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  • 更新日 : 2021年4月2日

電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?スキャナ保存要件や2020年改正点を解説

電子帳簿保存法のタイムスタンプとは

帳簿書類は紙で保存するのが原則です。しかし、さまざまな取引形態やサービスが登場したことによって、データすべてを紙で保存することは大企業を中心に現実的とはいえなくなりました。

そこで制定されたのが、電子データによる保存を定めた電子帳簿保存法です。法制定や改正を経て、帳簿書類の電子保存がさまざまな企業で取り入れやすくなってきました。そんな電子帳簿保存法に深く関係するのが、タイムスタンプです。この記事では、電子帳簿保存法とタイムスタンプについて解説していきます。

電子帳簿保存法(電帳法)のタイムスタンプとは?

電子帳簿保存法とはどのような法律か、タイムスタンプとは何か、まずは概要から簡単に見ていきましょう。

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、帳簿書類の電子データを取引等の証拠として保存するために制定された法律です。電子帳簿保存法では、会計ソフトで作成したデータなど国税関係帳簿書類の電磁記録やCOM(電子計算機出力マイクロフィルム)での保存の要件、請求書など国税関係書類のスキャナ保存の要件、電子取引データの保存などが定められています。

電子帳簿保存法制定以前は、国税関係帳簿書類の保存は紙での保存とされていました。電子帳簿保存法の制定によって、紙だけでなく、要件を満たせば電子データでの保存も可能になったのです。

近年は、ITの発達により、帳簿書類をパソコンなどの電子機器で作成することが増えました。電子帳簿保存法による電子データでの保存の容認は、事務的負担の軽減、書類の保管スペースの節約などに効果が期待されています。

タイムスタンプとその目的とは?

タイムスタンプは、電子データの存在を日時によって証明する技術をいいます。

従来の紙によるデータは、書類に記された日付のほか、担当者の捺印、劣化、指紋などから、保管されていた期間や場所を推測できます。筆跡から改ざんが行われたかどうか推測も可能です。

しかし、電子データは紙のデータのように劣化するものではありません。作成したデータのままだと、紙の情報のように作成日を推測できず、複製も容易なため改ざんの可能性も出てきます。

タイムスタンプは、電子データを第三者も検証できるよう、外部からの発行を経て、対象のデータを証明するためのものです。タイムスタンプを付与することにより、付与時点で確かにデータが存在したこと、付与後にデータが改ざんされていないことの2つを証明します。

タイムスタンプの仕組み

時刻がわかるスタンプをデータに付与するだけでは、改ざんできる可能性があり、データに信頼性があるとはいえません。そこで、タイムスタンプは、時刻認証局を通じた第三者による時刻の付与、ハッシュ値の利用によって、データの信頼性を確保しています。

ハッシュ値とは、ハッシュ関数を使って入力値をもとに計算した固定長データです。データの入力値からハッシュ値を計算できても、ハッシュ値から入力値を求めることはほぼ不可能という特徴があります。

タイムスタンプは、利用者がハッシュ値とともにタイムスタンプの発行を要求し、第三者である時刻認証局が時刻情報にハッシュ値を付与したタイムスタンプを発行する仕組みです。ハッシュ値付きの時刻情報がタイムスタンプとして発行されるため、後日、入力したデータのハッシュ値と発行されたタイムスタンプのハッシュ値が一致しているかどうかで、データに改ざんがないか検証できるようになっています。

3日以内から変更!タイムスタンプ付与の要件と改正

電子データのうち、帳簿の電子データの保存は、会計ソフトの利用を想定したものです。電子帳簿保存法では、帳簿を電子データで保存する要件として、訂正・削除の履歴や一定の期限を越えた入力を確認できることなど、検証可能性が保たれるような要件などを定めています。改ざんの可能性や信頼性を確保できるため、あえてタイムスタンプを付与する必要はありません。

タイムスタンプの付与が必要な電子データは、タイムスタンプによる情報がないと信頼性を確保できない帳簿以外の電子書類です。スキャナ保存や電子取引での電子データにタイムスタンプの付与が必要になります。

スキャナ保存の要件とこれまでの改正

受領した書類をスキャンして電子保存する場合、受領者とスキャンする人が同一のケース、受領者とスキャンする人が異なるケースが考えられます。異なるケースでは、相互けん制機能が働くため、改ざんの可能性は低くなるでしょう。一方、すべて一貫して同一人物が処理する場合、処理をチェックする体制が働かないため、改ざんの可能性が高まります。

そこで、電子帳簿保存法により定められているのが、受領からタイムスタンプ付与を含むスキャン保存までの期限です。同一人物が一貫して処理を行う場合は、保存要件にあたる受領からタイムスタンプ付与までの期限が短く設定されています。

2019年の改正以前は、受領者とスキャンする人が同一の場合のタイムスタンプの期限は3日以内でした。作業する者が異なる場合の重要書類のタイムスタンプの付与は7日以内、あるいは業務処理サイクル方式採用で37日以内と定められていました。業務処理サイクル方式とは、社内での書類のチェックや承認を必要としたときの場合のタイムスタンプの付与です。ただし、長期休暇をはさむ場合など、状況によっては期限を厳守することが難しくなります。

そこで、2019年の電子帳簿保存法の改正では、作業者が同一の場合でおおむね3営業日以内になりました。作業者が異なる場合の重要書類のタイムスタンプ付与はおおむね7営業日以内、業務処理サイクル方式でおおむね2ヶ月と7営業日以内に変更されました。「営業日」と「おおむね」が追加されたことで期限が緩和され、やむを得ない事情でタイムスタンプ付与が遅れた場合も保存する電子データとして認められるようになったのです。

電子取引もタイムスタンプが必要?

スキャナによる電子データの保存は、書類を紙で受け取った場合です。郵送やFAX等による受領がケースとしては考えられます。しかし、取引先から書類を受領する方法は、郵送やFAXとは限らないでしょう。メールやクラウドサービスなどを通して、電子データをシステム上で電子データとして受領することもあります。

電子データでの受領の注意点は、やり取りによってはデータの信頼性を保てなくなることです。そこで、電子取引については、スキャナ保存とは別に保存要件が定められています。データ改ざんを防ぐため、2020年の改正以前は、発行者がタイムスタンプを付与した書類を受領後速やかに受領者側でもタイムスタンプを付与すること、あるいは改ざん防止の規定を設けて運用することのいずれかでデータを保存する必要がありました。

タイムスタンプが一部不要になった!2020年の改正

前述のように、電子取引によるデータを電子保存する場合、発行者と受領者でタイムスタンプが必要なこと、あるいは改ざん防止を規定し適切に運用する必要がありました。しかし、厳しい要件により信頼性は確保できるものの、事務処理の負担、導入から運用までの負担がかかります。

2020年の電子帳簿保存法の改正では、電子データの保存を多くの企業がスムーズに取り入れられるように、保存要件が緩和されました。タイムスタンプに関しては、発行者と受領者、両方で必要だったものが、発行者のタイムスタンプ付与のみでも認められます。

2020年の電子帳簿保存法の変更点については、下記の記事でも取り上げているため、そちらをご覧ください。

タイムスタンプの利用方法

タイムスタンプの概要でも説明したように、保存する電子データの信頼性を確保するには、外部からタイムスタンプを取得する必要があります。そこで必要なのが、タイムスタンプを利用できる環境です。

タイムスタンプ利用のためには、以下の3つが必要です。

  • インターネット環境
  • 時刻配信局による時刻からタイムスタンプを配布する時刻認証局※との契約
    ※一般財団法人日本データ通信協会の認定事業者でなければなりません。
  • タイムスタンプが付与できるシステム

以上の環境を整えて、はじめてタイムスタンプが利用できます。タイムスタンプ利用のための準備ができたら、電子データとして保存したい書類をシステムにアップロードします。アップロードした書類に対して、タイムスタンプが付与される仕組みです。

導入価格が気になる!タイムスタンプの費用の仕組み

タイムスタンプの利用には費用が発生します。利用するサービスによって異なりますが、アカウント発行などの導入費用、ほかに毎月発生する利用料がかかるのが一般的です。毎月発生する利用料については、発行したスタンプに応じた従量制(1スタンプあたり〇〇円など)、ほかに定額制があります。1ヶ月あたりのタイムスタンプの利用上限ごとに複数の利用料が設けられているケースも多いです。

なお、タイムスタンプが付与できるシステムには、さまざまなタイプがあります。電子帳簿保存法の対象となる多様な書類にタイムスタンプが付与でき、管理、検証ができるなど、一括で複数の機能を有したサービスほど、かかる費用も大きいです。

自社の電子データ保存の運用、費用も考慮して、より使いやすいタイムスタンプのシステムを取り入れてみましょう。

マネーフォワードクラウド請求書・マネーフォワードクラウド経費ならタイムスタンプ不要で自動電子保存が可能

タイムスタンプは、書類の信頼性確保のために重要なものです。しかし、タイムスタンプには費用面などさまざまなハードルがあり、電子データ保存に移行できていない企業も多く存在します。

2020年の電子帳簿保存法の改正では、受領者側のタイムスタンプ不要のほかに、受領者が自由にデータを改変できないシステムなどを利用していればタイムスタンプの付与は必ずしも必要ではなくなりました。つまり、電子帳簿保存法のデータ保存の要件を満たすシステムを利用してデータ保存をすれば、タイムスタンプを付与しなくても良いのです。

マネーフォワードでは、「マネーフォワードクラウドBox」のリリースによって、タイムスタンプ不要で、電子帳簿保存法に対応したデータの保存ができるようになりました。2021年3月時点で対応しているのは「マネーフォワードクラウド請求書」と連携した請求書などの電子保存です。「マネーフォワードクラウド経費」では対応するプランの申し込みで電子帳簿保存法に対応した電子保存ができます。

改正による緩和により、タイムスタンプが必ずしも必要ではなくなりましたので、簡単に電子保存ができるようなシステムの導入も検討してみると良いでしょう。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

バックオフィス効率化で経理業務をラクにするなら

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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