• 更新日 : 2024年6月28日

電子帳簿保存法対応のおすすめ会計ソフトは?選び方のポイント

経理のデジタル化をめざし、税務関係帳簿や書類をデータ保存することを可能とした法律が電子帳簿保存法です。すでに「電子取引データ」については、令和6年1月から電子保存が義務付けられています。この記事では「電子帳簿等保存」について分かりやすく解説するとともに、おすすめの会計ソフトをご紹介します。

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法の正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律」です。電子帳簿保存制度を考える上で欠かせない考え方として、管理対象を次の3つの区分に分けています。

制度詳細対応すべき者概要
電子帳簿等保存希望者のみ一貫してPC等で作成した帳簿・国税関係書類をデータのまま保存することができる
スキャナ保存希望者のみ取引先から受領した紙の請求書等は、読み取った電子データで保存することができる
電子取引データ保存法人・個人事業主電子取引をした場合は、その電子取引データを保存する義務がある

上の表でも明らかなように、電子帳簿保存法で義務付けられているのは今のところ「電子取引データの保存」のみです。それ以外についての対応は法人や個人事業主の任意ですが、法人であれば原則7年間保存が必要な会計帳簿を紙で運用し続けるよりも、帳簿だけでもデータのまま保存することが業務効率化や経費削減につながります。

なお、「電子帳簿等保存」をする場合に特に届出は不要ですが、一定の要件を満たす保存のときは「優良な電子帳簿」として届出を提出すれば、過少申告加算税の5%軽減措置等が受けられます。

参考:電子帳簿保存法パンフレット|国税庁電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要

電子帳簿保存法に対応したおすすめの会計ソフトは?

ここでは、電子帳簿保存に関しておすすめの会計ソフトとしてマネーフォワード社の会計ソフトを取り上げます。

ここで紹介する会計ソフトはどれも電子帳簿保存法の保存要件を満たす機能を有しており、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を取得しています。JIIMA認証を受けている会計ソフトは、ユーザー側で改めて電子帳簿に関する法的要件をチェックする必要はありません。

参考:電子帳簿ソフト法的要件認証製品|日本文書マネジメント協会

どれもシンプルで使い勝手のよい会計ソフトですが、対象別にいくつかに分かれているので、それぞれの概観についてご紹介いたします。

法人向けのおすすめ会計ソフト

マネーフォワードの会計ソフトの中で法人におすすめするのが次の2つです。

  • クラウド会計

主に小規模企業から中小企業向けを想定した会計ソフトです。毎日の仕訳入力など手間のかかる作業を自動化し、業務効率化アップと経営の見える化を実現します。入出金に係る銀行、法人カード、キャッシュレス決済、POSレジ等との連携機能で手作業を大幅に削減できるでしょう。

  • クラウド会計Plus

上記クラウド会計に内部統制機能をプラスし、内部統制、監査対応等の対応が可能となった中堅企業から上場企業向けの会計ソフトです。仕訳処理における承認機能が追加される上、権限管理や仕訳の履歴が管理でき、不正リスクの低減、財務データの信頼性や整合性の確保に有効な機能が搭載されています。

参考:マネーフォワード クラウド会計マネーフォワード クラウド会計Plus

個人向けのおすすめ会計ソフト

個人事業主向けのマネーフォワードの会計ソフトとしては、「マネーフォワード クラウド確定申告」があります。

特に、会計業務に慣れていない人、確定申告が初めての人にもおすすめできる安心設計が定評の会計ソフトです。銀行データやクレカ情報からの自動仕訳をはじめ、確定申告に必要な書類の自動作成などが分かりやすく設計されています。

参考:マネーフォワード クラウド確定申告

【最新】電子帳簿保存法の改正ポイントをおさらい!

電子帳簿保存法は何度も改正が繰り返されている法律ですが、直近の改正についておさらいをしておきましょう。

「電子帳簿等保存」のみを取り上げても電子帳簿保存法は平成16年に制定されて以来、数々の改正が行われていますが、直近で改正があったのは令和5年税制改正でした。令和5年度改正にて「優良な電子帳簿」としての適用を受ける場合の帳簿の範囲が見直されています。

  • 「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」対象となる帳簿の範囲
    仕訳帳総勘定元帳、その他必要な帳簿(以下の記載次項に限定)
対象となる記載事項具体例
1売上その他収入に関する事項売上帳
2仕入その他経費に関する事項仕入帳、経費帳、(賃金台帳
3売掛金に関する事項売掛帳
4買掛金に関する事項買掛帳
5手形上の債権債務に関する事項手形記入帳
6その他の債権債務に関する事項貸付帳、借入帳、未決済項目に係る帳簿
7有価証券に関する事項(法人税有価証券受払簿
8減価償却資産に関する事項固定資産台帳
9繰延資産に関する事項繰延資産台帳

参考:電子帳簿・電子書類関係|国税庁電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要

電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを導入するメリット

会計ソフトの導入にあたり、電子帳簿保存法対応の会計ソフトを導入するメリットとして次の3つが挙げられます。

業務効率化の向上

手作業で行っていた仕訳業務を自動化することで、業務工数が大幅に削減されます。経理担当者は、仕訳入力が部分的になり、自動仕訳の確認、精査業務や取引関係の整理などが中心となり、取引内容の精緻化が進むでしょう。

また、電子的に帳簿を保存するため、仕訳や帳票の検索・修正が容易になります。

コスト削減

紙で帳票を出力する必要がなくなり、印刷コストや帳票保管スペースおよび人件費の削減につながり、社内のペーパーレス化が促進されます。当初のデータ移行等のシステム導入コストはあったとしても、中期的には総コストを抑えることが可能です。

セキュリティの向上

保存データについては、訂正削除の履歴、アクセス権限のコントロールなどにより、改ざん防止の仕組みが組み込まれているため、高セキュリティが保証されます。システム化を推進することで、経理業務だけでなく取引全体への不正や不適切な処理への抑止力が働きます。

電子帳簿保存法に対応した会計ソフトの選び方

電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを選ぶにあたって、先に社内の環境を整えておく必要があります。電子帳簿保存法の要件を参考にしつつ、どのような環境で保存すればよいかを検討し、その後その環境にあった会計ソフトを導入することをおすすめします。

以下のような洗い出し作業や検討を経て、自社に適した会計ソフトをいくつか選定し、比較検討しましょう。

電子帳簿保存法の対応範囲を明らかにする

まず、自社の電子帳簿保存法の対応範囲を明確にしましょう。「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」のどこまで対応するのか、自社は対応できる環境にあるのかをよく検討する必要があります。

義務付けられた「電子取引データ保存」では、従来、紙でやりとりしていた場合に保存が必要な書類が保存対象です。また、取引において当方から送付した電子データの控えも保存する必要があります。

また、「電子帳簿等保存」は、「帳簿」と「書類」に分かれます。自社では何がこれらに該当するかを認識しましょう。また、「優良な電子帳簿」として届けるかどうかなどの検討は早めに行う必要があります。

参考:電子帳簿保存法パンフレット|国税庁電子取引データの保存方法をご確認くだささい【令和6年1月以降用】はじめませんか、帳簿・書類のデータ保存(電子帳簿等保存)【令和6年1月以降用】

保存処理の手順を明らかにする

紙での保存をしていたとき同様、ファイリングの手順や格納方法、格納場所、保存期間終了後の廃棄手順までどのような業務フローになるのかを明らかにしておきましょう。

また、帳簿書類については取引後に検索をすることが想定されます。会計ソフトの検索方法について操作性を確認するとともに、検索時のアクセス権限などについてもよく検討する必要があります。

確実なセキュリティ対策をめざす

紙の保存ではロッカーに施錠し、鍵を金庫に収納する等の対策があったように、電子帳簿保存においてもセキュリティ対策が重要です。

保存中の改ざんや不正なアクセスからどのようにデータを守るかについては、ソフトウェア会社のセキュリティ対策や認証取得状況を確認し、安全性の高いものを選びましょう。

また、先述のように「優良な電子帳簿」と認められるためには、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による認証を受けたソフトを使うことをおすすめします。

参考:電子帳簿ソフト法的要件認証製一覧|JIIMA
電子取引ソフト法的要件認証製品一覧 | JIIMA

導入コストと運用コストの試算をする

一旦、電子帳簿保存を始めると後戻りすることは難しいため、無理のないコストであるかどうかは重要な論点です。単に会計ソフトを導入するのではなく、電子帳簿保存の運用を想定した業務フローでは関連ソフトやスキャナ連携など対応範囲に応じた準備が必要です。会計ソフト中心に考えるのではなく、ペーパーレス化のためのコストとして全般的な予算を考えるとよいでしょう。

電子帳簿保存法対応におすすめのシステム・ソフト

ここでは、電子帳簿保存に関しておすすめの会計ソフトとしてマネーフォワード社の電子帳簿関連のソフトを取り上げます。導入の形態等に合わせて、適切な関連ソフトを組み合わせることをおすすめします。

電帳法対応のストレージサービスなら

「マネーフォワード クラウドBox」は、データを保管する場所であるストレージを提供するサービスです。

電子帳簿保存法の「電子取引データ保存」「スキャナ保存」に対応しており、「マネーフォワード クラウド会計」などと合わせて利用することにより、より充実したペーパーレス化の実現を可能にします。

参考:マネーフォワード クラウドBox

請求書の計上から支払までの電帳法対応なら

「マネーフォワード クラウド債務支払」は、受領した請求書等の処理を一元管理する債務管理ソフトです。

取引先から受領した請求書等の処理にはさまざまなケースが想定されるため、業務が煩雑になりがちです。マネーフォワード クラウド債務支払では、社内稟議から仕訳作成まで一気通貫させることができ、「マネーフォワード クラウド会計」に連携できます。

参考:マネーフォワード クラウド債務支払

経費精算の電帳法対応なら

「マネーフォワード クラウド経費」は、社内の経費を精算するための管理ソフトです。経費精算は社内の多くの従業員が関わっており、発生頻度が多く、勘定科目も多岐にわたります。経費精算を正確に、かつ、迅速に処理するための管理ソフトとして会計ソフト導入時にはぜひ考えたいソフトの一つと言えるでしょう。

マネーフォワード クラウド経費は、経費申請から経理処理まで効率化でき、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」および「電子取引データ保存」に対応しています。

参考:マネーフォワード クラウド経費

電子帳簿保存法対応システムとは?

本記事では、電子帳簿保存法を軸として、会計ソフト、ストレージサービス、債務管理ソフト、経費精算ソフトなどをご紹介してきました。これらを会社の電子帳簿保存の方針に沿って運用する仕組みがその会社の「電子帳簿保存対応システム」であると言えます。

従来、紙で運用してきた帳簿や書類を電子化し、専用サーバーやクラウドへ保存することによって業務フローは大幅に変わります。電子帳簿保存システムの導入によりペーパーレス化は一気に進みますが、そのための業務フローに切り替え、安定稼働させる必要があります。

電子帳簿保存対応システムを利用してさえいれば、電子帳簿保存法に従った運用ができるものではなく、社内運用ルールに基づいた電子帳簿保存対応の業務を確立することが大切です。

ここで重要なことは、新たな業務フローに無理があってはならないということです。いくつかのソフトを連携させ、ペーパーレスを推進する「主体」は処理を担当する「従業員」です。担当者の声を無視した運用変更やトレーニングをしないままの本番実行により、かえって業務が混乱することも考えられます。

ペーパーレス化への取り組みは、十分なシミュレーション、トレーニングなしでは完結しません。

会社に合った電子帳簿保存法の対応を

電子帳簿保存法への対応は、企業の業態や規模、従業員の状況に応じて最適なシステムを構築することが大切です。したがって、業務内容が変更となる従業員への説明や研修は、新たなシステム運用には欠かせません。

電子帳簿保存法の要件を満たすためには、ソフトウェアの機能だけでなく、社内の業務フローや従業員の理解を深めることが不可欠です。


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