対象となる、国や地方公共団体に対する寄附金、財務大臣が指定した公益法人等に対する寄附金です。該当する寄附金について、寄附日、寄附先、告示番号、寄附金の額、「41」の寄附金の額を記載します。

■「特定公益増進法人若しくは認定特定非営利活動法人等に対する寄附金又は認定特定公益信託に対する支出金の明細」

指定寄附金等以外の寄附金の額は損金算入額に制限があります。制限がある中でも、一般の寄附金とは別枠で損金算入限度額が設定される、特定公益法人などへの寄附金の額を記載します。寄附日または支出日、寄附先または受託者、所在地、使途または名称、「42」の寄附金の額または支出金額について記載が必要です。

■「その他の寄附金のうち特定公益信託(認定特定公益信託を除く。)に対する支出金の明細」

上記の明細のいずれにも該当しない寄附金で、特定公益信託に対する支出金を記載します。特定公益信託の支出金は寄附金の額とみなして損金算入額を計算する必要があります。

損金算入限度額や損金不算入額の計算(上部)

明細書の下部に記載した寄附金の内容をもとに計算する項目です。作成にあたって、別表4や別表5(1)の情報が必要です。

損金算入限度額や損金不算入額の計算(上部)

出典:寄附金の損金算入に関する明細書|国税庁

1.指定寄附金等の額

明細表下部の「指定寄附金等の関する明細」より、「41」の合計金額を記載します。

2.特定公益増進法人等に対する寄附金額

明細表下部の「特定公益増進法人若しくは認定特定非営利活動法人等に対する寄附金又は認定特定公益信託に対する支出金の明細」より、「42」の合計金額を記載します。

3.その他の寄附金額

「1」や「2」に該当しない寄附金、普通法人(関税支配関係がある法人を除く。)や協同組合などへの寄附金は、その他の寄附金に区分されます。宗教法人や政治団体への寄附もその他の寄附金に該当します。

4.計

「1」「2」「3」の合計金額を記載します。

5.完全支配関係がある法人に対する寄附金額

直接または間接的に株式等を100%保有しているなど、完全支配関係が法人への寄附金額を記載します。

6.計

「4」と「5」の合計金額を記載します。

7.所得金額仮計

別表4の「26の①」の金額を転記します。

8.寄附金支出前所得金額

「6」と「7」の合計額を記載します。マイナスになる場合は0と記載します。

9.同上の 2.5又は1.25/100 相当額

資本金や出資金を有する普通法人(株式会社や合同会社など)は、2.5を分子に計算した金額を記載します。

「8」×2.5/100

10.期末の資本金の額及び資本準備金の額の合計額又は出資金の額

別表5(1)「32の④」+「33の④」の金額から転記します。

11.同上の月数換算額

「10」×●/12の金額を記載します。●に入る値は当期の月数です。

12.同上の 2.5/1,000 相当額

「11」×2.5/1,000の金額を記載します。

13.一般寄附金の損金算入限度額

(「9」+「12」)×1/4の金額を記載します。

一般寄附金の損金算入限度額

出典:寄附金の損金算入に関する明細書|国税庁

14.寄附金支出前所得金額の 6.25/100相当額

「8」×6.25/100の金額を記載します。

15.期末の資本金の額及び資本準備金の額の合計額又は出資金の額の月数換算額の
3.75/1,000相当額

「11」×3.75/1,000の金額を記載します。

16.特定公益増進法人等に対する寄附金の特別損金算入限度額

特定公益法人等の寄附金の額に対して別枠で認められている損金算入限度額です。(「14」+「15」)×1/2の金額を記載します。

17.特定公益増進法人等に対する寄附金の損金算入額

「2」「14」「16」のうち、いずれか少ない金額を記載します。

18.指定寄附金等の金額

「1」の金額を転記します。

19.国外関連者に対する寄附金額及び本店等に対する内部寄附金額

対象額は全額が損金に算入されません。特殊の関係がある外国法人に対する寄附金額などを記載します。

20.(4)の寄附金額のうち同上の寄附金以外の寄附金額

「4」から「19」の額を差し引いた金額を記載します。

21.同上のうち損金の額に算入されない金額

21~24は、損金不算入にかかわる項目です。資本等を有する一般の普通法人は、「20」-「13」-「17」-「18」の金額を記載します。

22.国外関連者に対する寄附金額及び本店等に対する内部寄附金額

「19」の金額を転記します。

23.完全支配関係がある法人に対する寄附金額

「5」の金額を転記します。

24.計

損金不算入額を計算する項目の合計欄です。「21」と「22」と「23」の合計金額を記載します。

25~40.

寄附金の損金算入に関する明細書

出典:寄附金の損金算入に関する明細書|国税庁

ここまで説明してきた1~24までの各項目は、公益法人等以外の法人の場合(株式会社など)に記載します。

25~40の各項目は、公益法人等に該当する場合に記載が必要な項目です。書き方の大まかな流れは1~24と同じで、支出した寄附金の額を計算後、損金算入限度額や寄附金の損金不算入額を計算します。

法人税申告書の別表14を書く際の注意点

別表14の明細書の中でも、書き方で取り上げた寄附金の注意点について説明します。

まず、寄附金について、税法上は全額が損金として認められていません。寄附金を無制限に認めてしまうと、課税回避などにつながる恐れがあるためです。

そのため、法人税では、寄附金を種類ごとに区分して損金算入の取り扱いを変えています。寄附金の中でも全額損金算入が認められているのは、国や地方公共団体に対する寄附、公益を目的とした指定寄附金のみです。

特定公益増進法人への寄附金など、指定寄附金等以外の公益性の高いものは損金算入限度額の優遇があるものの、指定寄附金等以外は損金算入に制限があります。

別表14(2)の作成にあたって、損金算入限度額を正しく計算するためには、寄附金の区分を理解しておかなければなりません。明細書に区分の詳細は記載されていないため、作成前に大まかな区分について確認しておくことをおすすめします。

法人税の寄附金の大まかな区分については国税庁のページなどからも確認できます。

No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

No.5283 特定公益増進法人に対する寄附金|国税庁

別表14は該当する場合に作成する明細書

法人税申告書の別表14の主な明細書として、寄附金に関する明細書の書き方をメインに紹介してきました。寄附金を含め、別表14は、特定の場合に該当するとき(別表14(2)の寄附金の明細書であれば寄附金等を支出した場合)に作成が必要です。すべての法人で作成が求められる明細書ではありません。別表14作成の際には、まず作成を要する明細書がないか確認してから作成されるとよいでしょう。


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