- 更新日 : 2023年1月26日
一時所得とは?臨時収入を得た際の確定申告を解説!
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「一時所得」とは、その名のとおり一時的な所得であり、営利目的の継続的な所得ではありません。
誰しも意図せずに一時所得を得る可能性がありますが、担税力(税を負担できる力)が小さいため、特別控除額が差し引けるなど他の所得とは異なる課税方法となります。今回はこの一時所得が発生した場合の確定申告の方法について説明します。
目次
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一時所得とは
一時所得には、具体的には次のようなものがあります。
- 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
- 競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
- 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
- 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除く)
- 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
生命保険契約に基づく一時金が「一時所得」となるのは、生命保険契約が満期になり、保険料の負担者が一時金として満期保険金を受け取った場合です。
一時所得となるのは、保険料を負担した人と保険金を受け取る人が同一人に限られます。
対して、一時所得に該当しないものには、配当所得、利子所得、事業所得、譲渡所得、不動産所得、給与所得、退職所得、山林所得があります。
なお、一時所得には所得税が非課税となるものがあります。損害保険契約の保険金、生命保険契約の給付金のうち一定のもの、相続税や贈与税の対象となるものなどです。
また、宝くじやサッカーくじの払戻金も所得税法から見ると一時的な所得ですが、これらは所得税法以外の法律(「当せん金付証票法」や「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」)で所得税を課さないこととされていますので、これらの払戻金については申告の必要はありません。
ただし、宝くじやサッカーくじの購入者本人が当選金を受け取った場合に限ります。その他迷った場合には税務署に相談しましょう。
臨時収入も一時所得に該当
臨時収入には確たる定義がありません。しかし一般的に臨時収入とは、定期的な収入や継続的な売上などの「固定収入」とは別に得られた一過性の収入のことです。
臨時収入は一時所得に該当し、目安としては次の両方の要件を満たす所得です。
- 「営利を目的とした継続性」がないもの
営利を目的としているものは事業所得などになります。継続的に発生するものも一時所得には該当しません。 - 「対価性」がないもの
労務やその他役務の対価、または資産の譲渡の対価として受けるものは一時所得ではありません。
以下に、臨時収入であっても一時所得とならないものについて確認しましょう。
- 生活の用に供している古着や家財などの売却については、一時的な収入と言えます。譲渡所得にカテゴライズされますが、所得税は非課税です。ただし、貴金属や美術品などで一つが30万円以上のものは事業所得として課税されます。
- 心身や資産に対して受ける損害賠償金は一時的な収入です。通常は対価性がないため、課税の対象にはなりません。
- 暗号資産(仮想通貨)などについて生じた利益も一時的な収入と言えます。事業所得となるものを除き、雑所得とされ、一時所得には該当しません。
- 店舗やWebサイトで付与されるポイントについては、課税対象とはなりません。
有名な判決で、「競馬の当たり馬券の払戻金」が一時所得ではなく雑所得になるとされたものがあります。
この裁判の被告は、ソフトウェアを使用して自動的に、長期間にわたり、継続的かつ、網羅的に馬券を購入していました。結果として恒常的に得た多額の払戻金については、一時所得ではなく雑所得にあたるとされました。
なお、競馬、パチンコ、満期保険金の確定申告について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
競馬に関する確定申告
パチンコに関する確定申告
満期保険金に関する確定申告
一時所得の計算方法
一時所得は、総収入額から収入を得るために支出した金額、特別控除額(最高限度50万円)を差し引いた残額です。
収入を得るために支出した金額とは
収入を得るために支出した金額とは、「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額」に限ると考えられています。
例えば、3レースに5万円ずつ均等に馬券を買い、予想が的中したのは1レースでした。このときに支出した総額は15万円ですが、払戻金を得られたのは1レースなので、「その収入を得るために支出した金額」は5万円となります。
また、生命保険契約や損害保険契約に基づく満期保険金を受け取った場合には、受取人がそれまでに支払った保険料や掛金が収入を得るために支出した金額に該当します。
特別控除額とは
特別控除額は限度額が50万円です。ただし、この特別控除額があるのは一時所得が生じた取引ごとではなく、一時所得全体に対するものです。
生命保険契約に基づく一時金を取得した場合の例をみてみましょう。
複数の生命保険会社で資産運用していたとして、A保険の一時受取金では300万円の利益が、中途解約したB保険では解約返戻金などもあって50万円の損失が生じたとします。
このような一時所得内においては、内部通算ができます。すなわち、300万円の利益から50万円の損失を差し引き、さらに50万円を限度として特別控除額を差し引けるので、結果として一時所得は200万円となります。
A保険 300万円
B保険 ▲50万円
特別控除 ▲50万円
――――――――――
一時所得 200万円
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一時所得にかかる税金
「総合課税(各種の所得を合算した額に課税する制度)」方式をとる一時所得では、上記で述べた所得金額の1/2にあたる金額を給与所得などの他の所得と合算し、所得控除額を差し引いて納税額を計算します。一時所得の課税対象が1/2になるため、納税者に有利な制度といえます。
例えば、さきほどの生命保険の一時金の事例を参考にすると、一時所得とみなされる金額は200万円ですから、その半分である100万円が総所得金額に算入する金額となります。
このように、一時所得はさまざまな種類があり、総収入や所得税の計算方法には十分な注意が必要です。特に生命保険や損害保険の一時金が複数ある場合は、総収入の計算が複雑です。国税庁のホームページを確認したり、税務署に相談したりして、確定申告の手続きを行いましょう。
臨時収入も一時所得として課税対象
前述の臨時収入についても、一時所得として課税対象となります。
ただし、臨時的な収入というだけでは一時所得にはなりません。
繰り返しますが、一時所得となるものは、次のいずれも満たすものです。
- 「営利を目的とした継続性」がない
- 「対価性」がない
- 法律(所得税法に限りません)で非課税とされているもの
例えば、趣味で通っているパチンコで大きな儲けがあった場合などは一時所得に該当し、所得税が課税されます。パチンコなど一過性の臨時収入は1回でなくとも年間数回あれば、合計して課税かどうかを判定します。
法人からもらった(贈与を受けた)金品については、贈与税ではなく一時所得として所得税の対象となります。
その他、一時所得に該当する臨時収入には研究会やPTA(これらを「人格のない社団」と言います)などが解散したことによる分配金や、賃借している家について受け取った立ち退き料などがあります。
一時所得の計算方法など詳細は、以下をご参照ください。
20万円以上の一時所得は確定申告が必要!
一般のサラリーマンについては、給与以外の所得金額の合計額が年間20万円を超えないときは、確定申告をする必要がないとされています。
しかしながら、一時所得には特別控除額50万円を控除した残額に1/2を乗じて所得税を計算することになっているため、すべての一時所得の合計が1年間で90万円以下の場合には、確定申告の必要がありません。
なお、確定申告の方法の詳細については、以下をご参照ください。
一時所得の確定申告をしないとどうなる?
一時所得だけではありませんが、確定申告すべき人がしなかった場合はペナルティがあります。
ただし、期限内の確定申告をしなかったけれども、その後自分で気づいて申告した場合は、期限後申告となります。期限後の申告は、申告による納付税額のほかに「加算税」「延滞税」が課される場合があります。
期限までに申告をしなかった場合には、「無申告加算税」の対象となります。原則として、納付税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じた金額となります。
さらに、仮装隠蔽などがあった場合には、無申告加算税に代えて、「重加算税」の対象にもなります。無申告の場合は本税の40%の重い税となります。
参考:加算税の概要|財務省
無申告は危険!臨時収入もきちんと確定申告しましょう
臨時収入については、個々について判断したほうが良い場合もありますので、調べても不明点が多い時は税務署に問い合わせ期限内に、申告納税を行いましょう。
特別控除額MAX50万円、課税となるのは一時所得の1/2となるため、正しく申告するほうが結局は得策となります。
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もっと読むよくある質問
一時所得には何がある?
懸賞や福引きの賞金品や、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
一時所得の計算方法は?
「総収入額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額」です。詳しくはこちらをご覧ください。
一時所得における特別控除額の最高限度額は?
50万円です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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