- 更新日 : 2024年8月8日
机を購入した際の勘定科目は?仕訳方法も解説
会社の事務所で机を購入した場合、経費として仕訳することが可能です。そこで本記事では、机を購入した際に利用する簿記上の勘定科目と仕訳方法などを解説します。他の事務用品にも応用できる内容であるため、会社の経理・会計担当者の方はぜひ参考にしてください。
机を購入した際の勘定科目は?
会社で机を購入した場合、経費として仕訳するための勘定科目は消耗品費、工具器具備品、一括償却資産などがあります。机の取得価額(購入金額)に応じてこれらの勘定科目から、適切な勘定科目を使い分ける必要があるため注意しましょう。
それぞれの勘定科目の概要とパターンに応じた仕訳例を解説していきます。ぜひ参考にしてください。
消耗品費
机の取得価額が10万円未満の場合には、「消耗品費」を利用して仕訳します。消耗品費として仕訳できるのは、取得価額10万円未満であること、あるいは耐用年数1年未満のものが対象です。
また、消耗品費と非常に似ている勘定科目として雑費があります。両者の違いについては以下の記事を参考にしてください。
例えば、会社に7万円の事務机を現金で購入した際の仕訳は、以下のとおりです。
事務机 |
7万円の事務机を現金で購入した場合、「消耗品費」という費用が増えたことを借方(左側)に記入し、「現金」という資産が減少したことを貸方(右側)に記入します。
支払方法が銀行振込であれば「普通預金」、クレジットカード払いであれば「未払金」を貸方側に記入しましょう。また、クレジットカードの利用料金が引き落とされた際は「普通預金」で引き落としされた旨の仕訳を忘れないようにしてください。
工具器具備品
取得価額が10万円以上の机は、「工具器具備品」として仕訳しましょう。工具器具備品とは取得価額10万円以上の工具、器具、備品を有形固定資産として計上するための勘定科目です。
工具器具備品として計上した資産は、原則として耐用年数に応じた減価償却をする必要があります。机の耐用年数は金属製であれば15年、その他のものであれば8年です。
例えば、30万円の机(金属製)を銀行振込で購入した際の仕訳は、以下のとおりです。
事務机 |
工具器具備品という資産が30万円増えたことを借方(左側)に記入し、銀行口座から30万円が減ったことを貸方(右側)に記入します。
工具器具備品は、決算時に減価償却をして以下のような仕訳をしてください。
(事務机) |
30万円の机(金属製)の耐用年数は15年のため、15回に分割して減価償却します。1回の減価償却費として計上できるのは2万円です。減価償却が完了するまで忘れないように注意しましょう。
工具器具備品について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
一括償却資産
取得価額が10万円以上の机は「工具器具備品」として資産にしますが、取得価額20万円未満の机については「一括償却資産」として仕訳をすることが可能です。それによって、耐用年数で減価償却するのではなく、3年で均等償却できます。
1期(1年)あたりの減価償却費用が大幅に増やせるため、より短期間で経費効果を最大限に発揮できるでしょう。
例えば、15万円の机(木材)を購入して、一括償却資産として仕訳をすると以下のようになります。
事務机 |
そして決算時には以下のような仕訳が計3回(3年)必要です。
(事務机) |
本来、15万円の机(木材)は耐用年数8年で減価償却するため、1年あたりに減価償却費として計上できるのは、わずか18,750円です。しかし一括償却資産を利用すると5万円も減価償却することが可能になり、1年あたりの経費効果は2倍以上もあります。
一括償却資産のより詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
少額減価償却資産の特例となる場合
青色申告の申請など要件を満たす中小企業や個人事業主については、少額減価償却資産の特例を利用することが可能です。少額減価償却資産の特例は、取得価額30万円未満のものに限りますが、購入した年度に一括して全額経費計上できます。
1年あたりの経費効果を最大化できることに加え、決算時に減価償却する会計処理の手間も大幅に減らすことが可能です。
少額減価償却資産の特例の条件は、資本金1億円以下の事業者であること、常時使用する従業員の数が1,000人以下(令和2年4月1日以後に取得する場合は500人以下)であることなどが挙げられます。
参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
例えば、25万円の机を購入して、少額減価償却資産の特例を利用すると仕訳は以下の通りです。
事務机 |
購入時の仕訳は通常どおりですが、少額減価償却資産の特例を利用するため、決算時は全額を即時償却できます。
(事務机) |
以上で仕訳は完了し、次年度以降の仕訳は必要ありません。1年あたりに少額減価償却資産として計上できる金額は、取得価額の合計額が300万円までという限度があるため注意しましょう。
少額減価償却資産の特例によって個人事業主が受ける恩恵については、以下の記事を参考にしてください。
机と椅子がセットの場合
会社で購入・利用される机には、一般的な事務机だけでなく応接室での接客用の机などもあるでしょう。しかし、応接室などの机(テーブル)や椅子(ソファ)はセットで売られていることが多く、応接セットとして購入することが考えられます。その場合、机と椅子をそれぞれ仕訳するのか、あるいはセットで仕訳するのかを悩まれる方は多いのではないでしょうか。
応接セットを購入したら、机と椅子を1組にして応接セットという扱いで仕訳します。そのため机が3万円、椅子が5万円であれば、応接セットの取得価額は8万円です。この場合は消耗品費として仕訳できるでしょう。
また、取得価額が10万円以上であれば、基本的に減価償却が必要になります。応接セットの耐用年数は、接客業用のものが5年、その他のもの(通常の事務所で使われるものなど)は8年と定められています。通常の事務机などとは耐用年数が異なるため注意してください。
机の耐用年数は?
耐用年数は、どのくらいの期間、減価償却をするのかを判断するために重要な要素です。机の耐用年数は材質が金属製なのか、それ以外なのかによって大別されます。金属製の机であれば15年、木材またはガラスなどの金属製以外のものであれば8年です。
ただし、机といっても事務机だけでなく、接客用として利用される応接セットなどもあるでしょう。応接セットの耐用年数は、接客業用のものが5年、その他のものが8年です。
さらに、塾などで利用されるような、児童用机の耐用年数は5年と定められています。このように机といっても種類や内容(接客業用など)によって耐用年数が異なるため注意が必要です。耐用年数について分からない場合は、必ず国税庁の耐用年数表で確認してから仕訳するようにしましょう。また、最寄りの税務署に確認するとより確実なのでおすすめです。
耐用年数について詳しい内容を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
机を購入したら、正しく仕訳しましょう
机を購入したときは、まず取得価額(購入金額)から、適切な勘定科目は何かを確認しましょう。勘定科目が分かれば、減価償却が必要なのかも判断できるようになります。
基本的に10万円未満の机には「消耗品費」、10万円以上20万円未満の机は「一括償却資産」、それ以上であれば「工具器具備品」を利用することになるでしょう。ただし個人事業主・中小企業は特例が利用できるため、10万円未満の机には「消耗品費」、10万円以上30万円未満の机には「少額減価償却資産の特例」を利用して仕訳することが可能です。
机の耐用年数は、通常の事務机であれば材質によって異なります。応接セットや児童用机など机にも種類があるため、耐用年数を間違えないように仕訳していきましょう。
よくある質問
机を購入した際の勘定科目は?
机の購入金額に応じて複数の勘定科目から使い分ける必要があります。最も多く利用されるのは取得価額10万円未満の机に対して利用できる「消耗品費」でしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
机を含めた応接セットを購入した場合はどうなる?
応接セットのように机(テーブル)と椅子(ソファ)を購入した場合、「応接セット」という1組の扱いで仕訳をします。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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