- 更新日 : 2024年8月8日
花代の勘定科目と仕訳例をわかりやすく解説
普段、会社で花を見かけるのは受付やフロント、休憩室などにおいてです。たとえ一輪でも、もの言わぬ花に癒されることが一度はあったのではないでしょうか?
さて、この花に関する支払いですが、勘定科目は決まっているのでしょうか?この記事では、花代の仕訳について考えます。
花代の仕訳に使える勘定科目
どのような形であれ、生花店などで購入した花を業務で利用する場合は、生花業者でなければ販管費に含まれると考えるのが一般的です。生花の購入費用が、送る相手やその用途・目的に応じてさまざまな勘定科目に振り分けられることを見ていきましょう。なお、各仕訳については消費税込みで処理しています。
消耗品費
普段よく見慣れている受付やフロントなどに飾られている生花のように、業務で利用している花代は消耗品費で処理することが多くあります。
エステサロンや美容室などでは店のイメージ作り、インテリアの一環として生花を購入するケースもあります。
生花は、業種によって職場環境の維持管理のために欠かせない消耗品と言えます。
消耗品費 | 30000円 | 現預金 | 30000円 | フロント受付用花代 |
事務用品費
消耗品とともによく使われる科目が事務用品費です。「事務消耗品費」としている場合もあります。
その理由となる考え方としては、コピー機やプリンタのトナー、トイレットペーパー、蛍光灯などと同じように、業務において職場環境の維持に必要な費用だからです。
同じ用途で生花を購入しても、会社によって「消耗品費」とする場合も「事務用品費」とする場合もあります。会社のルールで決まっている勘定科目を使うことで問題ありません。
事務用品費* | 10000円 | 現預金 | 10000円 | 事務室用花代 |
*事務消耗品費、消耗品費などでも可
贈答費
得意先へのお歳暮などにランなどの鉢植えを送ることはあります。
お歳暮に限らず、○○周年記念、イベントや竣工式・落成式など、得意先への贈答用に花代が発生する場合は贈答費とするケースがあります。
贈答費が消耗品費・事務用品費と異なるのは用途が「社外」という点です。贈答費とした金額は交際費の一つとなります。
贈答費* | 100000円 | 現預金 | 100000円 | ○○商店10周年お祝い 盛花 |
*交際費に含まれる
社外慶弔費
取引先に対する慶弔関連では生花を使うケースがよくあり、その場合は社外慶弔費となります。社外慶弔費も贈答費と同様に交際費の一つです。
最もよくあるのは、取引先の方の訃報を受け、会社から供花を送る場合でしょう。また、取引先の○○賞受賞のお祝い、開店・開業祝い、引っ越し祝いなどだけでなく、すでに退職した創業者への長寿お祝いなども社外慶弔費にあたります。
生花ではありませんが、葬儀において香典の代わりに「お花代」として現金を手渡すことがあります。これも勘定科目としては社外慶弔費となります。
社外慶弔費* | 100000円 | 現預金 | 100000円 | ○○㈱専務ご逝去に係る供花一基 |
*交際費に含まれる
交際費
先述の贈答費や社外慶弔費も交際費ですが、取引先に対して交際接待の目的で花を贈るケースは交際費となります。
法人税では、交際費は基本的に損金不算入とされ、中小法人についてのみある一定の金額まで損金算入が許されています。
花代は、購入方法や購入する花の種類によって大きく金額が変わることもあります。交際費となる花代については、予算の範囲内かどうかを確認しましょう。
交際費 | 30000円 | 現預金 | 30000円 | ▲▲㈱ お歳暮 胡蝶蘭 |
福利厚生費
社員が退職する際に、今までの労をねぎらって花束を贈るようなケースはよくあります。また、社員控室や更衣室に生花が添えられている会社もあります。そして、社員や社員の家族に不幸があった場合には供花が送られることがあります。
このように、会社が社員のために提供する給与以外のサービスの一環として利用する花代は、福利厚生費で処理します。
福利厚生費 | 5000円 | 現預金 | 5000円 | 社員食堂用鉢植え 1ケース(6個入り) |
雑費
頻度が少なく、金額の重要性が低い場合には、花代を「雑費」として計上するのも問題ありません。ただし、会計処理には継続性が求められることや、社外に接待交際のために支払ったものは、たとえ雑費で処理をしても交際費の計算に含まれることを覚えておきましょう。
雑費 | 5000円 | 現預金 | 5000円 | 正月用玄関生け花(社内用)2束 |
花代はその目的を考えて処理しよう
花代は、勘定科目として「花代」とするのではなく、その花のもつ目的に応じた勘定科目の使い方をマスターすることが大切です。
花は、職場のストレスや疲労を軽減してくれる働きもあるそうです。あなたの職場でも福利厚生費としての花代を考えてみませんか?
よくある質問
花代を消耗品費で仕訳するのが適切なケースは?
受付やフロントなどに飾られている生花のように、業務で利用している花代は消耗品費となるケースです。詳しくはこちらをご覧ください。
花代を交際費で仕訳するのが適切なケースは?
取引先への接待や贈答、慶弔関係費用として花代を支払う場合には交際費となります。詳しくはこちらをご覧ください。
花代を福利厚生費で仕訳するのが適切なケースは?
社員の目の届く執務室、更衣室、食堂などに飾る花の購入費用や、社員や社員の家族に不幸があった場合に社内ルールに沿って送る供花の費用は福利厚生費となるケースです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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