- 更新日 : 2024年8月8日
謝礼金を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
謝礼金を支払ったときは、交際費や支払手数料などの勘定科目を使って、経費として計上ができます。具体的にどのように仕訳ができるのか紹介するので、ぜひ参考にしてください。また、支払うときに源泉徴収する必要があるのかについても解説します。
謝礼金の仕訳に使える勘定科目
謝礼金を受け取ったときは、謝礼金が売上につながる費用であれば経費として計上できます。
一方、謝礼金を支払ったときは、交際費か支払手数料の勘定科目を使って仕訳ができます。例えば、講演会を開催し、講師に謝礼金を支払ったときは、支払手数料の勘定科目で仕訳をすることが一般的です。何かしらのお礼のために謝礼金を支払ったときは、交際費が一般的となります。
ただし、個人に謝礼金を支払うときは、源泉徴収の対象となる点に注意しましょう。謝礼金から源泉徴収税を計算し、差し引いてから支払うことになります。
源泉徴収税は10.21%です。しかし、1回の支払いが100万円を超えるときは、100万円までは10.21%、100万円を超えた部分に関しては20.42%の税率となります。いずれにしても細かな金額となることが多いため、源泉徴収をした金額をベースに謝礼を決めると小銭を支払わずに済みます。
一方、謝礼金を受け取った個人事業主は、売上か雑所得として仕訳ができます。選んだ勘定科目は次回以降も同じものを使い、帳簿が見やすくなるようにしましょう。
謝礼金を交際費で仕訳する
お世話になっている弁護士(法人化している法律事務所)に取引先になる可能性がある会社を紹介してもらい、お礼として5万円支払った場合は、以下のように仕訳ができます。
会社でイベントがあり、社員以外の人物が手伝ってくれた場合は、個人に支払うため源泉徴収する必要があります。消費税や源泉徴収税を差し引いて謝礼金が3万円になるように調整してお礼を支払ったとすると、以下のように仕訳ができます。
なお、仮払消費税等は消費税のことで、交際費として発生した金額の10%を記載します。また、預り金は源泉徴収税のことで、交際費として発生した金額の10.21%です。
支払う謝礼金(現金)を3万円とし、交際費をP円とすると次の計算式が成り立ちます。
上記から、30,063円を謝礼金にしておくと、実際に支払う金額が切りの良い3万円になります。
謝礼金を支払手数料で仕訳する
教育センターなどに依頼して、講師に来てもらった場合について考えてみましょう。謝礼金として5万円支払ったとすると、以下のように仕訳ができます。
一方、個人事業主としてファイナンシャルプランナーの事務所を開いているCさんに、資産運用に対する講義をしてもらった場合は、源泉徴収税と消費税について考える必要があります。謝礼金として5万円を受け取れるように調整して支払った場合は、以下のように仕訳ができます。
この場合も仮払消費税等とは消費税のことで、交際費として発生した金額の10%です。一方、預り金は源泉徴収税のことで、交際費として発生した金額の10.21%に相当します。
支払う謝礼金(現金)を5万円とし、交際費をQ円とすると次の計算式が成り立ちます。
つまり、50,105円を謝礼金として設定しておくと、実際に支払う金額は切りの良い5万円になります。
正しい勘定科目で謝礼金の仕訳をしよう
謝礼金を支払ったときは交際費か支払手数料の勘定科目で仕訳をすることが一般的です。また、個人に支払うときは、源泉徴収をし、消費税も加えてから渡す必要があります。
一方、謝礼金を受け取ったときは売上か雑所得として計上できます。事業の売上に関係するお金であれば、経費として計上することも可能です。正しい勘定科目で謝礼金の仕訳をしましょう。
よくある質問
謝礼金は経費にできる?
売上に関する費用であれば経費にできます。取引先の紹介やイベントの手伝い、従業員を対象としたセミナーでの講義などは売上に関する事柄のため、謝礼金を支払ったときは経費として計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。
謝礼金を交際費で仕訳するポイントは?
取引先を紹介してくれたときやイベントなどで手伝ってもらったときなどに支払う謝礼金は、交際費の勘定科目で仕訳ができます。個人に支払うときは源泉徴収税を差し引いて渡す点に注意が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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