• 作成日 : 2019年10月25日
  • 更新日 : 2020年7月10日

連結損益計算書の作り方

グループ企業全体の経営状況を知るためには連結損益計算書が必要です。
しかし個別の損益計算書なら作成できたとしても、連結損益計算書となると記載方法がわかりにくいという人も多いのではないでしょうか?

この記事では日々の連結取引が管理できるよう、連結損益計算書の概要をはじめ連結損益計算書の作成方法、連結修正について紹介します。

連結損益計算書とは

連結損益計算書とは、連結グループ全体としての損益計算書です。
連結損益計算書を作成することで、連結グループ全体の1年間の業績を明らかにできます。

おおよそのイメージとして「すべての損益計算書を合体させたもの」という捉え方で良いでしょう。ただし、単に各会社の損益計算書を合計しただけではなく、「連結修正」という部分的な修正が必要となります。

なお、金融商品取引法で有価証券報告書の提出が義務付けられている「有価証券報告書提出会社」の場合には、連結損益計算書の作成・開示が義務付けられています。それ以外の会社では、連結損益計算書の作成は任意となっています。

連結損益計算書の作成方法

連結損益計算書を作成する場合には、通常の決算に加えて、「連結決算」とよばれる決算手続きが必要になります。
連結決算の流れは、次のとおりです。

(1)個別財務諸表を作成する
(2)個別財務諸表を合算する
(3)親会社が、連結パッケージを入手する
(4)連結修正を行う
(5)連結財務諸表を作成する

(1)親会社・子会社それぞれが、個別財務諸表を作成する

ここまでは、通常の個別決算手続きです。
なお、その後決算書を合算することになるため、「会計方針」はできる限り親会社・子会社で統一しておくべきでしょう。

会計方針とは?
会計方針とは、企業が選択適用を行うことのできる会計上の処理方法のことです。たとえば、棚卸資産の評価方法、引当金の計上基準などが挙げられます。

親会社・子会社ごとに別々の会計方針が適用されている場合、これを合算した情報に整合性が保たれなくなるため、連結財務諸表等規則では原則として会計方針の統一が要請されています。

(2)親会社・子会社の個別財務諸表を、合算する

ここからが、いわゆる「連結決算」とよばれる手続きです。
親会社は、すべての子会社から個別財務諸表を入手し、これを合算(合計)します。

(3)親会社は、子会社から「連結パッケージ」を入手する

連結パッケージとは、連結修正のために必要な情報をまとめたデータのことです。
たとえば単体の企業が財務諸表を作成する際に用いる情報に加え、次のようなデータが含まれます。

・親会社との取引高
・親会社から仕入れた商品のうち、外部に未だ販売していない商品の金額

(4)親会社において、連結修正を行う

入手した連結パッケージに基づき、連結修正を行います。
代表的な連結修正は、次のとおりです。

・親子間取引の相殺
・未実現損益の消去

具体的な連結修正の手続きについては、後述します。

(5)連結財務諸表を作成する

合算し連結修正を加えた決算書が、連結財務諸表になります。

連結修正の具体例

親会社と子会社の損益計算書を合算し、連結修正を行うことで連結損益計算書が作成されます。
ここでは代表的な連結修正として、(1)親子間取引の相殺、(2)未実現損益の消去について、具体的な手続きの流れを例示します。

(1)親子間取引の相殺

親子間取引とは、親会社→子会社への売上取引、子会社→親会社への仕入れ取引などのことです。
連結損益計算書を作成するうえでは、このような親子間取引は相殺しなければなりません。

たとえば、親会社・子会社の個別P/Lが次のように作成されたとします。
親子間取引の相殺_1

このうち当期において、親会社→子会社へ1,000の売上があったとします。
すると、次のような相殺消去が必要になります。
親子間取引の相殺_2

これで親会社の計上していた1,000の売上高と、子会社の計上していた1,000の仕入(売上原価)を相殺消去できました。
仕訳として示すと、次のようになります。

売上高 1,000 / 売上原価 1,000

これを相殺しない場合、親子間で大量の取引を行うことで、売上高を意図的に大きく計上することができてしまいます。

なお、売上高と売上原価を相殺するため、利益の金額には影響を与えません。

(2)未実現損益の消去

未実現損益とは、親子間取引の結果、当期に外部へ販売されず内部に残されている商品に計上されている利益のことです。

たとえば、親会社・子会社の個別P/Lおよび個別B/Sが次のように作成されたとします。
未実現損益の消去_1

ここでも親子間取引があり、期末において子会社には親会社から仕入れた商品が500分残っていたとします。

ここで、通常親会社→子会社への売上取引では、一定の利益を上乗せして商品を販売しています。
本例では500のうち、100は親会社が上乗せして販売した利益であるとします。
未実現損益の消去_親子間取引

このまま連結修正を行わない場合、親会社→子会社へ商品を多く販売してしまえば、B/S上の「商品」を大きく見せることができてしまいます。

そのため、期末時点で商品に含まれている未実現利益(内部利益)を消去する必要があります。
未実現損益の消去_2

仕訳としては、次のように示すことができます。

売上原価 100 / 商品 100 

親会社に売上原価として計上されている400に、100を加え、子会社の商品として計上されている500から、100を控除する仕訳になります。

日々の親子間取引の管理が必要

連結損益計算書の作成のためには、連結修正が重要な手続きとなります。
そのため、日々親子間取引を管理する必要があるでしょう。

決算作業は業務が集中しがちです。決算時の負担を少しでも軽減するためにも、子会社に対しては日ごろから連結パッケージ作成に関わる条件を共有したり、必要な指導を行ったりする必要があります。

連結損益計算書を作成するために連結取引を管理しよう

連結損益計算書は、子会社とまとめて決算報告をするための財務諸表です。連結損益計算書を作成することで、連結グループ全体の経営成績を示すことができます。
しかし連結財務諸表の作成には、多くの手数を要します。決算期にかかる負担を少しでも軽減するために、日々連結取引を管理すべきでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:藤沼 寛夫(公認会計士)

ライター 兼 公認会計士
「会計」「税務」「財務分析」について、分かりやすい記事を提供します。
https://fujinuma-write.com/

関連記事