- 更新日 : 2024年8月8日
クラウド会計ソフトとは?コスト、特徴、メリット・デメリット等を解説
会計業務の効率化のために、クラウド型会計ソフトの導入を検討してみましょう。
クラウド型会計ソフトはデータがクラウドに保存されるため、場所を選ばずに作業ができます。また、常に最新の状態にアップデートされたソフトを使うことができ、税理士との共有もしやすいといったメリットもあります。
本記事では会計業務を見直したい法人や個人事業者の方のために、クラウド型会計ソフトの種類や機能、特徴、比較のポイントなどをお伝えします。
目次
そもそも会計ソフトとは?
会計ソフトとは、仕訳から決算書作成を行うソフトウェアのことです。
近年では、仕訳から決算書作成を行う基本的な機能に加えて、給与計算や年末調整に対応できる機能や確定申告書(主に所得税、消費税)を作成できる機能を持つものもあります。
また、会計ソフトには大きく分けてインストール型とクラウド型の2種類がありますが、今回は主にクラウド型の会計ソフトについて解説していきます。
クラウド型の会計ソフトの特徴
クラウド型の会計ソフトのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
- 複数のPC、タブレットやスマホから使える
- 自動でバージョンアップ(主にバグ修正や税法改正のとき)
- OSが関係ない
- 税理士とのやり取りが効率化できる
デメリット
- インターネット環境がないと使えない
- 月額料金がかかる
- インストール型と比べると動作・処理が遅いときがある
クラウド型の会計ソフトの特徴をまとめると、データの保存場所がクラウド上(会計ソフトを提供する企業のサーバーや外部のサーバーなど)になるため、自分でデータを保存する手間が減ります。その代わりに、会計ソフトを使用するときはインターネット環境が必要になります。
インターネット環境によっては、処理に時間がかかることがあります。また、クラウド型会計ソフトは月額制が多いため長期的に使った場合はインストール型よりも割高になります。
相場と年間費用のシミュレーション
個人事業主または小規模法人向けのクラウド型会計ソフトの年間コストは、12,000円が目安になります(月980円×12カ月)。その他の給与計算ソフトなどを使用する場合は別途料金がかかります。
簿記や税金の知識があれば、この料金程度のプランで基本的に仕訳から確定申告書作成までが可能です。
>>会計ソフトは毎年バージョンアップが必要?クラウド型とインストール型を解説!
クラウド型会計ソフトの便利機能
クラウド型会計ソフト便利機能は主に以下の4つです。手入力に比べると作業時間が大幅に減ります。
それぞれ説明していきます。
自動連携機能
自動連携機能を利用するにあたっては、事前にネットバンキングやネット上のクレジットカード明細を確認できるサービスとの連携設定を行う必要があります。連携した後は通帳の履歴やクレジットカード明細の数値を元に、自動仕訳が行われます。最初に勘定科目の設定をしなくてはいけない場合もありますが、仕訳の入力作業自体がなくなります。
注意点として、現金取引はネットバンキングにもクレジットカードにも履歴が残らないため自動連携の対象になりません。自動仕訳の対象にならない取引には、以下で述べるスキャン機能の利用がおすすめです。
領収書・レシートなどのスキャン
クラウド型会計ソフトは、タブレットやスマホから操作することが可能です。スキャン機能は、スマホのカメラで領収書・レシートを撮影するだけで仕訳入力が行われ、手入力に比べて誤入力などのミスを減らすことができます。
請求書作成機能
会計ソフトを経由して請求書を作成すると、会計ソフトが売上の計上と入金処理を自動仕訳します。会計ソフトとは別に得意先を管理している場合は、この請求書作成機能を使うことで大幅に作業時間が減ります。
売上や経費レポート
会計ソフトでは、仕訳の数値から自動で試算表や総勘定元帳を作成するため、月別の売上や経費をタイムリーに確認することができます。売上が上がらない原因やマーケティングの効果などを素早く把握できます。
クラウド型会計ソフトを導入するために必要な準備
クラウド型会計ソフトの導入にあたって、事前に以下の準備をすることで、より効率的に使うことができます。
- 顧問税理士がクラウド型会計ソフトをサポートしているか確認する
- データの移行準備をする
- 使用する勘定科目をピックアップする
- 連携する銀行口座やクレジットカードのインターネットアカウントを用意しておく
それぞれ説明していきます。
顧問税理士がクラウド型会計ソフトをサポートしているか確認
会計業務を税理士に依頼している場合は、税理士とのデータの共有が必要になります。クラウド型会計ソフトもサポートしているかどうかを確認しておきましょう。
クラウド型会計ソフトは、インターネット環境さえあれば場所を選ばずに利用することができます。しかし、ICTの導入が遅れている税理士事務所や会計事務所も存在し、クラウド型会計ソフトでのデータ共有が難しい可能性があります。
データの移行準備をする
パッケージ型会計ソフトやExcelで作成したデータがある場合、そのデータをクラウド型会計ソフトに移行できれば入力の手間が省けます。データをインポートする手順を確認し、スムーズに移行できるように準備しておきましょう。
使用する勘定科目をピックアップする
クラウド型会計ソフトを利用するときは、勘定科目を使いやすいようにカスタマイズしておくのがおすすめです。例えば、使用する勘定科目のみを表示させたり、用意されていない勘定科目を追加したりすることができます。あらかじめ使用する勘定科目をピックアップしておきましょう。
連携する銀行口座やクレジットカードのインターネットアカウントを用意しておく
クラウド型会計ソフトでは、銀行口座やクレジットカードと連携して、自動でデータを取り込むことが可能です。データ連携に備えて、インターネットバンキングやクレジットカードのウェブ明細の利用申し込みをし、アカウントを作成しておきましょう。
クラウド型会計ソフト導入の際に気を付けること
クラウド型会計ソフトの導入の際に気を付けることは以下の3点です。
- 帳簿や領収書などの保管は紙が原則
- 電子申告をするならe-Taxへの対応
- メンバーごとの権限を設定する
それぞれ説明していきます。
帳簿や領収書などの保管は紙が原則
クラウド型の会計ソフトで作成したものはすべてデータ(電子的記録)であるため、確定申告書を提出した段階で印刷し、紙として保管しなければいけません。
紙として保存しなければいけない帳簿と書類は以下の通りです。
上記の帳簿と書類の保存期間は7年間です。欠損金がある場合は10年になります。
会計ソフトにデータがあるため忘れがちですが、必ず印刷して保管しましょう。
なお、事前に税務署で電子帳簿書類の保存手続きを行い、データで保管するという選択肢もあります。
e-Taxの対応
e-Taxとは確定申告書一式をデータとして提出することを指し、事前に税務署での手続きが必要です。
クラウド型会計ソフトで確定申告書を作成した後は、e-Taxで確定申告書を提出すると印刷する手間が無く、本人確認手続きの一部を省略することができます。
権限の設定
法人がクラウド型会計ソフトを利用する場合、複数人でデータ入力等を行うことが多いでしょう。ソフト導入時には、データを閲覧・編集できるメンバーを設定しておくのがおすすめです。
メンバーごとに権限を設定しておくことも必要です。例えば、経理部長には管理者権限を、一般の社員には入力権限だけを付与するといった方法があります。
おすすめのクラウド会計ソフト
クラウド型会計ソフトの導入を考えているなら、「マネーフォワード クラウド会計」がおすすめです。マネーフォワード クラウド会計は、何を入力すればよいのかが画面上でわかりやすく、会計ソフトを利用するのが初めての方でも操作しやすい設計となっています。他社ソフトからのデータのインポートにも対応しているので、移行にも手間がかかりません。
マネーフォワード クラウド会計は、銀行口座やクレジットカードをはじめ、電子マネー、POSレジ、通販サイトなどといった2,400以上の金融関連サービスと連携しており、仕訳入力の手間も大きく省けます。無料トライアル期間もあるので、導入を迷っている場合でも気軽に試すことができます。
クラウド型会計ソフトの導入で効率化を図る
クラウド型会計ソフトを利用すれば、インターネット環境があるところならどこでも記帳業務を行うことができます。自動連携機能により入力も自動化できるため、経理業務を大きく効率化できます。
また、クラウド型会計ソフトなら、複数の従業員で利用したり、税理士と共有したりするのにも便利です。すでに利用している会計ソフトがある場合でも、データの移行ができますので、ぜひ試してみてください。
よくある質問
そもそも会計ソフトとは?
仕訳から決算書作成を行うソフトウェアのことで、近年では給与計算や年末調整、確定申告書の作成に対応できるものもあります。詳しくはこちらをご覧ください。
クラウド型会計ソフトの特徴は?
インターネット環境が必要になりますが、データの保存場所がクラウド上になるため自分でデータを保存する手間が減ります。詳しくはこちらをご覧ください。
クラウド型会計ソフト導入の際に気を付けることは?
帳簿や領収書などの保管は紙が原則となること、電子申告をする場合はe-Taxへの対応が必要となることなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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