• 更新日 : 2024年8月8日

アパートやマンションの減価償却費計算を詳しく解説

賃貸アパートやマンションを購入した際は、法定耐用年数に応じて減価償却が必要です。本記事では、新築・中古に分けて減価償却費の計算方法と仕訳について解説します。なお、リフォームを行った場合の減価償却についても紹介しているので、併せてご確認ください。

減価償却とは

減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が減少する資産に対して行われる会計処理のことです。資産を取得した際にかかった購入金額とその耐用年数に応じて費用計上を行います。

例えば、建物や自動車、ソフトウェアなどが減価償却資産に該当します。反対に、土地や美術品のように時間の経過によって価値が減少しないものは減価償却資産には当てはまらないため注意が必要です。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

参考:減価償却のあらまし|国税庁

アパート・マンションの減価償却では「法定耐用年数」がポイント

アパートやマンションは時間の経過によって価値が減少するため、減価償却資産に該当します。しかし、土地は時間が経過しても価値が減少しないと考えられているため、減価償却資産に該当するのは建物部分のみです。

アパートやマンションの法定耐用年数は、以下のとおりです。

  • 鉄筋コンクリート造:47年
  • 重量鉄骨造:34年
  • 木造:22年
  • 軽量鉄筋(骨格材の厚さ3mm超4mm以下):27年
  • 軽量鉄筋(骨格材の厚さ3mm以下):19年

アパートやマンションの法定耐用年数は、構造によって異なる点に注意しましょう。

参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

新築アパート・マンションの減価償却費の計算と仕訳例

新築アパート・マンションの減価償却費は、建物の取得価額と法定耐用年数に応じて計算します。減価償却費の計算方法は、定額法と定率法の2種類がありますが、新築アパート・マンションなど建物は定額法で計算すると定められている点に注意が必要です。

新築アパート・マンションの減価償却費は、「取得価額×償却率」で計算できます。償却率は法定耐用年数ごとに定められており、鉄筋コンクリート造であれば0.022、重量鉄筋造であれば0.030、木造であれば0.046とされています。

例えば、鉄筋コンクリート造の新築物件を2,000万円で購入した場合の減価償却費の計算方法は、以下のとおりです。

2,000万円×0.022=44万円

 

なお、減価償却を仕訳すると以下のようになります。

直接法(固定資産から減価償却費を直接差し引く方法)

借方
貸方
摘要
減価償却費
440,000円
建物
440,000円
新築マンション
減価償却 1年目/47年

間接法(減価償却累計額を計上し、これまでの減価償却費の合計を表す方法)

借方
貸方
摘要
減価償却費
440,000円
減価償却累計額
440,000円
新築マンション
減価償却 1年目/47年

参考:減価償却のあらまし|国税庁
減価償却資産の償却率等表|国税庁

中古アパート・マンションの減価償却費の計算と仕訳例

中古アパート・マンションの場合は新築物件のときとは異なり、以下の計算式を用いて耐用年数を算出します(法定耐用年数の一部を経過している場合)。

(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2

 

例えば、築20年の鉄筋コンクリート造(法定耐用年数47年)の中古アパートを2,000万円で購入した場合の耐用年数は以下のとおりです。

(47年-20年)+20年×0.2=31年

 

耐用年数31年の償却率は0.033なので、減価償却費は以下の式で求められます。

2,000万円×0.033=66万円

 

減価償却を仕訳すると、以下のとおりです。

直接法(固定資産から減価償却費を直接差し引く方法)

借方
貸方
摘要
減価償却費
660,000円
建物
660,000円
中古アパート
減価償却 1年目/31年

間接法(減価償却累計額を計上し、これまでの減価償却費の合計を表す方法)

借方
貸方
摘要
減価償却費
660,000円
減価償却累計額
660,000円
中古アパート
減価償却 1年目/31年

なお、中古物件を購入した時点で法定耐用年数のすべてを経過している場合は、法定耐用年数に0.2をかけることで耐用年数を算出できます。例えば、法定耐用年数のすべてを超えた木造の中古アパートを1,000万円で購入した場合の耐用年数は以下のとおりです。

22年×0.2=4年(1年未満の端数は切り捨て)

 

耐用年数4年の償却率は0.25なので、減価償却費は以下のように計算します。

1,000万円×0.25=250万円

 

中古アパート・マンションを購入する場合は、法定耐用年数のすべてを経過しているかどうかで計算方法が異なるため注意が必要です。

参考:中古資産の耐用年数|国税庁

アパートやマンションをリフォームした場合の減価償却

アパートやマンションのリフォームを行った場合、内容によっては耐用年数が変化する可能性があります。傷の補修やクロスの張り替えといった小規模のリフォームであれば、建物の価値に変化は生じないため減価償却に変更はありません。

しかし、大幅なリフォームを行って著しく建物の価値が上がった場合は、新たな減価償却資産を取得したとして減価償却が必要です。例えば、築20年の鉄筋コンクリート造をフルリフォームした場合、リフォーム費用は残りの27年で計算するのではなく、新築と同様に47年で計上することと定められています。

そのため、リフォームを行う際は、経済的なメリットを考慮しつつ内容を決めるとよいでしょう。

アパートやマンションの減価償却費を算出しよう

減価償却とは、時間の経過とともに価値が減少する資産に対して行われる会計処理のことです。アパートやマンションの場合、建物部分のみが減価償却資産に該当します。

アパートやマンションの減価償却費を計算する場合、新築物件と中古物件で耐用年数が異なる点に注意が必要です。なお、リフォームの内容によっては耐用年数が変化する可能性があるため、経済的なメリットを考慮したうえで、どのようなリフォームを行うか考えましょう。

よくある質問

減価償却とは?

減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が減少する資産に対して、購入金額とその耐用年数に応じて費用計上を行う会計処理のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

アパートやマンションの減価償却の計算方法は?

新築物件の場合は「取得価額×償却率」で計算できます。中古物件の場合は、耐用年数を「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2」で算出したのち、該当する償却率と取得価額をかけることで求められます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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