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  • 更新日 : 2021年5月28日

特定支出控除の改正でサラリーマンの自腹出費が削減に!

特定支出控除の改正でサラリーマンの自腹出費が削減に!

サラリーマンであっても経費が控除される、特定支出控除という制度があります。その控除の範囲や条件が平成24年度、平成28年度に改正され、使いやすいものになりました。特定支出控除について、改正後における要件の変化や改正による対象範囲の拡大を含め、解説します。

特定支出控除とは

特定支出控除とは、業務にかかる支払いが多い場合に控除できる制度です。一定の計算で求めた特定支出控除の金額を、給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます。しかし、その要件は厳しく、利用する人は少数でした。そこで、平成24年度の改正により対象項目、対象者の範囲が広げられ、平成28年度には、適用判定の基準となる金額の上限も撤廃されました。そのため、より多くの人が利用できる制度になりました。

特定支出控除の範囲

ここで、特定支出と認められる範囲について解説します。以下の8つの項目それぞれに当てはまる場合に特定支出となります。なお、6~8に関しては、6~8を合わせて65万円まで特定支出控除にできますが、それを超える部分は認められません。

1.通勤にかかる費用
通勤に使う交通機関の利用料を個人で支払っている場合、または支給される通勤費を超える場合は特定支出にすることができます。しかし、多くの企業では通勤費を支給しているので、パートや派遣社員などで通勤費用を自己負担するような場合にしか使えないでしょう。

2.引っ越し費用
転勤の際に、引っ越しにかかわる費用で個人が支払った分は特定支出です。しかし、これも会社から支給される場合がほとんどです。

3.単身赴任者の帰宅にかかる費用
単身赴任している人が配偶者の住む家に帰る場合の旅費も特定支出ですが、年に数回の帰宅費用を負担する会社が多いため、自己負担をするケースは少ないでしょう。

4.研修にかかる費用
業務で使う技術を習得する際の研修費用は特定支出です。会社が負担するケースも多いですが、個人で研修費を支払う場合には特定支出にできます。

5.資格を得るためにかかる費用
業務に必要な資格を得るための費用も特定支出です。改正前は、自動車免許、簿記、英語検定などが対象で、医師、弁護士等の一定の資格は対象外でした。しかし改正後は、弁護士、医師、公認会計士なども特定支出に入れることが可能になりました。そのため、会社から補助をもらわず資格試験を受ける場合には、資格にかかわらず、特定支出になります。

6.業務に関する図書の購入費用
改正後に加えられた項目で、職務関連の本、雑誌、新聞などは特定支出にできるようになりました。

7.業務に関する衣類の購入費用
これも、改正後に加えられました。制服、事務服などのほか、スーツも特定支出にできるため、多くの人にかかわる特定支出の項目です。また、アパレル関係で職務中に着用する自社ブランドの服を購入する場合も特定支出にできます。

8.業務に関する交際費
交際費用も改定後に加えられ、接待代、取引先へのお歳暮代なども含まれるようになりましたが、交際費は会社が支払う場合が多いため、特定支出にできる人は少ないかもしれません。

特定支出控除の計算方法

では、どのように特定支出控除額を計算するのかについて解説します。
特定支出控除は、特定支出に当たる支出が給与所得控除の半分を超える場合が対象です。そのため、まずは給与所得控除額を知る必要があります。

給与所得控除額の計算方法

・令和2年分以降

収入給与所得控除
162.5万円以下一律で55万円
162.5万円を超え180万円以下
収入×40%-10万円
180万円を超え360万円以下
収入×30%+8万円
360万円を超え660万円以下
収入×20%+44万円
660万円を超え850万円以下
収入金額×10%+110万円
850万円を超える場合
195万円(上限)

・平成29年分~令和元年分

収入給与所得控除額
162.5万円一律で55万円
162.5万円を超え180万円以下
収入×40%
180万円を超え360万円以下
収入×30%+18万円
360万円を超え660万円以下
収入×20%+54万円
660万円を超え1,000万円以下
収入金額×10%+120万円
1,000万円を超える場合
220万円(上限)

特定支出が上記の計算方法で算出した給与所得控除額の1/2を超える場合に、超えた金額に関して特定支出控除を受けることができます。なお、法改正以前は、給与所得控除額の全額を超える必要があったため、控除を申請できる人が限られていました。

特定支出控除額計算の具体例

では、具体例を通して、特定支出控除額の計算方法、確定申告の必要性を見てみましょう。

  • 収入が400万円で特定支出額が50万円の場合
  • 50万円-{(400万円×20%+44万円)×1/2}=-12万円

    計算の結果、マイナスとなり、特定支出控除を受けられる金額に達していません。そのため、確定申告の必要はありません。

  • 収入が1,200万円で特定支出額が200万円の場合
  • 200万円-(195万円×1/2)=102.5万円

    この場合、確定申告の際に102.5万円を特定支出控除にできます。

注意点

特定支出控除を受ける際には、特定支出に関する明細書、給与等の支払者の証明書、領収書等の添付がある場合に限り適用することができるため、注意が必要です。

サラリーマンでも経費が控除できる特定支出控除について説明しました。改正で要件が緩和されたので、自分の支払っている分が、特定支出控除にできるか確認してみましょう。

【参考】国税庁|令和2年分以後の所得税に適用される給与所得者の特定支出の控除の特例の概要等について(情報)

よくある質問

特定支出控除とは?

業務にかかる支払いが多い場合に、一定の計算で求めた特定支出控除の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

特定支出控除の範囲は?

通勤にかかる費用や引っ越し費用など、8つの項目にそれぞれ当てはまる場合は特定支出控除が認められます。詳しくはこちらをご覧ください。

特定支出控除の計算方法は?

令和2年分以降と、平成29年分~令和元年分で計算方法が異なります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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