• 更新日 : 2020年9月17日

減価償却資産の耐用年数等に関する省令で耐用年数の疑問を解決!

減価償却資産の耐用年数等に関する省令」は固定資産についての耐用年数を定めた省令です。耐用年数とは資産の寿命、すなわちその資産がどれくらいの期間にわたって利用できるかを表すものです。

固定資産は「減価償却」という手法によって、この耐用年数にわたって少しずつ費用化されますので、減価償却の際には耐用年数を決めなければなりません。

そもそも減価償却とは

耐用年数を知るには「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を見ればよいのですが、そもそも「減価償却」や「減価償却資産」とは何でしょうか?

企業が作成する財務諸表の一つに損益計算書があります。損益計算書は一会計期間における経営成績を表すものですので、売上などその期間の収益と、その収益を上げるために必要となった費用を期間対応させなければなりません。これを費用収益対応の原則と言います。

例えば、売上原価という費用を考えてみると、ある商品を販売し売上が損益計算書に計上されたとしたら、その商品の原価、すなわち売上原価も同じ期の損益計算書に計上されます。同じ期の損益計算書上で、売上と売上原価が計上されることで、その差額である利益がまさに経営成績を表すということです。

しかし、例えば店舗建物や営業車両などはどうでしょう?これらは購入した期だけでなく、来期以降も使用し、複数の期間の売上に貢献します。そのため、購入した期だけの費用とするわけにはいきません。

そこで、このように購入した期以降、複数年にわたって売上に貢献するものは、一旦資産に計上し、その後少しずつ費用処理していきます。固定資産についてこのように少しずつ費用処理していく方法を減価償却と言い、減価償却する資産のことを減価償却資産と言うのです。

減価償却資産の耐用年数等に関する省令を見てみよう

減価償却によって少しずつ費用処理していくといっても、建物と車両では使われる期間がちがいますから、費用処理する期間も異なります。そこで、減価償却資産の種類に応じて、何を何年で減価償却すべきかを定めた省令が「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」というわけです。

この省令の別表第一を見ると、店舗用の建物は鉄筋コンクリートで造られたものは耐用年数が39年となっています。つまり、39年かけて費用処理していくというわけです。

一方、営業用車両は「車両及び運搬具」→「前掲のもの以外のもの」→「自動車(二輪又は三輪自動車を除く。)」→「その他のもの」→「その他のもの」となり耐用年数は6年となります。

「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」では以下の六つの分類で耐用年数表が記載されています。

別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表
別表第二 機械及び装置の耐用年数表
別表第三 無形減価償却資産の耐用年数表
別表第四 生物の耐用年数表
別表第五 公害防止用減価償却資産の耐用年数表
別表第六 開発研究用減価償却資産の耐用年数表

同じ建物でも、店舗として使用するのか研究開発用の建物なのか、また、鉄筋コンクリート造なのか木造なのかなどによって耐用年数が異なってくるため、用途・構造に応じた耐用年数を選択する必要があります。

会計・監査と税務では耐用年数が違う?

減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の第一条は以下のように始まります。

「第一条 所得税法・・・又は法人税法・・・に規定する減価償却資産・・・の耐用年数は・・・」

(・・・部分は筆者が省略。以下同じ)

つまり、この省令で定められている耐用年数は、あくまで税法上の耐用年数なのです。

税法においては課税の公平性が重要視されますので、どんな企業でも同じ規定で減価償却するように耐用年数が定められています。つまり違う企業であっても、同じ資産であれば耐用年数は同じにせよというわけです。

一方、会計・監査上の耐用年数の考え方は少し違います。日本公認会計士協会の実務指針「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」では、

「耐用年数は、対象となる「資産」の材質・構造・用途等のほか、使用上の環境、・・・その他当該企業の特殊的条件も考慮して、各企業が・・・経済的使用可能予測期間を見積もって自主的に決定すべき」

ものとされています。

つまり、同じ資産であっても使用環境が異なれば耐用年数も異なるべきであるという立場をとっています。費用収益の対応を重視する、会計・監査の立場からすれば当然の主張だと思います。

同じ営業車両であっても、都心と地方といった公共交通手段の発達の程度や、業態などによっても使用頻度は異なってくるでしょうから、耐用年数も異なるべきという主張には妥当性があります。

しかし、税務上と会計・監査上で耐用年数の捉え方が違うことで、企業はどちらの立場で耐用年数を考えれば良いのか迷ってしまうと思います。

この点、同実務指針では、

「我が国の企業会計においては、従来から、・・・いわゆる「税法基準」による会計処理が、会計実務慣行として採用されてきた経緯がある。」

とし、

「このような事情に鑑み、法人税法に規定する普通償却限度額を正規の減価償却費として処理する場合においては・・・監査上妥当なものとして取り扱うことができる」

として、監査上も税法、即ち減価償却資産の耐用年数等に関する省令の規定する耐用年数の採用を容認する立場を明らかにしています。

まとめ

減価償却は、費用と収益を期間的に対応させる優れた方法です。そして、そのためには耐用年数を決定することが大切であることがおわかりいただいたと思います。

新たに資産を取得し、耐用年数を決定する場合には「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を確認しましょう。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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