- 作成日 : 2021年11月30日
インプレストシステムの仕訳方法まとめ

インプレストシステムとは、小口現金制度のひとつです。1週間または1カ月という期間を決め、まとまった現金を各部署の小口現金係に支給します。日常業務で発生する経費を各部署が備えることで、会計処理を効率的に行える制度です。
本記事では、インプレストシステムの内容について説明し、現金支給時や支払い時、報告時、補給時という4つの場面についての仕組みを詳しく説明します。それぞれの場面における仕訳も紹介しましょう。
目次
インプレストシステムとは
企業の日常業務では、事務用品や交通費の精算など、さまざまな経費が発生します。少額な清算をそのたびに仕訳処理するのは手間がかかり、業務が滞ることにもなるでしょう。インプレストシステムはそのような不都合を回避し、会計業務を効率化するメリットがあります。
ここでは、インプレストシステムの仕組みについて紹介します。
インプレストシステムの仕組み
インプレストシステムとは、小口現金制度のひとつです。「定額資金前渡制度」とも呼ばれます。1週間〜1カ月程度の期間を決め、使用する金額を各部署の小口現金係に前渡しする制度です。
インプレストシステムが行われる仕組みを見てみましょう。
- 経理担当から小口現金係にお金を前渡しする
- 小口現金係はさまざまな支払いを行う
- 小口現金係から経理担当に報告をする
- 経理担当から小口現金係に、使用した分と同じ金額を補充する
1の前渡しは、小切手の振り出しで行われるのが通常です。小口現金係は小切手を金融機関で現金に換え、日々の支払いを行います。
小口現金係は支払いを行なったら小口現金出納帳に記載し、支払報告書をまとめます。一定期間が過ぎたら経理担当へ報告し、使った分だけの金額を補充するというのが、インプレストシステムの一連の流れです。
経理担当は各部署の報告を受けて支払われた内容を仕訳します。経理担当から補充された後の小口現金残高は、常に一定額に保たれているという状態です。
ちなみに、小口現金制度にはほかに「随時補給法」という管理方法があります。随時補給法とは、期間を定めず、各部署の現金が少なくなったら補充するという方法です。期限を決めて現金を管理するインプレストシステムのほうが、より優れた管理方法といえるでしょう。
インプレストシステム・現金支給時の仕訳と勘定科目
インプレストシステムで現金を支給したときは、「小口現金」の勘定科目で記帳します。前渡しするお金ですが、「前払金」の勘定科目にはなりません。前払金は外部との取引で使う勘定科目で、前払することにより何らかの権利が発生する場合です。社内における前渡しは権利が発生することはなく、小口現金で処理します。
経理担当が小口現金係に1週間分の小口現金5万円を小切手で支給した場合、仕訳は以下の通りです。
小口現金 | 50,000円 | 当座預金 | 50,000円 |
支給が現金の場合は、貸方の勘定科目が「現金」となります。
インプレストシステム・小口現金使用時の仕訳と勘定科目
月末や週末など、決められた時期に小口現金係から経理担当に支払報告を行います。報告を受けた経理担当は、支払いごとに適切な勘定科目で仕訳をします。
支払いは小口現金から行われているため、貸方に「小口現金」の勘定科目を記載しましょう。
文具を2,000円購入し、水道光熱費として5,000円支払い、社員の交通費に6,000円を精算した場合の仕訳は、以下の通りです。
事務用消耗品費 | 2,000円 | 小口現金 | 13,000円 |
水道光熱費 | 5,000円 | ー | ー |
旅費交通費 | 6,000円 | ー | ー |
インプレストシステム・現金補給時の仕訳と勘定科目
支払い報告を受けた小口現金係は、使用した金額を補充します。使用した金額13,000円について、同日に小切手を振り出して補給した場合の仕訳は以下の通りです。
最初の現金支給時と同じく、借方に小口現金を仕訳します。
小口現金 | 13,000円 | 当座預金 | 13,000円 |
小口現金係からの報告をまとめた仕訳と、補充する仕訳は小口現金が相殺されます。そのため、ひとつにまとめて以下のような仕訳をすることも可能です。
事務用消耗品費 | 2,000円 | 当座預金 | 13,000円 |
水道光熱費 | 5,000円 | ー | ー |
旅費交通費 | 6,000円 | ー | ー |
インプレストシステムは小口現金で管理する方法
インプレストシステムは小口現金制度のひとつで、期間を設けて現金を支給し、少額の支払いを管理する仕組みです。各部署がそのつど支払いの処理を行うという不便を回避し、業務の効率化を図ります。
支出した費用の仕訳は小口現金係から報告を受けた経理担当が行い、使った現金は報告後に補給されて一定額に保たれるのが特徴です。インプレストシステムを導入し、日々の会計業務を管理していきましょう。

マネーフォワード クラウド会計の導入事例
金融口座の取引明細データが自動で取り込まれ、各取引の勘定科目も自動で仕訳される。以前はインストール型ソフトを利用していたので、それがクラウドに変わるとこれほど自動化されるものなのかと本当に驚きました。
株式会社久松農園 久松 達央 様
よくある質問
インプレストシステムとは?
定額資金前渡法のことで、小口現金という勘定を使い日々の支出を管理する制度です。 詳しくはこちらをご覧ください。
インプレストシステムの仕訳に使える勘定科目は?
小口現金、現金、当座預金、支出した費用の勘定科目です。詳しくはこちらをご覧ください。
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