- 更新日 : 2026年1月27日
登記費用の仕訳例と使える勘定科目を解説
会社設立時や登記記録の変更をする際には、登記費用がかかります。登記費用は経費に計上できますが、設立時は創立費や開業費、司法書士への報酬は支払手数料など、登記費用の種類によって使用する勘定科目は異なります。創立費や開業費は繰延資産となるため、決算時に償却の仕訳が必要です。
今回は登記費用の種類それぞれの内容、勘定科目ごとの具体的な仕訳例を紹介します。
登記費用の種類
会社を設立したときに支出した登記費用は、「創立費」と「開業費」の勘定科目を使います。創立費は法人を設立する前に要した費用で使い、開業費は法人設立から営業を開始するまでに支出した費用に使う勘定科目です。
創立費と開業費は「繰延資産」に分類され、支出の効果は1年以上に及びます。計上する際は「均等償却」か「任意償却」を選び、決算期に償却処理をして費用に計上するという手順です。
登記費用には、ほかに司法書士報酬や登録免許税、登記簿謄本、印鑑証明書発行費用などがあります。司法書士報酬に使う勘定科目は「支払手数料」で、登録免許税や登記簿謄本、印鑑証明書発行費用は主に「租税公課」で仕訳するのが一般的です。
創立費の仕訳
「創立費」は法人を設立する前に支出した費用で、定款その他諸規則の作成費用、株主募集のための広告費用、設立登記の印紙代などがこれにあたります。
創立費は開業費とともに原則として「繰延資産」に分類され、支出の効果が支出の日以後1年以上に及びます。支出した年度にすべて費用として計上するのではなく、翌期以降に繰り延べることが可能です。設立当初の利益があまりない年度で費用化せず、利益が増えたタイミングで費用に計上することで節税ができます。
定款作成費用として10万円支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。
決算に創立費10万円のうち2万円を償却する場合、次のように仕訳します。
未償却残高の8万円は、来期以降に繰り延べになります。
開業費の仕訳
「開業費」とは、法人設立から営業を開始するまでに支出した費用のことです。印鑑や名刺の作成費用、チラシなどの広告宣伝費など、特別に支出した費用が該当します。事務所の家賃や水道光熱費、社員の給与など毎月発生する費用は含まれません。
営業開始前に広告宣伝費20万円を銀行振込で支払った場合、仕訳は以下のとおりです。
開業費も繰延資産であり、支出した費用を翌期以降に繰り延べることができます。決算で4万円償却する場合は次のように仕訳します。
未償却残高16万円は、来期以降に繰り延べができます。
司法書士報酬の仕訳
登記申請のために司法書士に書類作成などを依頼した場合、その報酬は登記費用となり、「支払手数料」で計上します。
司法書士法人でない依頼先に支払う報酬は、源泉徴収の対象です。1回の支払金額から1万円を控除した残額に、10.21%の税率を乗じた金額を源泉徴収します。司法書士を通じて支払った登録免許税や登記簿謄本取得の手数料等は除外して計算してください。
司法書士から送られてくる請求書などで源泉徴収額を確認し、「預り金」の勘定科目で仕訳します。
例えば、司法書士へ登記申請を依頼して5万円の報酬が請求された場合、源泉徴収は「(5万円 − 1万円)× 10.21% = 4,084円」です。源泉徴収額4,084円を差し引いて支払った場合の仕訳は、以下のとおりです。
司法書士報酬 | ||||
登録免許税の仕訳
会社の設立時に行う登記には、登録免許税が課せられます。株式会社の場合は資本金の1000分の7の金額が課税され、計算して15万円未満の場合は1件につき15万円が課せられます。つまり株式会社を設立する際は、最低でも15万円の登録免許税を支払わなければなりません。法人設立時だけでなく、変更登記の際も納付が必要です。
登録免許税を仕訳する際は、「租税公課」の勘定科目を使います。租税公課とは、国税や地方税などの税金(租税)と、国や公共団体などに納める会費・交付金などの公的な課金(公課)を合わせた勘定科目です。
登録免許税を20万円納付した場合、以下のように仕訳します。
登記簿謄本代の仕訳
登記簿謄本とは会社の登記事項について記載されている帳簿で、法務局で管理されています。事業ではさまざまな手続きで登記簿謄本が必要になり、その取得費用は登記費用の一種です。
登記簿謄本の取得に支払った費用は、「租税公課」「支払手数料」「雑費」の3つの勘定科目が使えます。公的機関に対する負担金と考えれば租税公課になりますが、法務局への手数料と考えて支払手数料に含められます。また登記簿謄本を取得することが少ない場合、雑費として処理することも可能です。
法務局で登記簿謄本を取得し、手数料600円を租税公課の勘定科目を使う場合の仕訳は以下のとおりです。
印鑑証明書発行費用の仕訳
印鑑証明書とは、市区町村役場に登録された印鑑を公的に認める書類のことです。法人設立登記の際に必要になります。
役所等に手数料を払って取得しますが、その取得費用は地方自治体等に納付する手数料として、「租税公課」と考えられます。あるいは発行の手数料であると考えて、「支払手数料」の勘定科目で処理することも可能です。また登記簿謄本取得の場合と同様に、取得の頻度が少ない場合は雑費として扱うことも問題ありません。
印鑑証明書1通を取得して400円の手数料を現金で支払ったとき、支払手数料で処理する仕訳を紹介します。
登記費用の勘定科目は支出の種類ごとに分類しよう
登記費用は種類ごとに勘定科目が変わります。支出した時期や内容により異なり、主に使うのは、創立費・開業費・租税公課・支払手数料などの勘定科目です。創立費や開業費は繰延資産となり、翌年以降に計上できます。登記の手続きで司法書士に依頼したときは、源泉徴収の処理も必要です。
登記費用の種類を覚え、正しい勘定科目で仕訳しましょう。
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よくある質問
登記費用はどんなものがある?
司法書士報酬や登録免許税、登記簿謄本発行手数料などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
創立費の仕訳のポイントは?
繰延資産に分類され、決算期に償却して費用に計上されます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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