- 更新日 : 2023年4月18日
会計ソフトを導入しても税理士は不要にならない、その理由を解説

この記事では「確定申告が不安で税理士に依頼するかどうか悩んでいる方」、「税理士費用が高いと感じている方」に向け、会計ソフトを使えば税理士は不要になるかどうかを説明していきます。
目次
帳簿から申告までの業務
日本国内で事業を行っている個人事業主または法人であれば、簿記(帳簿付け)と確定申告を行う必要があります。
まずは、税理士に頼む前にそもそもどんな業務があるかを把握しましょう。
自分ができる業務は自分で行うことで、税理士費用を節約することにつながります。
業務は大きく分けると以下の4つになります。
それぞれ、1つずつ説明していきます。
簿記(仕訳・決算書作成・その他の必要書類の整理)
経理や伝票処理など呼び方はさまざまですが、この項目では「簿記」として説明していきます。
簿記は仕訳と決算書作成です。
初めて簿記をする方や簿記の知識がない方は、多少の勉強と慣れが必要になるかもしれません。ただし、慣れてしまえば仕訳の大半は「入力作業」か「会計ソフトで自動仕訳」のどちらかで済んでしまう業務がほとんどです。
また、決算書作成は日常の仕訳を勘定科目ごとに集計し、決算書としてまとめる作業です。
したがって、表計算ソフトなどを使って自分で集計する、または会計ソフトですでに集計されているものを加工する業務になります。
ただし、決算整理仕訳については、未収・未払計上、減価償却費や棚卸資産の計算など特殊なものもあります。正しく計算しないと決算書の金額が間違ったものとなってしまいますので、気を付けましょう。
また、仕訳の根拠になる書類(レシートや請求書など)を整理する必要がでてきます。
電子保存の手続きをしない限りは紙で整理し保管することになります。
年末調整
年末調整は従業員に給与を支払っている個人事業主、または法人が行う業務です。
簡単にいうと、従業員に対する年間の給与支払額から所得税等の計算を行います。
確定申告
簿記(仕訳と決算書作成)が終わった後に、確定申告書を作成し申告・納付する業務です。
具体的には、申告書の形式に従って決算書の数値を入力して所得の計算を行い、各種所得控除や税額控除が適用できるかどうかを調べることになります。
申告書は、確定申告の相談窓口や国税庁HPから作成するか、申告書作成機能のある会計ソフトで作成します。
今後の税金上の判断
自身の売上や所得、税法改正などによって変わる業務です。
業種、取引内容、売上などさまざまな要因で節税につながったり、損をしたりすることがあります。
そのため、自分で勉強する、または調べることが大切です。
どうしても解決できない場合は、近くの税務署へ相談するか税理士を頼ることになります。
税理士がいるメリット・デメリット
注意点として、税理士にお願いするメリット・デメリットはご自身の目的、業種や効率などによってさまざまです。この記事では一般的なメリット・デメリットを紹介していきます。
税理士がいるメリット
税理士がいるメリットは以下になります。
- 正しい納税と安心感
税金計算のプロに任せるため、税金で損をしないという安心感があります。 - めんどうな業務を代行してくれる
コストはかかりますが、簿記や申告書作成にかかる時間を減らすことができます。 - 困った時に頼れる
税務調査や今後の税金上の判断など、困った場合の相談相手になってくれます。
メリットをまとめると、簿記・申告書作成に対する多少の勉強時間、業務時間を少なくできると共に、税金に対する不安を軽減できること、といえます。
税理士がいるデメリット
税理士がいるデメリットは以下になります。
- 税理士費用がかかる
税理士も仕事として行っているので、当然無料というわけにはいきません。
上記で述べた業務のうち、どこまでを依頼するかで費用が変わってきます。 - コミュニケーションが必要
簿記・申告書作成ではさまざまな判断が求められることがあり、場合によっては税理士と密にコミュニケーションを取る必要があります。
デメリットをまとめると、金額が高い安いは別として費用がかかり、税理士とのコミュニケーションが発生すること、といえます。
税理士とコミュニケーションを取るために、簿記・税金の多少の知識が必要になります。
税理士に頼んだ方がいいの?
税理士に頼んだ方がいいかどうかは、ご自身の状況や業種、事業規模によって変わります。
そこでこの項目では、税理士に頼むかどうか考えるべきポイントを説明していきます。
自分の知識量と作業時間
簿記・申告書作成の知識と、それに対してどれぐらいの作業時間を使えるかが大切なポイントです。
まず、知識に関しては簿記3級程度の知識があれば十分です。知識がない場合でも1カ月程度コツコツと勉強することで対応できます。ただし建設業や製造業の場合は、原価計算の知識が必要になることもあります。
勉強してもどうしても解決できない場合は、税務署に問い合わせるか、確定申告相談コーナーで解決することができます。
次に、作業時間に関しては事業規模や年商によって変わりますが、小規模な個人事業主の場合は、年間で3日前後が参考になります。 (※知識や手段によって異なります)
簿記に時間がかかり本業を圧迫してしまう場合は、会計ソフトを使うか、もしくは税理士に頼むことが選択肢になります。
税理士費用
冒頭で、業務には以下の4つがあることを説明しました。
- 簿記(仕訳・決算書作成)
- 年末調整
- 確定申告
- 今後の税金上の判断
上記の業務と税理士費用の対応をまとめると以下になります。
※下記の表は、個人事業主を想定した表で、費用は事業規模によって異なる場合があります。また、法人の場合も税理士費用は事業規模によってさまざまです。
業務 | 税理士の訪問回数 | 費用 |
---|---|---|
簿記(仕訳・決算書作成) | 月1回または 3カ月程度に1回 | 月15,000円前後 |
年末調整 | 年1回 | 従業員1名2,000円前後 |
確定申告 | 年1回 | 70,000円前後 |
今後の税金上の判断 | その都度 | 内容によって異なる |
税理士に頼まない場合は、上記表の業務すべてを自分で行うことになります。そのサポートとして会計ソフトを使うことや、確定申告相談コーナーを使うことも選択肢になります。
また、税理士に頼むとしても、なるべく安く済ませたい場合は「上記の業務の一部だけお願いする」「時間の観点からどうしても税理士に代行してほしい時だけお願いする」ようにしましょう。
クラウド型会計ソフトで何ができる?できないことは?
自分で表計算ソフトなどを使用して簿記・申告書作成を行うよりもクラウド型会計ソフトを使用すれば、効率化することができます。
以下では、クラウド型会計ソフトで「できること」と「できないこと」を説明していきます。
クラウド型会計ソフトでできること
ある程度の簿記の知識とソフトに慣れる必要がありますが、クラウド型会計ソフトでは簿記・申告書作成、さらに年末調整まで行うことができ、作業効率がアップします。
また、表計算ソフトなどを使うよりもクラウド型会計ソフトを使う方が入力・集計の手間が軽減されます。
さらに、クラウド型会計ソフトの中には、ネットバンキングやネット上のクレジットカード明細と連携する機能があり、データを取り込んで自動仕訳が可能です。
自動仕訳機能で入力作業は大幅に減少します。
ただし、自動仕訳機能を使う前提としてネットバンキングの準備や勘定科目を整理しておくことが必要です。
クラウド型会計ソフトでできないこと
具体的には、納税義務の判断や各届出が必要かどうかなどの判断は自分で行うことになります。その際には、自分の状況や所得など、さまざまなことを調べる必要があります。
クラウド型会計ソフトでは「経営判断」や「税金の判断」などの判断をソフトが代わりに判断することはできません。しかし、クラウド型会計ソフトでは売上レポートや試算表などを簡単に作ることができ、経営判断に役立つ機能が付いています。
役立つレポートなどで見やすく比較することができますが、最終的には自分で調べ、勉強した上で判断することになります。
まとめ
最後に、「税理士は不要かどうか」の結論は、自分の状況や予算、作業時間によってさまざまです。
簿記・税金の勉強は多少必要になりますが、クラウド型会計ソフトを使いこなし、正しく確定申告書を使うのであれば基本的作成できれば、基本的にに税理士は不要です。
ただし、「作業量が多すぎる」「専門的すぎてわからない」などの特別な事情がある場合は、税理士に頼みましょう。
>>簿記知識がなくても大丈夫?会計ソフトで作業効率アップするコツ
>>一人で決算を行うための基礎知識と注意点

マネーフォワード クラウド会計の導入事例
金融口座の取引明細データが自動で取り込まれ、各取引の勘定科目も自動で仕訳される。以前はインストール型ソフトを利用していたので、それがクラウドに変わるとこれほど自動化されるものなのかと本当に驚きました。
株式会社久松農園 久松 達央 様
よくある質問
帳簿から申告までの業務にはどんなものがある?
大きくわけて、簿記(仕訳・決算書作成)、 年末調整、確定申告、今後の税金上の判断の4つがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
税理士に依頼するメリットは?
簿記・申告書作成に対する多少の勉強時間、業務時間を少なくできると共に、税金に対する不安を軽減できることが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
税理士に依頼するデメリットは?
コストがかかることや、税理士とのコミュニケーションが発生すること、またそのために簿記・税金の知識が多少必要になることが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。