- 更新日 : 2024年8月8日
逓増(ていぞう)定期保険とは?節税になる理由や期間満了前の解約についても解説!
多くの法人が活用する逓増(ていぞう)定期保険は、一定期間を超えると死亡保障金額が徐々に増えていくタイプの定期生命保険です。
保険料の一部が損金として計上できるため、条件を満たせば節税対策にも利用できます。解約すると支払った保険料相当額が戻ってくる一方、今まで経費として計上していた分が利益計上されてしまうデメリットもあります。
逓増定期保険とは
保険料が割高な逓増定期保険は、節税対策として多くの法人企業に利用されています。満期時に受け取る保険金はありませんが、毎年の支払い保険料は変わらず、満期になるまでに死亡保障が契約時の5倍にまで増加します。
ある一定期間(3年から10年)は契約した際の保障額が維持されますが、それを過ぎると保障額は増え続けます。また、比較的短い期間で解約返戻金が高率になるのも人気の理由のひとつです。
逓増定期保険が節税につながるのはなぜ?
多くの企業にとって、合法的かつ計画的な節税は健全な資金繰りと事業の継続・発展をもたらします。税法上では「収益」を「益金」、「費用」を「損金」と呼び、「益金」から「損金」を差し引くことによって会社の事業所得を算出します。
法人税の計算は1年間の企業の利益に基づいてなされるため、節税対策としては、課税される事業所得(利益)を減らす、つまり、損金(費用)を増やして課税対象額を減らすのが効果的だと言われています。
・会計: 利益 = 収益−(マイナス)費用
・税法: 事業所得 = 益金−(マイナス)損金
・逓増定期保険料を損金計上する
毎年支払う逓増定期保険の保険料は、損金(費用)として計上することができます。損金(費用)が増えることで事業所得が減り、利益を将来へ繰り延べる効果が生じるため節税につながります。法律で定められた期間中に支払った保険料の一部は前払いした保険料とみなされることで資産に計上され、残額が損金として計上されます。損金として計上される金額の割合は保険期間が終わる時点での被保険者の年齢によって、次のように異なります。
・45歳を超える場合、はじめの60%に相当する保険期間中は支払った保険料の2分の1の金額が資産計上され、残りの2分の1が損金計上されます。残りの40%の保険期間中は、支払い保険料の全額を損金計上することができます。
・70歳を超えており、保険に加入した際の年齢に保険期間の2倍を加えた数値が95を超える場合、はじめの60%に相当する保険期間中は支払った保険料の3分の2の金額が資産計上され、残りの3分の1を損金として扱います。残りの40%の保険期間中は、支払い保険料の全額が損金として計上されます。
・80歳を超えており、保険に加入した際の年齢に保険期間の2倍を加えた数値が120を超える場合、はじめの60%に相当する保険期間中は支払った保険料の4分の3の金額を資産として扱い、残りの4分の1を損金で計上します。また、残りの40%の保険期間中は、支払い保険料をすべて損金として計上できます。
※ 上記の資産計上した保険料部分は、残りの40%の保険期間中に期間の経過に応じて取崩し、損金算入します。
逓増定期保険を保険期間満了前に解約するとどうなる?
逓増定期保険を解約することによって、これまで支払った保険料が解約返戻金として戻ってきます。逓増定期保険の特徴として解約返戻金が比較的短い期間で大きく増えるため、多くの企業では節税対策としてだけでなく、退職金の準備や多大な経費がかかると予想される状況に備える手段としても逓増定期保険を利用しています。
解約するときの注意点 逓増定期保険を解約するときの注意点として、解約返戻金の返戻率はある時期を過ぎると急速に下がるため、解約するタイミングを返戻率のピークに合わせることが必要です。また、解約すると、これまで損金として計上していた分が利益として計上されます。資金が必要な場合でも、すぐに解約することはせず、保険を保持しながら解約返戻金の9割程度までの金額を低金利で貸し付けてもらえる制度などを利用することもできるでしょう。
参考:
法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて|国税庁
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