- 更新日 : 2026年7月24日
関連会社と関係会社の違いとは?勘定科目「関係会社株式」の仕訳も解説
一般に親会社・子会社・関連会社が発行する株式を、まとめて把握するための勘定科目です。
- 関係会社は親会社や子会社、関連会社などを総称する
- 議決権の所有比率や実態で会社の分類が決まる
- 関係会社株式は取得原価で評価する
議決権の比率だけで判定せず、議事録など実態のわかる資料もあわせて確認しましょう。
「関係会社」と「関連会社」は似た言葉ですが、財務諸表上の意味は異なります。経理担当者にとっては、勘定科目「関係会社株式」をどう仕訳すればよいか迷う場面も多いはずです。この記事では、両者の関係と勘定科目「関係会社株式」の取り扱い、仕訳例までを整理します。
関係会社と関連会社の関係は?
関係会社は、親会社・子会社・関連会社・その他の関係会社を含む広い概念です。

日常会話では「事業上のつながりがある会社」を関係会社と呼ぶこともありますが、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「財務諸表等規則」)第8条第8項では、
財務諸表提出会社の親会社、子会社及び関連会社並びに財務諸表提出会社が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等(その他の関係会社)をいう
出典:財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
と定義されています。
つまり、関係会社は関連会社を含む包括的な概念であり、両者を同じ意味で使うことはできません。関連会社・子会社・親会社・その他の関係会社をすべてあわせたものが関係会社です。
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関係会社を構成する会社の分類
関係会社は、親会社・子会社・関連会社・その他の関係会社の4区分で整理されます。それぞれの定義と判定基準を順に確認しましょう。
親会社と子会社の定義
親会社は他社の意思決定機関を支配している会社、子会社は支配されている会社をいいます。財務諸表等規則第8条第3項では「『親会社』とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関を支配している会社等をいい、『子会社』とは、当該他の会社等をいう」と定義されています。
ここでいう「支配している」状態は、財務諸表等規則第8条第4項に判定要件が定められています。実際の判定は実態に基づいて行うため、議決権比率だけで結論を出さないよう注意が必要です。要約すると下表のとおりです。
| 議決権保有比率 | 追加の判定要件 |
|---|---|
| 50%超 | 原則として追加要件なしで子会社に該当 |
| 40%以上50%以下 | 緊密な者・同意した者の議決権をあわせて過半数となる場合 または次のいずれかに該当する場合 ・親会社の役員・従業員等が取締役会の過半数を占める ・重要な財務・事業の方針決定を支配する契約等がある ・資金調達総額の過半を融資している ・意思決定機関を支配していると推測される事実がある |
| 40%未満 | 緊密な者・同意した者の議決権とあわせて過半数となり、かつ上記要件のいずれかに該当する場合 |
関連会社の定義
関連会社は、子会社以外で財務・営業・事業の方針決定に重要な影響を与えることができる会社をいいます。財務諸表等規則第8条第5項では「会社等及び当該会社等の子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう」と定義されています。
「重要な影響を与えることができる」状態の判定要件は、財務諸表等規則第8条第6項に定められています。子会社と同様に実態判断が必要で、要件は要約すると下表のとおりです。
| 議決権保有比率 | 追加の判定要件 |
|---|---|
| 20%以上 | 原則として追加要件なしで関連会社に該当 |
| 15%以上20%未満 | 次のいずれかに該当する場合 ・自社の役員・従業員等が代表取締役や取締役である ・重要な融資を行っている ・重要な技術を提供している ・営業上または事業上の重要な取引がある ・財務・営業・事業の方針決定に重要な影響を与えると推測される事実がある |
| 15%未満 | 緊密な者・同意した者の議決権とあわせて20%以上となり、かつ上記要件のいずれかに該当する場合 |
その他の関係会社の位置づけ
その他の関係会社とは、自社を関連会社としている相手方の会社等のことをいいます。

親会社の対義語が子会社であるように、関連会社の対義語にあたるのが「その他の関係会社」です。たとえばX社から見てY社が関連会社にあたるとき、Y社から見るとX社は「その他の関係会社」になります。
「自社を関連会社としている相手会社」という関係を整理すると、下図のような相関で表せます。
関係会社株式とは何か?
関係会社株式は、親会社株式・子会社株式・関連会社株式をまとめて表示するための勘定科目です。金融商品に関する会計基準では、有価証券を保有目的別に売買目的有価証券・満期保有目的の債券・子会社株式および関連会社株式・その他有価証券の4つに区分し、関係会社株式は3つ目の区分に位置します。
関係会社株式の貸借対照表上の表示区分
関係会社株式は、貸借対照表の固定資産の部にある「投資その他の資産」に表示します。子会社株式と関連会社株式の両方を保有している場合は、「関係会社株式」としてまとめて表示するのが一般的です。長期的な事業投資としての性格をもつため、流動資産である売買目的有価証券とは区分して取り扱います。
子会社株式と関連会社株式を別の勘定科目として表示することも可能ですが、財務諸表上のわかりやすさを優先して関係会社株式に統合するケースが多くなっています。
関係会社株式の評価方法(原価法)
関係会社株式は、決算時に評価替えを行わず、取得原価のまま貸借対照表に計上します。これは、子会社株式と関連会社株式が、「他社の支配、他社への重要な影響力の行使を目的」とする事実上の事業投資であるため、売買による時価等の変動を反映させる必要が乏しいためです。。
ただし、株式の発行会社の財政状態が著しく悪化したときなどは、減損処理(強制評価減)を検討する場合があります。評価減の判定や処理方法は実務上の重要論点となるため、関係会社株式を保有する企業では、決算時に発行会社の実態を確認する手続きをルール化しておくと安心です。
金融商品会計基準の4区分と評価方法の関係を整理すると、下表のとおりです。
| 保有目的別の区分 | 貸借対照表上の評価方法 |
|---|---|
| 売買目的有価証券 | 時価評価(評価差額は当期の損益に計上) |
| 満期保有目的の債券 | 取得原価または償却原価 |
| 子会社株式・関連会社株式 | 取得原価(評価替えは行わない) |
| その他有価証券 | 時価評価(評価差額は純資産の部に計上) |
参照:企業会計基準第10号 金融商品に関する会計基準|企業会計基準委員会(ASBJ)
取得原価に含める付随費用
個別財務諸表上、関係会社株式の取得原価には、株式そのものの購入価額に加えて、取得に直接要した付随費用を含めて処理します。一方、連結財務諸表上の企業結合に係る取得関連費用は、発生時の費用として処理します。
具体的には、株式取得に直接要した手数料や名義書換料などが該当します。一方で、子会社化や買収検討の過程で発生した報酬・手数料のうち、取得そのものに直接要したとは言いがたい費用は発生時の費用として処理する考え方が一般的です。
実務では、どの費用を取得原価に算入するかでBS上の表示価額が変わるため、契約書や請求書の内容を確認し、株式取得に直接対応するかを丁寧に判断することが大切です。
関係会社株式の仕訳例
ここからは、関係会社株式に関する会計処理を具体例で確認します。A社が関係会社であるB社の株式を追加取得し、B社の親会社となったケースで考えます。期中に、B社株式を保有していたC社からB社株式の40%を取得したとします。
株主の変更があるだけのB社では、会計上の変動は生じないため仕訳は不要です。一方、A社では取得と振替の仕訳が発生します。
関係会社株式を取得したときの仕訳
関係会社株式を取得した際は、子会社株式(または関係会社株式)を借方に計上し、現預金を貸方に記録します。あわせて、取得に直接要した手数料は「付随費用」として取得原価に含めて処理します。
A社がC社からB社株式の40%を取得し、仲介業者に手数料YYY円を支払った場合の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 子会社株式 | XXX円 | 現預金 | XXX円 | C社からB社株式取得(40%) |
| 子会社株式 | YYY円 | 現預金 | YYY円 | B社株式取得に係る手数料 |
子会社株式や関連会社株式を「関係会社株式」としてまとめた勘定科目で表示する場合も、考え方は変わりません。
議決権変動で子会社株式へ振替えるときの仕訳
もともと関連会社株式として保有していた株式を、追加取得により子会社株式へ振替えるときは、関連会社株式を貸方に記録して取り消し、子会社株式を借方に立てます。今回の例では、A社はB社株式を15%保有していて関連会社株式として計上していましたが、追加で40%を取得して合計55%の親会社になったため、既存分を子会社株式へ振替える必要があります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 子会社株式 | XXX円 | 関連会社株式 | XXX円 |
議決権の保有比率の変化により、関連会社株式から子会社株式へ、あるいはその逆へ振替が必要になるケースは少なくありません。振替前後で計上区分が変わるため、決算時には保有比率と実態の両面で判定し直すことが望まれます。
ここで、連結財務諸表では、支配獲得日に既保有持分を時価で再評価し、既保有持分の連結上の帳簿価額との差額を「段階取得に係る差益」または「段階取得に係る差損」として計上します。そのうえで、追加取得分と既保有分の時価を基礎として取得原価の配分とのれん等を計算します。
したがって、関連会社から子会社への移行では、個別財務諸表と連結財務諸表で処理が異なる点に注意が必要です。
関連会社・関係会社など勘定科目の判定と実務課題
関係会社株式や子会社株式といった勘定科目は、議決権の所有割合などから関連会社か子会社かを正しく判断して仕訳を行う必要があります。しかし、実際の会計業務において勘定科目の判定作業は大きな負担となっています。
株式会社マネーフォワードでは、仕訳業務に関わる担当者を対象に会計業務の実態に関する調査を実施しました。仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業について尋ねたところ、最も工数がかかっているのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」が34.5%、「インボイス制度(適格請求書発行事業者の確認等)への対応」が27.2%という結果になりました。
このように、日々の仕訳業務において勘定科目の判定に時間を割いている実態が明らかになっています。子会社と関連会社の分類についても、議事録などの資料を確認し、実態に基づいた的確な勘定科目を選択できる体制を整えることが、業務効率化の観点からも重要です。
出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者707名、集計期間:2026年3月実施)
関係会社株式は議決権と実態の両面で判定しよう
関係会社株式は、親会社・子会社・関連会社が発行する株式をまとめて把握するための勘定科目で、長期的な事業投資として取得原価で評価します。決算時の評価替えは行いませんが、発行会社の実態が著しく悪化した場合などは減損処理を検討する必要があります。
子会社と関連会社の区分は議決権の所有割合で大きく変わりますが、議事録など実態のわかる資料にあわせて目を通し、自社と相手会社との関係性を継続的に把握しておくことが大切です。議決権比率の変動によって関連会社株式から子会社株式へ振替えるケースも生じるため、決算ごとに保有関係を見直す体制を整えておきましょう。
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よくある質問
関連会社と関係会社の関係は?
関係会社株式とは、子会社、親会社や関連会社も含んだ包括的な概念です。詳しくはこちらをご覧ください。
会社の分類には何がある?
「親会社」、「子会社」、「関連会社」、「その他の関連会社」などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
勘定科目「関係会社株式」仕訳のポイントは?
取得時の手数料は費用処理し、原則として決算時には評価替えはありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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