- 更新日 : 2024年8月8日
日大生逮捕のサークル、納税しなくていいの? 「毎月会費3万円」で荒稼ぎ
日本大学の男子学生2人がサークル仲間からバッグを奪ったとして、強盗容疑で逮捕された事件。報道各社は、彼らが幹部を務めるインカレイベントサークルの悪質な運営実態を次々と報じています。
幹部らはサークルのメンバーから多額の会費を集めていたようですが、サークルは税務申告する必要があるのでしょうか?
メンバー相手に荒稼ぎの実態
日大などさまざまな大学の学生が集まって構成されていたインカレイベントサークル「TL」。11月19日放送のフジテレビ『とくダネ!』では、「TLのメンバーは毎月高額の会費を要求される」「毎月4人の新人勧誘ノルマが課され、未達成だと罰金を科される」など、驚きの内部事情が明かされました。
「負担金」と称した毎月3万円の会費や退会時に要求する脱会金など、メンバー相手に荒稼ぎしていた運営側。TLのメンバーは総勢約160名と報じられていますが、彼らが主催するイベントに1,000人規模の参加者が集まることもあったそうです。
サークル運営側に多額のお金が集まることから、『とくダネ!』司会の小倉智昭さんが税務申告の要否を問う場面も。これについて、非営利団体の税務に詳しい高橋和也税理士に聞いてみました。
毎月高額の会費…サークルは税務申告が必要?
――TLはメンバーに対し、毎月多額の会費を徴収していたそうです。サークルは税務申告の必要があるのでしょうか?
高橋さん:基本的に大学のサークルは、法人税法上は「人格のない社団等」に該当します。
人格のない社団等は、法人税法上の「収益事業」を行う場合などに限って法人税が課税されることになります。収益事業とは物品販売業、不動産貸付業、製造業など34業種をいいます(※収益事業の範囲|国税庁PDF)。
人格のない社団等に対して支払う「会費」は収益事業には該当しないため、高額であっても法人税は課税されません。
ただし、会費名目で、実際は物品を受け取るための対価であったりする場合は、収益事業のうちの物品販売業に該当するため、法人税が課税されることになりますね。
集客1,500人のイベントは収益事業になる?
――彼らは過去に、チケット1枚5,000円、集客1,500人のイベントなども行っていたようです。この場合は収益事業とみなされ、課税対象となるのでしょうか?
高橋さん:そのようなイベント自体は、収益事業のひとつである「興行業」に該当します。
学生を主な参加者とするイベントのうち、参加料が安く、会場費や人件費をまかなうだけのレベルのものは、慈善興行として事前に税務署長の確認を受けることで、収益事業の対象から外れます。
しかし、指摘のようなイベントは、サークルの活動資金獲得のための利益を上げるためのイベントに該当する可能性が高いです。そのような利益獲得目的のイベントの場合は、収益事業の興行業に該当し、法人税の課税対象になるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
正しく理解していますか?事業税と事業所税の違いとは
事業税と事業所税は、言葉は似ているものの全く別の税金です。 事業税は、事業を営む個人には個人事業税として、法人には法人事業税として、所得や収入に応じて課せられる地方税のことです。個人事業税の場合は法定業種別に税率が違います。法人事業税は資本…
詳しくみる法人税の資本金には超えられない壁がある?
法人税には資本金によって大きな壁があるといわれています。資本金がその壁を超えるか超えないかによって、毎年支払う法人税等に多額の差が出てくることもあります。「1,000万円の壁」と「1億円の壁」について、また、それを利用した減資による節税対策…
詳しくみる税効果会計とは?目的や手順、適用時の注意点を解説
税効果会計は、主に上場企業で用いられる会計手法で、会計上の収益・費用と税務上の益金・損金の認識時点が異なる場合に、法人税その他所得を課税とする税金を適切に期間配分することにより、損益計算書の税引前当期純利益と税金費用を合理的に対応させる目的…
詳しくみる法人税の確定申告のやり方・オンライン申告の方法を解説!
法人の確定申告は、企業がその事業活動から得た所得に対して納めるべき税金を申告する義務のことを指します。企業は会社法に基づき、毎事業年度ごとに決算を行い、決算書を作成後、必要な承認を経て、これに基づいた法人税等の計算をして税務署へ申告する必要…
詳しくみる減資とは?有償減資・無償減資の意味とメリット・デメリットを解説
新聞やニュースで、よく企業が減資を行ったということを耳にします。実は、法人にとって減資をすることは、重要な意味を持ちます。なぜなら、減資をすることで、さまざまなメリットを得ることができるからです。 ここでは、減資とはどのようなものか、その定…
詳しくみる法人税で中間納付方法は3種類?理解しておきたい中間申告・納付のポイント
法人税の支払いに関しては、事業年度開始から6ヵ月経過時点を「中間」とし、事業年度の始めから「中間」点までの法人税を先に納めることとなっています。 納付期限は「中間」日より2か月以内ですが、今事業年度に創業した会社や前事業年度の法人税額が20…
詳しくみる