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  • 作成日 : 2020年11月4日
  • 更新日 : 2020年11月6日

買掛金とは?未払金との違いや仕訳例をわかりやすく解説

企業の営業活動において、仕入に関連する勘定科目としてよく使われるのが、掛取引の処理で用いる「買掛金」です。支払義務がある仕入にかかわる科目であることから、仕入債務にも区分されます。この記事では、買掛金に関連して、混同しやすい未払金未払費用との違い、買掛金の仕訳、残高確認や指標として知っておきたい回転期間について解説します。

買掛金とは

買掛金は、掛取引(商品やサービスの代金を後日支払う約束をした取引)の際に使われる勘定科目です。すべての掛取引ではなく、販売する目的で商品を仕入れたとき、商品を製造する目的で材料を仕入れたときなど、「仕入」に関連して使われる仕入債務の性格をもった科目になります。

買掛金の発生する掛取引の特徴は以下のとおりです。

  • まとめて支払いを行うため管理がしやすい
  • 現金取引と比べ大きな額の取引に向いている
  • 信頼のうえに成り立つ取引である

買掛金と同じ仕入債務にあたる支払手形と違って、特定の書類でやり取りするといった決まった形のある取引ではありませんが、現金取引と比べると便利がよいためよく使われます。

企業の決算書である「貸借対照表」にも表示される科目で、以下の図のように、貸方(左側)の負債の部のうち、流動負債の部に表示されます。流動負債に区分されるのは、一般的に支払期間の短い債務であり、営業循環の中で発生する科目だからです。

未払金との違い

後日支払わなければならない点で、買掛金と未払金は似ています。未払金が買掛金と違うのは、商品などの仕入れに関連して発生するものではない点です。未払金は、後日支払う約束をした、固定資産の購入代金の未払い、消耗品や工具備品の購入代金の未払いなどといった会計処理に使う勘定科目です。仕入にひもづかない、一時的な取引の債務を処理する際に使います。

未払費用との違い

未払費用も、後日支払う義務がある点で、買掛金や未払金と似た勘定科目です。異なるのは、買掛金にも未払金にも該当しない継続的な契約で生じる費用に関する科目であることです。例えば、水道料金や電気料金は決まった期日に支払う契約が多いですが、いずれも一定期間の利用分が計算されたあと、後日支払います。決算をまたぐときは、決算日以前に発生した後日支払分を当期発生分の費用と分けなければなりません。貸借対照表上で明確に未払い分を表示するために、決算のときに使われる科目です。

買掛金の会計処理の流れ

買掛金が生じる掛取引は、おおまかに以下のような流れで行われます。

  1. 商品を注文する
  2. 取引先に注文を出します。全額掛取引前提ですと、この段階では、商品の引き渡しが行われていませんし、代金の支払いもありませんので、会計処理は発生しません。

  3. 商品を仕入れる
  4. 商品を仕入れたときに、仕入と掛取引の会計処理を行います。商品を仕入れた時点とは、商品の引き渡しが行われた段階のことをいいます。一般的に仕入と認識されるのは、取引先が出荷した時点、商品を実際に受け取った時点、商品の検収を終えた時点です。認識の基準は各社で異なります。

  5. 請求書を受け取る
  6. 仕入れた商品について、取引先から請求書の送付があります。請求書には支払期限が記載されており、期限までに掛取引で処理した未払分を支払うようにします。請求書を受け取った時点での会計処理はありません。

  7. 商品の代金を支払う
  8. 買掛金として処理した未払分を、現金や預金口座などから支払います。代金の支払いを行った時点で、支払った額分の買掛金が消滅しますので会計処理が必要です。

  9. 買掛金残高を確認する
  10. 取引先に支払った額と相違がないか、仕訳に誤りがないか、取引先の売掛金残高(自社で買掛金として処理している分)と相違がないか、買掛金残高を確認します。

買掛金の仕訳例

買掛金が発生する取引の中で、会計処理が必要になる部分があると説明しました。具体的にどのような処理を行っていくのか、また、買掛金に関連する仕訳にはどのようなものがあるか、基本的な買掛金の仕訳を解説します。

商品を掛けで仕入れた

(例)取引先から、商品50万円を掛けで仕入れた。

借方
貸方
仕入500,000買掛金500,000

商品を全額掛けで仕入れたときの基本的な仕訳です。仕入れた商品が到着したなど、会社の基準で商品を受け取ったときに仕入の処理を行います。このとき、代金未払分は買掛金となり、負債が生じます。

掛仕入の分を支払った

(例)掛仕入50万円を当座預金から支払った。

借方
貸方
買掛金500,000当座預金500,000

値引きや返品があったとき

(例)仕入れた商品に汚れや破損があったため2万円分を返品した。

借方
貸方
買掛金20,000仕入20,000

仕入れた商品について汚れや破損、数量違い(本来注文した数より少ない)があったとき、掛取引による場合は、買掛金から返品や値引き分を減額することが多いです。「仕入戻し」や「仕入値引」などの勘定を使わない仕訳では、仕入と買掛金を相殺します。

掛仕入について約束手形を振り出した

(例)掛仕入50万円について、同額の約束手形を振り出した。

借方
貸方
買掛金500,000支払手形500,000

買掛金の支払いについて、約束手形を振り出すことがあります。この場合、買掛金を解消すると同時に、支払手形が負債として生じたという会計処理を行います。

同一の取引先の売掛金と相殺した

(例)買掛金があるA社について、A社の了解を得て、A社に対する売掛金25万円と相殺することにした。

借方
貸方
買掛金250,000売掛金250,000

仕入先と売上先が同一である場合に生じる可能性のある取引です。負債として抱える買掛金について、同じ会社に債権である売掛金がある場合、取引先の同意を得て、買掛金と売掛金とを相殺することがあります。このとき、売掛金・買掛金それぞれの残高から相殺金額を減額する会計処理を行います。

買掛金の残高について

買掛金が生じる掛取引の流れで、買掛金残高の確認を行うことを説明しました。買掛金残高の確認は取引のたびに実施するようなものではありませんが、適切に会計処理が行われているか見るために、定期的な確認が必要です。少なくとも、決算前には残高を確認して、内容を検証する必要があるでしょう。

しかし、掛取引の多い会社では、買掛金残高にひもづく取引が多数あると推測され、総勘定元帳などを使ってひとつひとつ検証するのは時間がかかります。

買掛金の残高を確認するために主に活用するのは補助元帳の一種である「買掛金元帳」です。総勘定元帳が、各科目のすべての取引、買掛金なら買掛金に関連するすべての取引が記載されているのに対して、買掛金元帳は取引先ごとの残高や取引が確認できる帳簿です。

会計ソフトを使って会計処理を行っているなら、買掛金に取引先名の補助科目をつけることによって、自動的に買掛金元帳が作成されます。買掛金元帳を使って買掛金の残高を確認する主な理由は以下のとおりです。

  • 買掛金の会計処理の漏れがないか確認するため
  • 会計処理の金額に誤りがないか確認するため
  • 監査を受けている取引先の残高確認に対応するため

このように、会計処理に誤りがないか確認するための意味もありますが、自社や取引先の監査に対応するためにも買掛金の残高確認は重要なフローとなっています。

買掛金の回転期間と回転率

買掛金に関連して、債務の状況を確認したり、資金繰りとひもづけて分析したりするために、回転期間や回転率といった指標を使うことがあります。

買掛金の回転期間は以下のとおりです。

買掛金の回転期間(日数)=買掛金残高÷(売上原価÷365日)

回転期間は、買掛金の支払いまでに要した平均的な日数を示します。前期と比べて支払いまでの期間はどうかなど、期間比較のために使われる指標です。

買掛金の回転期間は、資金繰りと関係の深い指標で、前期と比較して取引先からの要望などで回転期間が短くなっている場合、資金繰りが苦しくなることがあります。買掛金の支払いは、売上の代金を回収したあとに行うのが資金繰りの面ではベストですが、回転期間が短いと、代金を回収する間もなく支払いが発生している可能性があると分析できます。

しかし、回転期間が長いからよいわけでもありません。資金繰りが悪化しているせいで、買掛金の支払を遅らせているケースもあります。実際の資金繰りと比較して分析しましょう。

一方、買掛金の回転率は、以下のように求めます。

買掛金の回転率=(売上原価÷買掛金残高)×100

買掛金の回転率は、回転効率を%(パーセント)に直しただけで、回転期間と基本的には同じ、買掛金の支払状況を示した値です。買掛金の回転率は、買掛金の回転期間(年)の逆数であるため、同じ指標を別角度から見ているようなイメージになります。いずれの指標を利用する場合も、異常値がないか、過去と比較して分析することが重要です。

なお、買掛金だけでなく、支払手形などそのほかの仕入債務がある場合は、仕入債務の総額を使って分析することもあります。

買掛金は仕入債務のうち掛取引にかかわる勘定科目

買掛金は、貸借対照表の負債の部に表示される科目で、仕入債務のひとつです。商品の仕入れに関して、掛取引を行ったときの会計処理に使います。

掛取引は、取引先との信用の上で成り立つ取引であるため、買掛金の管理は重要です。買掛金元帳を用いて、処理に問題がないか、支払いに問題はないか、定期的に確認する必要があるでしょう。

また、買掛金は資金繰りにも大きく影響してきます。資金繰りの悪化について分析する際には、買掛金の回転期間や回転率を用いて異常値が出ていないことを分析することが重要となります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。

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