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電子帳簿保存法への対応方法とは
  • 更新日 : 2023年7月14日

電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?スキャナ保存要件や改正点

電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?スキャナ保存要件や改正点

電子帳簿保存法は、帳簿書類の電子保存に関する法律です。原則として、国税関係の帳簿書類は原本保存が求められていますが、電子帳簿保存法の施行によって一定の要件下での保存であれば電子データとしての保存(電子保存)が可能となります。

なお、電子保存にあたり、一部の書類ではタイムスタンプが必要です。この記事では、タイムスタンプが必要な範囲と利用方法、発行手順、費用などについて解説していきます。

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電子帳簿保存法(電帳法)のタイムスタンプとは?

まずは電子帳簿保存法とはどのような法律か、タイムスタンプとは何か、まずは概要から簡単に見ていきましょう。

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、帳簿書類を電子データとして保存し、取引等の証拠とすることができるように制定された法律です。

電子帳簿保存法では、会計ソフト等で作成したデータを国税関係帳簿書類の電磁記録やCOM(電子計算機出力マイクロフィルム)として保存する際の要件、請求書領収書など国税関係書類のスキャナ保存の要件、電子取引データの保存の要件などが定められています。

電子帳簿保存法の対象となるのは、次のような国税関係帳簿書類です。

電子帳簿保存法の対象となる国税関係書類
帳簿仕訳帳総勘定元帳現金出納帳、売上帳、仕入帳、固定資産台帳など
書類決算関係書類貸借対照表損益計算書、棚卸表など
重要書類契約書、領収書、請求書、納品書、小切手、約束手形、預り証、借用証書、送り状など
※資金や物の流れに直結または連動するような書類
一般書類
その他
注文書、見積書検収書、貨物受領書 など
※資金や物の流れに直結または連動しない書類

現在、法人や個人事業主に保存が義務付けられている書類の多くが電子帳簿として保存できます。

なお、電子帳簿保存法制定以前は、国税関係帳簿書類の保存は紙ベースでの保存とされていました。電子帳簿保存法が施行されれば、紙ベースでの保存に加えて、要件を満たせば電子データでの保存も可能になるのです。

近年は、ITの発達により、帳簿書類を会計ソフト等を使って作成することが主流となっています。電子帳簿保存法による電子データでの保存の容認は、帳簿保存にかかる事務的負担の軽減、書類の保管スペースの圧縮などの効果が期待されています。

電子帳簿保存法に関してより詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

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タイムスタンプとは?

タイムスタンプとは、電子データがある時刻に作成されたものであることと、作成されて以降、電子データが改ざんされていないことを同時に証明する技術のことです。電子帳簿保存法で付されるタイムスタンプは、作成元データのハッシュ値(メッセージダイジェスト)と時刻情報の組み合わせによって作られます。

タイムスタンプは利用者が発行するものではなく、第三者機関である「時刻認証局」がハッシュ値と時刻情報を結合させて発行することによって、作成されたデータの透明性を担保しています。郵便局が押す通信日付印(スタンプ)のようなイメージです。

ハッシュ値とは、データを特定のルール(ハッシュ関数)にしたがって生成した値です。仮に原データが1ビットでも異なると、まったく違うハッシュ値となるため、改ざんされたことがすぐに判別できます。人間でいうところの指紋のような特性があるといわれています。ハッシュ値が持つ特性により捏造がほとんどできない仕組みであるため、電子データの作成時刻と、タイムスタンプ付与以降の改ざんがないことを証明する役割を担っています。

タイムスタンプはどこまで必要?

電子帳簿保存法には、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分があります。どの区分でタイムスタンプが必要になるのでしょうか。各区分におけるタイムスタンプの取扱いを見ていきましょう。

スキャナ保存

スキャナ保存に区分されるのは、コンピューターで作成していない自社書類の控え及び紙ベースで受領した請求書や国税関係などの書類です。スキャナなどで読み取って電子保存することから「スキャナ保存」といわれます。

スキャナ保存では、タイムスタンプの付与が定められています。定められた一定期間内で、スキャニングした国税関係書類にタイムスタンプを付けなければなりません。一つの入力単位ごとに総務大臣が認定した時刻認証業務に係るタイムスタンプを付けることになります。

一つの入力単位とは、取引を構成する書類のまとまりを指します。一つの請求書が複数のファイルで構成されているような場合、これを一つの入力単位として検証できれば、まとめてタイムスタンプを付与できます。ただし、相互に関連性のない複数のファイルを一つの入力単位として扱うことはできません。

入力期間については、基本的に早期入力方式(概ね7営業日以内)、業務サイクル方式(最長2ヶ月+概ね7営業日以内)の2つの方法に限定されます。

業務サイクル方式は月締め処理を想定したもので、受領から入力までの各事務処理規定をあらかじめ定めている場合のみ選択可能です。ただし、資金や物の流れに直接関係ない重要度の低い書類(注文書など)は、適宜での入力も認められています。

なお、訂正削除履歴を残す時刻証明機能があるシステムで保存する場合は、タイムスタンプの代替とすることができます。この場合、タイムスタンプは不要です。

電子取引

「電子取引」に区分されるのは、書類作成プログラムなどのシステムを利用して作成した後、電子メール等を使って電子データを送信、または電子データとして受領した国税関係書類です。「電子取引」では、要件を満たした電子データの保存が義務付けられています(※ただし、宥恕規定として令和5年12月31日まではプリントアウトによる保存も認められます)。

電子取引では、タイムスタンプの付与は絶対要件ではありませんが、選択要件になっています。要件の一つに、次のいずれかを行うこととあるためです。

  • タイムスタンプ付与後の授受
  • 速やかなタイムスタンプの付与
  • 訂正削除履歴が残るシステムを利用した授受・保存
  • 訂正削除防止の事務処理規定の備付け

つまり、「タイムスタンプを付与してから相手に送信する」「タイムスタンプのない書類を受領後すぐに付与する」「規定のシステム上で送受信・保存をする」「事務処理規定を設ける」のいずれかを選択していなくてはならないということです。

事務処理規定だけで要件を満たすことができますので、必ずしもタイムスタンプの付与が必要というわけではありません。事務処理規定の例は、以下の国税庁のホームページでも公開されています。

参考:参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁

電子帳簿等保存

「電子帳簿等保存」に区分されるのは、電子計算機処理により一貫して作成した国税関係帳簿書類です。具体例としては、会計ソフトで作成した帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)やコンピューターで作成した自社発行書類(注文書や領収書など)の控え、決算において作成した書類(貸借対照表や損益計算書等)などが含まれます。

電子帳簿等保存にはタイムスタンプの付与要件はありません。

タイムスタンプの利用方法

タイムスタンプを付与できるようにするためには、「時刻認証局との契約」「インターネット環境の整備」「タイムスタンプを付与できるシステム」の3つを準備する必要があります。

時刻認証局は、「時刻配信局」が配信した時刻を使ってタイムスタンプを配布する機関です。認定事業者には「時刻認証業務認定マーク」が付与されています。

インターネット環境の整備が必要なのは、時刻認証局からのタイムスタンプ付与をインターネット経由で行うからです。

また、タイムスタンプの付与及び管理には、電子帳簿保存に適合した文書管理システムの導入が必要です。

これらの準備をして、はじめてタイムスタンプを利用できるようになります。

タイムスタンプの発行手順

タイムスタンプの発行は次の手順で行います。

1.タイムスタンプ付与の準備

保存対象である書類のスキャンを行い電子データに変換します。

次に、電子データに変換したもの、あるいはあらかじめ電子取引で電子データとして授受したものを、タイムスタンプの付与できるシステムにアップロードします。

2.タイムスタンプ発行の要求

システム上でハッシュ値に変換した後、時刻認定局にタイムスタンプ発行の要求を行います。

3.タイムスタンプの発行

要求を受けた時刻認証局は、受け取ったハッシュ値と時刻情報とを組み合わせたタイムスタンプを発行します。

タイムスタンプの発行と付与の仕組みは上記のとおりですが、現在ある多くの文書管理システムでは、データをアップロードした時点で自動でタイムスタンプが付与される仕組みになっています。

タイムスタンプの費用

タイムスタンプの付与サービスは、付与のみを目的にしたものや、電子契約システムに全て組み込まれたものなど、様々なものがあります。

タイムスタンプサービスを利用するためには、1万円前後の初期導入費に加え、利用するシステムごとに定められた利用料がかかるのが一般的です。

利用料は月額固定や年額固定のもの(タイムスタンプサービスのみなら数千円~1万円前後)や、タイムスタンプ数に応じて一定額を加算されるタイプ(タイムスタンプ1つで10円など)もあります。

電子保存の状況に応じてタイムスタンプの環境を整えよう

本来、電子帳簿保存法ではタイムスタンプの付与が必須要件とされていました。しかし、要件緩和により、必ずしもタイムスタンプの付与が必要ないデータが増えています。

しかし、電子帳簿保存法のうち、「スキャナ保存」は要件としてタイムスタンプ付与の規定が依然として残っています(※ただし、一定の機能があればシステムへの保存に代えることも可)。自社の取引形態に応じて、必要なタイムスタンプの環境を選択するようにしましょう。

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よくある質問

タイムスタンプとは?

時刻認証局が発行する、ハッシュ値(メッセージダイジェスト)と時刻情報を組み合わせたスタンプです。スタンプの付与時刻と付与以降にデータの改ざんがされていないことを同時に証明します。詳しくはこちらをご覧ください。

タイムスタンプはどこまで必要?

「電子帳簿等保存」では不要ですが、「スキャナ保存」では必須要件の一つ(規定のシステムによる保存に代えることも可)、「電子取引」では選択要件になっています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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