• 更新日 : 2024年4月11日

法人税申告書の別表12とは?見方や書き方、注意点まで解説

法人税申告書の別表12とは?見方や書き方、注意点まで解説

法人が法人税を申告する場合「法人税申告書」を提出します。法人税申告書には必要に応じて別表を添付しますが、業種や申告内容によって提出する別表が異なります。

今回は、別表の一つ「法人税申告書別表12」についてご紹介します。どの業種が使うのか、そしてどのようなときに使うのかを理解しておきましょう。

法人税申告書の別表12とは

法人税申告書別表12には以下の表のとおり19種類の書類があります。

法人税等各種別表番号別表および付表名
別表12関係12(1)海外投資等損失準備金の損金算入に関する明細書
12(2)中小企業事業再編投資損失準備金の損金算入に関する明細書
12(3)新事業開拓事業者投資損失準備金の損金算入に関する明細書
12(4)金属鉱業等鉱害防止準備金の損金算入に関する明細書
12(5)廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金の損金算入に関する明細書
12(6)特定廃棄物最終処分場に係る特定災害防止準備金の損金算入に関する明細書
12(7)新幹線鉄道大規模改修準備金の損金算入に関する明細書
12(8)原子力発電施設解体準備金の損金算入に関する明細書
12(9)特定原子力施設炉心等除去準備金の損金算入に関する明細書
12(10)保険会社等の異常危険準備金の損金算入に関する明細書
12(11)関西国際空港用地整備準備金の損金算入に関する明細書
12(12)中部国際空港整備準備金の損金算入に関する明細書
12(13)特別修繕準備金の損金算入に関する明細書
12(14)農業経営基盤強化準備金の損金算入及び認定計画等に定めるところに従い取得した農用地等の圧縮額の損金算入に関する明細書
12(15)再投資等準備金の損金算入に関する明細書
12(16)福島再開投資等準備金の損金算入に関する明細書
12(17)特定事業再編投資損失準備金の益金算入に関する明細書
12(18)岩石採取場及び露天石炭採掘場に係る特定災害防止準備金の益金算入に関する明細書
12(19)特定都市鉄道整備準備金の益金算入に関する明細書

別表12は「新幹線鉄道大規模改修準備金の損金算入に関する明細書」や「保険会社等の異常危険準備金の損金算入に関する明細書」など、使用する業種が限定されているものが多いのが特徴です。

その中で、一般的な法人でも関係がありそうなのが、12(1)の「海外投資等損失準備金の損金算入に関する明細書」ではないかと思われます。よって、今回は別表12(1)の書き方についてご紹介します。

ちなみに、法人税申告書の別表は以下からダウンロード可能です。

国税庁「令和5年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和5年4月1日以後終了事業年度等分)」

法人税申告書の書き方については以下を参考にしてください。

法人税申告書の別表12(1)に記載する主な項目と書き方

国税庁によると、法人税申告書別表12(1)は青色申告書を提出する内国法人が措置法第55条「海外投資等損失準備金」の規定の適用を受ける場合に提出するもの、とされています。

海外投資等損失準備金とは、海外で資源の探鉱、開発事業に対して投資をする場合、投資する内国法人に一定割合の準備金の積立を認め、損金に算入できるという制度です。積立割合は探鉱事業で50%、開発事業で20%となっています。

さらに、対象資源は以下に限られます。

  • 石油
  • 可燃性天然ガス
  • 金属鉱物
  • 石炭
  • 木材(開発のみ)

別表12(1)に記載する項目には以下のようなものがあります。

資源開発投資法人の認定(3の欄)

資源開発投資法人の認定番号を記載します。

(6)の特定株式等のうち期末に有するものの取得価額(7の欄)

「特定法人の名称等」の法人が特殊投資法人である場合には、措置法令第32条の2第19項及び第20項【海外投資等損失準備金】の規定により計算した金額を記載します。

同上の20又は50/100相当額の欄(8の欄)

「(6)の特定株式等のうち期末に有するものの取得価額」の金額に係る特定株式等が同条第1項第1号又は第2号に掲げる法人の特定株式等である場合には「又は50」を消し、その金額に係る特定株式等が同項第3号又は第4号に掲げる法人の特定株式等である場合には「20又は」を消します。

法人税申告書 別表12 同上の20又は50/100相当額の欄(8の欄)

法人税申告書の別表12(1)を書く際の注意点

法人税申告書別表12(1)を書く際の注意点を確認しておきましょう。

資源開発投資法人の認定について

資源開発投資法人の認定欄ですが、経済産業大臣が認定した法人でないと記載することはできません。行っている事業が以下のいずれかに限られていることが認定の条件となります。

  • 資源開発事業法人
  • 他の資源開発投資法人にかかる投融資等
  • 当該投融資等および付随事業法人に対する出資
  • 当該投融資等および国外における資源の探鉱、開発又は採取の事業、これらの付随事業に限られている法人

6)の特定株式等のうち期末に有するものの取得価額について

この欄に金額を記載する場合は、金額の計算に関する明細を別紙に記載して添付する必要があります。

資源開発系の事業を行う法人は別表12(1)を要チェック!

法人税申告書別表12(1)は、海外投資等損失準備金を申告するための書類です。ただし、海外に投資している法人であればどの法人でも出せるというわけではありません。提出できるのは資源開発系の事業を行う法人のみです。また、どの資源でもいいわけでもなく、石油、可燃性天然ガスなど資源も限られています。

ほとんどの法人で提出の必要がない書類ですが、間違えて作成しないよう、どのようなものなのかをこの機会に覚えておきましょう。


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