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  • 更新日 : 2020年9月17日

企業の資産価値を測る6種のデューデリジェンスを解説

組織再編や、企業買収の際に話題に上がるデューデリジェンスという言葉があります。これは、6種類の視点からその企業の資産価値を測ることを指します。

買収や合併の際に行うデューデリジェンスですが、どういったものがあるのでしょうか。今回はこのデューデリジェンスについて、その種類と実施の際の注意点を解説します。

6つのデューデリジェンスの違いを理解しよう

1.ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスとは、その企業を包括する市場全体を評価することです。

ビジネスデューデリジェンスを実行することで、市場全体におけるその企業のポジションやポテンシャルを確認することができます。他のデューデリジェンスとは異なり、企業内部ではなく外部要因である市場全体が査定対象となるのが特徴です。

2.財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、財務情報に関する企業価値評価を調査することです。財務デューデリジェンスを実施する目的は、下記のものなどがあります。

・債務や負債が適正範囲内であるかどうか
・収益性に関する過去の実績および将来の見込み
・キャッシュ・フロー分析
・グループ会社やオーナーに関連する取引内容
・不正な経理処理の存在確認

財務デューデリジェンスは他のデューデリジェンスと比較したときに、極めて重要な影響を及ぼします。調査内容によっては、組織再編や買収後の状況が現状より悪化することも考えられるからです。

3.法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとは、その企業が締結した契約や取引行為が法的かつ適正に遵守されているかどうかを調査するものです。

・所有権や技術特許などの事業に関する権利が訴訟対象となっていないかどうか
・許認可、登記関係は適切なものであるかどうか

といった法的なリスクを事前に把握することが目的です。法的なリスクを抱えていると、訴訟や和解、任意整理などにおいて莫大なコストと時間が浪費され、会社の存続が危うくなることが考えられます。

権利行使した結果が財務会計に反映されるため財務デューデリジェンスと重複することもありますが、法務デューデリジェンスは法律上の権利関係に潜むリスクを精査する点で財務法務デューデリジェンスとは異なります。

4.人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスとは、人事や労務に関する調査を指します。人事デューデリジェンスを行なう目的は、

・組織再編後の社員の年金や退職金がカバーできるかどうか
・有能な人材を確保し続けることができるかどうか

などを探ることにあります。

他のデューデリジェンスは、数値や金額によって査定されるため予測やシミュレーションが大きく外れることはよほどのことがない限りありません。しかし、人事デューデリジェンスに関しては調査を誤ると組織再編後の企業が思わぬリスクを抱えることになりかねません。

なぜなら、異なる企業文化が統合されることによる摩擦、報酬や評価システムの変更における社員のモチベーション低下、有能な人材の流出などのリスクが発生する可能性があるからです。

5.税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスは、法人税や法人事業税などが適正に申告納税されているかどうかを調査するだけでなく、合併するにあたり繰越欠損金の特例が考慮されるかどうかを換算します。

欠損金とは法人税法上の赤字のことで、繰越欠損金制度を利用することで納める法人税を低くおさえることができます。合併することそのものが目的ではなく、欠損金を消滅させることが目的となっている合併は不正行為となるため、繰越欠損金制度を利用するためには厳しい要件をクリアする必要があります。

税務デューデリジェンスを実行することで厳しい要件をクリアできるかどうか、またすべてクリアできなかった状態で合併した場合の欠損金予測を立てることができます。

財務デューデリジェンスや法務デューデリジェンスと比べると税務デューデリジェンスは重要度が低くなりがちですが、税務リスクを見落とした結果、重加算税のペナルティといった思わぬ損失を被ることも考えられます。

6.ITデューデリジェンス

企業合併にあたり、管理システムをどのように統合するのかを調査するのがITデューデリジェンスです。顧客管理や販売管理システム、人事労務システム、財務会計システムなど基幹業務に関するシステムを双方でどのように結合すれば、工数やランニングコストをミニマムにできるかを検討します。

ITデューデリジェンスは、業務とシステムの両方の知識が必要となります。経験と実績が豊富なITコンサルタント会社に依頼しないと業務フローの改善をシステムに落としこむことができなかったり、逆に業務フローが猥雑になってしまう可能性があります。

デューデリジェンスの注意点

実施時期

最も注意する必要があるのが、デューデリジェンスを実施するタイミングです。なぜなら組織再編は、取引先や周辺の企業に対して大きな影響を与える可能性が高いためです。

早過ぎると、あらぬ噂を呼んでしまうことになりますが、逆に遅すぎると他の企業に先に買収されてしまう可能性があります。デューデリジェンスの適切な実施タイミングを測り、素早く行動できるように計画を立てておくことが大切です。

専門家に依頼するときの注意点

デューデリジェンスを実際に外部の専門家に依頼する場合、どのデューデリジェンスを実施するかを明確にする必要があります。もちろんすべてのデューデリジェンスを実行することが望ましいですが、優先順位をつけておくことで費用と時間を無駄にしないですみます。

どのデューデリジェンスを選択するかを決めるためには、企業の着地点を明確にする必要があります。

デューデリジェンスの結果次第で方向性を決めるのではなく、明確なゴールに向けたデューデリジェンスを行なうことは、理想的な合併を実現するために必要なことです。

さらに依頼先の選定も重要です。顧問先の公認会計士や税理士の場合、楽観的に査定してしまいがちです。理想としては現状の把握と問題点の洗い出しに加え、今後の事業展開のシナリオの提言などまでしてくれるところに依頼すると良い結果を得られる可能性が上がります。

まとめ

デューデリジェンスを行う上で大切なことは、理想のゴールを具体的にしておくことです。

企業存続や事業拡大のためのデューデリジェンスと、買収せずに続投したい場合のデューデリジェンスでは、求める結果が異なってきます。やみくもに判断材料を集めて比較検討することは結果としてビジョンや使命感に欠ける行為となるため、時間とコストを浪費することになってしまうでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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