• 更新日 : 2026年9月15日

電子記録債権(でんさい)のデメリットは?注意点もわかりやすく解説

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Pointでんさいのデメリットとは?

電子記録債権(でんさい)は業務効率化に有効ですが、事前審査や手数料、取引先の登録が必要などのデメリットがあります。

  • 利用開始には金融機関の審査が必要
  • 取引先もでんさい登録が必須
  • 小規模取引はコスト削減効果が薄い

Q. でんさいの最大のデメリットは何ですか?
A. 取引先もでんさいネットに登録していなければ利用できない点で、相手方の協力が必要です。

電子記録債権(でんさい)のデメリットを理解しておくことは、導入を検討するうえで重要です。資金繰りや取引管理の効率化に役立つ一方、導入前に確認しておきたいデメリットもいくつか存在します。

本記事では、電子記録債権(でんさい)の仕組みとともに、利用時のデメリットや注意点についてわかりやすく解説します。

そもそも電子記録債権(でんさい)とは?

電子記録債権(でんさい)は、電子的な記録を通じて発生や譲渡が可能な金銭債権であり、2007年に成立し2008年に施行された「電子記録債権法」に基づいて導入されました。従来の手形や売掛金と異なり、債権の発生や譲渡に関する処理が電子化され、効率的かつ安全に管理できるのが特徴です。

電子記録債権(でんさい)の管理は、電子債権記録機関が担い、登記所のような役割を果たしています。記録された内容は、必要な利害関係者のみがアクセスできるため、取引の透明性が確保される一方で情報も保護される仕組みです。

電子記録債権(でんさい)の仕組み

電子記録債権(でんさい)は、従来の手形や小切手にかわる新しい債権の決済方法です。インターネットを通じて、債権の発生・譲渡・決済などの手続きを電子的に行えるため、ペーパーレス化や業務効率化に役立ちます。

下表は、電子記録債権(でんさい)の手続きの流れを、支払側と受取側の視点に分けてまとめたものです。

手続き 支払側 受取側
発生記録請求

(手形振出に相当)

  • 債務者である支払企業が、インターネットバンキング等を通じて、債権者である受取企業に関する支払情報(債権額や支払期日など)を入力(請求)
  • 発生記録の通知メールを受けた後、ネットバンキングを利用し、「でんさい」の内容(債権額や支払期日など)を確認
譲渡記録請求

(手形裏書譲渡に相当)

  • インターネットバンキングを通じて、譲渡情報(譲渡日や譲渡先情報など)を入力する(請求)
  • 必要に応じて金額を分割して譲渡することが可能である
  • 譲渡記録には、譲渡人の保証が付随し、支払遅延時には遡求義務が発生する
  • 譲渡記録の結果通知をメールで受け取り、ネットバンキングで「でんさい」の譲受内容(債権額や支払期日など)を確認
口座間決済

(手形取立に相当)

  • 支払期日前までに決済口座に資金を入金して準備
  • 決済専用口座に「でんさい」の支払資金が入金されていることを確認

参考:株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット) でんさい® の仕組みと メリット

このように、電子記録債権(でんさい)はインターネットを活用して、債権の発生から決済までの一連の手続きを電子化することで、大幅な業務効率化を図れます。ペーパーレス化によるコスト削減や、人為的ミスの削減も期待できるでしょう。

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電子記録債権(でんさい)と手形・売掛金との違いは?

でんさい・手形・売掛金は、いずれも企業間取引で代金を後日回収する際に関係する債権ですが、成立方法や管理方法、譲渡・資金化の方法が異なります。

でんさいは電子記録によって発生・管理される

でんさいは、でんさいネットの記録原簿に発生記録を行うことで成立する電子記録債権です。紙の証書を必要とせず、譲渡や分割譲渡、期日前の資金化も電子的に行えます。支払期日には原則として口座間で自動決済されます。

手形は紙の証書を使って権利を管理する

約束手形などの手形は、紙の証書を振り出して受取人へ交付することで手形上の権利が発生します。裏書譲渡や手形割引が可能ですが、保管・郵送・取立などの事務が必要です。また、紙の手形は利用縮小が進んでいます。

売掛金は通常の掛取引によって発生する

売掛金は、商品やサービスを先に提供し、代金を後日受け取る掛取引によって発生する債権です。手形の交付やでんさいの発生記録は必要ありません。期日前に資金化する場合は、ファクタリングなどを利用する方法があります。

比較項目 でんさい 手形 売掛金
成立方法 電子記録 手形の振出し・交付 掛取引
管理 電子データ 紙の証書 帳簿・請求書など
譲渡 譲渡・分割譲渡が可能 裏書譲渡 債権譲渡
主な期日前資金化 でんさい割引 手形割引 ファクタリング

 

電子記録債権(でんさい)の仕訳・勘定科目は?

例として、製品を20万円で販売し、その販売代金を電子記録で受け取ったケースを見てみましょう。電子記録債権(でんさい)の勘定科目は、資産として分類される「電子記録債権」です。

【売手側】

  1. 商品を20万円で売却し、電子記録債権(でんさい)で受け取る場合、いったん借方に「売掛金」を仕訳する。
  2. その後、発生した電子記録債権(でんさい)に基づき、「売掛金」を「電子記録債権」に振り替える仕訳を行う。
借方 貸方 摘要
売掛金 200,000円 売上 200,000円 △社への販売分
電子記録債権 200,000円 売掛金 200,000円 電子記録債権発生分

一方、製品を購入した側は、負債としての「電子記録債務」で仕訳します。

【買手側】

  1. 借方に「仕入」、貸方に「買掛金」として仕訳する。
  2. 次に「買掛金」を「電子記録債務」に振り替える仕訳を行う。
借方 貸方 摘要
仕入 200,000円 買掛金 200,000円 ○社からの仕入分
買掛金 200,000円 電子記録債務 200,000円 電子記録債務発生分

 

電子記録債権(でんさい)を利用するデメリットは?

電子記録債権(でんさい)を利用する際の主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 事前の申し込みが必要
  • 手形と同じように手数料がかかる
  • 取引先も電子記録債権(でんさい)を利用する必要がある
  • 小規模な取引の場合はコスト削減のメリットが少ない
  • 法人や個人事業主しか利用できない

ここでは、それぞれについて解説します。

事前の申し込みが必要

電子記録債権(でんさい)を利用するには、事前に窓口金融機関への申し込みが必要です。利用開始には、金融機関での利用申請、審査、利用契約の締結といった手順を踏まなければなりません。

なお、でんさいネットでは、債務者として利用する場合には金融機関による一定の審査が必要とされています。審査の具体的な内容や基準は金融機関によって異なるため、詳細は取引金融機関に確認しましょう。

手形と同じように手数料がかかる

電子記録債権(でんさい)を利用する際には、金融機関の定める手数料が必要です。この手数料は金融機関によって異なるため、利用前に確認しコストを試算することが重要です。

また、すべての取引先が同時に電子記録債権(でんさい)に移行することは現実的でないため、旧来の支払方法と併用する必要が生じます。会計処理が複雑化し、管理の煩雑さやミスのリスクが増加する可能性もあるため、導入にあたっては慎重な検討が求められます。

取引先も電子記録債権(でんさい)を利用する必要がある

電子記録債権(でんさい)を利用するためには、取引先も「でんさいネット」に加盟し、利用者登録を完了していなければなりません。そのため、相手方に電子記録債権(でんさい)の導入を確認する手間が生じます。

また、取引先に導入を促したいケースにおいて、インターネット取引に慣れていない企業や高齢の経営者がいる場合、協力が得られにくいことも想定しておかなければなりません。

小規模な取引の場合はコスト削減のメリットが少ない

電子記録債権(でんさい)の導入には、コスト削減というメリットがあります。しかし、小規模な取引では効果が限定的です。

手形や売掛債権を利用する頻度が少ない企業では、印紙税や配送料の削減効果があまり見込めず、もともと事務負担も少ないため、導入コストに見合わないケースもあります。導入にあたっては、費用対効果を慎重に評価することが重要です。

法人や個人事業主しか利用できない

電子記録債権(でんさい)は法人や登録された個人事業主しか利用できないため、個人での利用は制限されます。

個人事業主として、事業を行っている人にとっては便利ですが、それ以外の個人には利用の道が閉ざされています。

個人で利用したい場合は、まず開業届を提出し、個人事業主として登録することが必要です。この制約は、利用の幅を狭めるという点でデメリットともいえるでしょう。

電子記録債権(でんさい)の利用がおすすめの取引は?

電子記録債権(でんさい)の利用がおすすめなケースは、以下のとおりです。

  • 大口の取引先が電子記録債権を採用しているケース
  • 手形や売掛債権の取引が多く、コストや業務負担を改善したいケース
  • 手形の紛失や盗難リスクを抑えたいケース

それぞれについて、見ていきましょう。

大口の取引先が電子記録債権を採用しているケース

大口取引先が電子記録債権(でんさい)を導入済みであれば、電子記録債権(でんさい)への参加は業務効率化の好機です。取引先との決済業務に関わるコスト削減や、事務作業の軽減効果が期待できます。

取引規模が大きい企業との手形対応の手間を大幅に削減することで、業務の効率化とコスト低減を実現するチャンスとなるでしょう。

手形や売掛債権の取引が多く、コストや業務負担を改善したいケース

手形や売掛債権による取引が多い企業では、印紙税や配送料などで多額なコストが発生しています。

電子記録債権の活用で、これらのコストを削減できるほか、記録・管理・保管といった事務負担も大幅に軽減できるため、業務の効率化が可能です。

企業の規模を問わず、従来の手形取引に課題を感じている場合は、電子記録債権への移行を検討する価値があるでしょう。

手形の紛失や盗難リスクを抑えたいケース

手形取引では、物理的な証券を保有・保管する必要があることから、紛失や盗難のリスクが常に付きまといます。一方、電子記録債権はWeb上でデジタル管理を行うため、こうしたリスクから解放され安全に取引が行えます。

企業の経営者や経理担当者にとって、手形の保管や運搬に伴う不安要素を排除できることは大きなメリットといえるでしょう。

電子記録債権(でんさい)を利用するときの注意点は?

でんさいは紙の手形より事務負担を減らせる一方、利用開始の手続きや手数料、取引先の対応状況、支払不能時の責任などに注意が必要です。導入前に利用条件と社内ルールを確認し、継続的に管理できる体制を整えましょう。

利用前に金融機関への申込みと審査が必要

でんさいを利用するには、取引金融機関を通じて利用申込みを行い、所定の審査を受ける必要があります。インターネットバンキングの契約や利用者番号の取得が必要になる場合もあるため、すぐに利用開始できるとは限りません。

また、発生記録や譲渡記録、分割譲渡などには金融機関所定の手数料がかかります。取引件数が多い企業は、年間コストを試算しておくことが重要です。

取引先もでんさいを利用できるか確認する

でんさいは、自社だけが利用登録していても取引できません。支払企業と受取企業の双方が利用可能な状態である必要があります。

取引先が未対応の場合は、銀行振込など別の決済方法を用意する必要があります。切替日や支払期日、手数料負担なども事前に合意しておきましょう。

支払不能や譲渡後の保証責任に注意する

でんさいは電子化されていても、支払期日に債務者の口座残高が不足すれば支払不能になります。また、でんさいを譲渡した場合は原則として保証記録が伴うため、譲渡先から支払いを求められる可能性があります。

なお、「不渡りになれば必ず買戻しが必要」という説明は正確ではありません。買戻し義務は、でんさい割引を利用した場合の金融機関との契約内容などによって異なります。支払不能時の責任範囲をあらかじめ確認しておきましょう。

でんさい導入後に起こりやすい運用ミスは?

でんさいは紙の手形より管理を効率化できますが、入力や承認を誤ると、支払金額や期日、取引先を間違える可能性があります。特に導入直後は従来の銀行振込などと併用するケースも多いため、チェック体制や権限管理を整えることが重要です。

金額・支払期日・取引先を誤って登録する

発生記録を請求する際、債権金額や支払期日、取引先の利用者番号などを誤って入力するケースがあります。誤った内容が記録されると、変更や取消しの手続きが必要になり、相手方の承諾が必要になる場合もあります。

防止策として、請求書や契約内容と入力内容を照合し、登録者とは別の担当者が承認するダブルチェックを採用すると効果的です。

銀行振込との二重払いが発生する

でんさいへの移行途中では、同じ取引先に対して銀行振込とでんさいを併用することがあります。支払方法の変更が社内で共有されていないと、でんさいを発生させたうえで振込も実行する二重払いにつながります。

取引先ごとに支払方法をマスタ管理し、変更時には経理担当者へ必ず共有するルールを設けましょう。

承認漏れや決済資金不足が発生する

でんさいでは、金融機関のサービスによって入力後に承認操作が必要です。承認期限の失念や担当者不在によって処理が完了しないケースも考えられます。また、支払期日までに決済口座へ十分な資金を用意できなければ支払不能となります。

承認期限をスケジュール管理するとともに、複数の承認担当者を設定し、支払期日前には資金残高を確認する運用を徹底しましょう。

手形の廃止に向けた動きにより電子記録債権(でんさい)の扱いは変わる?

紙の手形の利用縮小が進んでも、でんさいの法的な仕組みや基本的な利用方法が大きく変わるわけではありません。紙の手形に代わる決済手段の一つとして、でんさいを導入・利用する企業は今後さらに増えると考えられます。

紙の手形からでんさいへの切替えが進む

電子交換所における紙の手形・小切手の交換は2027年3月31日に廃止される予定です。そのため、これまで約束手形で支払い・受取りを行ってきた企業では、銀行振込やでんさいなどへの切替えが進んでいます。

特に、支払期日を設定できることや、債権を譲渡・分割譲渡できることから、手形に近い使い方をしたい企業では、でんさいが有力な移行先となります。

参考:手形・小切手機能の全面的な電子化について|金融庁

でんさいの発生・譲渡・決済の仕組みは基本的に変わらない

紙の手形交換が廃止されても、でんさいは電子記録債権法に基づく別の債権であるため、制度そのものが廃止されるわけではありません。

従来どおり、発生記録による債権の発生、譲渡記録による債権譲渡、支払期日の口座間決済などを利用できます。紙の手形の廃止は、でんさいの制度変更というより、でんさいの利用拡大を後押しする動きと捉えるとよいでしょう。

コストと業務効率を考慮しつつ「でんさい」導入を検討しよう

「でんさい」(電子記録債権)は、従来の手形や売掛金にかわり、債権の管理を電子化することで業務効率化やコスト削減を実現できる決済手段です。

ただし、導入には事前手続きや手数料、取引先の協力が必要となるなどの注意点もあります。電子記録債権(でんさい)の導入を検討する際は、自社の状況や取引先との関係性をよく検討し、メリットとデメリットを比較検討しながら慎重に進めましょう。

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