- 更新日 : 2024年8月8日
源泉分離課税とは?源泉分離課税の基礎を解説
分離課税制度(ある種類の所得を他の所得と分けて課税する制度)には申告分離課税と源泉分離課税があり、所得の種類によってどちらを適用するかが決定されています。その結果、確定申告が必要か必要でないかも判断できます。
ここでは、申告分離課税と源泉分離課税の違いをふまえて、源泉分離課税とはどういう制度かについてお話しします。所得税では、暦年全ての所得を合算の上、税率を乗じて税額を出す制度(総合課税制度)が原則です。税率は累進税率で、高所得者の方が、税率が高くなります。
一方、山林所得や株式、土地建物などの売買等取引から発生する所得、退職所得、金融機関等の預金等の利息などの所得に関しては、ほかの所得とは別に税額を算出します。これを分離課税制度と呼び、所得の種類によって源泉分離課税と申告分離課税があります。
源泉分離課税制度を採用した理由
分離課税制度のうち「源泉分離課税制度」とは、ほかの所得を考慮せずに、支払う側が先に所得税を控除し、受領時には所得税は納税済になります。源泉分離課税制度が制定された背景には、預貯金の利子所得に対する税金の申告漏れや脱税がありました。これらの不法行為を摘発するには、各口座にかかる税額を一つひとつ計算しなければならず、それには莫大な処理量と時間が必要になり、実際には不可能です。
加えて、預金の利子所得を総合課税の対象所得にすると、正確な納税額を確実に徴収することが難しくなります。そこで、日本国内の銀行預金利子にかかる税金には、一定の税率で源泉徴収する源泉分離課税制度を適用することとなりました。
源泉分離課税の対象
源泉分離課税に関しては、所得の支払側に税金を源泉徴収する義務があり、受取る金額は源泉徴収後の額面となります。源泉分離課税の対象所得には、以下のようなものがあります。
なお、上場している株式の譲渡益に関しては、「特定口座」を除き、申告分離課税が適用されるため、確定申告が必要です。ただし、配当に関しては、申告をしなくてよい申告分離課税を選ぶか総合課税か、いずれかを選べます。
・総合課税の対象外である利子所得(普通預金、定期預金、ゆうちょ銀行の預金口座、CD、国債・地方債・社債)や金銭信託などの収益分配金
・特定目的信託のうち、社債的受益権の収益の分配にかかる配当
・私募公社債等運用投資信託などの収益の分配にかかる配当
・懸賞金付き預貯金の懸賞金等
・定期積金の給付補てん金や一定の抵当証券から発生した利息、貴金属などの売り戻し条件付売買で生じた利益など、金融類似商品の補てん金
・外貨建預貯金で円と外貨を換算した際に発生した差益
・(保険期間が5年以下の)一時払の養老保険や損害保険から出た差益
・一定の割引債で償還された差益
源泉分離課税の計算方法
定期貯金や定期預金、国債等金融商品などからの利子所得や定期積金の給付補てん金、外貨建預貯金、保険期間が5年以下の養老保険や損害保険の一時払商品から発生した差益などからの所得には、支払い時に20.315% (所得税率15.315%+地方税率5%)の税額が天引かれています。
例えば、普通預金の金利が年利0.07%だとします。そこに10万円を1年間預けると、10万円×0.07%=70円の利子が発生します。その利子に20.315%の税金がかかるので(70円×20.315%=14円)、手元に残る利子は56円(70円−14円)となります。
申告分離課税制度と源泉分離課税制度の基本的な違いは、確定申告が必要な「申告分離課税」と、所得が発生するたびに源泉徴収されて納付済になるため確定申告が不要な「源泉分離課税」であるという点です。
まとめ
このように、源泉分離課税においては、源泉徴収といっても給与所得の源泉徴収とは違い、年末調整や確定申告は不要です。申告分離課税に含まれる上場株式の売却で出る益の場合でも、特定口座(源泉徴収有)を活用することで確定申告の手間を軽減することができます。
関連記事
・分離課税は確定申告したほうが得?
・利子所得はなぜ確定申告に関係がないのか?
・源泉徴収される特定口座は使い方次第!
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
納税の期限と方法まとめ!法人ならチェック必須の10の税金
起業したときに必ず頭に入れないといけないのが「法人における税金」について。責任ある企業として活動していくためには納税の義務は避けて通ることはできません。みなさんは納税の期限や方法について正しく理解できていますでしょうか? 今回は、法人が納め…
詳しくみる日大生逮捕のサークル、納税しなくていいの? 「毎月会費3万円」で荒稼ぎ
日本大学の男子学生2人がサークル仲間からバッグを奪ったとして、強盗容疑で逮捕された事件。報道各社は、彼らが幹部を務めるインカレイベントサークルの悪質な運営実態を次々と報じています。 幹部らはサークルのメンバーから多額の会費を集めていたようで…
詳しくみる法人税申告書の別表14とは?見方や書き方、注意点まで解説
法人税申告書の別表14は、寄附金や株式などに関連した明細書で構成されています。この記事では、別表14の種類、社内で申告書を作成する会社向けに代表的な明細書の書き方、作成時の注意点を解説していきます。 法人税申告書の別表14とは 別表14は、…
詳しくみる役員報酬を確実に損金扱いするための3つの注意点
法人会計において、金額の大きさからも特に重要度が高いものの1つとして「役員報酬」と「役員退職金」が挙げられます。 いずれも金額が決して少なくない額であるため、きちんと手続きを踏まなかったばかりに、経費として認められない(=損金不算入)といっ…
詳しくみる収入印紙を金券ショップで買うことのメリット・デメリット
契約書や領収書に貼る収入印紙は郵便局や印紙売りさばき所で売られていますが、金券ショップで売られていることもあります。金券ショップでは額面より低い金額で売られているため、経費削減に役立てているケースも多いことでしょう。 しかし、収入印紙を金券…
詳しくみる法人税申告書の別表7(1)とは?見方や書き方、注意点まで解説
企業を経営していると、欠損金を出してしまうことは珍しくありません。しかし、欠損金が出てしまったとしても、青色申告ならば赤字分を次の年度以降に繰り越すこともできます。 本稿では、欠損金を繰り越すために必要な法人税申告書別表7(1)について紹介…
詳しくみる会計の注目テーマ
- 勘定科目 消耗品費
- 国際会計基準(IFRS)
- 会計帳簿
- キャッシュフロー計算書
- 予実管理
- 損益計算書
- 減価償却
- 総勘定元帳
- 資金繰り表
- 連結決算
- 支払調書
- 経理
- 会計ソフト
- 貸借対照表
- 外注費
- 法人の節税
- 手形
- 損金
- 決算書
- 勘定科目 福利厚生
- 法人税申告書
- 財務諸表
- 勘定科目 修繕費
- 一括償却資産
- 勘定科目 地代家賃
- 原価計算
- 税理士
- 簡易課税
- 税務調査
- 売掛金
- 電子帳簿保存法
- 勘定科目
- 勘定科目 固定資産
- 勘定科目 交際費
- 勘定科目 税務
- 勘定科目 流動資産
- 勘定科目 業種別
- 勘定科目 収益
- 勘定科目 車両費
- 簿記
- 勘定科目 水道光熱費
- 資産除去債務
- 圧縮記帳
- 利益
- 前受金
- 固定資産
- 勘定科目 営業外収益
- 月次決算
- 勘定科目 広告宣伝費
- 益金
- 資産
- 勘定科目 人件費
- 予算管理
- 小口現金
- 資金繰り
- 会計システム
- 決算
- 未払金
- 労働分配率
- 飲食店
- 売上台帳
- 勘定科目 前払い
- 収支報告書
- 勘定科目 荷造運賃
- 勘定科目 支払手数料
- 消費税
- 借地権
- 中小企業
- 勘定科目 被服費
- 仕訳
- 会計の基本
- 勘定科目 仕入れ
- 経費精算
- 交通費
- 勘定科目 旅費交通費
- 電子取引
- 勘定科目 通信費
- 法人税
- 請求管理
- 勘定科目 諸会費
- 入金
- 消込
- 債権管理
- スキャナ保存
- 電子記録債権
- 入出金管理
- 与信管理
- 請求代行
- 財務会計
- オペレーティングリース
- 新リース会計
- 購買申請
- ファクタリング
- 償却資産
- リース取引