• 更新日 : 2024年8月8日

無形固定資産と有形固定資産とは?違いや減価償却の解説

固定資産には、無形固定資産と有形固定資産があります。物理的な形態を持つか、持たないかが主な違いです。

無形固定資産には、ソフトウェアや特許権、有形固定資産には土地や建物などの種類があります。本記事では、それぞれの概要だけでなく、減価償却方法についても解説していきます。

無形固定資産とは

無形固定資産とは、長期期間保有したり、1年を超えて現金化・費用化されたりする「固定資産」のひとつです。

固定資産には、無形固定資産以外にも有形固定資産があります。貸借対照表において、無形固定資産などの固定資産は、流動資産繰延資産と同様に「資産の部」に表示されます。

ここから、無形固定資産の概要や種類、減価償却方法を確認していきましょう。

無形固定資産の概要

無形固定資産は物理的な形態を持たず、1年を超えて利用される点が特徴です。法人企業統計調査によると、2011年度の全産業における日本国内の無形固定資産総額が約24兆円であるのに対し、10年後の2021年度は約38兆円のため、日本で無形固定資産は増加傾向にあるといえるでしょう。

なお、無形固定資産の数値は、参照データの「ソフトウェアを除く無形固定資産(当期末固定資産)【百万円】」+「ソフトウェア(当期末固定資産)【百万円】」で計算しています。

参考:e-Stat 法人企業統計調査 時系列データ

無形固定資産の種類

無形固定資産の主な種類は、以下のとおりです。

  • 特許権・実用新案権
  • ソフトウェア
  • のれん(M&Aの営業権)

特許権とは、特許法に基づき登録した発明を独占・排他的に行使できる権利です。

実用新案権は、実用新案法に基づき「物品の形状・構造または組合せにかかるもの」を保護する権利を指します。

ソフトウェアとは、コンピュータを動かすためのプログラムのことです。

のれんは、ノウハウやブランド力など将来的な収益力の元となる材料を指します。

無形固定資産の減価償却

減価償却とは対象の費用を一定期間に配分する会計処理のことです。無形固定資産を減価償却する際は、一般的に取得費用を耐用年数で割って計算します。ソフトウェア(「複写して販売するための原本」または「研究開発用のもの」)の場合、耐用年数は3年です。

なお、税務上、無形固定資産の種類によって耐用年数が定められていないものもあります。

参考:国税庁 No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数

有形固定資産とは

有形固定資産とは、固定資産のひとつです。概要や種類、減価償却方法について解説します。

有形固定資産の概要

有形固定資産は営業活動で長期にわたって使用する目的で、所有する資産です。企業が有形固定資産をどれだけ有効活用しているか判断する指標として、「有形固定資産回転率」があります。

有形固定資産回転率の計算式は、以下のとおりです。

有形固定資産回転率(回) =売上高/(有形固定資産(建設仮勘定を除く)×  (期首・期末平均))

有形固定資産回転率が高いほど、有形固定資産を有効活用していることを示します。

有形固定資産の種類

主な有形固定資産は、以下のとおりです。

  • 土地
  • 建物
  • 構築物
  • 機械および装置
  • 車両

土地や建物は、販売目的以外のものを指します。具体的には、オフィスや店舗の土地・建物などです。

機械および装置とは、主に工場に設置された設備関連のものを指します。

構築物とは、土地の上にある建物以外の工作物などのことです。

車両には、営業用車両などが該当します。

有形固定資産の減価償却

有形固定資産は、定額法や定率法を使って減価償却します。定額法は毎年同額の減価償却費を計上するもので、定率法は年が経過するにつれて減価償却費が減額するものです。

それぞれ以下の式で計算します。

  • 定額法の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
  • 定率法の減価償却費 = 取得価額(未償却残高)× 定率法の償却率

各償却率は、国税庁の資料(減価償却資産の償却率等表)から確認できます。

なお、土地は年数の経過とともに価値が減少しないため、減価償却できません。また、税務処理上、建物や構築物などを計算する際は定額法を使います(会計上は実態に合わせて償却)。

参考:国税庁 減価償却資産の償却率等表
参考:国税庁 減価償却のあらまし

無形固定資産と有形固定資産の違い

無形固定資産と有形固定資産の違いは、「形がない」か「形があるか」です。対応する勘定科目を以下にまとめました。

代表的な勘定科目
無形固定資産有形固定資産
特許権土地
実用新案権建物
借地権構築物
ソフトウェア機械および装置
のれん車両・運搬具

どちらに分類するか迷った場合は、目にみえるか見えないかで考えてみましょう。たとえば、目に見えないソフトウェアが無形固定資産に分類されるのに対し、目に見える建物は有形固定資産に分類されます。

無形固定資産は形がない資産

無形固定資産とは、物理的な形態を持たず1年を超えて利用される資産のことです。形がないか、形があるかが有形固定資産との違いとして挙げられます。

特許権やソフトウェアなどが、無形固定資産の具体例です。一般的に、無形固定資産を減価償却する際は、取得費用を対象資産の耐用年数で割って計算します。

無形固定資産と有形固定資産の違いを理解した上で、仕訳するようにしましょう。

よくある質問

無形固定資産とは?

物理的な形態を持たない固定資産のことです。 詳しくはこちらをご覧ください。

有形固定資産とは?

営業活動で長期にわたって使用する目的で保有する固定資産のことです。詳しくはこちらをご覧ください。


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