- 更新日 : 2024年9月11日
固定資産管理システムとは?機能やメリット、システム選定のポイントを解説
固定資産管理は、減価償却や税務と密接に関わる複雑な業務です。従来はExcelを用いた管理が一般的でしたが、誤りが生じやすく、その点で悩んでいる方も少なくありませんでした。そこで有効なのが「固定資産管理システム」の利用です。
今回は固定資産管理システムの概要、メリット、選び方などについて詳しく解説します。事例も紹介していますので参考にしてみてください。
目次
固定資産管理システムとは
固定資産管理システムは固定資産関連の業務を支援するシステムです。
固定資産管理は減価償却費や税務、物品管理など多岐にわたる作業が必要であり、一般的に非常に手間がかかります。特に資産数が多い場合は、その作業量も増加します。
固定資産管理システムを導入することで、会計、税務、物品管理などの各領域でシステムがそれぞれの業務を管理・処理するため、固定資産管理業務を軽減することができます。
固定資産管理システムの主な機能
固定資産管理システムでどのような作業ができるか、具体的なイメージが湧きにくい方もいるかもしれません。そこで、固定資産管理システムに一般的に備わっている機能について解説します。
固定資産管理システムでは、以下の機能によって固定資産管理の効率化を図ることができます。
機能1:固定資産台帳の作成と管理
固定資産管理台帳とは、企業が所有する固定資産の情報を管理するための台帳です。この台帳には、固定資産の種類、数量、金額、取得日、耐用年数、減価償却費など、多くの情報が記載されています。固定資産システムで固定資産台帳の作成と管理が可能です。
機能2:償却費の処理
減価償却は固定資産の取得価格を耐用年数に応じて分割し、費用として計上することを指します。減価償却費の計算方法には、一般的に使用されるものとして定率法、定額法などがあり、加えて増加償却、特別償却などもあります。
機能3:申告書の作成
固定資産管理システムには法人税申告に必要な各種書類を作成する機能が備わっています。例えば、償却資産税申告書や別表十六の書類を効率的に作成することができます。
機能4:会計ソフトとの連携
固定資産管理システムは会計ソフトと連携することで、固定資産業務の効率化を実現します。固定資産の仕訳データを会計システムと連携させたり、法人税申告書の出力をスムーズに行ったりすることで、会計業務をが効率化することができます。
固定資産管理システムのメリット
固定資産管理システムにはさまざまなメリットがあります。この章で詳しく解説します。
メリット1:固定資産情報の効率的な管理
基本情報(固定資産の名称など)に加えて、写真や証拠書類なども保存できるため、必要な情報に迅速にアクセスできるようになります。写真データを関連付けておくことで、棚卸業務時に固定資産を迅速に特定できます。さらに、テンプレートを作成可能なシステムを使用すれば、資産の登録や変更手続きを効率的に行うことができます。
メリット2:仕訳業務の効率化
会計システムを固定資産管理システムと連携させることで、仕訳データの作成が簡単になります。指定した形式で受け入れ可能な項目を設定できる他、部門別の配分などにも対応しています。システム同士を連携させる以外にも、CSVファイルを出力して会計システムにインポートすることも可能です。
メリット3:担当者間の作業の効率化
固定資産の管理には、会計担当者・税務担当者・総務担当者・情報システム管理担当者など、さまざまな関係者が関与しています。固定資産情報にコメントを追加できる機能があれば、担当者間で確認・承認を行ったり、リマインド機能を使って作業の漏れを防ぐことができます。これによって担当者間のコミュニケーションが円滑になり、連絡業務の負荷が軽減されます。
メリット4:リース資産管理業務の効率化
産業機械や医療機器、建設機械などの高額な機材では、多くの場合リース契約が選択されます。リース資産を複数活用する場合、契約の登録や支払い管理などの業務が発生しますが、これらの管理業務は容易ではありません。そのため、リース資産の管理に特化したシステムの導入が推奨されます。ファイナンスリースだけでなく、オペレーティングリースにも対応したシステムも存在します。
固定資産管理システムの選び方のポイント
固定資産管理システムは、企業が効率的に固定資産管理業務を遂行し、適切な資産管理を行うために重要なツールです。
市場には多くのベンダーから固定資産管理システムが提供されていますが、自社に最適なシステムを選ぶためにはどのようなポイントを考慮すればよいでしょうか。
以下では、固定資産管理システムの選定ポイントについて詳しく説明します。
ポイント1:リース資産管理や減価償却計算の機能
リース資産の管理機能や減価償却費の計算機能、また複数の帳簿に対応する機能などは、固定資産管理システムによって搭載されていない場合やオプションで追加が必要な場合があります。
導入後に、希望する機能が利用できないという事態を避けるためには、自社の固定資産管理に必要な機能が何であるかを製品資料などで確認し、導入を検討しましょう。
ポイント2:税制改正やIFRSへの対応能力
固定資産管理の分野では、頻繁に税制改正が行われます。固定資産管理システムがこれらの税制改正に適応できていない場合、改正ごとにシステムを改修する必要があります。
税制改正に対応しているシステムを導入することで、改修コストを抑えることができ、対応作業の労力も軽減できます。
さらに、IFRS(国際財務報告基準)への対応も考慮する必要があります。IFRSに移行する場合、減価償却方法や耐用年数などの会計基準が異なることがあります。このため、固定資産台帳の内容や項目を変更する必要が生じます。製品選定の際には、自社の会計基準からIFRSへの適応がスムーズに行えるかどうかを確認しておくことも重要です。
ポイント3:周辺システムとの連携性
固定資産管理システムと会計システムが連携可能であれば、さまざまな業務を自動化したり、購買管理システムとの連携を実現したりすることができます。ただし、各システムが異なるベンダーから提供されている場合、連携が難しいことがあります。そのため、固定資産管理システムが自社の業務システムとスムーズに連携できるかを確認してから導入を検討することが重要です。
固定資産システムの導入事例:株式会社エス・エム・エスの事例
導入前の課題
- 利用中のERPのユーザーインターフェースが良くなくオペレーションが煩雑であった。
- 申告書類のアウトプットが効率的でなかった。
- 日本の税務基準での法人税別表の作成などに対応できていなかった。
導入後の効果
- 固定資産管理業務にかかる工数が削減された。
- 償却資産の税務申告にかかる工数も減少した。
- リカバリ工数も少なくでき、業務がスピーディーに進むようになった。
まとめ
固定資産の増加に伴い業務負担が増える中で、業務負担を軽減しながら管理効率を向上させるためには、固定資産管理システムが非常に有効です。
システムを導入することで、固定資産の情報を効率的に管理し、減価償却の計算を自動で行うことも可能です。
ただし、固定資産管理システムの機能は製品によって異なるため、自社の要件に最適なシステムを選定するためには、事前に詳細なリサーチを行う必要があります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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