• 更新日 : 2021年11月5日

委託買付と受託買付を仕訳から解説

委託買付と受託買付を仕訳から解説

「委託買付」は、手数料を支払って他者に商品の購入を委託することを指します。一方の「受託買付」は、商品の購入を委託された受託者側からみた場合の買付業務のことを指します。立場が異なるため、仕訳に使用する勘定科目は当然違うものになります。ここでは、委託買付と受託買付の違いなどを解説していきます。

委託買付とは

委託買付とは手数料を他者に支払って、商品の買付を他者に委託することを指します。一般的に商品の仕入は自社で行うことが多いものですが、取扱商品の充実を図りたいときなど、仕入先の開拓を他者に委託することがあります。

例えば、ある企業がイタリアで人気の商品をイタリアの業者から直接仕入れたいと考えていたとしましょう。しかしイタリア語ができない場合は、イタリア語が話せる人、しかもイタリアの人気商品をよく把握している仕入業者に委託するほうがより良い商品を仕入られる可能性が高いといえます。

また一方で、商品によっては特定の代理店を通さなければ商品を卸してもらえないことも多く、そもそも関係者以外は仕入ができないケースもあります。このような場合に、代理店と契約している第三者に仕入を依頼するのが委託買付です。

受託買付とは

受託買付とは、委託買付とは立場が逆になります。受託者からみた場合の買付業務のことを受託買付といい、商品の仕入を委託された人を受託者といいます。

先ほどのイタリアの商品例でみると、イタリア語が堪能でイタリアの人気商品の仕入先のことをよく知っている業者が受託者となります。受託者は委託者から手数料を受け取って商品を仕入れます。

委託買付の仕訳例

商品の仕入を委託している委託者は、委託買付勘定科目を使用するか否かで仕訳が異なります。

委託買付勘定を使用する場合、委託者が受託者に商品代金を前払いしたときや、商品代金を決済したときは委託買付勘定を借方に、受託者から買付計算書が送られたときには委託買付勘定を貸方に記載します。

仕訳の具体例をあげてみます。まずは委託買付勘定を使用した場合の仕訳例です。

委託買付勘定を使用した場合の仕訳の具体例

委託者は、受託者に商品の仕入を依頼し、前金として10,000円を現金で支払いました。

借方
貸方
委託買付
10,000円
現金
10,000円

受託者から、買付計算書と依頼していた商品が同時に送付されてきた場合の仕訳は、以下のとおりです。なお、受託者からの請求額については現金で支払ったとします。

<買付計算書>
買付代金:30,000円
買付手数料:5,000円
前受金:-10,000円
請求額:25,000円

借方
貸方
仕入
35,000円
委託買付
35,000円
委託買付
25,000円
現金
25,000円

なお、海外からの仕入など、買付計算書より商品が遅れて到着する場合は、「未着品」勘定を使用し、商品が到着した時点で未着品勘定から仕入勘定へ振り替えます。

続いて、委託勘定科目を使用しない場合の仕訳の具体例です。

委託勘定科目を使用しない場合の仕訳の具体例

委託者は、受託者に商品の仕入を依頼し、前金として10,000円を現金で支払いました。

借方
貸方
前払金
10,000円
現金
10,000円

受託買付勘定を使用しない場合は、前払金勘定を使用します。

受託者から、買付計算書と依頼していた商品が同時に送付されてきた場合の仕訳は以下のとおりです。

<買付計算書>
買付代金:30,000円
買付手数料:5,000円
前受金:-10,000円
請求額:25,000円

借方
貸方
仕入
35,000円
前払金
10,000円
買掛金
25,000円

委託買付勘定を使用しない場合、代金の未払い分は買掛金勘定を使用します。

後日、受託者に対して未払いであった請求額を現金で支払った場合の仕訳は下記のとおりです。

借方
貸方
買掛金
25,000円
現金
25,000円

受託買付の仕訳例

他者からの依頼を受けて代わりに商品の仕入をする際、受託買付勘定を使用するか否かで仕訳が異なります。

受託買付勘定を使用する場合、受託者が委託者から商品の買付代金を預かった場合や、商品代金の決済を受け取ったときは受託買付勘定を貸方に、買付手数料などを受け取ったときは受託買付勘定を借方に記載します。

仕訳の具体例をあげてみます。まずは受託買付勘定を使用した場合の仕訳例です。

受託買付勘定を使用した場合の仕訳の具体例

委託者から商品の購入を委託され、前金として現金10,000円を受け取った際の仕訳は以下のとおりです。

借方
貸方
現金
10,000円
受託買付
10,000円

委託者から依頼された商品を購入し、卸売り業者に現金で30,000円支払いました。
借方
貸方
受託買付
30,000円
現金
30,000円

委託者に対し、商品の買付計算書と商品と同時に送付した際の仕訳は以下のとおりです。

<買付計算書>
買付代金:30,000円
買付手数料:5,000円
前受金:-10,000円
請求額:25,000円

借方
貸方
受託買付
5,000円
受取手数料
5,000円

後日、委託者から請求額25,000円を現金で受け取りました。仕訳は以下のとおりです。
借方
貸方
現金
25,000円
受託買付
25,000円

続いて、受託勘定科目を使用しない場合の仕訳の具体例です。

受託勘定科目を使用しない場合の仕訳の具体例

委託者から商品の購入を委託され、前金として現金10,000円を受け取りました。仕訳は以下のとおりです。

借方
貸方
現金
10,000円
預り金
10,000円

受託買付勘定を使用しない場合は「預り金」勘定を使用します。
委託者から依頼された商品を仕入て、卸売り業者に現金で30,000円支払いました。
借方
貸方
預り金
10,000円
現金
30,000円
立替金
20,000円

委託者に対し、商品の買付計算書と商品と同時に送付した際の買付計算書と仕訳は以下のとおりです。

<買付計算書>
買付代金:30,000円
買付手数料:5,000円
前受金:-10,000円
請求額:25,000円

借方
貸方
未収金
5,000円
受取手数料
5,000円

後日、依頼者から請求額25,000円を現金で受け取った際の仕訳は以下のとおりです。
借方
貸方
現金
25,000円
立替金
20,000円
未収金
5,000円

委託販売・受託販売との関係性

「委託買付」「受託買付」とよく似た勘定科目に、「委託販売」「受託販売」があります。

委託販売とは、手数料を支払って自社商品の販売を他者へ委託することを指します。委託する側を委託者、委託された側を受託者と呼びます。

一方の受託販売は、手数料を受け取って、委託者の商品を代わりに販売することを指します。
委託販売と受託販売が他者に「販売」を委託したりされたりするのに対し、委託買付・受託買付は他者に「仕入」を委託する、あるいは委託されることを指しています。

いずれも、一般的な商品販売とは収益を認識するタイミングや、資金の回収方法などが異なる特殊商品売買です。仕入と販売という正反対の関係にはありますが、合わせて覚えておくとよいでしょう。

委託買付、受託買付は使用する勘定科目によって仕訳が異なる

委託買付は、手数料を支払って商品の仕入を他者に委託することを指し、受託買付は、手数料を受け取り、委託者に代わって商品の仕入を行う買付業務のことを指します。いずれも仕入を委託する、あるいは委託される特殊商品売買のひとつです。使用する勘定科目によって仕訳が異なりますので注意しましょう。

よくある質問

委託買付とは?

委託買付とは手数料を他者に支払って、商品の買付を他者に委託することを指します。詳しくはこちらをご覧ください。

受託買付とは?

委託者から手数料を受け取って、委託者の代わりに商品の買付を行うことを指します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:冨田 健(不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務)

43都道府県で不動産鑑定業務経験があり、各種媒体に不動産価格や不動産税務に関する講演及び寄稿も行う。
令和3年8月に不動産の評価手法・相続・税務、立退料の評価、戸建住宅の価格目線の把握法等を実例を交え一般向けに述べた自身二冊目の著書「不動産評価のしくみがわかる本」を上梓。
公認会計士世田谷会幹事・国土交通省公示価格鑑定評価員・その他公職にあり。
特技は12年間学んだエレクトーンで、公認会計士東京会第四回音楽祭で優勝経験あり。
事務所名 :冨田会計・不動産鑑定㈱