• 更新日 : 2021年7月16日

決算賞与による節税対策|要件とメリット・デメリット

決算賞与による節税対策|要件とメリット・デメリット

「利益が大幅に上がり、それに伴って税金も増えそうだ」といった場合に、決算賞与という節税方法があります。決算時に賞与が未払いであっても今期に損金と認められる決算賞与の要件、メリット、デメリットについて説明します。

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決算賞与とは

決算賞与は通常の賞与と異なり、決算の前後に支払われますが、通常の賞与と同様に、損金計上として認められます。そのため、予想外に利益が上がり決算前に急いで節税対策をするといった場合に使われます。

このように、決算直前に決算賞与の支払いを決定する場合が多いため、資金繰りが間に合わないこともありますが、未払いであっても、要件を満たすことで今期の損金に計上できます。

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未払いでも今期に損金計上できる要件

決算賞与の支払いが決算に間に合わない場合でも、以下の要件を満たすことで今期に計上できます。

1.事業年度終了の日までに支給額を、同じ時期に支給する全従業員に対して各々通知していること
2.通知した金額を、事業年度終了の日の翌日から1カ月以内に全額支払うこと。
3.通知した金額について今期中に損金として経理上の処理をしていること

なお、以下の場合は上記を満たしても、今期に損金扱いはできません。

・決算賞与の通知をしたが支払いを受けられない人がいる場合
決算賞与の通知を受け取った後、退職をして支払いを受けられなかった人が1人でもいた場合は、全員分の決算賞与を今期、損金には認められません。

・決算賞与は在籍者のみに支払うと決めている場合
たとえ決算賞与の通知から支払いまでに退職者がいなかったとしても、給与規則等で賞与支給日までに在籍していない者には決算賞与を支給しない旨を規定している場合、決算日時点では未払いの決算賞与額が確定していないものとみなされ、全額今期の損金に認められません。

・決算賞与の通知と異なる額の支払いを受けた場合
翌期に決算賞与を支給し、その額が通知額と異なる人が1人でもいた場合、遡って今期の損金には認められなくなります。そのため、支給額が異なる場合は、申告書での調整が必要となります。
遡って今期の未払計上が認められなくなります。そのため、支給額が異なる場合は、修正申告が必要となります。

これらのように今期に未払い計上できない場合は、支払いを行う翌期に計上します。
(参照:No.5350 使用人賞与の損金算入時期|法人税|国税庁

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決算賞与のメリット

決算賞与を行うことで、以下のメリットが享受できます。

1.節税できる

節税が主な目的で使われるように、決算賞与を行うことで大きく節税できます。たとえば、税率は35%で利益が1,000万円の会社が300万円の決算賞与を行った場合について見てみます。

決算賞与を行わない場合は1,000万円×35%で350万円を税金として納める必要があります。一方、決算賞与を行うと(1,000万円-300万円)×35%で税額は245万円となり、105万円節税できることになります。

2.従業員のモチベーションアップ

税金として支払うのなら従業員のボーナスにした方が、と考える経営者の方も多いでしょう。思いがけないボーナスで従業員のモチベーションを上げることにもつながります。

決算賞与のデメリット

決算賞与には上記のメリットがありますが、そのメリットの裏側には下記のデメリットが隠されています。

1.手元に残るお金は減る

上記に挙げた節税の例を見てください。この例では、確かに支払うべき税金は105万円減っていますが、その分賞与として300万円支払っているため、会社側は195万円多く支払わねばなりません。そのため、節税できるとして安易に決算賞与を行うのではなく、たとえばこのケースでは税金に105万円多く支払う方がよいのか、従業員に300万円支払う方がよいのかを検討する必要があります。

2.従業員が翌年ももらえるのではと期待する

一度決算賞与を手にしてしまうと、支払われないときにはモチベーションが下がる可能性もあります。利益が上がっていない年まで決算賞与を支払う、といったことにならないために、一定以上の利益が上がった場合は決められた割合で決算賞与を出すといったような、明確なガイドラインを作っておくとよいでしょう。

税務調査対策

決算賞与は節税の目的で使われることが多いため、必然的に税務調査で確認される項目です。
そのため、以下の点に注意しましょう。

・決算前に賞与を支払う
未払いであっても要件を満たすことで今期に計上できますが、税務調査で否認される可能性もあるので、できる限り決算前に支払うようにしましょう。

・通知を書面で行う
税務調査が入った場合に証拠を提示できるように、決算賞与の通知は口頭ではなく書面で行いましょう。

・銀行振り込みで行う、もしくは現金払いの際は領収書をもらう
支払いに関しても同様に、証拠を残すことが重要です。できる限り銀行振り込みで支払いを行い、現金払いの際は必ず領収書を書いてもらいましょう。

まとめ

節税対策に使われる決算賞与ですが、メリットだけではなくデメリットも存在するため、決算賞与を行うかどうかの判断は熟考する必要があります。また、未払いでも今期に計上することはできますが、税務調査が入ることも予測して、証拠を残すようにしましょう。

なお、決算賞与に係る社会保険料の支払義務が確定するのは、決算賞与を支払った月の末日となりますので、未払いの決算賞与に係る社会保険料の未払計上は出来ませんのでご注意下さい。

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よくある質問

決算賞与とは

通常の賞与と異なり、決算の前後に支払われるものを言います。通常の賞与と同様に、損金計上として認められます。詳しくはこちらをご覧ください。

決算賞与のメリットは?

節税できることと、従業員のモチベーションアップを図れることです。詳しくはこちらをご覧ください。

決算賞与のデメリットは?

手元に残るお金は減る点と、従業員が翌年ももらえると期待する点です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:三井 啓介 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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