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  3. 寄付金の勘定科目はどれ?仕訳例と法人・個人の処理を解説
  • 更新日 : 2026年7月24日

寄付金の勘定科目はどれ?仕訳例と法人・個人の処理を解説

監修:橋爪 祐典/監修:並木 一真
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Point寄付金はどの勘定科目で仕訳する?

寄付金の判断は「事業との関係」と「見返りの有無」で決まり、4つの勘定科目を使い分けます。

  • 見返りなしの無償譲渡なら「寄付金」で処理する
  • 取引先関連なら「交際費」、宣伝目的なら「広告宣伝費」を選ぶ
  • 個人事業主は「事業主貸」で記帳し寄附金控除を申請する

法人税法上の損金算入には寄付先ごとの限度額があるため、年間支出を整理して管理しましょう。

寄付金は組織や団体に無償で譲渡する金銭・資産のことですが、名目が同じでも実態によって勘定科目が変わるため、判断に迷いやすい支出です。この記事では、寄付金の勘定科目の選び方、仕訳例、法人税・消費税の扱い、個人事業主の処理までを整理します。

目次

  • 寄付金とは何か?
    • 寄付と贈与の違い
    • 拠出金・見舞金・協賛金との関係
  • 寄付金の勘定科目を判断する4つの基準
    • 基本は「寄付金」(見返りなしの無償譲渡)
    • 宣伝目的なら「広告宣伝費」
    • 取引先関係なら「交際費(接待交際費)」
    • 個人事業主の支出は「事業主貸」
  • 寄付金の仕訳例
    • 現金で寄付した場合の基本仕訳
    • クレジットカードで寄付した場合
    • 広告宣伝費として仕訳する場合
    • 交際費として仕訳する場合
  • 法人の寄付金は損金算入の限度額に注意
    • 国・地方公共団体への寄付金、指定寄付金
    • 企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)
    • 特定公益増進法人などへの特定寄付金
    • その他の一般寄付金
    • 低廉譲渡の場合の注意点
  • 寄付金の消費税の扱いはどうなる?
    • 金銭で寄付した場合は不課税
    • 物品を購入して寄付した場合
  • 個人事業主が寄付金を扱うときのポイント
    • 寄付金を支払った場合の処理
    • 寄付金を受け取った場合の課税
  • 寄付金に関するよくある質問
    • 祈祷代は寄付金として処理できる?
    • 未払の寄付金や手形払いの寄付金は損金算入できる?
    • 勘定科目の判断に時間がかかるときの対処法
  • 仕訳作業に最も工数がかかる 37%に
    • 仕訳業務の効率化に向けて
  • 法人なら損金算入、個人は所得控除の適用を確認しよう

寄付金とは何か?

寄付金とは、組織や団体に対して金銭や資産を無償で譲渡することをいいます。「寄附金」と表記されることもあり、税法上の文脈では「寄附」が用いられることが多いものの、意味は同じです。

寄付と贈与の違い

寄付と贈与の違いは、相手先で区別します。

寄付の対象は組織・団体(多くは非営利)で、贈与は個人間や法人から個人への譲渡が中心です。

参照:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

拠出金・見舞金・協賛金との関係

拠出金・見舞金・協賛金などの名目でも、実態が無償譲渡であれば寄付金として扱います。

ただし、宣伝効果や取引先との関係維持が伴う支出は、別の勘定科目が適切な場合があります。寄付金との使い分けは次章で整理します。

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寄付金の勘定科目を判断する4つの基準

寄付金の勘定科目は、事業との関係性と見返りの有無で「寄付金」「広告宣伝費」「交際費」「事業主貸」の4つに使い分けます。下表のような判断軸で整理するとわかりやすくなります。

状況 使う勘定科目
事業と関係なく、見返りもない無償譲渡 寄付金
宣伝効果が見込める支出(社名掲載など) 広告宣伝費
取引先など事業関係先への支出 交際費(接待交際費)
個人事業主が事業用口座から支出 事業主貸

基本は「寄付金」(見返りなしの無償譲渡)

事業に関係のない相手に無償で金銭・物品を提供したときの基本科目が「寄付金」です。

国や地方公共団体、公益社団法人など公益性の高い団体への支出が典型例です。地域の災害義援金、国公立学校への寄付なども含まれます。

宣伝目的なら「広告宣伝費」

寄付の名目でも宣伝効果が見込まれる場合は、対価性が認められて「広告宣伝費」で処理します。

たとえば、協賛金の支出額に応じてイベントのパンフレットやポスターに社名が掲載される、神社に寄付した提灯に社名が入り参拝客の目に止まる、といったケースです。広告宣伝費は不特定多数への宣伝活動に対する費用として整理されます。

取引先関係なら「交際費(接待交際費)」

取引先など事業に関係する相手への支出は、実態が関係維持・強化を目的とするものであれば、一般的には「交際費」として処理します。

直接的な取引関係に限らず、間接的に関係がある相手も対象です。取引先が主催するイベントへの協賛金、祝金、香典なども交際費に含まれます。

個人事業主の支出は「事業主貸」

個人事業主が事業用の口座やカードで寄付した場合、必要経費にはできず「事業主貸」で記帳します。

事業主貸は、事業用の資金を私的な支出に充てたことを記録する科目です。個人事業主の寄付金は事業の必要経費にはならず、確定申告で寄附金控除として所得控除を受けることになります。

参照:No.5262 交際費等と寄附金との区分|国税庁

寄付金の仕訳例

寄付金の仕訳は、支払い方法と相手先の性質によってパターンが変わります。代表的なケースを4つ示します。

現金で寄付した場合の基本仕訳

公益性の高い団体に現金で寄付した場合は、借方を「寄付金」、貸方を「現金」で処理します。

(例)公益社団法人に現金100万円を寄付した。

借方 金額 貸方 金額
寄付金 1,000,000円 現金 1,000,000円

地域の祭礼に対する寄贈金で、宣伝性や取引先関係がない場合も同じ科目で処理します。

(例)地域のお祭りに際し神社に現金10万円を寄贈した。

借方 金額 貸方 金額
寄付金 100,000円 現金 100,000円

クレジットカードで寄付した場合

クレジットカードで支払った寄付金は、寄付時点で「未払金」、引き落とし時に「普通預金」で処理します。

(例)独立行政法人へ寄付金50万円をクレジットカードで支払った。

【寄付時】

借方 金額 貸方 金額
寄付金 500,000円 未払金 500,000円

【引き落とし時】

借方 金額 貸方 金額
未払金 500,000円 普通預金 500,000円

広告宣伝費として仕訳する場合

協賛金の支出額に応じて自社名や商品が紹介されるなど、対価性のある支出は「広告宣伝費」で処理します。

(例)イベントの協賛金として10万円を現金で支払った。なお、配布されるパンフレットには協賛金の額に応じた会社の宣伝枠が設けられている。

借方 金額 貸方 金額
広告宣伝費 100,000円 現金 100,000円

交際費として仕訳する場合

事業に関係のある取引先への協賛金や贈答は、対価が期待できるため「交際費(接待交際費)」で処理します。

(例)取引先主催のイベントの協賛金として10万円を支出した。

借方 金額 貸方 金額
接待交際費 100,000円 現金 100,000円

参照:No.5262 交際費等と寄附金との区分|国税庁

法人の寄付金は損金算入の限度額に注意

法人税法では、寄付金の支出先によって損金算入額が変わります。区分は大きく4つに分けられ、それぞれ限度額や計算式が異なります。

国・地方公共団体への寄付金、指定寄付金

国や地方公共団体、財務大臣が指定した公益性の高い団体への寄付金は、全額を損金算入できます。

国や地方公共団体が運営する国公立学校・図書館などへの寄付や、被災地への義援金で国・地方公共団体に直接支出するものが該当します。指定寄付金は、財務大臣が指定する団体・事業への寄付で、学校法人の教育研究、国宝の修復、赤い羽根共同募金、オリンピック開催などが対象です。

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)

企業版ふるさと納税は、認定された地方公共団体の地方創生プロジェクトへの寄付で、損金算入と税額控除を併用できる制度です。

通常の寄付による損金算入の軽減効果(寄附額の約3割)に加え、最大6割の税額控除が適用されます。両者を合わせると、最大で寄附額の約9割が軽減され、実質的な企業負担は約1割まで圧縮されます。利用には、地域再生計画に位置付けられた事業への寄付であることが要件です。

参照:企業版ふるさと納税ポータルサイト|内閣府

特定公益増進法人などへの特定寄付金

特定公益増進法人や認定NPO法人への寄付金には、一般寄付金とは別枠の損金算入限度額(特別損金算入限度額)が設けられています。

対象となるのは、公益社団法人・公益財団法人、日本赤十字社、自動車安全運転センター、法律で規定された独立行政法人・学校法人・社会福祉法人、認定NPO法人、特定公益信託への寄付などです。

普通法人(資本または出資を有する場合)の損金算入限度額は、次の算式で計算します。

特別損金算入限度額 =
(期末の資本金等の額 × 当期の月数÷12 × 0.375% + 所得金額 × 6.25%) × 1/2

この上限を超える分は、一般寄付金の損金算入限度額の枠で計算されます。

その他の一般寄付金

上記3区分のいずれにも該当しない寄付金は「一般寄付金」として、限度額の範囲内で損金算入できます。

普通法人(資本または出資を有する場合)の一般寄付金の損金算入限度額は、次の算式で計算します。

損金算入限度額 =
(期末の資本金等の額 × 当期の月数÷12 × 0.25% + 所得金額 × 2.5%) × 1/4

限度額を超えた部分は損金算入できず、課税所得に加算されます。

低廉譲渡の場合の注意点

時価より低い価格で資産を譲渡する低廉譲渡は、時価との差額が寄付金として処理されることがあります。

時価と譲渡対価の差額が実質的な贈与と認められると、その差額分が寄付金として扱われ、損金算入限度額の計算対象になります。同じグループ内の会社間で資産を移転するケースなどで論点になりやすく、損金不算入額が増えれば法人税額が増える可能性があるため、慎重な検討が求められます。

参照:No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

寄付金の消費税の扱いはどうなる?

寄付金は対価を求めない無償で提供される金銭や資産の譲渡であるため、消費税の課税対象外(不課税)として扱います。物品の購入を介する寄付では、購入時の取り扱いに注意が必要です。

金銭で寄付した場合は不課税

金銭による寄付は、対価のない取引にあたるため消費税の課税対象になりません。

仕訳上の税区分は「不課税」または「対象外」で処理します。消費税の申告計算には影響しません。

物品を購入して寄付した場合

寄付するために購入した物品については、購入時点が課税仕入れとなる点に注意が必要です。

寄付の支出そのものは不課税ですが、その原資となる物品の購入は通常の課税仕入れとして取り扱われます。なお、仕入税額控除対象になるか否かの判定については、その物品の用途や課税売上との関係に応じて判断します。 仕訳のタイミングと税区分の整理は事前に確認しておくと安心です。

個人事業主が寄付金を扱うときのポイント

個人事業主の寄付金は、法人とは扱いが異なります。必要経費にはならない代わりに寄附金控除や寄附金特別控除(税額控除)の対象になり、受け取った場合の課税関係も法人と異なる点に注意が必要です。

寄付金を支払った場合の処理

個人事業主の寄付金は事業の必要経費にはならず、事業用資金を使った場合は「事業主貸」で記帳し、確定申告で寄附金控除または寄附金特別控除の適用を受けます。

寄附金控除(所得控除)の計算式は次のとおりです。

寄附金控除額 =
いずれか低い金額(その年に支出した特定寄附金の合計額/総所得金額等の40%相当額) − 2,000円

特定寄附金には、(1)国・地方公共団体、(2)指定寄附金、(3)特定公益増進法人、(4)認定NPO法人等、(5)政党・政治資金団体、への寄付金が該当します。

このうち(3)〜(5)については、所得控除に代えて税額控除(寄附金特別控除)を選択することもできます。控除額の計算式はそれぞれ次のとおりです。

対象 税額控除の計算式
公益社団法人等 (寄附金額 − 2,000円) × 40%
認定NPO法人等 (寄附金額 − 2,000円) × 40%
政党・政治資金団体 (寄附金額 − 2,000円) × 30%

税額控除額の合計は、その年分の所得税額の25%が上限です。寄附金控除(所得控除)と寄附金特別控除(税額控除)はいずれか一方しか選択できません。所得や寄付額によって有利な方が変わるため、両方で試算してから選ぶとよいでしょう。

参照:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁

寄付金を受け取った場合の課税

個人事業主が寄付を受け取った場合は、相手が個人か法人かで税務上の扱いが異なります。

個人から金銭や物品を無償で受け取ったケースでは、寄付の名目でも税法上は贈与として扱います。年間で基礎控除額110万円を超える額を受け取った場合は、贈与税の申告が必要です。所得税の計算上は収入に計上しません。

法人から金銭や物品の寄付を受けた場合は、贈与税の対象にはなりませんが、所得税の対象となります。所得区分は受け取った経緯や事業との関係などによって事業所得・雑所得・一時所得などに区分されるため、個別の事情に応じた判断が必要です。

寄付金に関するよくある質問

寄付金の判定や仕訳でとくに迷いやすいケースをまとめます。

祈祷代は寄付金として処理できる?

祈祷代は宗教法人による公益的活動への支援とみなせる場合、寄付金として処理できることがあります。

法人が祈祷代を支払うときは、原則として一般寄付金に該当し、損金算入限度額の範囲で算入できます。個人事業主が支出する場合は事業主貸で記帳し、必要経費にはなりません。

未払の寄付金や手形払いの寄付金は損金算入できる?

法人税法では、寄付金は実際に支払いが行われた時点で支出と扱われるため、未払の寄付金や決済前の手形払いの寄付金は損金算入できません。

ただし、仮払い扱いの寄付金は寄付金に含まれます。決算をまたぐ寄付金については、支払時期を意識して計上することが大切です。

参照:No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

勘定科目の判断に時間がかかるときの対処法

寄付金のように事業との関係性で勘定科目が変わる支出は、判断に時間を要しやすく、担当者の業務負担となりやすい工程です。

判定の基準を社内で文書化したり、過去の取引履歴から勘定科目を学習する会計ソフトを併用したりすると、属人化を防ぎ仕訳作業の効率化が進みます。寄付金のように発生頻度が低く処理が複雑な科目こそ、判断のフローを整理して残しておくと毎期の手戻りを減らせます。

仕訳作業に最も工数がかかる 37%に

寄付金として処理すべきか、交際費や広告宣伝費として処理すべきかなど、日々の経理業務において勘定科目の判定に悩む方もいるでしょう。マネーフォワードが実施した調査で、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業を尋ねました。その結果、「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。

仕訳業務の効率化に向けて

寄付金をはじめとする各種支出の仕訳業務では、事業への関連性や支出の目的に応じた正確な勘定科目の判断が求められます。しかし、手作業での入力や目視での確認は判断に時間を要し、担当者の業務負担となります。調査データからも、多くの方が勘定科目の判断作業を仕訳業務における最大のボトルネックと感じていることがわかります。

このような勘定科目の判定にかかる手間を削減するためには、過去のデータから勘定科目を自動推測する会計システムなどの導入を検討し、経理業務の効率化を進めることが有効です。

出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者881名のうち仕訳業務に関与する707名、集計期間:2026年3月実施)

法人なら損金算入、個人は所得控除の適用を確認しよう

寄付金は、法人と個人で税に関する制度が異なります。特に、寄付金を支出した場合は寄付先によって計算が変わるため、注意が必要です。法人はほぼすべての寄付を損金算入できますが、算入額には限度があります。また個人では寄付金を経費にできず、特定寄付金に該当する場合のみ所得控除または税額控除が適用されます。寄付をする場合は、年間の合計額、支出先などもよく管理し、税額を意識した寄付を行うとよいでしょう。

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よくある質問

寄付金とは?

個人や法人が、組織や団体に対して無償で譲渡した資産の額、または評価額をいいます。詳しくはこちらをご覧ください。

寄付金は課税される?

消費税は不課税(対象外)です。法人税法上は、寄付金の分類によって損金算入に制限があります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
  • 監修:橋爪 祐典(税理士)

    2018年より税理士法人に勤務し、中小企業の決算・申告から財務デューデリジェンス等の高度な会計分析まで幅広く従事。

    株式会社・合同会社の設立登記支援を多数手がけ、税務署や自治体への各種届出から、創業融資・事業計画書作成、補助金申請の実務支援まで一貫して対応しています。

    実務においては、最新の制度改正を踏まえた解説や、役員報酬のシミュレーション、キャッシュフロー計算書を用いた毎月の収支説明など、経営判断に直結する専門知識を提供。相続案件まで含めた多角的な視点を活かし、起業家の挑戦を実務面から強力にバックアップします。

    また、AIを積極的に業務へ取り入れており、月次資料のデータ化と会計ソフトへの取り込みや、打ち合わせ後の議事録作成にAIを活用するほか、毎月のルーティン業務はRPAで自動化することで、正確かつ迅速なサービス提供を実現しています。

  • 監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

    並木一真税理士事務所所長
    会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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