- 更新日 : 2021年9月6日
送料の勘定科目は?仕訳方法を仕入時や消耗品購入などケースごとに解説

商品を仕入れたときや販売したとき、遠方の業者やインターネット通販を利用して消耗品を取り寄せたとき、荷物を送ったときなど、さまざまな場面で送料が発生することがあります。しかし、会計上は必ずしも「送料」という区分で仕訳をしない点に注意が必要です。この記事では、送料に関わる勘定科目や、送料が発生するいくつかのケースを仕訳例とともに解説します。
目次
経費計上はどうする?送料が発生した際の仕訳と勘定科目
宅配便やゆうパックなどを利用し単独で送料が発生したようなケースでは、「荷造運賃」や「通信費」という勘定科目を使って仕訳をし、経費計上することが多いといえます。しかし送料がかかる場合であっても、必ずしもこれらの科目で処理するとは限りません。
つまり、送料を付随費用と捉え、別の費用項目などに含め処理することもあります。送料分を単独で処理する場合、あるいはほかの費用項目に含めて処理する場合について、ケースごとに勘定科目と仕訳を見ていきましょう。
商品を仕入れたときの送料
商品を仕入れたとき、取引相手が送料を負担するケースについては、仕入代金に影響しないため特に考える必要はありません。仕入時の送料について考える必要があるのは、商品を仕入れる側である自社が送料を負担するようなケースです。仕入時に送料を負担する場合の仕訳では、「仕入」に含めるケースと「仕入諸掛」で処理するケースの2パターンが考えられます。
「仕入」に含めて処理するケース
(仕訳例)商品30万円を仕入れて掛けとした。仕入時にかかった送料5,000円は受け取りの際に現金で支払っている。
※仕入時の仕訳は三分法により処理しています。
販売する商品を受け入れた際の送料も含め、仕入れに際して要した費用は、原則として取得価額(上の仕訳では「仕入」)に含めることとされています。そのため、内容が送料であっても「仕入」に含めて会計処理を行います。
「仕入諸掛」で処理するケース
(仕訳例)商品30万円を仕入れて掛けとした。仕入時にかかった送料5,000円は受け取りの際に現金で支払っている。
※仕入時の仕訳は三分法により処理しています。
「仕入諸掛(しいれしょがかり)」とは、送料や販売手数料などの仕入れに要した付随費用のことをいいます。送料については「仕入」に含めず、「仕入諸掛」として処理することが可能です。
仕入諸掛は、仕入れに付随する費用が期中にどれくらいあったかを管理するための勘定科目です。期末時には、仕入諸掛として計上していたもののうち、売上原価に対応する部分を「仕入」に算入する処理を行わなければなりません。結果として、期末決算整理後の「仕入」の額は、送料を「仕入」と「仕入諸掛」のどちらに計上しても同額になります。
商品を販売したときの送料
商品を販売したときの送料については、自社で負担したときと、取引先もちで一時的に負担したときの主に2パターンが考えられます。
送料を自社で負担したとき
(仕訳例)商品50万円を販売し代金は後日受け取ることになった。商品発送時にかかった送料1万円(当社負担)は発送時に現金で支払っている。
※仕入時の仕訳は三分法により処理しています。
送料を自社で負担するケースでは、送料が自社の費用になると確定しています。そのため、発送料は「荷造運賃」として売上の対価とは別に処理します。
送料が取引先もちの場合
(仕訳例)商品50万円を販売し代金は後日受け取ることになった。商品発送時にかかった送料1万円(取引先負担)は発送時に現金で支払っている。
※仕入時の仕訳は三分法により処理しています。
販売時の送料については、取引先との契約によって相手が負担するケースもあります。着払いも選択肢にありますが、発送時に自社で送料分を負担し、売掛金などと一緒に後日回収するケースも多いでしょう。
上の仕訳は、このように自社で一時的に送料を負担した場合の例です。送料分は取引先の代わりに一時的に負担したもので後日回収できるため、この場合に適した勘定科目は「立替金」となります。また、後日回収する金額であり売上に関わる代金であることから、送料分をすべて「売掛金」に含めて処理することもできます。
消耗品や固定資産を購入したときの送料
消耗品や固定資産を購入したときに発生する費用について、特に注意したいのは、固定資産を購入したときの送料です。
固定資産を購入したときの送料
(仕訳例)20万円のパソコン1台を購入し現金で支払った。このとき送料5,000円が発生し、送料も現金で支払っている。
固定資産を取得したときの付随費用は、原則として固定資産の取得価額に含めることとされています。付随費用とは、引取運賃や運送保険料、購入手数料など、固定資産を取得するために要した費用のことです。送料は引取運賃にあたるため付随費用と認識し、固定資産の取得価額(上の例では備品の取得価額)に含めて計算します。
消耗品を購入したときの送料
(仕訳例1)2万円の工具セットを1セット購入し、送料800円を現金で支払った。
消耗品費とは、使用可能期間1年未満、取得価額10万円未満の減価償却資産を含む消耗性のあるものを取得したときの費用です。この仕訳例のケースで、送料は消耗品を取得するために発生していますので、消耗品費に含めて処理できます。
(仕訳例2)2万円の工具セットを1セット購入し、送料800円を現金で支払った。
送料を分けて計算したいときは、送料分を荷造運賃として処理することもできます。ただし本来、荷造運賃は商品を発送するときに使われる科目なので、送料分は消耗品費に含めて処理する方が無難です。
支社に備品や商品を送ったときの送料
支社がある場合、支社で商品を販売するために本社から商品を送付するケースや、本社の備品を支社に送るケースなどが考えられます。この場合は送料のみが発生しますが、その扱いはどうなるのでしょうか。
(仕訳例)支社に販売のための商品50個を送り、送料5,000円を現金で支払った。
本社から支社に販売用の商品を送付するときなどは、取引先に商品を発送するときにも使う「荷造運賃」を使用すると良いでしょう。相手は取引先ではありませんが、商品を販売するために必要な送料であることに変わりはないためです。
一方で、備品などの販売しないものを支社に送ったときはどうなるでしょうか。この場合の送料についても荷造運賃に計上できますが、前述のとおり、荷造運賃は商品を販売するための送料であるため、あまり適していません。備品などを支社に送る頻度が高くない場合は、「雑費」などの科目を使って処理する方法もあります。
そのほかの送料の処理
ここまで解説したような商品の仕入れや販売にともなうもの、消耗品や固定資産購入時、本社と支社間のやり取りで発生するもの以外の送料の処理について、主なケースを取り上げます。
お歳暮やお中元にかかる送料は交際費になる
慣習上、お歳暮やお中元などを取引先に送ることもあるでしょう。直接持参する場合を除き、ほとんどの場合は宅配便などを利用して取引先に送るため、送料が発生します。この場合の送料の扱いは以下の仕訳例のとおりです。
(仕訳例)取引先宛てのお歳暮の品を注文し、品代5万円と送料5,000円を現金で支払った。
接待交際費とは、取引先などに対して事業上必要な接待や贈答を行ったときに要した費用を処理する勘定科目です。お歳や暮お中元の品代と送料は分けて考えず、送料分も品代と同じく接待交際費に含めて処理します。
書類を送付したときの郵送料や切手代の処理
書類を送付する際の送料、たとえば郵便切手代やレターパック代などは、通信費として処理します。通信費とは通信に要した費用のことで、相手先が取引先でも自社でも使うことができるものです。また、宅配便の送料を通信費に含めることもあります。
(仕訳例)取引先宛てに文書を送付するため520円のレターパックプラス1部を現金で購入した。
送料は仕入に含んだり通信費で処理したりと、状況により勘定科目が変わる
送料に関わる勘定科目の代表例は「荷造運賃」や「通信費」ですが、このような科目として処理するのではなく、付随費用と捉えて取引のメインになる勘定科目に含めることもあります。仕入れの際や、固定資産購入の際などの送料の処理が代表的な例です。さまざまなパターンが考えられますので、状況別に仕訳の方法を押さえておきましょう。

マネーフォワード クラウド会計の導入事例
金融口座の取引明細データが自動で取り込まれ、各取引の勘定科目も自動で仕訳される。以前はインストール型ソフトを利用していたので、それがクラウドに変わるとこれほど自動化されるものなのかと本当に驚きました。
株式会社久松農園 久松 達央 様
よくある質問
商品を仕入れたときの送料の仕訳は?
原則、「仕入」に送料を含めて処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
商品を販売したときの送料の仕訳は?
自社で負担するときは「荷造運賃」で処理し、取引相手が負担する送料を一時的に支払ったときは「立替金」で処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
郵便物の送料はどう仕訳をする?
郵便物の送料は通信に要した費用であるため「通信費」で処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
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