- 更新日 : 2024年8月22日
連結貸借対照表とは?分かりやすく解説!
連結貸借対照表とは、企業集団の連結決算時において作成される連結財務諸表のひとつで、企業集団全体の資産、負債、純資産の状態を表すためのものである。
連結貸借対照表とは
連結貸借対照表(れんけつたいしゃくたいしょうひょう、Consolidated Balance Sheet)は、親会社とその子会社を一つの経済単位として見なして作成される財務諸表の一つ。これにより、グループ全体の財務状況を一目で把握することができる。
単に親会社と子会社の単独貸借対照表を合算しただけでなく、企業集団内部の取引で生じる金額を相殺消去したうえで計上する必要がある。
また、親会社の支配力が認められる会社は子会社として全部連結され、親会社の影響力が認められる関連会社には持分法が適用される。
全部連結による連結貸借対照表
ある企業集団の親会社Aと子会社Bの単独対照表が下記の通りであったとする。
ただし、当期A社は当初資本1000のB社の株式のうち60%を取得し、60%子会社としたとする。
A社
借方・資産 5000 /貸方・負債 2000
(子会社株式600) 資本 3000
B社
借方・資産 1900 /貸方・負債 300
資本 1600
(当初資本 1000)
(当期純利益 600)
A社の貸借対照表には取得したB社の株式600が計上されている。一方、B社の貸借対照表では当期純利益分の600だけ資本勘定が増加している。
この個別決算を全部連結した連結貸借対照表は次の通りになる。
借方・資産 6300 / 貸方・負債 2300
(子会社株式)0 少数株主持分 640
資本 3360
全部連結の場合、資産および負債はA社とB社の合算を行うが、このうちの重複勘定は相殺消去しなくてはならない。したがってA社所有のB社株600とB社の初期資本勘定1000のうちの60%を相殺し、残りの40%にあたる400が少数株主持分となる。
また、当期純利益として計上された600のうち40%が少数株主持分となるため、240が少数株主持分に加算され、のこり360が連結上の資本として加算される。
持分法による連結貸借対照表
同上の連結貸借対照表を持分法にすると下記のようになる。
借方・資産5360 /貸方・負債 2000
(子会社株式960) 資本3360
持分法の場合、A社におけるB社株式の持分が増加した分だけ、A社が所有する株式勘定の価値を増加させる。すなわちB社の当初資本が1000であったのに対し、期末には1600に増加したわけであるから、A社の持分は1600×60%=960となっている。
持分が600から960に増加したのであるから、増加分の360だけ子会社株式勘定を増やし、同額を資本勘定にも増加させる。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
日本ITソフトウエア企業年金基金に加入するメリットまとめ
毎月の給与などで年金分の金額を引かれるように、全ての国民には年金を払う義務があります。年金は65歳になって初めて受け取ることができる制度です。 今回はその年金基金の中でも、日本ITソフトウエア企業年金基金についてご紹介します。 日本ITソフ…
詳しくみる自己株式とは?取得・消却のメリットや制限、手続きをわかりやすく解説
上場企業では、比較的頻繁に行われている自己株式の取得や消却ですが、中小企業でも自己株式の取得や消却を行う会社が増えてきました。それは、自己株式の取得や消却にさまざまなメリットがあるためです。しかし、自己株式の取得には制限もあります。 ここで…
詳しくみる会計ソフトの乗り換えはいつがベスト?互換性にも注意!
使用している会計ソフトの使用感、機能に限界を感じ、会計ソフトを乗り換えたいと感じている個人事業主、また経理担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。乗り換えの壁となるのが、互換性などの問題が残る他社ソフトへの乗り換えかと思います。この記…
詳しくみる軽減税率に向けた「業種別の影響と対応」 飲食や小売はどうなる?
2019年10月1日の消費税増税とあわせて始まる軽減税率。高齢社会の中で消費税の引き上げがやむを得ない一方、引き上げによって生活が著しく困窮することないよう一部は消費税8%に据え置かれます。 生活の影響についてはある程度は想像しやすいですが…
詳しくみる固定資産の定義とは?種類や金額基準、償却方法や節税対策を解説
会社を正しく経営していくためには「固定資産」への理解は必要不可欠です。しかし、経理の実務経験がなければ、そもそも固定資産について学ぶ機会は少なく、内容まですべてを理解している方の方が少ないでしょう。 そこで当記事では、固定資産の概要や種類、…
詳しくみる個別財務諸表とは?連結財務諸表との違いや包括利益表示について
財務諸表は、個別財務諸表と連結財務諸表に分けられます。個別財務諸表とは、ある1つの企業の財務諸表のことです。この記事では、個別財務諸表と連結財務諸表の関係や個別財務諸表での包括利益の表示、個別財務諸表の作成の注意点などについて解説します。 …
詳しくみる