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  • 更新日 : 2021年2月19日

棚卸資産回転率(回転期間)とは?高い程いいの?計算や経営分析方法を解説

小売業の利益を上げるためにカギとなるのが棚卸資産回転率の指標です。

例えばスーパーでは、商品を仕入れて棚に並べ、売り切れになるまでのことを1回転といいます。一定の期間でこの回転が何回行われているかを数値で表しているのが棚卸資産回転率です。
売れている商品、売れていない商品を感覚的に判断するのではなく、人気商品は棚卸資産回転率が高いと数値で判断することができます。

この記事では棚卸資産回転率や回転期間について、そもそもの意味や計算方法から業種別の平均まで説明していきます。

棚卸資産回転率とは

棚卸資産回転率とは、棚卸資産の運用効率を表す指標です。
単位は「回転」で、ある期間に何回転しているかを表します。特に単位がない場合は1年に何回転という意味です。

棚卸資産回転率は、大きいほど望ましく商品(棚卸資産)が売れていることがわかります。
反対に小さいほど商品が売れていないことになります。

このような側面から棚卸資産回転率は、財務分析や在庫管理の指標として使われます。

棚卸資産回転率の計算方法

棚卸資産回転率の計算式は2つあります。「売上高」を使う方法と「売上原価」を使う方法です。それぞれ式は以下の通りです。

【棚卸資産回転率の計算式】

【売上高を使う計算式】

棚卸資産回転率(回転) = 売上高 ÷ 期末の棚卸資産

まず、売上高を使う計算式は、棚卸資産が売上高に対して何回転したかを表します。
この計算のメリットは、棚卸資産と売上高の関係がわかるため、財務分析に向いています。

ただし、デメリットとして売上高には棚卸資産の原価部分だけでなく利益部分も上乗せされているため、それだけ回転率の数値が大きくなってしまいます。
このデメリットを無くすために、売上原価を使う計算式があります。

【売上原価を使う計算式】

棚卸資産回転率(回転) = 売上原価 ÷ 期末の棚卸資産

売上原価を使う計算式は、棚卸資産が売上原価に対して何回転したかを表します。
売上原価を使うことで、売上高を使う方法の利益部分を含まないため、純粋に棚卸資産が何回転したかを把握しやすくなり、在庫管理に向いています。

補足として、より正確な棚卸資産回転率を求める場合は以下の式が参考になります。

【より正確な計算式】

棚卸資産回転率(回転) = 年間の売上原価 ÷ 年間の棚卸資産平均

上記の式は年間発生する売上原価に対して、棚卸資産も年間の残高として対応させるために平均を使う方法です。

棚卸資産回転期間と計算方法

棚卸資産回転率に関連する指標として棚卸資産回転期間があります。

棚卸資産回転期間は、棚卸資産が1回転するのにどれだけの期間がかかるのかを表す指標です。カンタンにいうと、商品をすべて売るのにどの程度の期間が必要かを表します。
単位は、期間を表すため、年・月・日のどれかになります。

棚卸資産回転期間の計算式は以下の通りです。
なお、単位が「日」になるようにしています。

【棚卸資産回転期間の計算式】

棚卸資産回転期間(日) = 棚卸資産 ÷ 1日あたりの売上原価(※)

※:1日あたりの売上原価 = 売上原価 × 365日

計算式の補足として、売上原価を売上高に置き換えても問題ありません。
また、365日を1年または12ヶ月に置き換えると単位がそれぞれ「年」と「月」になります。

棚卸資産回転率の意味

棚卸資産回転率は、棚卸資産の運用効率を表す指標です。
棚卸資産の運用効率がいいというのは、たくさん売れていることであり、何度も回転しているという意味です。

また、「回転」について具体的にいうと以下の1回転(1サイクル)のことです。

段階開始投資販売回収
状態現金商品売上または売上原価現金

売れている商品は、上記のサイクルを何度も回転するため、売上高または売上原価が大きくなり、結果として回転率が大きくなります。

反対に、売れていない商品は上記投資の段階の商品で止まってしまうため、売上高または売上原価に変わっていきません。結果として回転率が小さくなります。
このように売れない商品は商品(在庫)の状態で止まるため、滞留在庫(たいりゅうざいこ)ともいわれます。

棚卸資産回転率は大きいほどよい

棚卸資産回転率は大きいほど、その商品が売れているため望ましい状態です。
回転(サイクル)で説明したように、仕入れては売れる好循環を何度も繰り返すためです。

また、棚卸資産回転率が大きいと棚卸資産回転期間は短くなります。
計算式から見ると、分母の売上または売上原価が大きくなるためです。

当然のことながら、売れている商品は棚に並べたらすぐに売り切れてしまいます。
つまり回転期間が短いということです。
反対に、売れていなければずっと棚に残るため回転期間は長くなります。

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棚卸資産回転率の目安

棚卸資産回転率の業界平均を確認しましょう。
前提として、中小企業の決算数値の平均から算出しています。

棚卸資産回転率の業界平均

業種別の棚卸資産回転率と棚卸資産回転期間は以下の通りです。
計算式に売上高と売上原価を使う方法のどちらも計算しています。

 計算式:売上高計算式:売上原価
業種回転率(回転)回転期間(日)回転率(回転)回転期間(日)
建設12.628.99.538.3
製造9.538.37.449.1
情報通信27.313.414.824.7
運輸・郵便151.62.4113.73.2
卸売15.723.312.928.2
小売16.422.311.531.9
不動産・物品賃貸4.385.22.3160.8
学術研究・専門・技術サービス42.98.517.421
宿泊・飲食サービス116.53.140.59
生活関連サービス・娯楽67.45.441.18.9
その他サービス57.36.431.711.5

【出典】経済産業省|中小企業実態基本調査を加工して作成(小数点以下第2位を四捨五入)

計算にあたっては各中小企業の平成30年度決算実績の合計を使用しています。

上記表より、棚卸資産回転率が大きい業種として「運輸・郵便業」「宿泊・飲食サービス業」があります。これらの業種は棚卸資産自体が少なく、従業員や設備(車や施設)の稼働による売上が大きいためです。

反対に、棚卸資産回転率が小さい業種として「製造業」「不動産・物品賃貸業」があります。製造業は当てはまらないこともありますが、棚卸資産自体の金額が大きく、1つの商品で時間をかけて大きく利益をあげることが原因です。
物品賃貸業は、棚卸資産の一部が賃貸によって徐々に売上になるため、棚卸資産は売上に対して大きくなります。従って回転率は低くなっています。

棚卸資産回転率の経営への活かし方

棚卸資産回転率は、財務分析と在庫管理で経営に活かすことができます。

まず、財務分析では、業種別平均や同業の会社と比較してみましょう。
棚卸資産回転率が小さい場合は、売上高また売上原価が小さいことか、棚卸資産が大きいことが原因になります。あくまでもザックリとした原因のため、売上を改善するもしくは滞留在庫がないかなどの具体策を掘り下げていく必要があります。

次に、在庫管理の観点では、できれば商品別に棚卸資産回転率を把握しましょう。
売れている商品と売れていない商品が分かれてくるため、売れていない商品をどう改善していくのかなどの方針が立てやすくなります。合わせて回転期間も把握することで、今ある在庫が過剰にありすぎる状態なのか、少ない状態なのかが判明します。

棚卸資産回転率の求め方をマスターして経営に活かそう!

棚卸資産回転率と回転期間について説明しました。
商品を取り扱う業種では、在庫管理に棚卸資産回転率は役に立ちます。

棚卸資産回転率は、棚卸資産の運用効率を表す指標です。
売れている商品や売れていない商品は一目でわかりますが、少し売れる商品やあまり売れない商品について迷った場合は、棚卸資産回転率を計算することで客観的に判断することが可能です。

回転期間は、その在庫をすべて売るのに何日かかるのかを表す指標です。
反対にいうと、何日分の在庫があるということもできます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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