- 更新日 : 2023年3月29日
法人税の申告期限は決算日の2か月後

法人税の申告期限は決算日の2か月後と定められています。決算日から2か月を過ぎているのに、株主総会を待ってから法人税の申告をする会社も多くみられますが、これは特例を適用していることによるものです。
ここでは、法人税の申告期限の原則と、申告期限を延長できる特例についてご紹介します。
申告期限は原則として決算日の2か月後
所得税の申告期限は、一律に2月15日から3月15日までと定められています。一方、法人税の申告期限は、所得税のように一律に定められているわけではなく、会社が定めた事業年度の日によって申告期限は異なります。
会社の事業年度の開始と終了の日は自由に設定でき、会社の定款で定めます。事業年度の終了の日、つまり決算日は、3月31日や12月31日にするのが一般的ですが、業種ごとの慣行でそれ以外の日にすることもあれば、月末以外の日にすることもあります。
法人税の申告期限は、原則として決算日の2か月後です。決算日が3月31日であれば、法人税の申告期限は5月31日になります。
決算日の2か月後の日が、土曜、日曜、祝日など税務署の閉庁日である場合は、その次の開庁日が申告期限となります。申告書を提出するときは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、勘定科目内訳明細書、事業概況書などを添付します。
法人税の申告期限は特例で延長できる
決算日の2か月後と定められている法人税の申告期限ですが、特例によって申告期限を延長できる場合があります。

一定の理由があれば延長できる
法人税の申告期限は、一定の理由があれば延長が認められます。延長が認められる一定の理由は次のとおりです。
■会計監査人の監査を受けなければならないことなどの理由により決算が確定しない場合
法人税の申告は、会計監査人の監査と株主総会の承認を受けて確定した決算に基づいて行われることが原則です。
しかし、会計監査人の監査を受けるには時間を要することから、本来の申告期限(決算日から2か月以内)までに決算を確定させることができないケースもあります。
会社法上、株主総会は決算日から3か月以内に開催すればよいとされていることもあり、この特例では、申告期限を1か月延長することが認められています。
なお、会計監査人を置いていない会社であって、株主総会が決算日から3か月以内に開催される場合も延長が認められます。
この特例を受けるには、事業年度が終了する日までに、税務署に申告期限の延長の特例の申請をすることが必要です。一度申請すれば、翌事業年度以降も引き続き延長が認められます。
■災害などのやむを得ない理由が発生した場合
災害などのやむを得ない理由によって本来の申告期限までに申告できない場合は、その災害などが止んだ日から2か月以内に限り申告期限の延長が認められます。災害などによる期限の延長には、地域指定による期限延長と個別指定による期限延長があります。
地域指定による期限延長は、大規模な災害が発生して被害が広い地域に及んだ場合に、国税庁長官が地域と期限を定めて実施します。このときは、税務署に申請する必要はありません。
個別指定による期限延長は、個別に税務署に申請することにより、申告期限が延長されるものです。地域指定が行われた地域以外で災害が発生した場合や、地域指定が行われた地域で被災した事業所があるものの、本店が指定地域以外にあるために地域指定による期限延長が受けられない場合などに適用されます。
納税は延長できない
会計監査人の監査を受けなければならないことなどの理由により申告期限を延長する場合は、納税期限の延長は認められていません。
本来の申告期限に納税できない場合は、延長した期間の日数に応じて、利子税が課されます。実務上は、本来の申告期限に見込納付を行い、申告のときに精算します。このとき、見込納付した額が本来の納税額に満たなければ、その満たない部分について利子税が課されます。
災害によって申告期限を延長する場合は、納税期限も延長され、延長した期間に対応する利子税は免除されます。
まとめ
法人税の申告期限は、決算日から2か月後と定められています。所得税の申告期限とは異なるので、個人事業から法人に転換した場合などは注意が必要です。また、株主総会を待って決算日から3か月以内に申告するのが一般的になっていますが、これはあくまでも例外であって、税務署に申請する必要があるということも覚えておいてください。
法人税の申告期限を守らないと、延滞税や加算税を課されるなどのペナルティーがあります。申告期限を守って申告と納税をしたいものです。
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