• 更新日 : 2025年2月5日

棚卸マニュアルとは?作り方・手順やポイントを解説!無料テンプレートつき

棚卸とは、会社の有する在庫数を数えて、帳簿の記録との間にズレがないか確認・修正する作業のことです。棚卸マニュアルがあれば、誰が棚卸しを行っても同じように作業できるようになります。

本記事では、棚卸マニュアルの概要やマニュアルを作成する目的、棚卸マニュアルを作成するメリット、作り方について解説します。

棚卸マニュアルとは

そもそも棚卸とは、会社の保有する備品・在庫などの資産を現場で数え直す作業のことです。資産を棚から卸して数え直し、帳簿の記録と整合性をとります。そして、双方にズレがある場合に修正まで行うのが棚卸業務です。

棚卸マニュアルとは、棚卸で行う一連の作業を体系的にまとめたものです。ここでは、棚卸マニュアルを作成する目的や経理マニュアルと手順書の違い、経理マニュアルと棚卸計画書の違いなどについて解説します。

棚卸マニュアルを作成する目的

棚卸マニュアルを作成する目的としては、業務品質の統一や社員教育の効率化が挙げられます。

棚卸マニュアルがあれば、誰が棚卸を行っても同じように作業できるようになります。個人の能力差にかかわらず、一定レベルで棚卸を行えるようになる点は、業務の属人化やミス防止などの観点から見てもメリットです。

また、棚卸では実際に自社がどういった備品や在庫を抱えているか知るよい機会です。棚卸マニュアルに従って1つひとつの在庫を確認することで、社員の業務知識向上にもつながります。

さらに、棚卸マニュアルがあれば、棚卸中に疑問が生じてもすぐに対応策や解決方法を確認可能です。いちいち先輩社員や経験者に質問する必要もないため、効率的に社員教育が行えます。

経理マニュアルと手順書の違い

経理マニュアルとは、経理業務の手順や流れ、システムの操作法などを記したものです。経理マニュアルがあれば、誰が担当しても同じ品質で業務を行えます。具体的には、各担当者が行う「請求書の発行手順」「月次決算の流れ」などの手順が詳細に記載されています。

一方の手順書とは、決まった作業についてのフローが示されたものです。マニュアルと手順書では、目的・役割・記載内容の3つが異なります。

それぞれの違いを見ていきましょう。

目的

経理マニュアルの目的は、経理を担当する従業員に経理業務全体の流れやルールを理解してもらうことです。業務内容や手順だけでなく、その業務を行う意図、関連業務に与える影響など、経理業務を通して見える幅広い事柄を理解してもらうために作成します。

手順書は、決まった作業に特化したもので、その作業を安定的に行うことが作成目的です。手順書では特定の作業の内容や手順が具体的に示されてあるため、初めて取り組む人でも手順書を読めば、経験者同様の成果を出せるようになっています。

役割

経理マニュアルの役割は、2つあります。1つめは、従業員に経理業務についての正しい知識を身につけさせ、業務品質の標準化につなげることです。作業フローだけでなく、作業概要や作業の意図などについても理解させることで、従業員が適切に業務を行えるようになります。

2つめの役割は、経理業務のノウハウや知識をマニュアルに蓄積することで、生産性の向上につなげる点です。

手順書の役割は、作業の業務品質を統一することにあります。作業の進め方をわかりやすく解説することで、誰でも同一レベルで作業をできるようになります。

記載内容

経理マニュアルには、経理業務全体の内容やノウハウ、業務におけるルール、業務の意図など、経理業務全般に関連する情報を記載します。

手順書では、特定の作業における各工程の進め方を詳細に記載します。

経理マニュアルと棚卸計画書の違い

経理マニュアルとは、経理業務の手順や流れ、システムの操作法などを記したものです。一方の棚卸計画書には、棚卸作業の全容が記載されています。責任者や担当者、担当する範囲、スケジュールなどが記載されたものです。

両者は経理業務に向けたものと棚卸業務に向けたものという点で、根本的な用途が異なります。

経理マニュアルと棚卸実施要領の違い

経理マニュアルとは、経理業務の手順や流れ、システムの操作法などを記したものです。一方の棚卸実施要領は、棚卸マニュアルと同様のものに当たります。両者はマニュアルという意味では共通していますが、担当業務が異なります。

棚卸マニュアルを作成するメリット

棚卸マニュアルを作成するメリットを解説します。主なメリットは、次の3つです。

  • 業務改善につながる
  • 属人化によるリスクの解消
  • リソースの有効活用

業務改善につながる

棚卸マニュアルを作成することで、業務改善につながります。マニュアルを作成するにあたって業務の棚卸をする過程で、「無駄な作業が発生していないか」「業務量が多く従業員に無理が生じている業務がないか」「業務品質にムラがある作業がないか」などを把握可能です。

棚卸の際に業務改善のポイントを洗い出せるため、業務効率を高められ、改善に向けた取り組みを進められます。

さらに、棚卸で見つけた無駄な作業を省くことで、コスト削減や生産性向上による収益拡大にもつながるでしょう。

属人化によるリスクの解消

棚卸マニュアルを作成する過程で業務フローの可視化ができるため、属人化によるリスクを解消できます。あわせて、業務の偏りも把握でき、棚卸マニュアルがあれば担当者が不在でも誰でも業務を遂行できるようになるでしょう。

リソースの有効活用

棚卸マニュアル作成を通して業務の効率化が進めば、社内リソースの有効活用も促進されます。マニュアルがあれば限られた人数でも生産性を高められるため、コア業務へリソースを割くことで業績拡大も期待できるでしょう。

また、担当者ごとに業務量の可視化も可能です。新規補充すべきポイントが明確になり、的確な採用戦略を立てられるようにもなります。

棚卸マニュアルの作り方・手順

棚卸マニュアルの作り方・手順を解説します。一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 棚卸の目的を明確化する
  2. 棚卸に必要なものを記載する
  3. 棚卸の手順を記載する
  4. 棚卸の確認方法を記載する

棚卸の目的を明確化する

まずは、棚卸作業の目的を明確化することが重要です。具体的な目的を設定することで、作業の方向性がはっきりします。

その結果、担当者が意欲的に作業へ取り組めるため、棚卸作業全体の正確性や作業効率も向上します。

棚卸に必要なものを記載する

棚卸をするにあたって必要な準備物も記載しましょう。たとえば、棚卸リストやクリップボード、ペン、バーコードスキャナーなどです。

事前に必要なものをリストアップしておくと、作業中に不足するリスクを減らせます。

棚卸の手順を記載する

棚卸の手順もマニュアルには必要です。詳細に手順が記載されていれば、作業の見通しも立てやすく、スムーズに棚卸を行えるようになるでしょう。

手順を記載する際は、手順をステップごとに分け、それぞれ詳細に記載すると理解しやすくなります。

棚卸の確認方法を記載する

棚卸の確認方法も記載しておきましょう。確認方法が個人で異なると、差分が出てきて棚卸をやった意味がなくなります。統一された確認方法を明示しておくことが重要です。

また、確認にダブルチェックを導入すると、ミスを防げます。作業途中、棚卸終了後に数量の合計や実際の在庫とのズレがないかを再度確認する手順を明示しておきましょう。

棚卸マニュアルを作成するポイント

棚卸マニュアルを作成するポイントを紹介します。棚卸マニュアルを作成するポイントは、次の2つです。

  • 注意点を記載する
  • わかりやすいマニュアルに仕上げる

それぞれのポイントをチェックしていきましょう。

注意点を記載する

棚卸マニュアルには、棚卸中に気をつけるべき点を記載しましょう。たとえば、「商品の破損を防止するために、手袋を着用すること」「数量の誤記を防ぐため、数える際は1つひとつ丁寧に数える」といったようなことです。

具体的な注意点を挙げることで、ヒューマンエラーの防止につながります。

わかりやすいマニュアルに仕上げる

棚卸マニュアルを作成する際には、詳細でわかりやすいマニュアルに仕上げることを意識しましょう。誰もがわかりやすいマニュアルであれば、担当者が手順を迷わず進められるため、作業の質にもつながります。

必要に応じてマニュアルに写真や図解を加えることで、視覚的に手順を説明することが可能です。工程に複雑な手順があるのであれば、ステップごとに分けて説明し、進捗を確認しやすくする方法も有効です。

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棚卸マニュアルの意味を理解してわかりやすいマニュアルに仕上げよう

棚卸マニュアルを作成することで、誰が棚卸を行っても同じように作業できるようになります。また、 属人化によるリスクの解消やリソースの有効活用も行えるなど、多くのメリットがあります。

ただし、誰がやっても同じように作業できるようにするためには、棚卸マニュアルの意味を理解してわかりやすいマニュアルに仕上げることが重要です。棚卸中に気をつける点を記載したり、イラストを駆使して視覚的に理解できるような工夫をしたりすることで、使える棚卸マニュアルを作成できるようになりましょう。


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