• 作成日 : 2023年10月17日

中間決算や連結決算とは?期間別・対象の会社数別に種類を紹介

決算は、一定の期間内における損益や財政状況、キャッシュの流れの把握に重要な業務です。中間決算や連結決算など数種類に分類され規定や法的な義務が異なるため、それぞれの違いを正確に把握しておきましょう。

本記事では、各種決算を期間別や対象となる企業数ごとに詳しく紹介します。財務諸表の作成ポイントや業務のやり方も簡潔に解説していますので、自社が行わなければならない決算を正確に把握したい企業の方はぜひ参考にしてください。

【期間別】決算の種類

中間決算や連結決算とは?期間別・対象の会社数別に種類を紹介
決算には、次の4種類があります。

分類する基準は、決算の対象期間と実施のタイミングです。それぞれの種類の違いを見ていきましょう。

本決算

本決算とは、当該年度の事業活動すべてを総括する業務のことです。年度の区切りは4月1日〜3月31日とするのが最もポピュラーですが、事業の内容によって任意に設定しても構いません。次年度の方針決定や株価に大きな影響を及ぼすため、最も重要性の高い決算だといえます。

決算に関して、くわしくはこちらの記事もご一読ください。

 

作成する資料

本決算で作成する財務諸表は、主に以下の3種類です。

  • 損益計算書(P/L)
    売上・損益等の経営成績をまとめた書類であり、年度内の収益や費用の内訳がわかります。前年度分と比較すれば、企業分析が可能です。
  • 貸借対照表(B/S)
    決算日時点のリソース・負債等の額や比率を始めとする財政状況を記した書類です。バランスシートとも呼ばれ、利害関係者に企業の健全性をアピールできるだけではなく適切な経営判断の資料にもなります。
  • キャッシュ・フロー計算書(C/F)
    年度内の現金・預金等の動きを示す書類であり、有価証券報告書の提出義務がある上場企業は必ず作成しなければなりません。作成義務がない企業にとっても、収益発生と実益回収の時期のズレを見越した適正な資金繰りを検討する際の有益な資料になります。

上記の決算書は、企業の年間成績・成果や現在の財政状況を示す書類として株主総会で利害関係者に向けて公開されます。株主総会で承認された各種決算書から税務申告書を作成し、最終的に税務署に報告しなければなりません。

決算業務の流れ

本決算の業務の流れは以下のとおりです。

  1. 当該年度の記帳を完了して試算表や明細書を作成する
  2. 帳簿上と実際の資産・負債の残高確認および実地棚卸を行い、仕訳を修正する
  3. 仕訳の最終修正として決算整理仕訳を行う
  4. 決算書を作成する
  5. 株主総会で決算報告する
  6. 確定申告書を作成・提出する

決算業務は株主総会までに完了させなければならず、事前準備および計画的なスケジューリングが重要です。

取引先との連携が必要な業務や​​煩雑な手続きが多いため、本決算に備えて定期的な帳簿・書類の整理を行っておくとスムーズに作業を進められるでしょう。

中間決算

中間決算とは、当該年度の半期時点で実施する財政状況・経営活動の取りまとめ業務です。本決算の中間に当たるタイミングで行われます。中間決算を実施すれば、利害関係者の適切な投資判断を促すだけではなく、企業の現状把握および経営方針の転換がスムーズに行えるでしょう。また、年度の中間状況を明らかにしておけば、本決算の業務負担を軽減できます。

中間決算は、有価証券報告書の提出義務がある上場企業のほか、銀行業や保険業等の一部の企業においても実施および開示しなければなりません。中小企業の場合、取引先から中間報告の提出を求められるケースもありますが、基本的には任意です。

作成する資料

中間決算では、以下の3種類の財務諸表を作成します。

  • 中間損益計算書
    年度の中間における売上・損益等の内訳や経営成績を示す書類です。収益や費用は、定められた項目に分類して正しく記載する必要があります。
  • 中間貸借対照表
    年度の半期時点での財務チェック結果を記す書類です。資産や負債および純資産等は、それぞれの項目に分けて記載しなければなりません。
  • 中間キャッシュ・フロー計算書
    年度当初から半期までのキャッシュの流れを表した書類です。中間連結財務諸表を作成していない会社において作成することが定められています。

中間決算といっても本決算と同様の書類が必要であり、期限内に作成を完了させるには早期からの準備が欠かせません。

決算業務の流れ

中間決算における業務の流れは以下のとおりです。

  1. 半期時点の損益を予測する
  2. 現時点の財政状況から年度における課税所得を試算する
  3. 法人税の納付予定額を算出して今後の資金繰りを検討する
  4. 実地棚卸を行い、リソースおよび各種残高を比較・確認する

前年度での法人税の金額が年額20万円以上の場合、原則として昨年の税額の6ヶ月分をあらかじめ納付しなければなりません。納付期限は、中間決算日から2ヶ月以内です。

簡便的な会計処理が認められている

中間決算財務諸表においては、回数増加による業務負担を軽減するため「簡便法」による合理的な会計処理が認められています。簡便法が適用されるのは、次の項目です。

  • 法人税等の金額算出
  • 連結会社間の取引

税金の算定方法は通常であれば本決算と同じですが、中間決算においては純利益に合理的に見積もった実効税率を乗じて算出できます。また、連結会社間の相互取引で生じた債権・債務の差や卸資産の未実現損益は相殺・消去することが可能です。

四半期決算

四半期決算とは、当該年度を4つに分けて業績や経営状況を任意で報告する業務です。3ヶ月を一期分とし、それぞれ第1〜第4四半期(1Q〜4Q)と呼ばれます。2024年まで、その他の決算業務と同じく有価証券報告書の提出義務がある上場企業は四半期決算を実施しなければなりません。中間決算より短いスパンで事業の経過確認ができるため、利害関係者に大きなメリットがあることに加え、経営上の課題の確認・把握および解決もスピーディーに行えるでしょう。

作成する資料

四半期決算では、次の3種類の財務諸表を作成してください。

  • 四半期損益計算書
    3ヶ月おきに収益・費用・利益をチェックするための書類です。開示対象は、期首からの累計期間・四半期会計期間・前年度の各対応期間となっています。
  • 四半期貸借対照表
    当該会計期間の末日における資産・負債の状況を示す書類です。
  • 四半期キャッシュ・フロー計算書
    当該会計期間内のキャッシュ・フローを示す書類です。

基本的に、四半期決算でも他の決算と同様の書類を作成します。

四半期決算日から45日以内に作成・提出しなければならず、迅速な会計処理が必要です。ただし第1および第3四半期においては、累計期間中における無形固定資産減価償却費および、のれんの償却額を注記すればキャッシュ・フロー計算書が省略できます。

決算業務の流れ

四半期決算の業務の流れを確認していきましょう。

  1. 当該期間の会計を処理して金額や数値を集計する
  2. 売上や費用を確認・比較して決算整理仕訳を行う
  3. 変更点やセグメント情報等の注記事項をまとめる
  4. 決算書を作成して必要に応じて報告する

四半期決算の財務諸表では、重要度の高い主要な項目以外を集約して記載することが可能です。また、キャッシュ・フロー決算書のうち営業活動に関する項目については小計を記載する必要はありません。

簡便的な会計処理が認められている

中間決算と同様に、四半期決算でも迅速に作業が進められるよう、一部の会計処理に簡便法が適用されます。簡便的な会計処理が認められている会計処理は、以下のとおりです。

  • 棚卸資産における実地棚卸の省略
  • 定率法による減価償却費の期間の按分
  • 支給する退職金における期間の按分
  • 連結会社間における債権・債務の差異の相殺および未実現損益の消去
  • 一般債権の貸倒見積高による算定
  • 収益性が低い棚卸資産の簿価切下げ
  • 原価における差異の割り当て
  • 固定資産の減価償却費の算定
  • 経過勘定項目の処理
  • 税金の算定

ただし、上記の簡便法による会計処理は利害関係者の利益を損なわない範囲で行わなければなりません。

月次決算

月次決算とは、毎月ごとの資産・取引などを集計する業務です。主に社内の経営状態の把握を目的として行う決算であり、法的な実施の義務や期日等の指定はありません。

任意とはいえ企業の経営状況が細やかに確認できるため、経営判断の迅速化やその他の決算業務の負担軽減に繋がるでしょう。また月次決算を行うことで、融資の判断においても有利に働く可能性があります。

作成する資料

月次決算では、以下5種類に該当する書類を作成するのが一般的です。

  • 月次損益計算書…一月分の損益計算書です。部門別に作成しておくと、事業における損益が明確になります。
  • 月次貸借対照表…月の末日における貸借対照表です。
  • 月次推移キャッシュ・フロー計算書…一月分のキャッシュの流れを記載した書類です。
  • 資金繰り表…今後の資金繰りを検討するための資料です。
  • 受注・在庫等の管理表…一月分の取引の状況を把握する表です。
  • 売掛金の一覧…当該月における未回収の売掛金をまとめた書類です。

月次決算書には対象や様式などの定めがなく、必要に応じて書類を追加・削除しても構いません。毎月行う業務のため、チェックリストを作成してルーチン化すればスムーズに作業が進められるでしょう。

月次決算処理やチェックリストの作り方に関しては、こちらの記事を参考にしてください。

決算業務の流れ

月次決算の業務は、以下のステップで行います。

  1. 帳簿上と実際の預金残高を確認する
  2. 月次の棚卸を行い在庫数と金額を確定する
  3. 仮勘定・仮受金を適切な科目に整理する
  4. 当該期間の未払・前払費用等の経過勘定を各科目に計上する
  5. 減価償却や賞与・退職金等の月次見積額を計上する
  6. 記帳して売掛金・買掛金をチェックする
  7. 月次決算書を作成する

月次決算業務は、スピーディーかつ高精度で行うことが大切です。帳簿や残高などの状況を確認する際は、確実に金額・数値を一致させておくと年度末の決算がスムーズになります。

【対象となる会社数別】決算の種類

中間決算や連結決算とは?期間別・対象の会社数別に種類を紹介
決算は、対象となる会社の数で以下2つに分類されます。

  • 単独決算
  • 連結決算

それぞれの特徴と決算の目的を確認していきましょう。

単独決算

単独決算とは一社のみで実施する決算業務であり、個別決算や単体決算とも称されます。主に中小企業や小規模事業者において単独決算が行われており、大企業の本決算等には適していません。

なぜなら、複数の子会社を抱える企業が本決算を単独で行うと正確な売上高や財政状況が決算書に反映できないからです。そのため、大企業が単独決算を実施する場合は月次決算が大半でしょう。

連結決算

連結決算とは、親会社と子・グループ会社の複数社を一つと見なして集計する決算業務です。親子間の取引実績を除外できるため、正確な業績が計上できます。連結決算を実施する際は、各子・グループ会社から集めた個別決算書をもとに連結財務諸表を作成する流れです。グループ全体の経営状況が可視化され不正防止に繋がりますが、親子間のすべての取引を集計しなければならないため非常に煩雑な業務でもあります。

まとめ

決算と一口に言っても、期間や対象となる会社数によって複数の種類があります。それぞれ作成する資料や業務の流れが異なりますが、総じて煩雑な作業であり日頃から業績や財政状況をこまめに管理しておくことが重要です。

しかし、通常の業務を行いつつ定期的な決算を行うのは非常に負担が大きく専門性も求められます。本決算や中間決算等の報告期限がある種類の決算では迅速に作業を進めなければならず、正確さも欠かせません。

よくある質問

中間決算とは?

中間決算とは、年度の半期の財政状況・経営活動を報告するための決算業務です。上場企業においては、中間決算書の作成・提出が義務付けられています。投資の促進や経営方針の定期的な見直しが主な目的です。

本決算と中間決算の違いは?

本決算と中間決算の違いは、決算の対象期間と実施のタイミングです。本決算は1年間の事業の総括として年度末に1回のみ実施されます。一方、中間決算は半期分の損益や財政状況およびキャッシュ・フローの取りまとめとして年度の中間時に実施する業務です。


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