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  • 作成日 : 2020年11月27日

総資産回転率(総資本回転率)の目安は? 計算方法をわかりやすく解説

総資産回転率

総資産回転率という用語をご存じでしょうか?財務分析では総資産という言葉がつく比率が数多くあります。この記事では、その中でも重要な指標である総資産回転率について、基本的な意味と求め方の計算式、業種平均の目安を解説していきます。自社の分析や財務分析を行う際の参考として、ぜひご覧ください。

総資産回転率(総資本回転率)とは

総資産回転率は総資本回転率とも呼ばれ、同じ意味の用語です。
この記事では総資産回転率と呼び、解説していきます。

総資産回転率は、「総資産がどれだけ効率的に売上高を生み出したか」という資産運用効率を表す指標です。特に単位がない場合は、1年間に総資産が売上として何回転しているかを表します。

総資産回転率の「回転」は以下の順番で「投資 → 販売 → 回収」の1サイクルを意味しています。※シンプルにするため総資産が現金100円のみの会社を例にしています。

段階始まり投資販売回収
状態現金100円→商品100円→売上120円→現金120円(1回転)

上記の表のように、当初の現金が商品になり販売され代金を回収するとまた現金に戻ります。この現金から現金までの1サイクルが「回転」の意味です。

上記の表のシンプルな例を総資産回転率に当てはめると、当初の現金100円(総資産)が売上120円を生み出したと言えます。つまり、現金100円(総資産)を効率的に運用したことになります。

総資産回転率の計算式

総資産回転率の計算式は以下の通りです。

【総資産回転率の計算式】

総資産回転率(回転) = 売上高 ÷ 総資産(※) (回転)

※総資産をより厳密に計算する場合は、以下の期中平均値を使うことがあります。
総資産期中平均 = (期首の総資産 + 期末の総資産) ÷ 2
以下この記事では簡易的に期末の総資産を使って計算していきます。

総資産回転率を以下の具体例に当てはめて計算していきます。
【前提】

 甲社乙社
売上高20万円30万円
総資産5万円10万円

【甲社の計算例】

4回転 = 売上高20万円 ÷ 総資産5万円

【乙社の計算例】

3回転 = 売上高30万円 ÷ 総資産10万円

甲社の総資産回転率は4回転、乙社の総資産回転率は3回転となり甲社の方が大きい結果となりました。したがって甲社の方が乙社よりも資産を効率的に運用している、資産を有効活用していると言えます。

補足として、総資産回転率は上記の甲社と乙社の例のように売上規模と資産規模が異なる場合でも、どちらが効率的に総資産を運用しているかを比較することが可能です。

総資産回転率と総資産回転期間の違い

総資産回転率と似た単語に「総資産回転期間」という単語があります。

主な違いは以下の通りです。

 総資産回転率総資産回転期間
意味総資産がどれだけ効率的に売上高を生み出したかを表す総資産を売上高として回収するまでの期間を表す
計算式売上高 ÷ 総資産総資産 ÷ 売上高
単位回転期間(年・月・日のいずれか)

先ほどの例の甲社を使って具体的に解説していきます。
【前提】

 甲社
売上高20万円
総資産5万円

【総資産回転期間(年)の計算例】

総資産回転期間 0.25 年 = 総資産5万円 ÷ 売上高20万円

この計算の意味は、現状の売上高(年間20万円)のペースで総資産5万円分に到達するのに0.25年かかるという意味です。0.25年というと3カ月で約90日だとすぐにわかりますが、数値が複雑になった場合は直感的に理解できません。

このような場合は、以下のように売上高で単位を変えて総資産回転期間を計算することがあります。

【総資産回転期間(日数)の計算例】

総資産回転期間 91日 ≒ 総資産 5万円 ÷ 1日あたりの売上高 548円(※)

※1日あたりの売上高548円 ≒ 年間の売上高20万円 ÷ 年間の日数365日
注:小数点以下第1位を四捨五入しています。

計算例では年間の日数を使用しましたが、年間の日数から休業日を差し引き、年間の営業日で計算すると「総資産を回収するのに何営業日必要か」を算出することができます。また、月数で知りたい場合は「年間の売上高 ÷ 12カ月」で1カ月あたりの売上高を使用しましょう。

総資産回転率の目安

総資産回転率の目安は、「1.0」です。
ただし、後述する業種(主に小売業・卸売業・賃貸業など)では目安として機能しません。

総資産回転率は1.0より大きければ大きいほど望ましいと言えます。
冒頭でも述べましたが、総資産回転率が大きい状態は「投資 → 販売 → 回収」のサイクルを何回転も回し、効率的に総資産を運用できており、会社にとっては理想的な状態です。

反対に総資産回転率が1.0を下回る場合は、総資産の運用効率がよくない状態と言われます。ただし、1.0付近であればそれほど問題はありません。
総資産回転率が大きく1.0を下回る場合は、「売上高が小さい」または「総資産が大きい」のどちらかの原因があります。

原因と対策は以下で説明していきます。

総資産回転率が低い場合の対応方法

総資産回転率が低い原因は以下の2つあります。

  • 売上高が小さい:営業活動がうまくいっていない
  • 総資産が大きい:滞留在庫や遊休資産がある

まず、「売上高が小さい」に関しては業種や販売するサービスや商品によって問題が数多く考えられます。会社によっては新規に販路を拡大することや、営業方法の見直し、商品の改善などがあります。

次に、「総資産が大きい」に関しては、売上や収入に結びついていない資産の見直しを行いましょう。滞留在庫や遊休資産(使っていない不動産)などは直ちに処分することは難しいかもしれませんが、一度検討してみることが大切です。

最後に、まれなケースになりますが、本業の資産の他に投資資産(株式や債券、賃貸物件など)を大量に保有している場合に総資産回転率が低くなることがあります。低くなる理由は、総資産回転率の計算上、収益は売上高のみを考慮し、他の収益(配当金や賃貸収入)は無視しているからです。つまり、投資資産を「収益を生み出していない資産」とみなしていることになります。

総資産回転率の業種別平均

総資産回転率の業種別平均は以下の通りです。

業種総資産回転率(回転)
建設業1.29
製造業1.04
情報通信業1.06
運輸業・郵便業1.17
卸売業1.71
小売業2.03
不動産業・物品賃貸業0.37
学術研究・専門・技術サービス業0.80
宿泊業・飲食サービス業1.46
生活関連サービス業・娯楽業1.13
その他のサービス業1.27

【出典】「中小企業実態基本調査」(経済産業省)を加工して作成(小数点以下第3位を四捨五入)
計算にあたっては各中小企業の平成30年度決算実績の合計を使用しています。

総資産回転率が高い業種は小売業・卸売業です。
これらの業種は仕入と販売を短い期間で繰り返すため、財務諸表上では仕入(売上原価)と売上高が大きくなります。つまり、売上高が大きいため総資産回転率も大きくなります。

反対に、総資産回転率が低い業種は、不動産業・物品賃貸業です。
不動産業は、建物や土地などの高額な資産を保有しているため総資産が大きくなります。
それに対して売上高は、不動産販売の売上もありますが、賃貸売上がほとんどのため総資産に比べると売上高は小さくなります。
したがって総資産回転率が低くなっています。

当然のことながら、存続している中小企業の平均値を使った分析のため、その他の業種では目安である「1.0」をおおむね上回っています。

総資産利益率の分解

こちらは参考になりますが、総資産利益率の要因を探るために総資産回転率を計算することがあります。分解の例は以下の通りです。

【総資産利益率の分解例】

総資産利益率 = 当期純利益 ÷ 総資産

総資産利益率 = (当期純利益 ÷ 売上高) × (売上高 ÷ 総資産)

総資産利益率 = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率

上記の分解は、総資産利益率の分子と分母に売上高を使うことで、「売上高当期純利益率」と「総資産回転率」に分解することができます。

各指標の意味は以下の通りです。

指標意味
総資産当期純利益率総資産がどれだけの当期純利益率を生み出したか
売上高当期純利益率売上高のうち、どれだけ当期純利益が残るか
総資産回転率総資産がどれだけ効率的に売上高を生み出したか

総資産当期純利益率を分解する前は、総資産と当期純利益の関係しかわかりません。
しかし、「売上高当期純利益率」と「総資産回転率」に分解することで、売上高と当期純利益の関係(収益性)と、総資産と売上高の関係(効率性)がわかるため、深掘りに役立ちます。

総資産回転率を把握し効率的な企業経営を

総資産回転率の目安は、1.0回転以上です。この1.0回転は、1年間で自分の資産を「投資 → 販売 → 回収」の1サイクル回したことを意味し、総資産を有効活用していることになります。
仮に1.0を少し下回っても直ちに問題があるとは言えません。
原因を分解する中で総資産回転期間も取り入れることで、「1日にどの程度の売上が必要か」「どの程度の営業日が必要か」が見えてくると思います。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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