- 更新日 : 2026年4月22日
重要性の原則とは?金額での判断基準や適用例についてもご紹介
本記事では、企業会計の基本的なルールのひとつ「重要性の原則」について、具体的に解説します。重要性の原則とは、重要性の乏しいものに関する例外的な会計処理を認める規定です。重要性の原則によって会計処理をすることは税務上も認められており、法人税にも影響します。経理や会計担当者なら知っておきたい知識ですので、最後まで目を通してみてください。
目次
重要性の原則とは
重要性の原則は企業会計原則注解に次のように規定されています。
[注1] 重要性の原則の適用について
企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる。
引用:新版 会計法規集 第10版(中央出版社)
重要性の原則とは、企業会計の基本的なルールである「企業会計原則」の一部です。重要性の原則は、企業会計原則の軸となる一般原則には含まれていません。重要性の原則が言及されているのは、一般原則に準ずる位置づけの「企業会計原則注解」の部分です。あくまでも一般原則を補足する役割の記述であることが特徴といえます。
重要性の原則の意義・内容
重要性の原則に記されていることの意味をまとめると、おおむね以下の内容です。
- 会計上の重要性に乏しい軽微なものは、本来の厳密な会計処理ではなく簡便に処理してかまわない。
- 重要性の低い取引に関して簡便な会計処理を行っても、それは正規の簿記の原則に違反したものとはならない。
つまり、重要性が低く全体に与える影響が少ないものは、原則通りでなくても簡易的な会計処理を行ってよいということが記されています。
重要性の原則の位置づけ
重要性の原則は、「企業会計原則の一般原則」に位置づけられていると思われがちです。しかし、実際に重要性の原則について記載されているのは「企業会計原則注解」の部分となります。
企業会計原則の一般原則では、原則的な会計処理のルールについて説明されています。しかし、原則はあくまでも原則であり、実務上例外は発生するものです。企業会計原則注解は、例外処理を認めるための根拠としてしばしば引用されます。
重要性の原則によって、全体に影響を与えるような重要な内容でなければ、簡便な会計処理が可能になっています。重要性の原則が会計事務の円滑化に大きく寄与しているというわけです。
企業会計原則の一般原則の例外
企業会計原則とは、1949年に旧大蔵省(現金融庁)によって発表された企業会計の原則のことです。それまで会計において慣習的に守られてきたルールが、改めて明文化される形で規定されたものがこの原則です。
一般原則に記されている内容は、今日のコンプライアンス遵守で求められる内容とも近しいものです。そのため、あえて言及される機会が少なく「企業会計原則というものを初めて知った」という人も多いかもしれません。
企業会計原則を守らないと、ただちに法律違反になるわけではありません。ただし、企業会計においては遵守するのが当たり前のルールです。金融関係の法令は基本的に企業会計原則をベースに作られており、企業会計原則を守らないと間接的に法令違反につながる恐れもあるのでご注意ください。
企業会計の一般原則について詳しく知りたい人は、以下のリンクも参考にしてください。
企業会計では、一般原則に従うのが大前提です。ただし、場合によっては例外的対応が適切な場合もあるでしょう。例えば、金額が小さいときには、厳密にルール通りの仕訳をせずに簡易的な会計処理をすることもあります。こうした処理を可能にするための論拠が「重要性の原則」です。
重要性の原則は一般原則ではなく注解で言及されており、一般原則のような必ず守らなければならないルールではありません。柔軟な会計処理を行うために適宜引用が認められている記述だと理解しておきましょう。
重要性の原則の具体的な適用例
金額的重要性が低いと判断される場合には、重要性の原則を適用して簡易的な会計処理を行うことが可能です。
重要性の原則の適用例を紹介します。
- 消耗品や備品、貯蔵品のうち少額なものは購入時に一括して費用処理できる(20万円以下の減価償却資産を一括償却資産として費用処理できるのもその一例)
- 前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち少額なものは経過勘定を使わずに処理できる
- 重要性の低い引当金は計上しないこともできる
- 棚卸資産の取得原価に含められるべき関税、事務費、保管費などの付随的な費用で重要性が低いものは、取得原価に含めなくてもよい
上記は一例なので、違う場面でも重要性の原則が適用できる場合もあります。
重要性の判断基準
企業会計原則注解には重要性の判断基準や金額基準は明記されていません。そのため、金額の大小や性質によって判断されると考えるのが一般的です。
あくまでも慣例的なものですが、重要性の判断基準に「税引前当期純利益の5%」未満であれば重要性の原則を適用できるといわれています。ただし赤字の場合は、この目安も適用できません。そのため実際には、状況に応じて適用可否が判断されると考えておきましょう。
重要性の原則と正規の簿記の原則の関係
ここまでで「正規の簿記の原則」という言葉を用いる場面がありましたが、正規の簿記の原則と重要性の原則の関係について確認しておきましょう。
正規の簿記の原則とは、企業会計原則の一般原則のうちのひとつです。正規の簿記の原則では、正確な会計帳簿の作成とそれに基づいた正確な財務諸表の作成が求められています。
正規の簿記の原則に細部まで従うと不具合が起きることがあります。例えば、ごくわずかな金額にも関わらず煩雑な会計処理が必要になったり、決算時に発覚した軽微な間違いを複雑な会計処理で修正したりといった具合です。
こうした際に、重要性が乏しければ簡便な方法での対応を認めるのが重要性の原則です。正規の簿記の原則がベースにありつつも、その例外的運用を認めることが重要性の原則ということになります。重要性の原則は実務的観点から作られたルールなのです。
「重要性の原則」は重要性の乏しいものに関する例外的な会計処理を認める規定
本記事では、企業会計原則注解に記載のある「重要性の原則」について説明しました。重要性の原則を実務の中で意識する機会は少ないかもしれません。しかし、企業会計原則を体系的に理解することで、会計への理解をより一層深めることが可能になります。例外的対応を行う際には、その背景に重要性の原則があることを意識してみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
重要性の原則とは?
会計上の重要性に乏しい軽微なものは、本来の厳密な会計処理から逸脱して簡便に処理してかまわないという考え方。詳しくはこちらをご覧ください。
重要性の原則が適用できる目安とは?
あくまでも慣例的な目安だが、「税引前当期純利益の5%」未満であれば重要性の原則を適用できると考えられる。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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