- 更新日 : 2025年2月20日
天引きされた税金や保険料はどのように取り扱われているのか詳しく解説
毎月の給与から天引きされるものとして、
・健康保険料
・介護保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・所得税
・住民税
などがあり、これらは「保険料」と「税金」の2つに大別されます。ここでは天引きされた税金と保険料がどのように取り扱われているのかを、詳しく解説します。
天引きされた保険料のゆくえ
給与明細で天引きされている項目のうち健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は、社会保険料として天引きされます。
健康保険料と介護保険料は、勤務している会社が加入している健康保険組合の健康保険事業運営費の財源となっています。
事業主である会社と、そこに勤務する従業員とで保険料を折半し、健康保険組合に保険料を納付することになっており、法的根拠は
健康保険法第161条「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する。ただし、任意継続被保険者は、その全額を負担する。」
にあります。
任意継続保険者は、退職後も勤務していた会社の健康保険組合に引き続き加入する保険者となり、事業主を経由せず直接健康保険組合へ保険料を納付するため、全額負担となります。
健康保険制度を営む健康保険組合に納められた保険料を財源に、
といった保険給付が行われます。
天引きされる健康保険料と介護保険料の金額は、「保険料額表」によって決定します。加入する健康保険組合や都道府県によって多少の違いはありますが、それほど大きく異なるものではありません。
全国健康保険組合協会管掌 健康保険料額表(東京都の場合)

(出典:平成27年9月分(10月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表)
一方、厚生年金保険料は公的年金の給付財源となります。
適用事業所に該当する企業に勤務している従業員は、70歳未満であれば全員強制加入となり、非正規社員は、労働時間や労働日数が正規社員の3/4以上あれば原則として加入することになります。
ただし上記の非正規社員の加入要件はあくまでも目安であるため、該当しない場合であったとしても厚生年金保険に加入する場合があります。
天引きされる厚生年金保険料の金額は、健康保険料や介護保険料同様に「保険料額表」を元に決定されます。

(出典:平成27年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表)
雇用保険料は、失業への備えや雇用安定のために支払う保険料であり、雇用保険法に即した徴収方法が採られています。
雇用保険料は保険料額表ではなく「保険料率表」を使用し、雇用保険料の計算を行います。雇用保険料の計算方法は、毎月の給与総支給額に下記の雇用保険料率を乗じることによって求めることとなります。

(出典:平成27年度の雇用保険料率)
天引きされた税金のゆくえ
給与から天引きされる税金には、「所得税」と「住民税」があります。所得税は国税であるため国家予算となり、歳入総額における所得税の割合は平成27年度当初予算では17.1%を占めています。

(出典:財政のしくみと役割|国税庁HP)
天引きされた所得税は国家予算として歳入されたのち、例えば、
・公共事業関係費
・文教及び科学振興費
・防衛関係費
・経済協力費
・地方交付税交付金
として、わたしたちの暮らしに大きく寄与しています。

(出典:財政のしくみと役割|国税庁HP)
次に給与から天引きされる「住民税」ですが、地方税法に基づいて徴収され、地方自治体を運営するための「地方財源」となります。
なお、地方財源は個人の住民税だけでなく、法人が納める「法人住民税」や「法人事業税」も含まれており、人も会社も都市部に集中すると法人住民税や法人事業税等によって構成される地方財源が枯渇し、社会福祉分野などにおいて一定のサービスを享受できなくなる地方自治体が出てきてしまいます。
住む地域によって行政サービスが異なる格差を是正するために、国税として徴収した所得税を含む国家歳入額のうち約16%を「地方交付税交付金」として地方財源に振り分け、不均衡を抑制する役割を担っているのです。
ところで、天引きされる住民税で注意したい点として、「タイムラグ」が挙げられます。住民税は前年度の所得金額をもとに税額が決定するため、徴収開始時期がリアルタイムではなく、半年後の6月から天引きされます。
たとえば平成28年度の住民税額は、平成27年1月1日から同年12月31日までの所得金額をもとに計算されます。
つまり毎年6月以降の給与から天引きされているのは、昨年住んでいた地方自治体への住民税であって、1月から12月に発生した所得金額についての住民税は来年度の6月以降12か月間支払うことになります。
そのため退職後に住民税の支払督促が来ることになり、収入の有無を問わず支払いに応じなければなりません。
住民税の督促は、納期限後20日以内に督促状を発行する旨が、地方税法第329条「市町村税に係る督促」によって定められています。
また滞納処分は地方税法第331条が、
「督促状を発行した日から10日後に住民税が完納されていない場合、市町村の徴税吏員は直ちにその財産を差し押さえることができる」
と定めています。
まとめ
自分の給与から天引きされた保険料や税金がどのように取り扱われているのかを知ることで、毎日を安心して過ごすことができます。
給与から天引きされて支給額が減ってしまうのは意向に沿わないことかもしれませんが、国民の義務を果たさずに脱税や滞納で罰則を受ける心配がないのだと前向きに捉えるようにしましょう。
関連記事
・住民税の普通徴収と特別徴収、あなたはどちらの方法が適用される?
・【法人税まとめ】法人事業税と法人住民税の違いを正しく理解していますか?
・所得割額と均等割額との合計で算出される住民税 その意味や計算方法を解説
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料を紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
電子帳簿保存法 徹底解説(2025年10月 最新版)
電子帳簿保存法は、1998年の制定以降、これまでに何度も改正を重ねてきました。特に直近数年は大きな改正が続いた上に、現在も国税庁による一問一答の追加・改定が続いており、常に最新情報の把握が必要です。
70P以上にわたるボリュームであることから、ダウンロードいただいた方から大好評をいただいている1冊です。
インボイス制度 徹底解説(2024/10 最新版)
インボイス制度は施行後もさまざまな実務論点が浮上し、国税庁によるQ&Aの追加・改訂が続いています。これを受けて、「結局どうすればいいのか、わからなくなってしまった」という疑問の声も多く聞かれるようになりました。
そこで、インボイス制度を改めて整理し、実務上の落とし穴や対応のヒントまで網羅的に解説した最新資料を作成しました。問題なく制度対応できているかの確認や、新人社員向けの教育用など、様々な用途にご活用いただける充実の資料です。
マネーフォワード クラウド会計Plus サービス資料
マネーフォワード クラウド会計Plusは、データの自動取得、自動仕訳、自動学習の3つの自動化で経理業務が効率化できる会計ソフトです。
仕訳承認フローや業務分担にあわせた詳細な権限設定が可能で、内部統制を強化したい企業におすすめです。
マネーフォワード クラウド経費 サービス資料
マネーフォワード クラウド経費を利用すると、申請者も承認者も経費精算処理の時間が削減でき、ペーパーレスでテレワークも可能に。
経理業務はチェック業務や仕訳連携・振込業務の効率化が実現でき、一連の流れがリモートで運用できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
<中小企業向け>新型コロナ給付金・助成金・補助金・資金繰りタイプ別の支援策まとめ
新型コロナウイルス感染症の急速な広がりを受けて、国は相次いで支援策を打ち出しています。ウイルスの拡大も急速であれば、支援策も急拡大しています。このため、中小企業にとっては、自社にとってどの支援策が有効で、どの支援策を受けることができるのか、…
詳しくみる青森で経理代行サービスを依頼するには?費用・依頼先や対応範囲を解説
青森県内で経理代行サービスを検討している企業向けに、サービスの対応範囲から料金相場、依頼先の選び方まで包括的に解説します。地元の税理士事務所から全国対応の専門会社まで、それぞれの特徴や費用感を詳しく紹介し、自社に最適な経理代行パートナーを見…
詳しくみる経理・会計業務を効率化するおすすめ会計ソフト・サービス比較
「効率化」を推進するには「人になるべく作業させない」と考えることがポイントです。この記事では、人が行う作業量をなるべく減らせるように経理・会計業務を効率化できる会計ソフトやサービスについて説明していきます。 経理の効率化は難しい? 「経理を…
詳しくみる社会保険・労働保険に関わる手続きが電子申請義務化! 準備はできていますか?
令和2年4月1日より、社会保険・労働保険に関わる手続きの一部において、電子申請で行うことが義務付けられます。まずは、一定規模以上の企業に限ってスタートを切ることになりますが、いずれはすべての企業が対象となるものと予想されています。来る電子申…
詳しくみる【これは軽減税率?】バーガーとドリンクのセット。ドリンクだけ店内飲食する場合、消費税はどうなる?
2019年10月1日からスタートした消費税の軽減税率制度。主に「飲食料品」は消費税軽減税率8%の対象になりますが、飲食のシチュエーションなどによっては適用対象になりません。 本シリーズ『これは軽減税率?』では、事業者のみなさんが軽減税率につ…
詳しくみる【はじめての経理担当者必見】経理・会計・財務の違いを比較して解説!
経理と会計、財務は会社のお金に携わるポジションという共通の業務ではありますが、具体的にどうちがうのかが分かりにくいという人も多いでしょう。 本記事では、経理・会計・財務のそれぞれの違いを目的、役割、主な業務内容まで解説します。 さらに、よく…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引



