経理アウトソーシング(BPO)のメリット・デメリット

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経理アウトソーシング(BPO)を実施するとどのような効果が期待されるのか

大企業から中小企業まで、広範囲に経理のアウトソーシングを検討する企業が増えてきています。

経理アウトソーシングを実施した場合に、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。良いことばかりではなくデメリットも認識し、利用の適否を判断すると良いでしょう。

まずはメリットを挙げてみます。

人手不足の解消

少子化の影響を受けて、どの企業も採用がスムーズにできないという状況に陥っています。経理部門の採用に関しても同様の事象は起きており、多くの経理部門の責任者が「採用の難しさ」を悩みとしてあげています。

経理の業務量が増えたり、経理部門の退職や人事異動でマンパワーが不足した場合にも、すぐに良い採用ができないという現実があるのです。

そのようなときに、経理のアウトソーシングを導入することで不足したマンパワーを穴埋めすることができます。つまり、不足する人材の調整弁として経理のアウトソーシングが活用されているのです。

順調に採用が進み、内製化できるようになった際には経理のアウトソーシングを終了すれば良いので、必要な時だけ発生する変動コストとして利用可能な点はBPOのメリットといえます。

見えにくい内部コスト削減にも貢献

経理業務を社内で内製化するには、必要な人材を採用し、教育を行っていくことになります。仮にその社員が退職や異動となった場合は、新たな担当者に改めて採用・教育といったプロセスが必要です。また、引継ぎ業務が発生したら、これは引き継ぐ側と引き継がれる側、両方の時間を費やすことになります。

採用や教育等には、それにかかわる人の時間、つまりコストがかかっているのです。社員の時間や人件費というこれらのコストはあまりクローズアップされませんが、それ相応にかかっています。

経理のアウトソーシングを実施した場合は、アウトソーシングの委託料は発生しますが、内製化と異なり、採用やその後の教育等のコストは発注元の企業にかからなくなります。

アウトソーシング導入時は引継ぎのための工数はかかりますが、業務が稼働した後には、当然業務の引継ぎについてはアウトソーシングを行うベンダー内で完了することとなるので、引継ぎに関する時間も発注側には生じなくなるのです。

このように経理のアウトソーシングを導入することで、見えないコストである社内人件費の削減にも貢献することが可能です。

属人化から脱却する機会になる

よほどジョブローテーションを短期的なサイクルで行ったり、マニュアル等が完備されている会社は別として、どうしても“業務が人についてしまっている”ケースは多いです。そうなると属人化が進み、他の人が簡単に業務を受け入れることが難しくなくなります。

属人化から脱却するために、社内で業務カイゼンのタスクチームを作って業務プロセスを見直すといったケースもありますが、このようなプロジェクトを立ち上げて完遂するのもかなりハードルは高いです。

その点、経理のアウトソーシングを導入するとなった場合は、第三者に業務の一部を委託することになるので、導入前に一度業務プロセスを整理して第三者でも業務ができるにすることが多いです。

つまり、この段階で属人的に行われている業務が標準的なプロセスに変更されるのです。社内の属人化を解消するための手段として経理のアウトソーシングを検討している企業もあります。

コア業務への集中

多くの企業は会社として成長していくために、社内人材を成長分野に投入したいというのが本音かと思います。そのため、経営者は企業の成長エンジンとなるコア業務に人を投入できる体制を構築することになりますが、経理業務ではどのように考えられるのが一般的でしょうか。

経理業務の中でも、未来のための業務である投資戦略・買収戦略、予算策定やその後の分析、管理会計制度の構築などコア業務に該当すると思います。

それに対して、過去の実績をとりまとめる業務としての経費精算、仕訳入力、決算業務などはルールさえ決まっていればできる業務なので、社内ではノンコア業務として認識されているケースが多いと思います。

そこで、経理のノンコア業務に従事している社員をコア業務に従事してもらうようにするために、ノンコア業務をアウトソーシングする企業もあります。自社の強さを際立たせるために、ノンコア業務に絞ってアウトソーシングを実施するのです。

不正防止の抑止にも

時折、企業の経理部門の責任者が着服をしたといったニュースを目にすることがあります。このような事象が起きてしまう背景として多いのは、一人の担当者だけが資金の送金に関する権限を有していて、他の社員は誰も内容を確認することができない、といった職務分担にしていることがあげられます。

誰にも感知されずに資金の送金等ができる体制では、魔が差して資金を着服してしまうリスクを抱えた状態で経理業務が行われている可能性があるのです。このような問題に対しても、経理のアウトソーシングによって解決できる可能性があります。

経理のアウトソーシングを導入した場合、送金プロセスのどこかにBPOベンダーが第三者として入ってくることになります。

送金の最終決済のボタンは発注側が行いますが、送金データの作成、送金後のデータをもとに帳簿に反映するといった業務はBPOベンダーが行うというすみわけにするケースが多くあります。仮に最終決済ボタンを押した人が着服をしたとしても、速やかにその後のデータを帳簿に反映した際に異常なデータが計上されることになるので、不正の事実が明るみに出やすいのです。

このように、外部のBPOベンダーを業務プロセスに入れることによって不正防止の抑止がなされるというメリットも経理のアウトソーシングにはあるのです。

デメリットも認識したうえで

ここまでは、経理のアウトソーシングを導入した場合のメリットを見てきましたが、もちろんメリットばかりではなく、デメリットもあります。

よく言われるのが社内にノウハウが残らなくなるという点です。確かに外部にアウトソーシングをすることで、社内で作業に関与する人が減り、その業務に関するノウハウは伝承されにくくなります。

ただし、経理をアウトソーシングするといってもまったくチェックをしなくなるわけではないので、BPOベンダーが作業をした結果の確認作業を通じて、その業務に関するノウハウを伝承することは可能です。

さらに言えば、ノンコア業務を出したのであればそもそも社内にノウハウとしてためておく必要がないという視点もあると思います。

他にも、経理のアウトソーシングを導入する際に、BPOベンダーに対して一定の引継ぎ等をする手間が生じる、ということも挙げられます。

実際には、様々なケースに対応しているBPOベンダーであれば、発注企業の方がすべてをセットアップしなければ引継ぎできないということはなく、現状の業務の流れや書類等を見せることで望ましい方法を提示してくると思いますので、そこまで負担がかからないケースが多いです。

今回は経理のアウトソーシングについて、メリットとデメリットの両面を見てきました。企業の置かれた環境と優先順位などをよく考えて、導入の適否を検討してみて下さい。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:中尾 篤史(公認会計士/税理士)

CSアカウンティング株式会社 /代表取締役社長
日本公認会計士協会 租税調査会 租税政策検討専門部会・専門委員
著書に『経理部門の働き方改革のススメ』、『瞬殺!法人税申告書の見方』(税務研究会出版局)、
『正確な決算を早くラクに実現する経理の技30』、
『BPOの導入で会社の経理は軽くて強くなる』(共著)、
『対話式で気がついたら決算書が作れるようになる本』(共著)、
『経理・財務お仕事マニュアル入門編』(以上、税務経理協会)、
『たった3つの公式で「決算書」がスッキリわかる』(宝島社)、
『経理・財務スキル検定[FASS]テキスト&問題集』(日本能率協会マネジメントセンター)、
『明快図解 節約法人税のしくみ』(共著、千舷社)など多数。



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