- 更新日 : 2024年8月8日
登録免許税の仕訳に使う勘定科目を解説
登録免許税は会社設立の登記や、登記事項を変更する際に納める税金です。会社を興す際は登記が必須なので、法人は登録免許税を納付しなければなりません。したがって法人の会計処理では、登録免許税の適切な仕訳方法を把握しておく必要があるでしょう。今回は登録免許税の税率や勘定科目、仕訳例を紹介します。
登録免許税とは
登録免許税は法務局で登記手続きを行う際に必要となる税金です。法律で義務付けられている会社設立時の登記のほか、登記事項を変更する際にも納付が求められます。
登録免許税を納めないと会社を設立できないため、忘れずに申請を行うのはもちろん、届出にはミスのないよう注意が必要です。
納付額を間違えるほか、ありがちなのが収入印紙へ割印を押してしまうことです。割印を押すと印紙が貼られていたとしても、登録免許税を納付したとは認められません。登録免許税は申請書の余白、もしくは別紙に丁度の金額分の印紙を貼り付けることで納付します。
登録免許税は、対象資産や登記手続きの種類によって納付額に違いがあります。
登録免許税の税率表
法人が行う登記手続きと、それぞれの場合における登録免許税額が分かる表を作成しました。
資本金額×1000分の7 (15万円未満は申請件数1件につき15万円) | |
増加した資本金額×1000分の7 (3万円未満は申請件数1件につき3万円) | |
資本金額、増加した資本金額×1000分の1.5 (合併によって消滅した会社等、直前の資本金額で一定の水準を超える金額に相当する部分は1,000分の7) (3万円未満は1件につき3万円) | |
資本金の額、増加した資本額×1000分の7 (3万円未満は1件につき3万円) | |
本店もしくは支店の数×3万円 | |
支店の数×6万円 | |
1件につき3万円 (資本金1億円以下の会社は1万円) | |
1件につき3万円 | |
1件につき3万円 | |
1件につき2万円 |
株式会社を設立する場合、納める登録免許税額には下限が設定されています。たとえ資本金が1円しかない会社でも、下限である15万円を納める必要があります。
登録免許税の納付方法
登録免許税の納付方法は、現金納付・印紙納付・キャッシュレス納付(ネットバンク等、クレジットカード等)です。オンライン申請の場合、電子納付も認められています。
登記の内容に応じて利用できる納付方法や期限が異なることに注意が必要です。例えば、印紙納付が可能なのは税額が3万円以下の場合に限られます。
登記申請時は、登録免許税に相当する額を収めたときに受け取った領収書を、申請書に貼り付けて提出します。
納付方法の詳細については、納税地を管轄する法務局や国税庁のホームページを参照しましょう。
登録免許税の仕訳と勘定科目
登録免許税の仕訳には「租税公課」を用いるのが一般的です。租税公課は国・地方に納める租税と、地方公共団体から課される交付金等を記録する際に用いる項目です。租税公課自体が税金なので、消費税の仕訳は行わなくても問題ありません。
(仕訳例)
例)登記事項の変更で登録免許税3万円を現金で支払ったとき
会社設立時における登録免許税の仕訳では、租税公課ではなく「創立費」勘定を使用するので注意してください。
登録免許税のほか、設立準備から会社設立までにかかった費用はまとめて創立費で処理するのが一般的です。創立費の代表的な項目は、定款作成に要した収入印紙代や謄本代、登記を依頼した行政書士や司法書士への報酬などです。
(仕訳例)
例)会社設立時に登録免許税15万円を現金で支払ったとき
創立費は繰延資産の一種なので、決算時に費用化する処理が必要になります。創立費は税務上任意償却が認められているため、償却額は法人が自らの判断で決められるのが特徴です。
(仕訳例)
例)決算仕訳として、創立費15万円を償却したとき
登録免許税の額は登記の種類に応じて異なる
登録免許税は法務局で登記の申請を行う際に支払うものです。法人設立時だけでなく、登記事項を変更する際にも納付が必要です。
課税対象や税率が個別に定められており、登記の内容に応じて納付額が異なります。会計処理の際は、勘定科目に「租税公課」を使用するのが一般的です。また、新規設立の場合は「創立費」として処理し、期末時に償却処理を行います。
よくある質問
登録免許税とは?
法務局に対して登記の申請を行う際に納める税金で、登記の内容によって納付額が異なることは特徴です。詳しくはこちらをご覧ください。
登録免許税の仕訳のポイントは?
会社設立時に支出した登録免許税は「創立費」として処理し、登記事項を変更する際は「租税公課」勘定を使用します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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