• 更新日 : 2020年9月17日

分割基準を正しく理解していますか?事業税の分割基準の基礎

事業税を払っている法人はたくさんあります。また、各地に事業所を展開している法人も多いでしょう。では、法人事業税はどこで払うのでしょう? 事業所のある各地に納めているのでしょうか?

また、法人事業税の分割基準という言葉は聞いたことがありますか?

分割基準とは

法人事業税は、事務所等の住所のある都道府県・市町村において課される地方税です。

そして、事務所等が複数の地域にある場合は課税標準額を一定の割合で分割して税額を計算します。この一定の基準を「分割基準」といいます。

分割基準は、法人の業種によって異なってきます。

今回は、事業税が複数の地域に所在する法人の事業税にかかわる分割基準の適用方法について説明します。

業種による分割基準の種類

法人事業税について適用される分割基準は、法人の業種によって下記のように区分されます。

・非製造業(下記以外の業種)
事務所等の数と従業者の数

・製造業
従業者の数

・倉庫業・ガス供給業
有形固定資産の価額

・電気供給業
有形固定資産の価額と発電に使用する有形固定資産の価額

・鉄道事業・軌道事業
軌道の延長キロメートル数

上記のいずれかではなく、複数の事業を営む法人については、メインとなる事業についての分割基準を適用します。原則として、売上金額の大きい事業がメインとして扱われます。

事務所等の数とは?

そもそも事務所等とは、継続的に事業を行うために設けられた設備、場所をさします。本来の事業にさまざまな要因で関連して行われるような付随的な事業であっても、一般常識的に見てそこで事業が行われていると思われているものも含まれます。

事務所や事業所と認定されるためには、事業に継続性を持たせる必要があり、2~3ヶ月といった一時的に事業を行うために設けられた仮の設備等は、事務所と認められません。 そして、分割基準でいうところの「数」とは、事業年度内の各月の最終日における数を合計したものをさします。

従業者の数とは?

まず、従業者とは、給料や賃金、諸手当、賞与など、給与の支払を受けるべき人のことをいいます。経営者である個人やその親族、または同居人のうち、給与を受けていないけれども、その事業において働いている人も従業者とみなします。

そして、各事業所等における事業年度の最終日に在籍する従業員の人数が、分割基準でいうところの「従業員の数」です。ただし、事業年度の途中に事務所等を新しくしたり、なくしたりした場合は、所在した月数で按分します。

また、従業者数の変動が大きく、各月の最終日における人数のうち、もっとも多い従業者数がもっとも少ないときの従業者数の2倍を超えるような場合は、各月の平均を従業者数とします。

なお、製造業を行う法人で、事業年度の最終日における資本金が 1 億円以上の場合、工場の従業者については、その従業者数の 2分の1を加算するというルールもあります。

有形固定資産とは?

B/Sに記載されている土地や家屋、家屋以外で減価償却可能な有形固定資産の価額をいいます。

誤った申告事例

最後に、誤った申告の事例をいくつか紹介します。正しい申告の知識を身につけましょう。

誤1)非製造業の法人が「従業者数」のみ、または「事務所数」のみを適用して申告しました。
正1)非製造業においては、すべてが同じ分割基準に統一されます。課税標準の2分の1は「事務所数」、残り2分の1は「従業者数」により、関係都道府県ごとに按分します。

誤2)資本金1億円以上の法人が「従業者数」の計算にあたって、本社管理部門の従業者の数を2分の1にして申告しました。
正2)前述の通り資本金1億円以上の製造業については特例があります。工場の従業者数においては、その数を1.5倍にします。

誤3)「事務所数」の数え方を事業年度(1年)を通じて設置していた事務所に、「事務所数」を「1カ所」として申告しました。
正3)「事務所数」とは、事業年度における各月の末日現在での事務所数を合計した数値をいいます。A県に1カ所、B県に1カ所、それぞれ1年を通して有していたとすればA県分は12、B県分は12、合計して24となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。複数拠点を保有する法人は分割して法人事業税を納める必要があり、業種や規模によって金額が変わってくるので気をつけましょう。


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