- 更新日 : 2022年10月3日
会社法とは?基本的な規定や目的をわかりやすく解説!
会社法とは2005年に成立し、2006年に施行された法律で、会社に関するさまざまなルールがまとめられています。会社法とは具体的にどのような法律か、どのような会社が規定されているのか、株式会社についてはどのような規定があるのかなどについて、初心者に向けてわかりやすい言葉で説明します。
目次
会社法とは?
会社法とは、2005年に成立し、2006年に施行された法律です。会社法が成立するまでは、会社についてまとめた1つの法律がなく、商法の一部や有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律に会社についてのルールが記載されていました。
しかし、会社法の施行により会社に関する法律がまとめられ、一元化されました。そのため、会社法の基本は商法や有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律にあるということができます。
会社法では、会社を設立するための条件などの大枠となるルールや、帳簿の保管期限などの細々としたルールまですべて確認できます。会社についてのルールを知りたいときは、会社法を学びましょう。
会社法の目的
会社法の目的は、会社経営の柔軟性を高め、機動力を向上することにあります。
また、この目的を果たすためには、取引相手の保護や利害関係者の利益確保、法律関係を整理することが必要です。会社法では取引相手や利害関係者、他の法律との関係に関わるルールも取り決め、会社法の本来の目的と意義を達成できるようにしています。
会社法の歴史と変遷
会社法は2005年に制定、2006年に施行されました。2014年には社外取締役・社外監査役の要件の見直しや、支配株主の異動を伴う第三者割当に対する規制などが盛り込まれた改正が実施されています。
2021年には、同一の株主総会で提案できる議案数の制限、上場会社が取締役の報酬として株式発行等をする場合には、金銭の払込みを必要としないなどの規定が盛り込まれた改正も実施されました。
なお2021年の改正は、2021年3月1日から施行されています。株主総会の資料を電子提供する制度などの改正については、2022年9月1日から施行されました。
会社法の構成
会社法は次の8つの編から構成されています。
それぞれの編の内容について簡単に解説します。
第1編:総則
総則では、会社法で用いられている用語の定義について記載されています。また商号に関する規制もまとめられています。
商号とは、株式会社か合名会社、合資会社、合同会社のことです。この4つの形態のいずれかを取ることが必要であることも、会社法で定められています。
第2編:株式会社
第2編では、株式会社の設立の手順や株式発行の手続き、株主総会、会計帳簿など、株式会社に関するルールが詳細に定められています。また株式会社の解散や清算の際に必要な規定も、すべて第2編の内容です。
会社法全979条のうち、第2編は550条と過半を占めます。このことからも会社法は株式会社について定められた法律とも呼べるでしょう。
第3編:持分会社
株式会社以外の会社(合名会社、合資会社、合同会社)は持分会社です。各形態の会社において、設立や解散、清算などのルールが第3編にまとめられています。
第4編:社債
第4編は社債についてのルールです。公募社債の発行や譲渡、社債権者集会などに関して定められています。
会社法施行以前、社債は株式会社のみ発行できましたが、施行後は合同会社などの持分会社も社債を発行できるようになりました。そのため社債のルールは第2編に組み込まずに、第4編に独立して記載されています。
第5編:組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付
第5編では、会社の組織変更についてまとめられています。吸収合併や新設合併、吸収分割や新設分割など、各手続きの規定が記載されています。
第6編:外国会社
第6編には、外国会社が日本で取引をする際のルールがまとめられています。第6編は会社法の中でももっとも条数が少なく、わずか7条となっています。
第7編:雑則
第7編では、訴訟・登記・広告などのルールが定められています。訴訟請求の期間や登記の申請期間などについてもまとめられています。
第8編:罰則
特別背任罪や贈収賄罪など、会社と関連する罪についての刑罰の規則がまとめられています。
会社法の規定する会社の種類と具体例
会社法では、株式を発行するかどうかによって、次の2つの形態の会社を定めています。
- 株式会社
- 持分会社
また持分会社は、次の3つの形態に分けられます。
- 合名会社
- 合資会社
- 合同会社
それぞれの会社の違いを紹介します。
株式会社
株式会社とは、不特定多数から出資を受ける営利目的の社会団体のことです。令和2年会社標本調査によれば、単体法人は株式会社256万8,109、合名会社3,352、合資会社1万2,967、合同会社13万3,890、その他7万419です。構成比は株式会社92.1%、合名会社0.1%、合資会社0.5%、合同会社4.8%、その他2.5%となっています。
現在会社と名前のつく団体のうち、9割以上が株式会社です。株式会社の例としては、トヨタ自動車株式会社、パナソニックホールディングス株式会社などが挙げられます。
持分会社
株式会社以外の会社は持分会社です。持分会社は株式会社と比べ出資者の権限が大きく、出資者が経営者でもあるという特徴があります。
持分会社は、社員の責任範囲などによって合名会社と合資会社、合同会社に分けられます。なお持分会社は合名会社と合資会社、合同会社をまとめる分類上の名称のため、社名に「持分会社」とはつけられません。
合名会社
合名会社とは、すべての社員が無限責任社員である会社です。会社法制定前も、合名会社の形態はありました。株式会社や有限会社には資本金の最低額が定められていましたが、合名会社には最低額がなかったため、設立されやすい形態の会社として認識されていました。
合資会社
合資会社とは、有限責任社員と無限責任社員の2者から構成される会社です。合資会社も合名会社と同じく、会社法の施行前には資本金の最低額がなく、設立のハードルが低い会社として認識されていました。
合同会社
会社法施行前から存在する株式会社・合名会社・合資会社とは異なり、合同会社は会社法により新しく誕生した形態の会社です。出資範囲内で責任が限定されていること、また、内部規律の自由度が高いことなどの特徴があります。Apple Japan合同会社、コダック合同会社など、外資系の企業は合同会社を選択することが多い傾向にあります。
会社法上での株式会社の機関
会社法は株式会社について詳しく規定する法律です。会社法上では、株式会社の構造を以下のように定めています。
株式会社を構成する各機関について解説します。
株主総会
株主総会とは、株式会社の最高意思決定機関です。会社法では、株主総会で会社のすべてに関わる事項を決定できると定めています。
取締役・取締役会
取締役とは、会社の業務執行を担当する役職です。取締役が3人以上いる場合は、取締役会を開くことができます。
取締役の人数についても、会社法で定められています。株式会社には1人以上の取締役を設置する義務があり、また企業の意思決定を取締役の間で議論する場である「取締役会」を設置する場合は取締役は3人以上の選任が必須となります。取締役会を設置しない場合は、1人もしくは2人でも問題ありません。
代表取締役
「代表取締役」とは取締役の中から選出される最高責任者のことです。他の取締役とは異なり代表権があるため、対外的に見たときの企業の代表となります。
融資を受けるときなどの重要な契約を行う際は、代表取締役の肩書きや名前を用いることが一般的です。株式会社では代表取締役を設置する必要があり、人数は2人以上でも問題ありません。
会計参与
「会計参与」とは、取締役と共同して貸借対照表や損益計算書等の計算書類等を作成する機関のことです。公認会計士や監査法人、税理士、税理士法人などが会計参与を務めます。
監査役・監査役会
「監査役」とは、取締役の職務執行や会社の計算書類を監査する役職です。監査役が3人以上いる場合は、監査役会を開くことができます。
会計監査人
「会計監査人」とは、計算書類などを監査する機関のことです。公認会計士もしくは監査法人が務めます。
執行役
「執行役」とは、指名委員会等設置会社において会社の業務執行を行う機関のことです。会社法では、執行役は役員ではありません。
監査等委員会・指名委員会等
監査等委員会や指名委員会などは、取締役の職務執行を監査し、監査報告の作成を行う機関です。また、株主総会に提出する会計監査人の選解任などに関わる議案を決定することもあります。監査等委員は取締役であることが求められます。
会社で働く全ての人が会社法を押さえておくべきです!必ず理解を深めていきましょう!
会社法は、会社で働く全ての方が知っておく必要がある法律です。会社で働かない場合でも、会社との取引がある方も、会社法を理解し、会社の仕組みについて知っておく必要があります。わかりやすい形で概略を覚え、会社法について詳しくなりましょう。
よくある質問
会社法とは何ですか?
2005年制定、2006年施行の会社について定められた法律です。組織から書類まで、会社に関わる幅広いルールをまとめています。詳しくはこちらをご覧ください。
会社の種類は何がありますか?
会社法では株式会社と合名会社、合資会社、合同会社の4つの種類が定められています。その他にも、会社法が制定される前に設立された有限会社などの種類も残っています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
会社経営の関連記事
新着記事
不動産事業の法人化とは?メリット・デメリット、費用の目安、流れを解説
不動産事業は、ある程度収益が上がってきたら法人化した方がよいといわれています。実際に不動産事業を法人化することで、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。この記事では、不動産投資や不動産賃貸業を法人化する手順や法人化を考える目安な…
詳しくみる賃貸経営とは?利回りや収支計算、失敗を防ぐコツを解説
ご自身の不動産を活用して、あるいはこれから物件を購入して賃貸経営を始めようと考えられている方もいらっしゃるかと思います。この記事ではマンションやアパートなどの賃貸経営の始め方やビジネスとして賃貸経営を選ぶメリット・デメリット、注意点について…
詳しくみる駐車場経営の法人化とは?個人との違いや年収の目安、法人設立の手順
駐車場経営をしている方の中には、個人事業主から法人化を検討されている経営者の方もいらっしゃるかと思います。節税対策や安定した経営のための施策として、法人化は効果的な手段といえます。 ただ、年間所得が一定以上でないとそのメリットを十分に享受で…
詳しくみる独立資金を作るには?開業費用の平均額や内訳、資金の調達方法について解説
独立資金を作るためにはどのような方法があるでしょうか?自己資金や親族・友人などからの借入などの調達方法もありますが、もっとも一般的な方法は融資です。とはいえ簡単に資金が得られるとは限りませんので、自己資金の蓄えや綿密な事業計画の策定が重要に…
詳しくみる農業の法人化とは?個人農家との違いや年収の目安、法人設立の手順
農業で法人化すると法人税の適用や制度融資活用など、税制面や経営面において多数のメリットを得られますが、手続きが複雑なので入念な下準備が必要です。 この記事では、農業の法人化のメリット・デメリット、法人成りに必要な手続き、失敗しないためのポイ…
詳しくみる独立時の融資ではいくら借りられる?個人事業主が審査に通るコツなどを解説
独立・開業に必要な資金は、融資で調達可能です。個人事業主であっても、日本政策金融公庫や銀行融資などが活用できますし、実際に多くの事業者は融資により独立資金を準備しています。 ただし審査に通らなければ融資はしてもらえません。本記事にてコツ・ポ…
詳しくみる